歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(第1回) 配付資料

1.日時

平成20年7月31日(木曜日)10時30分~13時30分

2.場所

文部科学省16F特別会議室

3.出席者

(協力者)

江藤座長、中原副座長、江里口、葛西、北村、古谷野、福田(仁)、福田(康)、前田、前野、俣木、米田

(オブザーバー)

厚生労働省医政局 日だか歯科保健課長

(文部科学省)

とく永高等教育局長、戸谷審議官、新木医学教育課長、小林大学病院支援室長、樋口課長補佐、三枝課長補佐、ほか関係官

4.議事

  • (1)歯学教育の現状等について
  • (2)今後の進め方について
  • (3)その他

5.配付資料

資料1
  歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議について
(※歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議 概要等へリンク)
資料2
  審議会等の整理合理化に関する基本計画(抄)
(※医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(第1回)議事録・配付資料へリンク)
資料3
  歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議の公開について(案)
資料4
  当面のスケジュール(案)

(参考)

6.議事

  • (1)協力者会議開催に当たり、とく永高等教育局長より挨拶が行われた。
  • (2)事務局より、協力者とオブザーバー、事務局の紹介が行われた。
  • (3)推薦により江藤委員が本会議の座長に選出され、江藤座長の指名により中原委員が、副座長に選出された。
  • (4)事務局より配付資料の説明が行われた。
  • (5)江藤座長より会議の公開に関する提案があり、了承された。
  • (6)歯学教育の現状について、事務局より説明が行われ、その後、本会議の検討事項や今後の進め方等について自由討議が行われた。
    • 【発言の概要】
      • 大学院の教育をいかに充実するか。基礎研究と専門医研修とのバランスをどうとるかについて議論を深めたい。
      • 卒前の臨床実習について、卒業時の技能をしっかりと担保した上で臨床研修につなげていく必要がある。また、共用試験が定着してきたが、本来の目的を達成しているかを検証する必要がある。
      • 患者・国民の声を代弁したい。基礎資料を見ると臨床実習の実施期間に幅があり、実習の質の担保をしなければならない。歯科単独ではなく、高齢化社会で予防医療が重要になる中で医科との連携のあり方を含めた議論をしたい。
      • 共用試験の導入等により教育のソフト面での改善は進んだが、臨床研修で受け入れている大学の立場からすると大学によって臨床実習により修得している技能の差にバラツキがあり、スタートラインに差がある。共用試験、国家試験の対策に追われ臨床実習を減らす傾向にあるのが原因である。臨床実習の質の担保について議論を深めることが必要である。
      • 共用試験をみていると歯学部も充実しており、実習前の質の担保は進んでいる。ただし臨床実習が現場に近い形で行われているかというとバラツキがある。これは医学でも同様。コアカリの導入時に臨床実習の時間数を諸外国と比較したところ圧倒的に少ない状況であった。
        医学部にしろ歯学部にしろ入学者について昔は実力主義だが、最近は親の影響が強い。特に医・歯学部は、職業に直結することから職業選択の自由という点で問題である。
      • 最近入学してくる学生倫理観等、素養教育を見直す必要がある。
        参加型臨床実習やシミュレーション教育を行っている中で、モデルコアカリキュラムでも参加型臨床実習を定めているが、できていないので臨床能力の問題についても考える必要がある。
      • 歯科医師の資質の向上について、歯科医師の現状のレベルがそれほど低いのかという疑問を呈したい。また資質の向上を図るとした場合にも、どのあたりを目標とするのかを関係者に示す必要がある。
        需給問題については検討しなければならない。従来の調整方法には限界があり新たな切り口が必要である。
        大学院教育の目的は、高度な研究者、専門技術者の養成だが、技術者と研究者の養成の両立をするには、やり方をかえることも制度の見直しを含めて議論する必要があるのではないか。
      • 臨床実習の日数のバラツキがあり、研修の開始時点での差が大きく、委員カリキュラムだけではなく、臨床能力の質の担保について議論の必要がある。
        コアカリの到達目標、共用試験、国家試験、臨床研修の到達目標の整合性がとれているのか。
