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第13回政策評価に関する有識者会議議事録

2005年8月1日議事録

1.日時 平成17年8月1日(月曜日)15時〜17時

2.場所 国際フォーラム G402会議室

3.議題
(1) 文部科学省実施評価書−平成16年度実績−(案)について
(2) その他

4.配付資料
資料1−1−1   文部科学省実績評価書−平成16年度実績−(案)(概要)
資料1−1−2   文部科学省実績評価書−平成16年度実績−(案)
資料1−2   実績評価書案に対する委員からのコメント
資料2   実績評価、事業評価の今後のスケジュール
参考資料1   総務省客観性担保審査における指摘事項(15年度実績評価)の概要
参考資料2   平成17年度文部科学省政策評価研修の結果(実績評価関係)

5.出席者
(委員)   古賀座長、浅井(経)委員、浅井(彰)委員、天野委員、川邊委員、高祖委員、杉山委員、田中委員、田吉委員、端委員、平澤委員、藤垣委員、美山委員、室伏委員、弓削委員、ゼッターランド委員、横山委員

(事務局)   近藤文部科学審議官、玉井官房長、小田総括審議官、樋口政策評価審議官、合田大臣官房会計課長、藤嶋大臣官房政策課長、岡谷評価室長、川口評価室室長補佐、齋藤評価室室長補佐、義本文部科学広報官、南大臣官房国際課課長補佐、岡文教施設部施設企画課長、西田生涯学習政策局政策課課長補佐、前川初等中等教育局初等中等教育企画課長、安井高等教育局高等教育企画課専門官、吉川科学技術・学術政策局政策課長、木村研究振興局振興企画課課長補佐、渡辺研究開発局開発企画課長、水田スポーツ青少年局企画・体育課課長補佐、関文化庁政策課長、井深科学技術・学術政策局計画官付評価推進室室長補佐

6.会議の概要  
(1) 文部科学省実施評価書−平成16年度実績−(案)について 
   事務局より「文部科学省実施評価書−平成16年度実績−(案)」について説明が行われ、続いて質疑・意見交換が行われた。

  【浅井(経)委員】
   指標等がこれで十分であるかどうかということは、また検討するところがあるが、生涯学習関係については一応政策評価としては、現状ではうまくできているのではないかという気がする。

  【川邊委員】
   達成目標1−2−2について、この根拠になる4,000カ所あるいは、達成した5,400カ所というのは、子どもの家がそれだけあったということか。都道府県ごとでどういうふうにカウントしたのか、都道府県の運営協議会で対象にしたところだけをカウントしたのか、全国の実施状況をすべてカウントしたのか。

  【西田生涯学習政策局政策課課長補佐】
   平成16年度から地域子ども教室推進事業という事業を実施しているが、この事業の予算上の16年度の実施数が4,000カ所だったので、4,000という数字を目標で掲げていたが、実際5,400カ所で実施されたということになっている。この事業は、地域の、主に小中学校の放課後等について、子どもの居場所というふうに位置づけた上で、地域の大人の方々にもご協力をいただいて、さまざまな活動をしていただくということを趣旨としている。

  【川邊委員】
   事業として指定したところの数だから、そういう事業に触発され、影響されて、全国的にはさらに拡大していると推測しているという理解でいいか。

  【西田生涯学習政策局政策課課長補佐】
   正確な数字等は現段階では調査はしていないが、その効果が全国的に波及して、独自の取り組みなども含めて、こういう取り組みが全国に広がるということを目的にしている部分もあるので、川邊委員の発言のとおり。

  【川邊委員】
   達成目標1−4−4について、16年度から長期宿泊体験推進校の指定があり、全国6ブロックで開催されたブロック交流会の発表校の事例をまとめて委員会に配付したとある。この指定を受けた武蔵野市の第二小学校の教諭が会議で報告した。会議を通して、子どもたちが長期宿泊体験による自然体験等を通して、感性の乏しさ、人間関係の希薄化、人間関係調整力の衰えが指摘されている今日、人として豊かな心を持って生きる力の基盤をはぐくむうえで、大変効果が上がっていることが感じられたという報告を受けた。事業の成果を広く伝え、この事業を一層継続、拡充しながら全国に波及していく必要がある。

  【室伏委員】
   達成目標1−1−2と1−1−3について、大学において、社会人特別選抜の促進と長期履修学生の制度を推し進めたことは、女性のライフサイクルに即した学びの場を広げたということで、私は高く評価できると思っている。これらについては、もう少し全国的に広げていただきたい。

  【田吉委員】
   施策目標2−1全体について、特に達成目標2−1−1について、一定の成果が上がったが、一部については想定どおり達成できなかったということは、内外の学力調査の結果をもとに判断されているかと思う。文部科学省の基本的な姿勢として、伸びる子は伸ばすし、取り残す子どもはつくらないという姿勢でやってきているし、また、現場においてもそういう視点でやっている。学力というのは、単にドリル的な基礎・基本のみではなく、それをもとにして、思考力、判断力、表現力まで含めたものというのは、非常に学校内外に定着してきていると思う。ただ、学力調査の結果をもとにしたときに、ドリル的な学力とか基礎・基本のみをもっとやろうとか、授業時数を確保しよう、教科書を厚くしようみたいな雰囲気に、ややマスコミ等が流れている。この結果をもとにして、今後、評価結果の17年度以降の政策への反映方針に、個に応じた指導の充実があり、政策目標2の中に「学力の質の向上」ということがうたわれているのは、とてもいいと思う。実際には、それを行うには、授業の質を向上しないといけない。そのためには教師が輝いていなければいけないが、今、教師のモチベーションが下がっている、元気がないと思う場面が多い。達成されつつあるという教師の配置改善がさらに進み、そして、実際に、次の施策目標2−3のところで出てくる教員評価、あるいは人事考課制度、また、教員評価に基づいて給与等へ反映されること、また、自己評価の発表、あるいは、第三者評価から来る教員評価、授業評価まで進んでいくときに、本当に教師が、組織として楽しく、元気づけられるような文部科学省の指導や支援をお願いしたい。

