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参考資料1−3

研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)に基づく体制整備等の実施状況報告書の提出について(通知)

19文科科第340号
平成19年5月31日

関係各研究機関代表者 殿

文部科学省科学技術・学術政策局長
森口 泰孝

(印影印刷)

 研究費の不正な使用は、それを起こした職員が所属する機関にとって重大な問題であるばかりではなく、国民の税金を原資とする科学技術振興体制への信頼を揺るがす問題であります。
 当省としても、本件の重要性に鑑み、平成18年9月4日付け18文科科第420号の文部科学省科学技術・学術政策局長通知「研究費の不正な使用への対応について」や、平成19年2月15日付け18文科科第829号の同局長通知「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」(以下、「ガイドライン」という。)等を各研究機関に対して通知するなど、研究費の不正な使用に対する体制整備等を求めてきたところです。

 ガイドラインでは、各研究機関がガイドラインに基づく体制整備等に速やかに着手し、実現可能なものから実施に移した上で、平成20年度の競争的資金等に係る申請時点から取り組み状況についての報告を当省に提出していただくことを求めております。
 報告書の様式等については改めて通知することを予定していますが、ガイドラインにおける「各機関に実施を要請する事項(以下「要請事項という。」)」のうち、最初の報告の段階において実施していることが必須である最低限の事項(以下「必須事項という。」)等を下記のとおりお知らせします。
 この必須事項への対応が不適切・不十分である場合は、取組状況に特に問題があるとして取り扱うこととなります。また、各研究機関におかれましては、この必須事項以外の要請事項も含め、ガイドラインの趣旨を踏まえ、適正かつ効率的な研究費の管理・監査が行える体制の構築・運営にご尽力いただきますようよろしくお願いします。

1. 必須事項
1 必須事項とは別添の表中の左欄に(注)の付されたものについてとします。
2 必須事項の実施に当たっては、これらの内容を含め貴機関における競争的資金等の使用に関するルール等について、全ての研究者及び事務職員に分かりやすい形で周知するなどして理解の徹底を図っていただきますようお願いします。
3 必須事項への対応が不適切・不十分である場合は、取組状況に特に問題があるとして取り扱い、問題が解消されないと判断される場合には、文部科学省又は文部科学省が所管する独立行政法人からの競争的資金等の配分が停止されるなどの措置が講じられることがあります。(なお、必須事項以外の項目についても、報告内容の確認の上、問題点があると認める場合があります。)

2. 報告の対象
 ガイドラインの第1節から第6節の(全機関に実施を要請する事項)のすべてについての実施状況及び今後の予定。(各項目に係る(実施上の留意事項)に該当することがらを含む。)

3. 報告の期限
1 以下のa又はbに該当する機関については、平成19年11月中(具体的な当省への到達期限の日は、報告書の様式等と併せて改めて通知します。)
a   平成19年度において文部科学省又は文部科学省が所管する独立行政法人から競争的資金等(ガイドラインの別紙に示した制度)を受けて、その管理を行っている機関のうち、平成20年度も継続して資金配分を受けて、その管理を行うこととなる機関。
b 平成20年度の科学研究費補助金に応募する研究者の所属機関。
2 なお、上記a−bに該当しない機関であって、科学研究費補助金以外の競争的資金等を受けて新たに研究を実施する研究機関については、別途通知します。

4. 報告先
 文部科学省科学技術・学術政策局 調査調整課

(お問い合わせ先)
文部科学省科学技術・学術政策局 調査調整課
電話: 03-6734-4014
FAX: 03-6734-4175
E-mail kenkyuhi@mext.go.jp
(可能な限り、問い合わせはE-mailでお願いします)



別添

(注)は平成19年11月の報告書提出までに最低限実施を要請する事項。

全機関に実施を要請する事項
 
第1節  機関内の責任体系の明確化
(注)
1  機関全体を統括し、競争的資金等の運営・管理について最終責任を負う者(以下、「最高管理責任者」という。)を定め、その職名を公開する。最高管理責任者は、原則として、機関の長が当たるものとする。
(注)
2  最高管理責任者を補佐し、競争的資金等の運営・管理について機関全体を統括する実質的な責任と権限を持つ者(以下、「統括管理責任者」という。)を定め、その職名を公開する。
(注)
(注1)
3  機関内の各部局等(例えば、大学の学部、附属の研究所等、一定の独立した事務機能を備えた組織)における競争的資金等の運営・管理について実質的な責任と権限を持つ者(以下、「部局責任者」という。)を定め、その職名を公開する。
(注)
4  最高管理責任者は、統括管理責任者及び部局責任者が責任を持って競争的資金等の運営・管理が行えるよう、適切にリーダーシップを発揮しなければならない。
 
