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4  各省庁の著作権法改正要望及び関係者間で協議中の事項




第1章  法制問題小委員会における審議の経過

1  検討の内容

  法制問題小委員会は,「法律ルール」の整備について検討するため設置された。
  「法律ルール」の整備について,「知的財産戦略大綱」及び「知的財産基本法」には,それぞれ次のような記述がある。

【知的財産戦略大綱】
(デジタル・コンテンツの保護)
  著作権制度については,インターネット等の普及を踏まえた保護の在り方を検討すべきである。デジタル情報は,今後,極めて重要な財産となるが,その最大の特色は,複製・改変が極めて容易かつ安価にできることである。コンピュータ・プログラム,音楽,映画,放送番組,アニメーション等のデジタル情報が強力に保護されなければ,デジタル・コンテンツ産業は成立しない。

(バランスの確保)
  知的財産法は情報の独占的利用を認める制度であるが,その保護があまりに過度となった場合には,学問・研究の自由,表現の自由などといった現代社会が有している基本的価値と抵触する可能性がある。知的財産制度の整備に当たっては,これらの基本的価値に留意しつつ,バランスのとれた制度を目指さなければならない。

(放送事業者・実演家の権利拡充)
  国際的にも条約の検討が進められている,放送事業者の権利の拡充(既に放送された番組の二次利用に係る権利の拡充)や,実演家の権利の拡充(動画コンテンツに録画された俳優の演技等に係る権利の拡充)など,ネットワーク上での著作権の保護強化について検討を行い,遅くとも条約採択後に所要の措置をとる。
(見出しは本小委員会において付加)

【知的財産基本法】
(新分野における知的財産の保護等)
  第 十八条  (略)
  2   国は,インターネットの普及その他社会経済情勢の変化に伴う知的財産の利用方法の多様化に的確に対応した知的財産権の適正な保護が図られるよう,権利の内容の見直し,事業者の技術的保護手段の開発及び利用に対する支援その他必要な施策を講ずるものとする。

(競争促進への配慮)
  第 十条  知的財産の保護及び活用に関する施策を推進するに当たっては,その公正な利用及び公共の利益の確保に留意するとともに,公正かつ自由な競争の促進が図られるよう配慮するものとする。

  法制問題小委員会では,これらに示された政府全体の方針について必要な施策の検討を行うこととし,具体的には次のような事項について検討を行った。

【検討事項】
○著作権法制全般に関する事項
    ● 著作権法の単純化(「権利制限規定」全体の在り方を含む)
    ● 「アクセス権」の創設又は実質的保護

○個別の権利の在り方に関する事項
    ● 保護期間の延長
    ● 「私的使用のための複製」によるオリジナルの中古市場への流出への対応
    ● 「私的録音録画補償金」の見直し

○権利制限の見直しに関する事項
    ● 教育関係の権利制限の見直し
    ● 図書館関係の権利制限の見直し
    ● 「拡大教科書」作成に係る権利制限の見直し

○その他の検討事項
    ● 各省庁の著作権法改正要望
    ● 関係者間で協議中の事項


2  検討の結果

  法制問題小委員会は,平成14年6月17日に第1回を開催し,8回にわたり検討を行った。平成14年度における検討の結果は,次のとおりである。

1     著作権法制全般に関する事項

  我が国の著作権法は,昭和45年の制定以来,経済,社会,技術等の変化に対応しつつ必要な改正を行ってきたが,これらは種々の新しい著作物・利用形態の出現等に対応して個別に行われてきたものであって,従来の制度の基本的な部分を見直す必要もあるのではないか,という指摘もある。
  このため,平成13年度の総括小委員会においては,そのような見直しが実際に必要であるかどうかも含め,著作権法制に関する基本的な課題について,改めて整理・検討を行った。
  これを受けて,本年度の法制問題小委員会では,そうした基本的課題のうち,「著作権法の単純化」に関する課題(「権利制限規定全体の在り方」を含む。)及び「『アクセス権』の創設又は実質的保護」について検討を行った。