  【川邊委員】
   達成目標の2−1−2について、文部科学省は16年度から、人件費関係については総額裁量制というものを導入し、総枠で各都道府県に補助金を出して、その中をどう使うかというのは、それぞれの都道府県が判断し、30人学級、いわゆる少人数学級ということを取り入れる府県が多くなった。そのことの影響で、少人数指導、あるいは習熟度別指導という第7次教職員配置改善計画の効果が下がるのではないか、影響を受けるのではないかと心配される。総額裁量制とのかかわりで、この効果についてはどういうふうに判断をされているか。この実数は、少人数学級ではなく第7次の加配は当初の目的にそって少人数指導や習熟度別指導等に全面的に実施されて、本来の趣旨どおり執行がされているという理解でいいのか。

  【前川初等中等教育局初等中等教育課長】
   ご指摘のとおり、平成16年度から総額裁量制ということで、義務教育費国庫負担金の支出の方法が変わって、総額の中で、各都道府県の判断で教職員の給与水準、あるいは教職員の定数について、各都道府県の裁量によって配置できるというような形になった。その際に、加配の活用の方法についても大幅に弾力化して、少人数指導、いわゆるティームティーチング、あるいは1つのクラスを2つに分けるような形の少人数指導に限らず、学級ごと小さくする少人数学級についても加配定数が使えるようにした。その結果として、少人数学級に取り組む都道府県が増えているということはご指摘のとおりだが、これは、どういう局面で少人数学級にするか、どういう局面において少人数指導をとるかといったことは、基本的に各都道府県あるいは市町村の判断によるものであり、これまでの傾向を見てみると、少人数学級をとるケースというのは、小学校1年生、2年生に非常に多く見られる。これはそれなりの理由があると私どもは考えていて、習熟度別でグループを分けていくということを考えた場合に、小学校1年生、2年生というのは、あまり習熟度に差の開かない時期である。むしろ学級ごと小さくするということによって、いわゆる小1プロブレムというような問題について対応するというほうが合理的であるという判断は、これは十分根拠があるものではないかと思っている。基本的には、各地方の判断にお任せしているが、結果として、極めて合理的な判断をするところが多いのではないかと私どもとしては見ていて、その結果として、習熟度別指導が後退するというようなことにはなっていないと思っている。

  【川邊委員】
   達成目標の2−2−5について、「得られた成果」ということで「子どもに手をあげる保護者の相談支援により、その後の子どもの家庭内指導に役立った」という部分については、私どもの指定を受けている学校のケースそのままがほかにもあるんだなと思って驚いている。特に大学院の心理科で学んでいる学生2人を交代で配置しているという学校も多く、そこで子どもたちが自由に相談をする、個別に相談をするときにはカードに入れる、親と相談するときには事前予約をするということで、非常に弾力的にやって、教員と担任と相談員、保護者の連携がよくて、その中には子どもが、親が最近非常に厳しくて、時々ぶたれるんだ、もうご飯なんか食べさせないと言われるんだという訴えを聞いて、担任と相談し、子どもの事情を聞き、家庭ともうまく連絡をとって改善されたという事由があった。やはり子どもは担任には言いにくいことも、若い相談員には本音で言う、そのことが手がかりになって、軽度の虐待の方向に向かう傾向を克服したと、こういうこともあり、こういった事業は今後ともさらに続けていただきたい。特に少年非行の問題については、ぜひ重視して、今後さらに、充実していただきたい。

  【室伏委員】
   達成目標2−3−5では、教育委員会と大学との連携を推進して、教員の資質向上を図ろうということが述べられており、これは大変重要なことだと思う。特に、私たちが今大学や日本学術会議などでアウトリーチ活動を行っていると、大学の教員と教育委員会、あるいは現場の先生だけではなくて大学の学生や大学院生が参加することで、学生や現場の先生方の考え方なども非常に変わるということを経験している。大学院生あるいは学生などが参加するということも中に書き込むと、今後、それぞれの大学がどのような形でアウトリーチ活動を行うか、あるいは教育の場で貢献できるかということを考える上で良いのではないか。

  【前川初等中等教育局初等中等教育課長】
   今ご指摘の点は、中身としては入っているが、明示的に書くかどうかの問題だと思う。検討する。

  【川邊委員】
   27ページの指標の中で、公立小中学校における耐震化率が51.8パーセントで遅れているが、予算が大変厳しいということで遅れていると一般的には言われているが、そのとおりなのか。それに対して、充実をするという方向だが、一般財源化というのは分権化を都道府県で求めていることもあって、その辺に対してはどういう見解なのか。また、図書の充実について、この図書の充実費も交付金で措置をしているものの、達成状況が低い、今後どう改善していくのか。

  【岡文教施設部施設企画課長】
   耐震性について、耐震診断をして、耐震化した建物を多くするということで今努力している。予算については、17年度については、県から申請があった耐震関係の予算はほぼ採択できている。ただ、全体としては、今、非常に危険だという建物を全部直そうとするとこの3月に出た調査研究報告では、5年で3兆円となる。これは県まで含めた事業費であり非常に多額の経費が必要になってきている。そういう中で、これを一般財源化すると、かなり地方によってばらつきが出るのではないかと考えていて、国としてきちんと責任を持って耐震化を進めていきたいと考えている。

  【前川初等中等教育局初等中等教育課長】
   学校図書館の図書の整備費については、これは市町村、小中学校の場合だと、設置者である市町村の一般財源によって整備するということになっていて、文部科学省としては、基準などを設けて、クリアするように指導は続けてきているが、なかなか特定された財源が確保されていないということから、各自治体の間で格差がどうしても生じてしまうという実情にある。私どもとしては、一般財源の中で、何とか各都道府県あるいは市町村の努力で一定水準をクリアするように、引き続き指導に努めてまいりたいが、どうしても財源上の問題があるということはご承知おき願いたい。