        学生は、学部段階で概ねの症例は経験するが、実際に診療に携わることは少ない。昔は卒後に開業医の下で腕を磨いていたが、今は研修終了後にキャリアがとぎれる。医師の場合は、後期研修を行っている病院も多く、キャリアパスが明確である。
        大学病院に臨床実習生・研修歯科医がたくさんいるので、指導する側のマンパワーが足りない。
        また、医学部附属病院と異なり、歯学部附属病院は、歯学の医育機関はとしては認知されているのが診療機関と認知されていない。
        志願倍率の低迷について、入学時の基本的資質の低下につながっているのかどうかも問題である。
      • 国家試験の合格率は70パーセント前後ときいている。養成しても3割が歯科医師にならないのは教育資源の無駄ではないか。大学が卒業させた学生の3人の1人が歯科医師になれないというのは憂慮すべきである。
        また、需給調整を国家試験でするのは不健全である。
        歯学部で論文のねつ造の報道があったらしいが、歯学部は29大学しかない状況で研究者のプレッシャーがとても高いのではないか。研究者のキャリアパスを学生に示さないと大学院に入ってこない。
      • 知識・技能はモデルコアカリキュラムや共用試験で担保されてきているが、情意教育がもう少し必要。これは歯科医師の資質が低下しているのではなく、もっと向上させる視点からである。学習の意欲を刺激するカリキュラムが必要である。
        臨床実習について見学型が多いが、その要因として病院の立地条件も関係するのではないか。患者が高度な医療を期待してくる場合には、学生が診療することは難しい。
        技能教育の充実には、国として患者の理解を求めるという視点も必要である。
      • 中国を含むアジア各国や米国では、学生の診療患者は半額になるが、日本は医療保険上無理である。また患者にも大学院に行くからには、高度な診療を受けたいという思いがあるし、また、歯科医師過剰で患者数そのものが少ない。
      • 医学部の入学が親のブランドに左右されるとの意見については、親が医師であると倫理感、技術的要素を身につけている人が多いという面もある。また患者からの要求も大きくなっている。
        日本歯科医師会では、生涯研修の重要性を打ち出しているが、学習段階でも、学習方法を教えることが必要ではないか。
        以前は6年間で教育が完結していたが、今は臨床研修を終えてもまだ学生気分が残り、自己学習能力がない。卒業時に臨床能力について自信を持てるようにする必要がある。
        大学が生涯学習の受け皿となることが必要である。歯科は研究者の道が少ない気がする。大学に戻らなかった人は開業医しか道がない。
      • 臨床実習のバラツキについては、医行為の法的根拠、患者数等の問題がある。
        また、国民の理解・協力がなければ実習はできず、患者と医療人が双方向的に診療できるようにする必要がある。
    • 【各委員より出された主な検討事項案】
      • 学部教育について
        • 倫理観の欠如、教養教育・態度教育の必要性等により、質を高めるという観点が必要。
      • 共用試験について
        • OSCE等で臨床実習開始前の技能を担保する必要があるが、本来の目的が達成されているか疑問。
      • 大学院教育について
        • 臨床研修と大学院教育のバランスが重要。
        • 臨床系大学院の他、研究者養成、指導者養成を目的とした大学院について検討が必要。
      • 臨床実習の充実について
        • 臨床実習時間数が圧倒的に少ない。
        • 6年次の臨床実習の日数に各大学でバラツキがあることについて。
        • 卒業時の臨床能力を如何に担保するか。
      • 臨床研修について
        • 研修医のレベルにバラツキ。
        • 指導体制のマンパワー不足。
      • 大学病院(歯学部)
        • 医育機関としては認知されているが、医療機関としては疑問。
        • 病院の立地条件により、臨床実習向きか臨床研修向きかが左右される。
        • 患者数の確保が重要。
      • 医歯の連携について
        • むしろ現場の方が進んでいるのに、大学がついていっていないのではないか。
      • 歯科医師需給問題
        • 入学定員の増減で需給調整を行うというのは限界。かといって、国家試験の合否で需給調整するのはきわめて不健全。
        • これについては本会議で直接議論すべき問題か検討が必要。
      • 卒前教育と卒後教育の継続性について
  • (7)事務局より次回の会議日程案について8月下旬から9月上旬の間で開催したい旨、説明がされた。

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