(1) 著作権法の単純化

  近年,パソコンやインターネットの普及など,「情報化」の進展に伴う創作手段・利用手段の急速な普及により,著作権に関する知識や適切な契約の習慣は,全ての国民にとって必要不可欠のものとなってきており,著作権法そのものについても,できる限りわかりやすいものとすることが極めて重要になってきている。
  このような状況に鑑み,例えば次のような諸側面について,必要な場合には協議・調整や条件整備を行いつつ,できるところから著作権法の単純化に着手していくとともに,今後ともこの課題について引き続き検討していくことが適当である。
  なお,「『契約』に関する規定の見直し」については,契約・流通小委員会においても検討が行われているため,同小委員会との連携を図りつつ,引き続き検討することとする。

1  著作権法制の全体的な「構造」の単純化
  (例:著作権と著作隣接権の統合)
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b_1   (検討の視点)
  関係条約の構成も含め,現在の著作権制度は,「創作性」に着目した「著作権」(著作者の権利)と,「行為」に着目した「著作隣接権」に分けられており,様々な点で後者は前者よりも弱い権利とされてきた。しかし近年,著作隣接権における許諾権の増加や実演家の人格権の創設など,著作隣接権を強化する(「著作者」に近づける)動きが生じており,著作権法を単純化する観点からも「著作権」と「著作隣接権」を統合して様々なコンテンツを広く共通のルールで保護する可能性を検討する必要があるのではないか。
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2  「権利」に関する規定の単純化
  (例:公衆伝達系統の権利の統合)
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b_1   (検討の視点)
  「公衆伝達」系統の権利には,「公衆への提供」(譲渡,貸与など複製物の占有の移転を伴うもの)や「公衆への提示」(実演,送信など複製物の占有の移転を伴わないもの)に関する権利などが含まれるが,「複製権」とは異なり,これらは,「公衆に伝達された」という「結果」ではなく,「公衆に伝達されるような行為を行う」という「行為」に着目して設定されている。このため,著作物等の伝達手段の急速な発達・多様化により,この系統の権利は,条約上も各国国内法上も増加の一途をたどってきたが,法律の規定内容を単純化してよりわかりやすくするため,これらの権利の整理・統合を検討する必要があるのではないか。
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3  「権利制限」に関する規定の単純化
  (例:詳細な規定の廃止)
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b_1   (検討の視点)
  著作権法に置かれている種々の「例外規定」(権利制限規定)については,著作物等の利用形態の変化・多様化等に対応して,その「範囲」を拡大・縮小する法改正を逐次行ってきたが,範囲の問題とは別に,これらの例外の「規定ぶり」についても,より詳細な規定ぶり(適用関係は明確になるが条文は難解になる)を求める意見と,大まかな規定ぶり(条文は読みやすくなるが適用関係は曖昧になる)を求める意見がある。
  著作権法を単純化する観点からは,米国著作権法の「フェア・ユース」の規定のような「大まかな規定ぶり」とし,具体的な適用関係は司法判断に委ねるようにすることを検討する必要があるのではないか。
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4  「契約」に関する規定の見直し
  (例:次のような規定の廃止)
    1第61条第2項   (「著作権のすべてを譲渡する」という契約では,「翻案権」と「二次的著作物の利用に関する権利」は譲渡されていないと推定する規定)
    2第15条 (雇用契約等に著作権に関する規定がない場合には,従業員の著作物について,一定の条件のもとに「雇用者」を「著作者」とする規定)
    3第44条 (放送の許諾を得た著作物について,放送事業者がこれを一時的に録音・録画することができることとする規定)
      第93条 (放送の許諾を得た実演について,放送事業者がこれを録音・録画することができることとする規定)

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b_1   (検討の視点)
  契約内容が明確な書面による契約が少ないという我が国の著作権に関する契約の実態を踏まえ,著作権法の中には,本来は当事者同士の契約に委ねるべき事項を法定している規定が存在するが,適切な契約を行う習慣の拡大によって,著作物等の創作・利用形態の変化・多様化に対応していくためには,これらの規定を廃止して著作権法を単純化することについて,契約慣行の定着状況を踏まえつつ,
検討する必要があるのではないか。
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5  特定の著作物等のみを対象とした規定の見直し