  【高祖委員】
   達成目標3−1−11について、本当に概ね順調に進捗か疑問。実際に実地調査に出かけてみると、私学法の改正の趣旨を十分に理解していない理事長や理事会、また監事の方々が少なからずいる。ただ、今、改正が行われたところなどで、これから対応していくという例もあるかもしれない。しかし、例えば、監事でもお飾りで終わっていたり、理事長さんがワンマンで全部できるように考えていたり、ここでワンマンというのは、評議員の任命についても、自分の息のかかった人を集めるという形で終わっているとか、あるいは、地域の名士を集める形で終わっているとかであり、そのような実態に出会う。同様に、財務情報の公開もかなり今やっているという形で答えてはいるが、その内実としては、ある大学の場合は、図書館報の一番最後のページに突然数字が出てきて、これで財務情報を公開していると言っているケースがあるとか、事業報告書についても、必ずしもこちらが期待しているような形で展開してないケースがある。よって、制度の改善・改正は行われたが、趣旨がどれぐらい伝わって、定着しているのかという点から見ると、まだ問題があるかと思う。今回の指標で、寄附行為を改正した学校数を見ると、660の私学のうち169校ほどであり、これは24.5パーセントとなる。初年度だとしても、30パーセントぐらいとなってほしいというのが正直なところであり、課題が残っているのではないか。

  【安井高等教育局高等教育企画課専門官】
   私立学校制度の充実については、平成16年に私立学校法の一部改正を行った。私立学校の運営体制の改善ということで、理事会の位置づけを明確にすることや、財務情報についても、しっかり対外的な説明責任を果たすという観点から、公開の義務づけを行っている。こちらの法律の施行は、今年度からということになっており、平成16年度の実績評価については、制度改正の趣旨の徹底だとか、実施に向けた準備を学校側でやっているか、趣旨がきちんと反映されているかを見ている。制度が機能しているかということについては、法施行後の17年度に引き続き努力し、来年度の実績評価でしっかりと見ていきたいと考えている。

  【高祖委員】
   達成目標3−1−10について、55ページを見ると、「国立大学法人運営費交付金の確保など、財政面も含めた継続的な支援を図る」と書いてある。もし、そういう財政面を含めた支援ということを言うのであれば、経営の面をどう評価するかという点を含めた評価が求められよう。今回の評価は、法人化した数がどうなっているとか、組織はどうなったというレベルで終わっているが、それをもう少し深めていく必要があるのではないか。58ページの主な政策手段欄についても、国立大学法人運営費交付金は、国立大学法人に対し渡し切りの交付金であり、使途を特定しないため、各大学の判断ができると書いてある。そのようにそれぞれに自由を与えるのであれば、それなりの報告なり責任をちゃんと持ってもらうというのが、評価の1つの大切な点だろう。私立学校については、そのようなことが全部財務情報の公開という形で法に定められている。そういう点を考えると、やはり国立大学についても、経営という面からの評価をする何かの指標が要るのではないか。そして、やはりそれを当てはめた評価を行って、国民の側にしっかりと説明するということも必要なのではないか。

  【安井高等教育局高等教育企画課専門官】
   ご指摘いただいた問題については、非常に重要であると文部科学省でも考えており、今、ご審議いただいている国立大学法人制度についての政策評価とはまた別の枠組みとして、各国立大学法人個別の16年度の業務の状況について、法人の評価を行う制度が国立大学法人法により設けられている。この評価は文部科学省に置かれている国立大学法人評価委員会において、個別法人の経営面の評価や財務面の状況についても審議をいただくというものであり、この枠組みを用いて、各国立大学法人の評価、あるいは対外的な説明責任というものをきちんと果たしていきたい。

  【高祖委員】
   ここは文部科学省の政策評価を行う場なので、そちらの委員会が評価するとしても、この有識者会議と何か連動させることを考えていく仕組みが要るのではないか。

  【天野委員】
   参考資料によると、できるだけアウトカムに着目した指標の活用が望ましいという指摘があったようだが、政策目標3についてアウトプット指標による評価という感じがする。55ページに、実績についての数値を示した指標が挙げられているが、インターンシップの実施率とか、任期制を導入している大学とか、認証評価制度による評価を受けた大学というのは、こういう数字自体が少し甘いのではないか。というのは、FDにしても、GPAにしても、実施している大学の数は確かに着実に増えているが、何を実施しているのか、GPAをすべての学部に取り入れているのか、これだけでは全然実態がわからない。インターンシップの実施率も、実施している大学の数を数えてもあまり意味がないので、一体どのくらいの学生が実際にインターンシップに関与しているのか、加わっているのかという数字を集めるようなことを考えないといけないのではないか。任期制についても同様で、任期制を多くの大学が取り入れたということになっているが、特定のセンターとか、あるいは特定の学部だけで、何名かの先生がなっているというようなところが大方で、大学全体でやっているところはほとんどないので、そういう実態を反映するような指標をつくらないと、アウトプット指標としても甘い。認証評価は順調だと書いてあるが、700校を超える大学の中で、初年度34校という数字は、順調だと言っていいのか。国立大学の施設整備のところ、老朽化した施設の改善が非常におくれており、5割程度しか進んでいないということは、全体として67パーセントなので、ほかのところにお金がいっていることになる。こういう卓越した研究拠点とか、大学院の施設の改善とか、そういう予算の振り分けは文部科学省が自主的にやっているとすれば、老朽化対策を軽視しているということになる。非常に危険度の高い建物が多いのに、ずっとこれが50パーセント台で、他に比べてずっと遅れているという状態を放置してきたということからすれば、これはかなり政策上の問題があるのではないか。もっと反省的に書くべきではないか。

  【安井高等教育局高等教育企画課専門官】
   評価に活用のできる定量的な指標について、実際の評価に活用する場合の効用、大学側に調査をかけてお願いする際のコストなどを勘案しながら、開発、工夫していきたいと思っており、今後とも引き続き検討したいと思っている。16年度から実施された認証評価制度において、実際に評価を受けた大学数が少ないのではないかという点については、16年度の段階では、まだ法律が施行されて、評価をする機関もこれから文部科学大臣の認証を申請するというような状況であり、ある程度初年度に特有な事情というものもあった。しかしながら、限られた期間の中で、非常に数多くの大学の評価をしなければいけないという状況があるので、次年度以降の評価のやり方について、ご指摘を踏まえて、きちんとした検討を行ってまいりたい。