第2節  適正な運営・管理の基盤となる環境の整備
 
(1) ルールの明確化・統一化
  競争的資金等に係る事務処理手続きに関するルールについて、以下の観点から見直しを行い、明確かつ統一的な運用を図る。
 
1  すべての研究者及び事務職員にとって分かりやすいようにルールを明確に定め、ルールと運用の実態が乖離していないか、適切なチェック体制が保持できるか等の観点から常に見直しを行う。
 
2  機関としてルールの統一を図る。ただし、研究分野の特性の違い等、合理的な理由がある場合には、機関全体として検討の上、複数の類型を設けることも可能とする。また、ルールの解釈についても部局間で統一的運用を図る。
 
3  ルールの全体像を体系化し、すべての研究者及び事務職員に分かりやすい形で周知する。
(注)
4  事務処理手続きに関する機関内外からの相談を受け付ける窓口を設置し、効率的な研究遂行を適切に支援する仕組みを設ける。
 
(2) 職務権限の明確化
 
1  競争的資金等の事務処理に関する研究者と事務職員の権限と責任について、機関内で合意を形成し、明確に定めて理解を共有する。
 
2  業務の分担の実態と職務分掌規程の間に乖離が生じないよう適切な職務分掌を定める。
 
3  各段階の関係者の職務権限を明確化する。
 
4  職務権限に応じた明確な決裁手続きを定める。
 
(3) 関係者の意識向上
 
1  研究者個人の発意で提案され採択された研究課題であっても、研究費は公的資金によるものであり、機関による管理が必要であるという原則とその精神を研究者に浸透させる。
 
2  事務職員は専門的能力をもって公的資金の適正な執行を確保しつつ、効率的な研究遂行を目指した事務を担う立場にあるとの認識を機関内に浸透させる。
 
3  研究者及び事務職員の行動規範を策定する。
 
(4) 調査及び懲戒に関する規程の整備及び運用の透明化
 
1  不正に係る調査の手続き等を明確に示した規程等を定める。
 
2  不正に係る調査に関する規程等の運用については、公正であり、かつ透明性の高い仕組みを構築する。
 
3  懲戒の種類及びその適用に必要な手続き等を明確に示した規程等を定める。
 
第3節  不正を発生させる要因の把握と不正防止計画の策定・実施
 
(1) 不正を発生させる要因の把握と不正防止計画の策定
 
1  不正を発生させる要因がどこにどのような形であるのか、機関全体の状況を体系的に整理し評価する。
 
2  不正を発生させる要因に対応する具体的な不正防止計画を策定する。
 
(2) 不正防止計画の実施
(注)
1  研究機関全体の観点から不正防止計画の推進を担当する者又は部署(以下、「防止計画推進部署」という。)を置く。
 
2  最高管理責任者が率先して対応することを機関内外に表明するとともに、自ら不正防止計画の進捗管理に努めるものとする。
 
第4節  研究費の適正な運営・管理活動
 
1  予算の執行状況を検証し、実態と合ったものになっているか確認する。予算執行が当初計画に比較して著しく遅れている場合は、研究計画の遂行に問題がないか確認し、問題があれば改善策を講じる。
 
2  発注段階で支出財源の特定を行い、予算執行の状況を遅滞なく把握できるようにする。
 
3  不正な取引は研究者と業者の関係が緊密な状況で発生しがちであることにかんがみ、癒着を防止する対策を講じる。
(注)
4  発注・検収業務について当事者以外によるチェックが有効に機能するシステムを構築・運営する。
 
5  納品検収及び非常勤雇用者の勤務状況確認等の研究費管理体制の整備について、機関の取り組み方針として明確に定める。
(注)
6  不正な取引に関与した業者への取引停止等の処分方針を機関として定める。
 
7  研究者の出張計画の実行状況等を部局等の事務で把握できる体制とする。
 
第5節  情報の伝達を確保する体制の確立
(注)
1  競争的資金等の使用に関するルール等について、機関内外からの相談を受け付ける窓口を設置する。
(注)
2  機関内外からの通報(告発)の窓口を設置する。
(注)
3  不正に係る情報が、最高管理責任者に適切に伝わる体制を構築する。
 
4  研究者及び事務職員が機関の定めている行動規範や競争的資金等のルールをどの程度理解しているか確認する。
 
5  競争的資金等の不正への取り組みに関する機関の方針及び意思決定手続きを外部に公表する。
 
第6節  モニタリングの在り方
(注)
1  競争的資金等の適正な管理のため、機関全体の視点からモニタリング及び監査制度を整備する。
 
2  内部監査部門は、会計書類の形式的要件等の財務情報に対するチェックのほか、体制の不備の検証も行う。
 
3  内部監査部門は第3節(2)の防止計画推進部署との連携を強化し、不正発生要因に応じた内部監査を実施する。
 
4  内部監査部門を最高管理責任者の直轄的な組織として位置付け、必要な権限を付与する。
 
5  内部監査部門と監事及び会計監査人との連携を強化する。

(注1) 部局責任者が必要と機関が判断した場合。


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