(例:美術の著作物,写真の著作物,映画の著作物,建築の著作物,プログラムの著作物,商業用レコード,視聴覚的実演等のみに係る特別の規定の必要性の見直し)
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b_1   (検討の視点)
特定の種類の著作物等のみを対象とした規定の中には,今後とも存続が必要であると思われるものもあり,また,その存廃について関係者間の協議が行われているものもあるが,多くの種類の著作物等がデジタル化されネットワークを通じて流通する時代においては,できる限り同じ法律ルールがすべての著作物等に適用されることが望ましいため,これらの特別の規定の必要性について,改めて見直しを行う必要があるのではないか。
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(2) 「アクセス権」の創設又は実質的保護

  著作物は,視覚的・聴覚的な方法等により「知覚」(例えば,本を「読む」こと,放送番組を「見る」こと,音楽を「聴く」ことなど)されることによってその価値が発揮されるものであり,使用者が複製物の入手等に対価を支払うのも,通常は著作物を知覚するためである。しかし,個々の知覚行為に権利を及ぼしても実効性を確保することができない等の理由により,内外の著作権法制は,知覚の前段階である複製や公衆送信等について権利を及ぼしてきた。
  しかしながら,近年の情報技術の発達により,デジタル化されて流通する著作物について,知覚行為そのものをコントロールすることができるようになってきた。このため例えば,いわゆる「技術的手段」の回避を防止する制度に関し,複製行為等ではなく「知覚行為」をコントロールするための技術的手段を対象とするかどうかについて,国際的な論争も生じている。
  このような「知覚行為」をコントロールする技術については,「データ全体の暗号化」や,データへの不正なアクセスを防ぐための「鍵」をかける技術など,様々な方法があり,また,法制度としても,1「アクセス権」の創設,2「デコーディング権(暗号解除権)」等の創設,3技術的保護手段に関する制度の拡大など,様々な方法があり得るので,技術や市場の動向を見極めつつ検討することが必要である。
  特に,「アクセス権」の創設は,著作権制度の根幹にかかわる問題でもあることから,その可否・必要性等については,WIPO(世界知的所有権機関)における「放送機関の保護に関する条約(仮称)」の検討も注視しつつ,引き続き検討することが必要である。


2  個別の権利の在り方に関する事項

(1) 映画の著作物の保護期間の延長等

  著作権の保護期間は,現行の著作権法では,原則として「創作の時」から「著作者の死後50年を経過するまでの間」と定められている。しかし,映画の著作物の場合は,監督,撮影者等多数の著作者が関与することから,「公表後50年(その著作物がその創作後50年以内に公表されなかったときは,その創作後50年)を経過するまでの間」と定められている。
  映画,アニメーション,ゲームソフトの映像部分など,我が国の映画の著作物については,海外での評価が高く,今後も産業としての成長や国際的な事業展開が期待されているが,その一方で,その保護期間が「公表後50年を経過するまでの間」と定められているため,一般の著作物の「創作の時から著作者の死後50年を経過するまでの間」という保護期間と比較すると,「著作者の生存期間」の分だけ保護期間が実質的に短いという問題があり,この保護期間の実質的差異を解消してほしいという要望がある。
  このことについては,映画の著作物と一般の著作物との間に実質的な保護期間を異なるものとする特別な理由がないこと等を踏まえ,こうした実質的差異を解消することが適当であると思われる。
  なお,無名・変名・団体名義の著作物の保護期間の在り方や,保護期間そのものに関する考え方等についても,今後検討を行うことが適当である。