  【岡文教施設部施設企画課長】
   国立大学施設の話について、この計画自体は、平成13年に第2期科学技術基本計画を受けてつくった国立大学等施設緊急整備5カ年計画に基づいて実施している。5カ年計画の中で、この4本柱、大学院、卓越した研究拠点、先端医療の大学病院、老朽化した施設の改善とあるが、5カ年計画の中で、上の3つをまず優先的目標という形でセットしている。また、総合科学技術会議が毎年出す資源配分方針の中で、当初は大学院、卓越した研究拠点といった、狭隘解消を優先するという政府の方針があり、それに基づいて、先行してやっている。それから、3点目が、大学の希望として、老朽施設を改修するためには、移行するバッファー的な建物が必要だということもあり、まず、新しく建物をつくってくださいという大学の要望もあって、その3点から、大学院、卓越した研究拠点等をまず優先して整備してきた。

  【高祖委員】
   達成目標3−1−4について、「国公私立大学を通じた競争的環境の下で、各大学の優れた教育改革の取組を促進することにより、高等教育の活性化を図る」ということで、この促進策はまだまだ続くもののようだが、基本的に、活性化を図ることにより競争的環境の競争の促進のほうに力点があるようで、いろいろな教育の支援プログラムをたくさんつくっていくことが、この目標を達成するという記述になっている。それはそれで非常に効果があり、大事な点だと思うが、この高等教育の活性化という最終目標を、支援プログラムをたくさんつくることだけでやっていけるのか危惧の念がある。大学によっては、競争に乗ることのできないあるいは距離を置く大学もあるかもしれない。そういうものも含めた活性化策というのを同時に考えていくような時期に来ているのではないか。

  【安井高等教育局高等教育企画課専門官】
   達成目標3−1−4の部分は、高等教育における教育改革に向けた取り組みというのは、大学側の自主的な取り組みというのがまず必要で、そういった取り組みを促すような仕組みというものを構築していきたいという考えに基づいている。例えば、特色ある大学教育支援プログラム等の、競争的に応募してご参加いただくようなプログラムを構築しており、採択の数は当然予算額等の状況で、全ての応募いただいた大学に配分していないが、そちらの取り組みに参加いただく過程を通じて、各大学でも学内で非常に積極的なご検討などをいただいていると聞いており、全体の大学に波及的な効果が及んでいけばと考えている。

  【田中委員】
   個々に見ていくと、まだアウトカム指標を設定できるような余地はある印象を受けている。その点では、先ほどの天野委員と全く同じ感想である。ただ、アウトプット指標の中にも有用な指標はあるので、そういったものはぜひ使っていくべき。現状では、政策目標3の中を見ても、かなり改善の余地があると考える。政策目標3の中の22の達成目標の中で、16が想定どおり進んでいる。相当な割合について進捗しているということだが、それを考えるのであれば、むしろ今後は、アウトプットレベルのフォローではなくて、政策効果に重点を置いた評価を指向していただきたい。

  【安井高等教育局高等教育企画課専門官】
   十分検討させていただく。

  【横山委員】
   改善がなされて、大変読みやすく、わかりやすくなった。一方で2点、質問を含めながら意見を述べたい。1点目は、施策目標4−6「原子力分野の研究・開発・利用の推進」4の「基本目標及び達成目標」欄に、基本目標4−6については「進捗にやや遅れが見られる」とあり、その下の達成目標4−6−1、これも「進捗にやや遅れが見られる」となっており、「施策目標の達成度合い又は進捗状況」欄に「平成16年度の基本目標の達成度合いについては、一部事業を除き概ね十分と判断」とあるが、表現的には全然違うので、わかりにくい。それから、最初いただいた資料では、両方とも「やや」が抜けていて、「進捗に遅れが見られる」とかなり遅れを強調していたが、今日いただいたのは「やや」が入っているので、それは単なるミスなら結構だがどういうことか。10について、これについては次年度は達成度合いの判断基準を明らかにすることを検討すべきだと担当部局の所見がついていて、これは大変いいことだと思うが、これについての拘束力みたいなものはあるのか。来年度も原局はやりませんとなれば意味がなくなる。

  【渡辺研究開発局開発企画課長】
   原子力のところで、「やや遅れが見られる」というところ、具体的に申し上げると、高速増殖原型炉の「もんじゅ」が本来であれば、もうちょっと早く改造工事をやって、次の段階に進むという予定だったが、最高裁に上がって議論されておったというようなこともあり、16年度の中では、まだ裁判の結論が出ていなかったということなので、今年の2月に地元の知事から改造工事の了解をいただいて、16年度は改造工事の準備に取りかかった。今、準備中であり、今年の秋ごろから本格的な改造工事が始まるということで、当初、本来ならば、16年度に本格的な改造工事をやりたかったわけだが、それができなかったということで、「遅れが見られる」とした。もう一つは、ITER計画だが、国際交渉事であり、平成16年度内に決着がついて、我が国は日本にサイトを持ってくるということを目指して交渉をやっていたが、16年度中には決着がつかず、これは6月の末に交渉が妥結して、サイト自体はEU側、フランスのカダラッシュということに決まり、日本も準ホスト国として一定の役割を果たすことになったということだが、16年度というタイムフレームで区切ってみれば、決着がついていなかった、話し合いをしていて物が進まなかったということで、「遅れが見られる」とした。この「やや」がついてなかったのがついたということだが、「もんじゅ」については、少なくとも知事のご了解をいただいて、改造工事の準備が始まったということなので、前よりは進んでいるので「やや」ということであり、また、ITERについても、16年度内に妥結はしなかったが、交渉は一生懸命やって、少しでも進むということがあったので、「やや」という形になっている。表現上、なかなかそういうふうに読めないということはあるかもしれないが、背景の事情としては以上である。

