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参考資料1

高等教育の国際的な展開に係る質保証について

1.我が国の現行制度
(1)我が国の大学の海外展開について
   我が国の現行の学校教育制度は、属地主義的な考え方に基づき、我が国の大学が外国において高等教育を提供し、学位を授与することを想定していない。例えば、我が国の学校法人が外国において、当該国の法令等に基づき、キャンパス等を設置して教育を提供し、学位を授与した場合、あくまで当該外国の教育施設・学位であり、我が国の大学・学位とはみなされない。したがって、そうした海外の教育施設には、我が国の政府や大学評価機関等による質保証は及ばない。

(2)外国の大学の日本校等について
   同様に属地主義的な考え方に基づき、我が国の領域内においては、外国の大学の日本校等は、我が国の教育法制に基づく我が国の大学としての認可を受けない限り、大学とみなされない。この場合も、認可を受けなければ、我が国の政府や大学評価機関等による質保証は及ばない。

2.国際的な状況
   他方、高等教育の国境を越えた提供の進展への諸外国の対応を見ると、自国の大学の海外展開について国際競争力等の観点から質保証の対象としたり、自国内に進出する外国の大学について消費者保護等の観点から質保証の措置を講じた上で外国高等教育機関として受け入れるなど、一貫して属地主義的な考え方だけを採ることが必ずしも一般的とは言えない状況が見られる。

(1)英国及び豪州の例
   例えば、米国と共に高等教育の三大輸出国と言われる英国及び豪州は、自国の大学が外国において分校や現地教育機関との提携等によって教育を提供し学位を授与することを規制しておらず(別紙1)、自国大学ブランドの競争力にとって質保証が重要との認識の下に、外国における教育の提供についても自国の大学としての質保証の対象とみなし、大学自身による質保証の責任に加えて自国の質保証機関(評価機関)による質監査(評価)の対象としている(別紙2)。
   逆に、自国に進出する外国の大学について、豪州は、外国高等教育機関というカテゴリーを設けて州政府の認可にかからしめることとしている(別紙3)。英国は、外国の大学が希望すれば学位の認定や質監査(評価)の対象とし得ることとする一方、英国が学位の認定等の質保証に責任を負わない英国の教育制度の枠外の存在として活動することも許容している(別紙2)。

(2)東(南)アジアの例
   また、これら輸出国の大学が多数進出している東(南)アジア諸国は、先進国の大学のブランドが学生にとって魅力となっており、公財政負担の増大を抑えつつ高等教育の拡大・高度化を図りたい当局の政策意図もあって、外国の大学が分校や現地教育機関との提携等によって高等教育を提供し、当該外国大学の学位(場合によっては二重学位)を授与することを認めている。
   例えば、マレーシアの場合、外国の大学の進出を受け入れるに当たり、当該大学の出自国の教育制度において高等教育機関としての認可・アクレディテーション等を受けていることを要件とした上で、マレーシアの法制上の私立高等教育機関として自国当局による事前のアクレディテーション(認可)を義務付けており、二重の質保証システムが採られている。こうして受け入れられた外国の大学は、当該外国大学の学位を授与することが認められている。




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