(2) 「私的使用のための複製」によるオリジナルの中古市場への流出への対応

  我が国も含め,多くの国の著作権法においては,いわゆる「私的使用のための複製」は,例外的に権利者による許諾を得ずに行うことができることとされている。
  しかし,音楽CDについては,デジタル技術の発達普及によってオリジナルCDと全く同じ品質の複製物が,「私的使用のための複製」によって合法的に作成できるようになったため,不要になったオリジナルCDの中古市場への流出が権利者の利益を不当に害しているのではないか,との指摘がある。
  こうした状況に対応するためには,「私的使用のための複製」を禁止するという方策も理論的にはあり得るが,そのような法制を採用しても,個人的に行われる複製行為については権利者による把握や権利行使が困難であり,権利の実効性を確保することはできない。
  このため,関係条約(著作権に関する世界知的所有権機関条約(WCT),実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(WPPT))においては,権利者自身がいわゆる「コピープロテクション」などの技術的保護手段を用いることを前提に,そのような技術的保護手段の回避を防ぐための法制度を設けることを締約国に義務づけている。これに従って,我が国においては,平成11年の著作権法改正により,技術的保護手段を回避するための装置やプログラムについて,これらを公衆に譲渡する行為等に罰則を課すとともに,技術的保護手段を回避して行う複製は「私的使用のための複製」に該当しないことが定められた。これを踏まえて,我が国においても昨年3月に至って,音楽CDについていわゆるコピーコントロールCD(CCCD)の発売が開始されたところであり,権利者によるこのような技術的保護手段の導入の拡大が必要である。また,音楽CDのコピープロテクション技術をより効果的なものとするためには,DVDで採用されているような強力な技術の導入を権利者自身が早急に検討することが必要である。
  さらに,我が国を含むいくつかの国では,デジタル方式での「私的使用のための複製」によって生じる損害を補填するため,「補償金制度」が採用されている。「私的使用のための複製」によるオリジナル音楽CDの中古市場への流通への対応としては,上記のように,CCCDの導入促進やより強力な技術の早急な導入を基本とすべきであるが,これらが普及するまでの当面の措置として,「私的録音補償金制度」の充実による損害の補填を検討することも考えられる。

(3) 「私的録音録画補償金制度」の見直し

  我が国も含め,多くの国の著作権法においては,いわゆる「私的使用のための複製」は,例外的に権利者による許諾を得ずに行うことができることとされている。しかし,私的使用のための録音や録画は,これに用いられる機器の発達・普及に伴い,広範かつ大量に行われるようになり,また,デジタル技術によって質的にも市販のCDやビデオと同等の複製物が作成されるようになったことから,平成4年の著作権法改正により,デジタル方式での「私的使用のための複製」によって生じる損害を補填するための「私的録音録画補償金制度」が導入された。
  この制度は,著作権法第30条第2項において「録音又は録画を行う者は,相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない」とされているとおり,本来は録音・録画という利用行為ごとに権利者に補償金を支払うべきものであるが,個々の利用者の利用実態を把握することが困難であることから,政令によって指定された「機器」及び「記録媒体」の価格に上乗せする形で補償金の徴収が行われている(著作権法第104条の4)。
  このように我が国の「私的録音録画補償金制度」は,個々の複製行為やその回数など,複製行為の「実態」とは必ずしも連動しない制度となっているが,最近の複製行為の実態の変化を踏まえて,私的録音録画補償金制度をできる限り複製行為の「実態」に合わせるべきではないかという意見がある。
  まず,権利者においては,現在は補償金制度の対象となっていないパソコンなどの「汎用機器」や,データ用CD-Rなどの「汎用媒体」を用いた私的使用のための複製が急激に増加していることから,「汎用機器」や「汎用媒体」を補償金制度の対象とするよう制度を改正すべきであるという意見がある。また,前述のとおり,「私的使用のための複製」によるオリジナルの中古市場への流出による損失を補填する観点からは,「汎用機器」や「汎用媒体」を補償金制度の対象とするだけではなく,補償金の額そのものを引き上げるべきだという意見がある。
  他方で,「機器」や「記録媒体」の製造業者等においては,コピーコントロールCDなどのいわゆる「コピープロテクション」を施したCD等が増加しつつあることから,これにより「私的使用のための複製」が事実上できない分については補償金の額を引き下げるべきだという意見がある。また,インターネットを通じて個別に又は包括的に対価を徴収するビジネスなどが新しく出現してきており,将来的にはこのような技術的措置を利用して複製行為の実態に応じた正確な対価徴収システムの構築を推進すべきであるという意見がある。
  このように,私的録音録画補償金制度の見直しについては,関係者の間に大きな対立があり,具体的な対応策等を結論づけるには至っていないが,権利者,製造業者等のそれぞれの観点からの基本的な考え方を明らかにすることができた。今後はこの整理に基づき,「実態」の調査や問題を解決するための具体的方策の検討を含め,権利者,製造業者等の関係当事者が受け入れられる解決策を目指し,具体的な合意の形成を促進するため,当事者間の協議の場を設ける必要がある。