  【平澤委員】
   去年に比べて、かなりフォーマットが進展して、わかりやすい内容になったという点、政策課評価室のご努力を評価したい。1つは施策目標が年度ごとに進化しているかどうか。特に、政策目標の5は、かなりの勢いで変わってきている分野であり、今度のフェーズに入ってからの目標が、そのまま受け継がれているのではないか。科学技術基本計画の第3期に移るに当たって、システム改革の重点もかなり大きく変わるのではと思っているが、こういう政策体系や実態の状況が変わっていくのに対して政策評価のあり方がどのように追随できるシステムになっているか。それから、2番目は、例えば施策目標5−1に関連しても、本来競争的・流動的でつくり上げていくのは、新たな学際的な分野に関してであろうと思う。従来から研究者が取り組んでいるディスプリンの中で、単に競争的にやるということだけでは、新しいフロンティアが開けていくということはあまりない。流動性といっても、この評価の項目を見ると、単に組織が変わるといったようなことだけを見ているように見えるが、分野が変わっていくような流動性の方がより本質的ではないか。四、五年前に言われていたことに対して、現在の評価体制の認識というのは随分変わってきている。施策目標5−2の説明図について、この右の方のシェードがかかっているのが3点挙げているが、そのうちの下の2点は質的なことと効率化ということを特に取り上げて、重要だということを指摘してある。この点は全く同感だが、アウトカムをどのように把握するのかということがかなりのキーポイントになる。効率化に関しては結局、評価のところの局面というよりも、プログラムを設定するとか、プロジェクトを設定する事前の局面で、いわゆるプログラム化されているようなタイプのものに移行していかないと、個々の評価の手間がかかってしまって効率化を図れない。

  【吉川科学技術・学術政策局政策課長】
   施策の目標自身も、来年度から、特に3期計画に入っていくというようなこともあるので、これとの連動もあり、見直すべきところは見直し、進化させていきたい。また、もう一つのご指摘は、国の研究開発評価に関する大綱的指針が今年の3月に内閣総理大臣決定されており、この関連で、我が省の関係の研究評価の指針も現在、改訂の検討がなされている中、開発評価の効率化という点も大綱的指針等でも示されており、135ページのようなとらえ方で不十分だというご指摘もいただいたので、そういう点も、今後、検討してまいりたい。

  【浅井(彰)委員】
   文部科学省の政策評価が大分進んだと思っているが、中でも政策目標5に属する事柄に関しては、これはまさに評価を前提としている。この分野に関しては、評価に関係するメカニズム、関係の部署である文科省の政策課評価室といったような部門、あるいは、この有識者会議だけじゃなくて、実際にテーマを募集して、審査して、決定するという機関を通じて、実に評価ということを実践しているという格好になる。そういった意味で、すべての項目を眺めてみても、この評価は随分進んだと考える。具体的にいうと、科学技術振興調整費の中の一部だろうが、21世紀COEとかスーパーCOEのテーマ選定、それから、革新技術といったような新しいジャンルのテーマ審査にも関与して、実際に評価ということをベースにして仕事を進めても、評価に基づいた施策の実行、そして、そもそもその施策そのものがよかったかどうかという批判にまで、結果を反映させていくといったようなサイクルができてきているように思うので、研究の内容だとか、競争力というものが次第に増しつつあり、研究を実行する人たちと、実行する資金を用意する人たちとの間に、いろんなポジティブなフィードバックメカニズムが働きつつあると思う。そして、そこで一番大事なことは、最近「評価疲れ」みたいな言葉もあるが、決して評価し、評価されることが疲れるのではなくて、やはりお互いにいいものを選んでいくということを建設的にやる、コンストラクティブな建設的な批判精神というものを培っていかないと決してよくならないことを、実に競争的資金の配分等を通じて感じた。これを敷衍すると、交付金あるいは国庫負担金的なお金の部分に関して、やはりある種の評価のメカニズムを、いわゆるステークホルダーを全部含めたような評価メカニズムをつくっていただき評価していかないと、政策担当者が自分自身を評価している格好になりかねない。

  【室伏委員】
   文部科学省が科学技術振興調整費などを使って、若い人、新しい分野の人たちの人材育成に努力しているが、特に施策目標5−4で若手研究者の自立・育成・向上を図るためにということで、ポスドクの1万人計画というものを大体達成して、そのための予算がかなり支出されていることは確かである。ただ、心配はこの人たちが将来どうするかについて、今ほとんど先が見えないという状況が心配である。ポスドクを幾つも転々として、最終的にどこにもきちんとしたポストがないというようなことが起こってきそうだが、これに関してどのような対策を行うか。

  【吉川科学技術・学術政策局政策課長】
   ご指摘いただいた点は、人材の政策として、今後、特に重点的に3期計画の中でも取り上げられると思うし、また、我が省においても取り組んでいくべき課題と考えており、1つは、ポスドクないしはドクターをとった方々の行き場として民間企業等に行かなさ過ぎるという分析結果が出ており、少し狭く行き場をとらえ過ぎているのではないかということで、キャリアの多様化を図っていくという政策も1つ打ち出していきたい。これらの人材は非常に貴重な能力を持っていると思うが、企業等、現在の学術の場でないところの方々にもそれらの能力を認めていただくということが1つと、本人も、そういった道に目を広げていくという2つの側面があり、そういう道を拡大していくというのが局としての政策である。

  【室伏委員】
   今、ポスドク経験者が研究職につかないと脱落者であるというような考え方が非常に強いのが問題なので、意識改革が極めて重要。例えば、ポスドク経験者が、小中学校、高等学校の先生になることで、科学教育の底上げが図れる。大学の関係者ももちろん頑張りたいが、文部科学省が率先して取り組んで欲しい。

