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大学・短期大学における看護学教育の充実に関する調査協力者会議(第5回)議事要旨

1. 日時
平成19年3月27日(火曜日)10時〜12時

2. 場所
文部科学省 M7会議室(三菱ビル地下1階)

3. 出席者
(協力者)
平山、石垣、井上、今関、小西、新道、中山、戸田、菱沼、森の各委員
(オブザーバー)
厚生労働省医政局看護課 野村課長、小野看護職員確保対策官
(文部科学省)
三浦医学教育課長、山腰医学教育課課長補佐、和住看護教育専門官、吉川大学病院支援室専門職

4. 議事等
(1) 事務局より、協力者の出欠状況の報告が行われた。

(2) 事務局より、第4回議事要旨(案)について説明があった。第3回議事要旨(案)については、各委員から特段の意見がなく承認され、近日中に文部科学省ホームページにて公表する旨報告された。

(3) 厚生労働省「看護基礎教育の充実に関する検討会」報告書(案)に盛り込まれる保健師助産師看護師学校養成所指定規則別表の改正案について、厚生労働省より説明が行われた。

(4) 「大学・短期大学の教育課程変更に必要な準備期間について」の討議を行い、概ね次のような発言があった。

改正指定規則の基準以上の教育を既に行っている大学・短期大学も相当数あり、実質的な教育課程の変更は不要かもしれない。しかし、改正の趣旨に沿って、全大学・短期大学が教育課程の見直しを行うことにより、今回の指定規則の改正を、看護学教育を更に充実させていく機会とすべきではないか。

教育課程の改訂は大学・短期大学運営上の重要事項であり、学内での充分な合意形成と意思決定の時間が必要である。

学生募集要項に教育課程を掲載するため、各大学・短期大学では、改正指定規則施行年度の1年前までに、教育課程の改訂を終えている必要がある。

平成20年度入学生向けの募集要項は、現時点ですでに作成を終えており、改正指定規則を平成20年4月から施行することは、実質的に困難である。

既に起こっている課題に対応するために指定規則を改正するのであるから、改正から施行まであまり期間が開くことは望ましくない。各大学・短期大学ができるだけ努力して、原則として平成21年4月施行を目指すのがよいのではないか。

平成21年4月施行を目指すとなると、省令改正を待って準備を始めたのでは間に合わない。少なくとも、改正案が固まった段階で、各大学・短期大学に対し、文部科学省から情報提供をすべきである。

今回の指定規則改正に伴う教育課程変更は、臨地実習の変更を伴うと考えられるが、臨地実習は実習施設側の承諾が必要である。実習施設側との調整にかかる期間を考えると、平成21年4月施行は厳しいのではないか。

各大学・短期大学が一斉に実習施設側との調整を始めた場合、特に保健所・市町村・訪問看護ステーションなど地域の現場が混乱する恐れがある。実習施設側への周知となんらかの調整が必要なのではないか。

新規科目を開設したり、実習施設を増やしたりすれば、それに必要な教員の採用など、予算措置が必要となる。予算折衝のための準備期間も考慮する必要がある。

実習施設や指導教員の確保の問題は、施行時期を1年遅らせたところで、解決する問題ではない。原則として平成21年4月施行とするのがよいのではないか。

大学の場合、別表1、3もしくは別表1、2、3の教育内容を統合し一つの教育課程を編成しているため、教育課程変更にかかる準備に、より多くの期間が必要ではないか。

文部科学省「看護学教育の在り方に関する検討会報告」(平成14年,16年)に基づいて、大規模な教育課程改訂に着手している大学が相当数ある。これらの大学では、より多くの準備期間が必要なのではないか。

今回の指定規則改正を機に、大規模な教育課程改訂に取り組もうとする大学も出てくると思われるが、大規模な改訂のためには、より多くの準備期間が必要なのではないか。

新設大学では、学年進行中に教育課程を変更しなければならなくなる。これは、新たに教育を立ち上げようとしている教員にとって大変な負担である。一律に平成21年4月施行とするのではなく、段階的導入などの柔軟な対応も必要ではないか。

できるだけ早い時期に各大学・短期大学の実情を調査し、個別の状況を考慮しながら、段階的導入を認めるようにすべきである。

(5) 「調査研究報告のとりまとめについて」の討議を行い、概ね次のような発言があった。

今回の指定規則改正の趣旨は、看護実践能力を強化することであるから、本会議の調査研究報告は、是非そのような観点からとりまとめ、各大学・短期大学が、時代のニーズに即した高等教育としての看護実践能力の育成を目指した教育課程の改訂に取り組むことができるようにする必要がある。

改正案で新たに追加が提案された事項については、教育内容として受け止め、各大学・短期大学が、一定の単位数を確保して教育すべきであることを強調したい。

改正案別表では、臨地実習の具体的な方法を規定するような記述があるが、その趣旨は、学生に総合的なアセスメント能力を身につけさせることである。報告書では、各大学・短期大学がこのことを理解できるような記述を盛り込みたい。

総合的なアセスメント能力を身につけることは、別表1、3もしくは別表1、2、3の教育内容を統合し一つの教育課程を編成している大学教育のメリットである。報告書では、このことを強調したい。

指定規則改正案では臨地実習の単位数が増えているが、臨地実習を充実させる上で重要なことは、学生が体験した現場の実態の断片を、意味のある学習として統合させる教員の力量である。報告書では、是非そのことを強調したい。

指定規則改正案別表3では、「専門分野12」「統合分野」のように、各教育内容が分野ごとに分けられているが、これに沿って科目の配当年次を決める必要はない。学習の順序性については、各大学・短期大学が独自に判断して教育課程を編成すべきであることを強調したい。

看護実践能力を高めることが、今回の指定規則改正の趣旨であるから、教育課程の見直しに併せ、大学・短期大学で教育されている看護基本技術と実践の現場で使われている看護技術との乖離がないかどうか見直すことを提案したい。その際は、看護基本技術修得の前提となる、看護学生の基本的な生活能力も加味する必要がある。

指定規則改正の趣旨は、看護実践能力を強化することであり、各大学・短期大学は実習施設を拡大すると考えられるが、看護実践能力を強化するためには、実習施設を学習環境として相応しいものに整備していくことにもう少し力を注ぐ必要があることを、強調したい。

大学・短期大学の教員は、実習施設に出向いて学生の実習指導をするだけではなく、実習指導を含むさまざまな実習施設とのかかわりの中で、地域の看護実践の質向上に貢献する、という社会的役割を果たすべきであることを強調したい。

看護を志し入学してきた学生の成長ニーズに応えることも、大学の重要な社会貢献である。入学時点での学生の成熟度や生活体験は、非常に変化してきているので、教育課程を見直す際には、そのような観点も必要であることを、報告書に盛り込みたい。

教員側が少し視点を転換すれば、学習の順序や実習の組み立て方など、既成の在り方にとらわれずに、卒業時の看護実践能力を保証していくためのさまざまな教育方法を開発していくことができると思う。報告書には、各大学・短期大学でさまざまな工夫ができるよう、多様なアイデアを盛り込みたい。

大学では、一般に80名〜100名を対象に教育しているが、大人数教育の工夫やアイデアの蓄積が少ないように思う。看護実践能力を強化するためには、大人数の教育をいかに効果的・効率的に行うか、という視点も必要なのではないか。

(6) 座長より、本日までの議論を踏まえ、事務局と調整の上調査研究報告(案)を作成して事前に各委員に送り、次回会議で最終とりまとめを行いたいと提案があり、全員一致で了承した。

(高等教育局医学教育課)


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