3  権利制限の見直しに関する事項

(1) 教育関係の権利制限の見直し

  教育関係の権利制限の見直しについて,平成13年度においては,「著作物等の教育目的の利用」についてワーキング・グループを設け,権利者側・利用者側双方から実態や提案等を聞きつつ論点整理を行った。
  この論点整理を踏まえ,権利者・利用者の双方により「著作物の教育目的の利用に関する検討」を行うための当事者間の協議の場が設けられた。この協議は,平成14年1月から9月までに7回開催され,下記の論点について具体的な検討を行った。
(1)権利制限の拡大に関する論点
  1   授業の過程において例外的に許諾を得ずに複製ができる主体に,「学習者」を加えること
  2   例外的に許諾を得ずに作製された複製物を,同一教育機関内で共用できるようにすること
  3   例外的に許諾を得ずに作製された複製物を,教科研究会等でも使用できるようにすること
  4   教育機関の遠隔教育で学ぶ特定学習者に対して,授業のための公衆送信を例外的に許諾を得ずにできるようにすること
  5   遠隔地にいる者を対象に試験を行うために,例外的に許諾を得ずに公衆送信できるようにすること
  6   インターネットによる教育成果の発信のための「複製」「公衆送信」「送信可能化」を,例外的に許諾を得ずにできるようにすること

(2)権利制限の縮小に関する論点
  1   著作権法第35条(今後権利制限が拡大された場合にはその部分も含む)に基づく例外的な許諾を得ない利用については,著作物の通常の利用を妨げる場合を除き,今後とも許諾なしの利用という例外措置を継続することとするが,原則として単一の窓口への補償金の支払いを要することとすること

  これらの論点について,当事者間の協議の結果を踏まえ,法制問題小委員会において検討を行った結果は,次のとおりである。

○法改正を行う方向とすべき事項

  1) 授業の過程において例外的に許諾を得ずに複製ができる主体に「学習者」を加えること

  現行の著作権法第35条では,授業の過程での使用を目的として例外的に許諾を得ない複製を行うことができる者は,非営利目的の教育機関で「教育を担任する者」に限定されている。
  しかしながら,ア)学校教育について,学習者が様々な情報機器等を活用して主体的に学習を行い,情報を適切に収集・判断・創造・発信していくことが推進されており,この趣旨は新学習指導要領にも記述されていること,また,イ)社会教育を含む生涯学習全般についても,学習者の自発性・主体性や情報活用能力の育成が強調されていること等により,教育機関における学習活動の在り方自体が,個々の学習者が自ら情報の収集等を行う形態に大きく変容しつつあることから,教育機関で教育を受ける学習者自身が授業等の過程において使用するため自ら複製を行うことが必要とされるようになってきている。
  このため,著作権法第35条における「教育を担任する者」の指導の下で「授業」の過程における使用に供することを目的とする場合に限り,当該非営利の教育機関で教育を受ける生徒等も,同条で認められている範囲の複製を許諾なくできるようにすることが適当である。
  なお,当事者間の協議においては,改正法施行までに,利用者側の協力を得つつ,権利者側で第35条但し書きにある「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」に該当するか否かのガイドラインを作成することとされている。

