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「調査研究事項(1)に関するこれまでの意見の整理(案)」に記述された指定規則に関する大学・短期大学教育側の基本的見解については、概ね合意できる。
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「調査研究事項(1)に関するこれまでの意見の整理(案)」では、大学・短期に共通の内容、大学に固有の内容、短期大学に固有の内容がまだ十分に整理されていない。この点については、今後整理の上、加筆すべきである。
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改正案の提案を、教育方法ではなく教育内容として受け止める、ということが、大学・短期大学教育側の基本的な立場であるので、提案された教育内容が実際の教育の中で担保されるよう、この会議から、各大学・短期大学の教育担当者に提言していく必要があるのではないか。
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今回の改正の趣旨を踏まえると、指定規則の改正案の統合科目(臨地実習)は、病院の急性期病棟だけでなく、在宅療養の支援などより多様な場での実習が可能であると思われる。実施方法については、各大学の裁量に任せることとし、どのような教育内容を盛り込むかについては、この会議からもある程度提言していく必要があるのではないか。
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改正案で新たに追加が提案されている「災害看護学」については、既存の枠組みの中で教育しようとしても対応できない内容が含まれている。各大学・短期大学が「災害看護学」を、カリキュラム上どのように位置づけるかは、検討を要する課題となるのではないか。
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指定規則に規定される総単位数を増やすことなく、教育改善を進めるためには、この会議において、統合カリキュラムの利点を強調すべきである。
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統合カリキュラムで育った世代が、すでに教員となり、大学教育に携わり、教育上よい効果を上げている。このことが、大学における教育力の基盤となっていることを強調すべきではないか。
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別表1の地域看護学と、別表3の在宅看護論は、統合して教えることによって、効率的な教育ができる典型的な教育内容であるが、指定規則に規定される教育内容をどのように統合して教えるかは、各大学がそれぞれに判断すべきことであり、その考え方を統一すべきではない。
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日本看護系大学協議会看護実践能力検討委員会の平成18年度の調査によれば、各大学は、看護実践能力の卒業時到達目標の達成のために、かなり教育改善を進めている。教育改善は、講義・演習・実習の組み合わせで全体的に行われているので、臨地実習のみを取り上げて評価すべきではない。
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各大学の教育改善の取り組みはかなり進んでいるが、教えたことが学生側にどの程度浸透しているかについての評価や、統合カリキュラムで育った4年制大学卒業の看護職者についての体系的な評価は、まだ十分に行われているとはいえない。
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改正案では、新たな教育内容を追加すれば教育は充実する、という前提に立っているようであるが、新たな教育内容を追加することが本当によい成果につながっているのかについては、慎重に評価していかなければならない。
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各大学が、改正案に基づいてカリキュラムを編成する際には、どのような教育内容を強化することが、看護専門職者としての基礎的能力の強化につながるのか、について、教員間で合意しながら、カリキュラム編成を進めていくことができるよう、促していく必要がある。
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改正案では、別表1の臨地実習が、現行の3単位から6単位に倍増されているが、実習受け入れ側の状況から考えて、保健所・市町村の実習をこれ以上増やすことは不可能である。
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高度な教育を実施したい、という意図は理解できるが、別表1改正案の臨地実習6単位という提案は、保健師免許取得後に現場で身につける能力と基礎教育で身につける能力との混同があるのではないか。基礎教育で身につける能力に限定すれば、現行の3単位で十分教育可能である。
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統合カリキュラムによる教育の意義は、保健・医療・福祉のあらゆる場において、看護を必要としている人々への支援を行うことのできる基本的な看護実践能力を育成するところにある。そのためには、病棟や保健所・市町村に限らず、外来、学校、事業所などに臨地実習の場を広げ、実践能力を育成する機会を増やしていくことが大切である。
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保健所・市町村の実習受け入れ施設の確保は、現在、大学側の自助努力に委ねられているが、実習の場の規定を指定規則に明記するのであれば、そのような学びの場が学生に保証されるよう、行政側からも、保健所・市町村に積極的に働きかけるべきである。
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臨地実習では、学生が実際に看護を体験できる機会が大幅に減り、見学やシミュレーター中心の実習になっている。この状況を改善しないまま、実習時間を増やしても、教育効果は上がらないことを関係者はよく理解すべきである。 |