  【横山委員】
   131ページの6の指標について、最初、任期つき任用というのは大変結構なことだと思ったが、やっぱり現場で見ていると、5年の任期をつけられた人は、5年目が近づくと、非常に苦しんでいる。もう少し、そういう研究者とか教員の面倒を見るという格好で指標があればいいと思う。

  【吉川科学技術・学術政策局政策課長】
   任期つきの研究者のパーセントなりポストがこれまで少ないから増やす。特に、導入していない大学については、導入していただくとか、大学等ではそういうことを進めてきた。それから、国研等でも、さらにそういうことに積極的に取り組んできたが、バランスが全部それでいいのかという問題もある。今、ご指摘があったように、うまくそれが回れば有効な手段だが、いわば目的になってしまって、現場がうまくいかないということがあるといけないので、少し中でも議論したい。

  【藤垣委員】
   欧州委員会の中でも、科学と社会についてのある施策が動いている。そこでは、科学と民主主義とか、あるいは科学技術に対するガバナンスということを挙げている。科学をパブリックに開いて民主化していくとか、あるいは、社会が科学知識を社会決定の基盤として利用できるようにすることによって、民主主義を専門性によって強化しようとする意図がある。そういう大きな目標に比べると、日本の政策目標の6を、3つの施策目標にするのはあまりに特化し過ぎて、日本流の矮小化が行われているのではないか。そこで、3つ質問があり、1つは、政策目標の6を、どのようなロジックでブレークダウンしたか、2つ目は、施策目標間の交流、あるいは上位の政策目標とのやりとり、3つ目は、例えば、施策目標4−6は先ほど、「もんじゅ」の説明があったが、ほんとうは国民の幅広い理解があって原子力「もんじゅ」も進むわけなので、政策目標6は決してそれだけで独立ではなくて、4、5とも関係してくるかと思う。

  【岡谷評価室長】
   政策目標6というのは大きく変貌している。例えば、原子力の安全などを、科学技術と社会の新しい関係の構築の中に入れているし、また、科学技術に関する国民意識の醸成、地域における科学技術の振興等、すべて科学技術の成果の社会への還元を推進するとともに、科学技術に対する国民の理解の増進及び信頼の獲得を図るという観点からまとめている。ただ、先ほど、科学技術・学術政策局のほうから話があったとおり、科学技術基本計画そのもの自身が、今、見直し作業をしており、科学技術と社会との新しい関係をどのように考えていくのかということを議論している最中なので、その結果いかんによっては、政策目標6そのものの位置づけというものも変更されていくのではないか。

  【吉川科学技術・学術政策局政策課長】
   確かに施策目標6−1、6−2、6−3というのは、それぞれ関係はあるが、やや独立しているような性格のものではあるので、ほかにうまくおさまらなかったものを、社会との関係という傘を持ってきて、その傘の中に3つの要素を入れておいたというようにも見えなくはない。科学技術と社会というテーマに関して、確固たる哲学なり思想があって、ブレークダウンしていったというタイプではなくて、塊が3つ最初からあったので、それを傘の中に入れたというような性格なのではないかと感想を持っているので、次期の基本計画等に合わせて改訂するときには、政策目標のところからおろしていって政策を立案するという目で見て、まとめていきたい。

  【室伏委員】
   藤垣委員とちょっと意見が違うが、この政策目標6を、ほかのいろいろな政策目標の中に分散させると、文部科学省が目指していることが薄まるのではないか。科学技術が国民の間であまり還元されていないというような状況が、現在の日本では大変色濃いので、それを改善するために、大きな目標として掲げておくべきではないか。

  【浅井(彰)委員】
   施策目標6の件に関して言うと、大学発の特許の問題がある。達成目標6−1−2は実施件数に関するものだが、これは、マクロに言えば、実施件数で考えないとおかしいのではないか。特許を大学が取得すると、かえって産業界での活用というのが障害になる場合すらある。しかし、あえて取得して、それを上手に活用するような大学があればお手並み拝見というものではないかと思う。取得するほうがいいと塗り込めると価値観を押しつけることになるが、これは多様な行動が、結果がよければいいわけであって、必ずしも、大学が特許を取得するということだけでもって、いい悪いを判断しない多様性が必要。だから、結局、政策評価は結果がよければいいと考えていかなければいけないので、先ほど、室伏先生のほうからあったがポスドクの問題も非常に難しく、私は最初から非常に慎重でむしろ反対の意見で1万人計画というのは非常に難しいと申していたが、こういう結果になって、もっとフレキシブルに実施中でも絶えず評価をして、そして、必要であれば変更を加えていかなければならず、この特許に関しても、同じように考えていただきたい。

  【木村研究振興局振興企画課長補佐】
   特許については、最終的な指標としては、やはり特許実施件数を判断基準にしていくのが適当だと思っている。一方で、大学の先生方において特許を取ろうというマインドがなかなか今まで育ってこなかったという側面もあって、まず、実施する前段階の、特許を取ろうというのを1つの目標として指標に定めていた。

  【藤垣委員】
   先ほどの室伏委員が私の意見とは違ってとおっしゃったが、別に政策目標6を分散しようという意図ではなく、政策目標6と4と5の関係をロジック的に明らかにしてほしいという意図であった。

  【杉山委員】
   政策目標7については、おおむね順調といったトーンだが文部省時代に立てられたスポーツ振興基本計画というものが1つの目印になって、そこへの到達点から見た数字だろうと思う。ただ、これからは、その数字、率、パーセンテージのことだけで評価するのではなく、質が問われていく。スポーツ振興基本計画で立てた施策そのものを評価するという姿勢も必要なのではないか。具体的なことで言えば、193ページに、青少年の薬を使うという問題が出ている。これは、スポーツの世界からも非常に気になるところであり、いわゆる禁止薬物の使用ということに対しては非常に深刻だが、日本のスポーツの禁止薬物に対する実情というのは非常にお寒い状況である。ぜひ、この193ページのところとスポーツの連携みたいなものができるような政策を設ける必要がある。