  2) 教育機関の遠隔教育で学ぶ特定学習者に対して,授業の過程において例外的に許諾を得ずに複製された著作物等を,例外的に許諾を得ずに公衆送信できるようにすること

  現行の著作権法第35条では,授業の過程での使用を目的として例外的に許諾を得ずに利用が行える場合の利用形態は,「複製」と「譲渡」に限定されている。
  しかしながら,様々な情報通信技術を活用した教育活動が種々の教育機関によって展開されつつあり,例えば大学・学校等の「遠隔授業」「合同授業」等において,離れた場所の学習者に対して,主会場で複製・配布される教材を衛星通信・インターネット等により送信することが必要となっている。
  このため,営利を目的としない教育機関が特定の生徒等向けの遠隔教育(授業の中継)を行う場合に,第35条の規定により教育を担任する者が複製した著作物(例:主会場にいる生徒等に,第35条の規定に基づき複製して配付した著作物)等を,当該特定の生徒等向けにリアルタイム送信できるようにすることが適当である。

  3) 遠隔地にいる者を対象に試験を行うため例外的に許諾を得ずに著作物を公衆送信できるようにすること

  現行の著作権法第36条では,入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において当該試験又は検定の問題として著作物を例外的に許諾を得ないで利用できる場合の利用形態は,「複製」と「譲渡」に限定されている。
  しかしながら,遠隔教育等の場合において,インターネット等を利用して試験を行うことが可能となっており,この場合には公衆送信権等の対象となり得るが,試験の公正性の確保という観点からは,複製と同様に事前許諾を得ることが不適切である場合が多いと考えられる。
  このため,著作権法第36条の試験又は検定の問題として著作物を例外的に許諾を得ないで「公衆送信」及び「送信可能化」できるようにすることが適当である。


「引用」の範囲を明確にすることによって対応すべき事項

  次の事項については,引用に関する権利制限で大部分対応できると考えられるため,関係者間の協力により,引用に該当する範囲を明確化し,周知することが適当である。

  
  4) 教科研究会等での著作物の使用

  現行の著作権法第35条の規定により非営利目的の教育機関で「教育を担任する者」が許諾を得ずに作製した複製物は,同条の規定により「本人の授業の過程」においてのみ使用できることとされているが,その授業に関する研究活動においても,その者がその複製物を使用に供してよいようにしてほしいとの要望がある。
  この要望の理由としては,様々なメディアを活用した教材の活用が活発化しつつあり,複数の教師による組織的・協力的な指導による教育活動が推進されていることから,多様な教材を活用した授業の方法について情報交換等を行う際に,授業で使用した教材を配布することが必要不可欠であることがあげられている。
  この事項については,大部分は著作権法第32条の引用の範囲で利用できると考えられることから,その範囲について,権利者側の協力を得つつ,利用者側で整理して周知することが適当である。

  5) 学校のホームページ等における著作物の利用

  非営利目的の教育機関について,その教育の成果を広く周知することを目的として,必要と認められる限度において,公表された著作物等を許諾なく複製し,公衆送信・送信可能化することができるものとしてほしいとの要望がある。
  この要望の理由としては,教育活動の一環として,また,その教育成果を公開するために,教育機関がホームページ等を用いてインターネット上での情報発信を行うことが多くなっているが,このような活動についても権利を制限して無許諾で行えるようにすることが望ましいということがあげられている。
  この事項については,大部分は著作権法第32条の引用の範囲で利用できると考えられることから,その範囲について,権利者側の協力を得つつ,利用者側で整理して周知することが適当である。


引き続き関係者間の協議が行われる事項

  次の事項については,当事者間の協議に参加した関係者間で,引き続き協議を進める意向があることから,法制問題小委員会としては,この協議の結果を待って必要な検討を行うこととする。

  
  6) 例外的に許諾を得ずに作製された複製物を同一教育機関内で共用にできるようにすること

  7) 著作権法第35条(今後権利制限が拡大された場合にはその部分を含む)に基づく例外的な許諾を得ない利用については,著作物の通常の利用を妨げる場合を除き,今後とも許諾なしの利用という例外措置を継続することとするが,原則として単一の窓口への補償金の支払いを要することとすること


