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追加資料 日乗連・客乗連


日本乗員組合連絡会議(日乗連)・Air line Pilots’Association of Japan(ALPAJapan
 日本国内のいわゆる大手航空会社(日本航空、全日空)並びにそれらの系列会社である航空会社(日本トランスオーシヤン航空、エアーニッポン、日本エアコミューター、ジャルエクスプレス、琉球エアーコミューター、オリエンタルエアブリッジ、エアー北海道、北海道エアシステム、エアーニッポンネットワーク、ジェイエア)の、機長、副操縦士、航空機関土などで構成する17の乗員組合・団体で組織される連絡会議です。
 また、93カ国10万人の定期航空操縦士で構成されるIFALPA(国際定期航空操縦士協会連合会:本部ロンドン)に加盟しております。
 2003年時点で、会員数は約5,400名(日本の全乗員の95%)、IFALPAでは世界第4位の構成員数です。
 活動目的は「航空機運航の安全性向上と民間航空輸送産業の健全で安定した発達、並びに航空機乗務員を中心とする民間航空労働者の雇用、労働条件、権利の安定と向上」です。

客室乗務員連絡会(客乗連)
 航空労組連絡会(=民間航空で働く、パイロット、客室乗務員、整備士、地上職など54組合1万3千名で構成する団体)に所属する客室乗務員で組織する団体です。
航空労組連絡会の活動目的は「民間航空の安全と公共性の向上と民間航空労働者の雇用、労働条件の安定と向上」で、客室乗務員連絡会はその専門部として活動しています。

2004年9月14日


航空機乗務員の宇宙線による年間被ばく量の試算等

以下に、航空機乗務員の宇宙線の年間被ばく量を試算してみます。

「原子放射線の影響に関する国連科学委員会の総会に対する2000年報告書:放射線の線源と影響」の付属書に以下の記述があります。

付属書B:自然放射線源からの被ばく

1 宇宙放射線

2. 航空機高度での被ばく

37. 最近の測定結果と計算結果は、ほぼ一致している。中緯度の高度9〜12キロメートルにおける実効線量率は5〜8マイクロシーベルト毎時であり、欧州から米国に向かって大西洋を横断する場合は30〜45マイクロシーベルトとなる。赤道域の線量率は低く、2〜4マイクロシーベルト毎時である。

 宇宙線は高度と共に増加します。上記報告書では高度9〜12キロメートル(30000〜39000フィート)での線量率が示されていますが、この高度域は正にジェット旅客機の常用巡航高度です。
 航空機乗務員の搭乗時間(飛行時間プラス便乗時間注))は航空会社、職種、路線などによって異なりますが、年間800時間前後と推定されます。ただし、この搭乗時間には地上滑走の時間も含まれます。また、航空機は上昇降下に時間を要します。上昇降下の時間は、巡航中に比較してあまり宇宙線を浴びないと考えられます。そこで、それを考慮し、地上滑走と上昇降下の時間(航空機が3万フィート以下にある時間)を搭乗時間から減じて、乗務員の年間の宇宙線被ばく量を試算してみます。一回のフライトにおける地上滑走の時間は、15分程度です。また、上昇降下の時間は、航空機の種類や重量などにもよりますが、通常、それぞれ20分前後です。実際には、これらの時間の搭乗時間に占める割合は幾つかの条件によって複雑です。ここでは、仮に、その割合を国内線の場合50%、国際線の場合10%と見積もり、全体ではその中間値を取って30%とします。この条件で、試算すると・・・
年間の宇宙線被ばく量は:
800時間かける0.7かける5〜8マイクロシーベルト毎時イコール2800〜4480マイクロシーベルトイコール2.8〜4.48ミリシーベルトとなります。

 上記値は中緯度の線量率で試算しましたが、日本保健物理学会の「人為的に高められた環境放射線専門研究会報告」(2003年1月)には以下のような記述があります。
「高緯度(55度以北)を通過する航空便では10マイクロシーベルト毎時以上になる場合があり、・・・」。
 日本発の北米および欧州への飛行は、ほとんどがこの高緯度に該当します。そして、日本発の国際線の北米および欧州に占める割合は高く、また、その飛行時間は他の国際線に比較して長くなっています。従って、被ばくが上記試算を上回るケースも十分に考えられます。
 現に、前述の保健物理学会の報告書では、「例えば、ブリティッシュ・エアウェイズの場合、ロンドン−日本(大阪もしくは東京)路線の乗員の60%は年間積算線量が6ミリシーベルト以上である。・・・さらに米国では、ニューヨーク−東京路線に950時間搭乗した場合、7ミリシーベルト毎年になると評価している」と述べています。


注) 便乗時間:乗務開始地への移動または、乗務後の基地への帰着のため、乗客として飛行機に搭乗すること。「便乗」は「Dead head」とも呼ぶ宇宙線被ばくと致死的な癌の発生についての試算


宇宙線被ばくと致死的な癌の発生についての試算

以下に、航空機乗務員の生涯の宇宙線被ばく量を推定し、その値に基づく致死的な癌の発生確率を試算してみます。

 別紙「航空機乗務員の宇宙線による年間被ばく量の試算等」に示した通り、乗務員の年間の宇宙線被ばく量は「2.8〜4.48ミリシーベルト」と試算できます。そこで、この値の中間値(3.7ミリシーベルト毎年)をとり、そして乗務期間を35年(25歳から60歳まで)として、乗務員の生涯における宇宙線被ばく量を推定すると・・・

生涯の宇宙線被ばく量は:
3.7ミリシーベルト毎年かける35年  ニアリーイコール  130ミリシーベルト  イコール  0.13シーベルト となります。

これは、原子力発電所で働く放射線業務従事者の年平均被ばく量の約100分に相当します。

 国際放射線防護委員会(ICRP)1990年勧告の「放射線防護の生物学的測面」の「組織荷重係数」の項目に「組織・臓器別名目確率係数」という表が記載されています。この中にある「作業者集団」における「致死的癌の確率(合計)」は「4かける10のマイナス2乗シーベルトあたり」です。

 現在、日本には約6000名の運航乗務員(パイロット、航空機関土など)がいます。上記試算やICRPデータを踏まえ、この内何人が将来致死的な癌になるかを計算すると‥・

6000かける0.13シーベルトかける4かける10のマイナス2乗シーベルトあたりイコール 31.2(名) となります。

運航乗務員6000名のうち30名以上が宇宙線によって致死的な癌になると試算できます。



宇宙線についての他国の状況

アリタリア航空(イタリア)のOperations Manual(OM注))に以下の記述があります。

OPERATING PROCEDURES Flight Preparation Instructions
 Duties of Flight Dispatcher in flightplanning
FlightPlanning
・・・・
NOTE3:Solar storms of S5 class imply the cancellation of flights.
Solar storms of S4 class imply the maximum cruise flight altitude to be limited.

注) OM(運航規定):航空会社において航空機の運航に関する基本事項を定めたマニュアル。
 航空会社は法律によってこの規定の設定と遵守の義務を負い、違反には罰則を伴う。

その他、以下の資料あり。
放射線従事者中央登録センターのホームページより 「放射線業務従事者数と平均線量の推移」
放射線影響協会のホームページより 「被ばく線量の実際」
放射線影響研究所のホームページより 「原爆被爆者における癌リスク」



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