  【水田スポーツ・青少年局企画・体育課課長補佐】
   質的な面の検討につきましても、引き続き検討してまいりたい。それから、薬物の件については、この秋にも、ユネスコにおきまして、アンチドーピングの条約が採択される方向なので、日本政府、あるいは文部科学省においても、その条約における、国内法的な整備、あるいは対応について、これからまたさらに検討していきたい。

  【ゼッターランド委員】
   今、杉山先生がおっしゃったように、スポーツの分野に関しては、数字がすべてではないという部分もたくさんあり、目標を立てて評価するというのは難しいところだと思うが、データをもっと出してほしいというような要望が冒頭で言われていたが、せっかくとったデータがきちんと分析された上でそして目標を立てていくようでないと、ポイントがずれてしまっては、なかなか達成できないものというのも最終的には評価として出てきてしまうと思うので、必ず現場のニーズに沿った、ある程度目標、現状とかを把握した上で目標をもう一度考えて、立てていかなくてはいけない。189ページの説明図について、学校で行われる体育とかスポーツというのが、地域スポーツ等々に押されて、存在意義が問われてきているのではないか。文部科学省のほうで、学校体育のあり方とかその意義をもう一度検討されるのなら、予算をつぎ込まれているところが結局達成された目標につながっていないので、どういった部分が必要なのか、どの場所に予算を割くのが一番いいのかを、もう一度くみ取っていただきたい。以前にも、ハードとソフトの両面の充実と申し上げたが、かなりソフト面での充実度を図っているところのほうが、目標が達成されているのではないかと、説明図から感じている。

  【水田スポーツ・青少年局企画・体育課課長補佐】
   学校体育について、現在、中央教育審議会の教育課程部会のもとに置かれている健やかな体を育む教育の在り方に関する専門部会というところで、今後の学習指導要領の議論の前提となる基本的な考え方の整理を行っているので、今後もそういった中で議論を繰り返していきたい。

  【川邊委員】
   達成目標の7−4−2の指標のマニュアル作成状況であるが、これは、幼・小・中、あるいは小・中・高合わせた数なのかどうか。それから、学校安全体制整備事業が、地域ぐるみの安全対策事業をさらに発展させるような形で進められているが、ぜひ62地域の指定があれば、62地域で発表を行って、協議会をやって、多くの学校の参加を得て広げる等々の施策をぜひ強めていただきたい。それから、達成目標7−5−4は現在は184に増えたといって、想定どおり達成しているというが、180の市町村で想定どおりという目標であったのか。達成目標7−5−5でまだ未達成の市町村も多いという今後の課題の指摘があって、そして、17年度以降については、キャンペーンなどを張って、子ども読書活動推進計画を早期に策定するという方針に変わっていったわけだが、わりあい緩やかな達成の促しから、急に、そういう方針を変えたのは16年度の評価あるいは目標というのが、少し甘かったのではないか。

  【水田スポーツ・青少年局企画・体育課課長補佐】
   危機管理のマニュアルについて、これは幼・小・中・高含めてのものである。このフォローアップにつきましては、そのやり方について検討してまいりたい。それから、読書活動のほうは184で、やや想定として幅を広くとったものなので、今後、想定のとらえ方、目標の立て方について十分検討する必要がある。

  【美山委員】
   達成目標8−1−2等について、新進芸術家の海外留学制度は指標としては、累積派遣者数が挙げられているが、対応するコメントとして、「指標が順調に推移していることから・・・効果が現れているものと推測されるが」ということであり、数が増えているから効果があらわれているというのは飛躍があるのではないか。これは若手の芸術家の留学ということだと、効果の発現までに時間がかかるということがあるし、また、必ずしも目立った効果があらわれるとは限らないということもある。また、研修の効果が測定しにくいということもあって、指標をつくるのは大変困難かと思うが、一方では、この研修制度の中で、非常にすぐれた芸術家が育っているという実績もある。それが、この累積数だけだとそういうことがあらわれてこないので、例えば、少し後にアンケート調査なりをしてフォローアップすることによって、より効果の内容、性質というものが、定量的にというのは難しいかと思うが、より明確になるのではないかと思うし、また、将来どういう方向のアーティストを選定して派遣すればいいかという選定のほうにもフィードバックが可能ではないか。

  【関文化庁政策課長】
   とりあえず定量的な数値ということで、予算上の数を積み上げという形で掲げているが、この辺は、文部科学省の中でもいろいろ指摘を受けている点でもあり、今後ご指摘の趣旨等踏まえて、改善を図らせていただきたい。

  【端委員】
   文部科学省の政策評価は、設定された事業がどの程度進捗しているかということが基本になっている。そうすると、国の事業全体に及ぶ影響が強い分野は非常にはっきりと動向が出てくるが、例えば、地方自治体に支援をしてやっていくような事業になると、実際にその成果がどういうふうに地元で上がっているかどうかというのは、国としては非常に判断しにくい。例えば、地域文化振興の立場から地域教育力の活性化ということがあって、達成目標1−2−3は社会教育施設の活動ということで社会教育活性化21世紀プランというのを想定しており、ここで想定した18よりは多いので、目標は達成したということだが、そういうことを重ねて、地域の教育力が順調に進んでいると言えるのかどうかというのは、地域の実情から見ていると、非常に問題が多い。例えば、最近は財政難とか、あるいは広域合併なんかで、地域の文化施設が閉鎖・統合という場面が非常にたくさん出てきており、地域の教育力ということは一体どういうふうに判断していくのかということは、少し考えてもいいのではないか。オリンピックの選手を強化するというので、非常にはっきりナショナルプロダクツが出てくるものと、こういうふうに、地域と連動しながら成果が出てくる分野とは、少し評価のあり方を考えなければいけないのではないか。今の地域の教育力の活性化ということと関連して、文化庁では、去年調査された文化に関する国民の意識調査で、博物館とか美術館に対する国民の評価が非常に低くなっている。例えば、文化庁で、今年地域文化の活性化に関する報告書を出したが、今回の政策目標の中では、地域文化等に関する事業関係が一切出てこないので、地域文化振興というのはどういうふうに考え、それをどう評価していくのかというのは、これからの大きな課題になるのではないか。