(2) 図書館関係の権利制限の見直し

  図書館関係の権利制限の見直しについて,平成13年度においては,「図書館等における著作物等の利用」についてワーキング・グループを設け,権利者側・利用者側双方から実態や提案等を聞きつつ論点整理を行った。
  この論点整理を踏まえ,権利者・利用者の双方により「図書館等における著作物等の利用に関する検討」を行うための当事者間の協議の場が設けられた。この協議は,平成14年2月から9月までに7回開催され,下記の論点について具体的な検討を行った。

(1) 権利制限の拡大に関する論点
  1   図書館等が例外的に許諾を得ずにファクシミリ等の公衆送信により複製物を提供できるようにすること
  2   「入手困難な図書館資料」に掲載された著作物の全部を例外的に許諾を得ずに複製できるようにすること
  3   「再生手段」の入手が困難である図書館資料を保存のため例外的に許諾を得ずに複製できるようにすること
  4   図書館等においても視覚障害者のために例外的に許諾を得ずに「録音図書を作成できるようにすること
  5   その他
ア)   図書館等に設置された「インターネット端末」から図書館利用者が著作物を例外的に許諾を得ずに「プリントアウト」できるようにすること
イ)   図書館内のみの送信を目的として図書館資料を例外的に許諾を得ずに「データベース化」できるようにすること

(2) 権利制限の縮小に関する論点
  1   商業目的の「調査研究」を目的として利用者が複製を求めた場合について権利制限の対象から除外すること
  2   図書館資料の貸出について補償金を課すこと
  3   図書館等において利用者の求めに応じ行う複製について補償金を課すこと
  4   その他
ア)   公衆の用に供するコピー機を利用した私的使用のための複製を権利制限の対象から除外すること
イ)   図書館等においてビデオ等を上映することについて権利制限の対象から除外すること

  これらの論点について,当事者間の協議の結果を踏まえ,法制問題小委員会において検討を行った結果は,次のとおりである。なお,「図書館内のみの送信を目的として図書館資料を例外的に許諾を得ずにデータベース化できるようにすること」については,図書館団体側が,当面法改正を求めない旨を表明したため,検討対象から除外することとされた。

法改正を行う方向とすべき事項

1)再生手段の入手が困難である図書館資料を保存のために例外的に許諾を得ずに複製できるようにすること

  現行の著作権法第31条第2号においては,図書館等が図書館資料保存のため必要がある場合は複製することができることを定めている。
  しかしながら,記録のための技術・媒体の急速な変化により,例えばSPレコードのように,媒体の内容を再生するために必要な機器が市場で入手困難となり,媒体を変更して保存するための複製を行わないと事実上閲覧が不可能となってしまうような状態が生じている。
  このような複製は,権利者の利益を不当に害するものとは考えられないことから,図書館資料として保存されている著作物を再生するために必要な機器を入手することが困難になった場合に,その他の形式に複製して保存することを,一定の条件の下に無許諾で行えるようにすることが適当である。