  【西田生涯学習政策局政策課課長補佐】
   十何カ所と言ったのがそれ以上になったので、想定した以上に進捗というような形になっている部分につきましては私どもも問題意識を持っており、政策評価担当部局からも、12ページの一番下に、「モデル事業の効果が全国の同様の取組みに及ぼす効果を把握するための指標を設定することを検討すべき」というようなご意見もあるので、そういう方向で今後検討したいと思っている。

  【関文化庁政策課長】
   ご指摘のとおり、地域文化を振興するということについては、文化庁としても大変重要な分野だと考えており、地域文化で日本を元気にしようという報告書も文化審議会のほうで取りまとめをいただいたところだが、これと政策評価との関係は、適切な柱を立てて評価するという方向で、今検討中である。

  【弓削委員】
   達成目標9−1−2について、「一定の成果が上がっているが、一部については想定どおり達成できなかった」と報告されており、今後の課題としては、「一層の広報活動を行うことが必要である」と書いてあるが、これは、参加が64人にとどまった理由が何であるかによって、広報活動だけで改善される問題なのか、つまり広報活動を通じて情報が広まれば参加が増えるということなのか、それとも、それ以外の原因があって、この数にとどまっているのか。理由が何であったかということがわかれば、それについて広報活動でカバーできる部分と、もしかしたら、例えば、需要と供給のマッチングの問題だったのか、それとも、帰国後の心配であったのかということで対処の仕方が違ってくるので、原因について教えていただきたい。それに関連して、教員の青年海外協力隊に関する意識調査については、どういう条件だったら出られるのか、どういうところが心配だから出られない、などの情報があれば、教えていただきたい。それから、223ページ、帰国した青年海外協力隊による報告会を開催することは、非常にいいイニシアチブだと思う。途上国の全く条件が違う、時には、道も水道も電気もないようなところでの仕事について、実際の経験した生の声を聞くということが非常に重要なので、このようなフィードバックを行って、次に出ていく人材への情報提供と勇気づけが重要。それから、達成目標9−3−2、また、9−3−3に関連するが、大学の国際協力への取り組みというところで、ポテンシャルがあるが、実際、具体的な取り組みに至ってない大学がある。または、実際にプロジェクトを受託していないというところがある。これに関しては今後、国内外の大学、援助機関との連携を継続・拡大すると書いてあるが、実際、何が理由で、ポテンシャルはあるけれども、実際の取り組みに至ってないのか。これに関連して、同じページで受託数が18件とあるが、これに関しても、どういう種類のものであれば受託しやすいとか、どういう種類の事業、また分野では受託が多いけど、こういう部分ではあまりない、少ないというような分析に基づいて、これから改善策が出てくるのではないかと思うので、この点について教えていただきたい。最後に、達成目標9−3−4、国際機関等邦人職員による日本の大学での講義の機会の促進には国連職員も含まれているが、これはほんとうにいいイニシアチブだと思う。大学が持っている学術面と理論と、国際機関、国連の現場で実際に仕事をしている人たちの実践についての情報とか、いろいろな経験を通じて、理論と実践の組み合わせという意味では、この活動がさらに広がることを期待している。また、そういう機会があるということは、国連日本人職員が、次の世代に自分の経験を伝えるというだけでなく、日本政府のプライオリティーである国連日本人職員の増強のための活動とも一致しているので期待している。

  【南大臣官房国際課課長補佐】
   まず、JICA(ジャイカ)、現職教員の派遣について、64人という結果は原因でいうと健康面等を含めて、海外で長く生活し国際協力活動を行ううことに耐えられないと審査の結果なったわけである。それが、広報活動によって解決されるかどうかについて、参加希望教員がどんどん増えることによって、母集団として増え、海外で活躍していただける人数も増えていくと考える。フィードバックについては今後とも、このようなことを大いに活用して、事業の遂行に当たっていきたいと考えている。サポートセンターについて、これも、まだまだ把握し切れていない部分というのがあるので、このサポートセンターのネットワークシステムを充実することで、そういったポテンシャルを有する大学の情報把握、そういった面に十分努めてまいりたい。

  【天野委員】
   226ページの「諸外国との人材交流の推進」について、このアウトプット指標を見ると、受け入れる留学生の数が11万人、送り出している留学生の数、日本政府奨学金が795人というこの異常なほどのアンバランスな数字をこのまま示しておくのは、おかしいのではないか。きちんと日本から海外に行っている留学生の数を押さえる努力をしないといけない。それから、教職員の派遣についても同様で、各大学、文科省も最近は在外研究の枠を国立大学以外にも広げたわけだが、そういう数とか、外国人教員の数が日本の大学ではどうなっているのかとかをきちんととらえて、施策のアウトプットのところに反映させるべきではないか。大学はエクスチェンジプログラムをたくさんやっているし、スタディーアブロード的な活動をやっている大学もたくさん出てきているわけなので、そういうものが一切ここに反映されていないので、データのとり方を検討いただきたい。

  【古賀座長】
   大変政策評価も進化している。ぜひ各委員においては発言できなかったことにつきましては、事務局までご連絡いただきたい。

(2) 事務局より実績評価、事業評価の今後のスケジュールについて説明が行われた。

  【古賀座長】
   最後に省の方から一言。

  【近藤文部科学審議官】
   今、経済財政諮問会議からも政策評価と予算の連携も求められ、政策評価制度の見直しの検討を進めている。政策評価審議官という新しいポストもつくり、省を挙げて、しっかりとこの政策評価、取り組んでまいりたいと思っている。国民の視点に立った、成果に基づく目標の設定を行って、しっかりと政策評価を実施してまいりたい。委員の皆様方には、引き続き厳しい視点を持って、ご示唆に富んだ温かいご指導、ご助言をいただけたらと、こう思っている。本日はどうもありがとうございました。

  【古賀座長】
   それでは、これをもちまして本日の議題は終了する。

  ── 了 ──



(大臣官房政策課評価室)

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