2)図書館などの公共施設等において映画の著作物等を上映することについて権利制限の対象から除外すること

  この事項については,当事者間の協議の場においては図書館における上映について協議を行ったが,図書館に限らず公共施設等における上映全般に関わる事項であるため,法制問題小委員会においては検討の対象を広げ,「図書館などの公共施設等における映画の著作物等の上映」について検討を行った。
  現行の著作権法第38条第1項では,著作物を非営利・無料・無報酬で上映することについては許諾が不要とされている。
  しかしながら,ビデオ・DVD等の普及・発達により,誰もが簡単に非営利・無料・無報酬の上映を行うことができるようになったことから,図書館などの公共施設等で行われる非営利・無料・無報酬の上映が商業的な映画上映等と競合し,権利者の利益を不当に害する状況が出現しているとの指摘がある。
  また,この規定については,ベルヌ条約上の義務との関係から問題があると内外の関係者から指摘されており,非営利・無料・無報酬の上映に係る権利制限については,こうした問題に対応する観点から,その対象となる行為の範囲を見直すことが必要であると思われる。ただし,その場合でも商業的な映画上映等と競合することが少ないと思われる静止画の上映(マイクロフィッシュやインターネットを通じて入手した画像など),学校その他の教育機関における授業での上映,裁判手続や立法・行政目的のために必要な上映等については,引き続き無許諾で行えることとすることが適当である。
  なお,図書館などの公共施設等における非営利・無料・無報酬の上映については,法改正後においても商業的な映画上映等と競合しない範囲で,権利者の許諾を得た上で,できる限り行い得るようにすることが望まれる。現行法の下においても,すでに図書館団体と権利者団体が協議を行い,図書館が上映会を行う条件,範囲,方法等について合意に達している例があるので,法改正後もこれに基づき,許諾を得た上での上映会が行われることが期待される。さらに,図書館における個人ブースでの公衆向け上映についても,権利者団体が,一定の条件の下に許諾を与えることが望まれる。

3)図書館資料の貸出について補償金を課すこと

  現行の著作権法では,「映画の著作物」の非営利・無料の貸与については,図書館等が補償金を支払うこと(いわゆる「公貸権」の付与に相当する制度)とされている(著作権法第38条第5項)が,一般の書籍等の映画以外の著作物については,このような補償金の制度はない。
  しかしながら,図書館の増加,図書館における貸出数の増加等により,本の購入が図書館からの貸出により代替される傾向が強まっており,著作権者の利益に対する損害が大きくなっていることを理由として,図書館資料の貸出について補償金を課すことについても同様の制度を導入してほしいとの要望がある。
  この事項については,著作権法第38条第5項に規定されているような非営利・無料の貸与に係る補償金制度の対象を将来「書籍等」に拡大することによって対応するという方向性そのものに関しては,法制問題小委員会においては基本的に反対はなかった。しかし,権利者側・図書館側双方に,具体的な補償金制度等の在り方について協力して検討したいという意向があることから,当面その検討を見守ることとし,その結論が得られた段階で,必要な法改正の内容を具体的に定めることが適当である。

「意思表示」システム等により対応すべき事項

  次の事項については,著作者の「意思表示」システム等により対応できるものと考えられるため,契約・流通小委員会における「権利者による『意思表示』のためのシステムの開発・普及の在り方」の検討との連携を図りつつ,関係者間の協力により対応することが適当である。

4) 入手困難な図書館資料に掲載された著作物の全部を例外的に許諾を得ずに複製できるようにすること

  現行の著作権法第31条第1号では,図書館等は,利用者の求めに応じて発行後相当期間経過した定期刊行物に掲載された著作物の全部を許諾を得ずに複製することができることとされているが,絶版その他の理由により一般に入手することが困難な図書館資料に掲載された著作物についても,その全部を利用者の求めに応じて許諾を得ずに複製できるようにしてほしいとの要望がある。
  この要望の理由としては,例えば,記念論文集等の市販されない論文集,テクニカルペーパーなど,定期刊行物以外の出版物に掲載された論文等であっても,公益の観点から,一般に入手不可能となった場合には,図書館等が十全にその提供を行えるようにすべきとの点があげられている。
  この事項については,当該図書館資料の利用に係る「著作者の意思表示」のためのシステムを,権利者側と利用者側の協力により,開発・普及することが適当である。

5) 図書館等においても視覚障害者のために例外的に許諾を得ずに録音図書を作成できるようにすること

  現行の著作権法第37条第3項では,専ら視覚障害者向けの貸出の用に供するために,公表された著作物を許諾を得ずに録音することができる者は,点字図書館等の施設に限定されているが,公共図書館等においても許諾を得ずに録音できるようにしてほしいとの要望がある。
  この要望の理由としては,公共図書館においても現在録音図書の作成を行っており,許諾なく録音できる主体を公共図書館に拡大することは,視覚障害者の福祉の増進という規定の趣旨にも適うことであることがあげられている。
  この事項については,当面は,図書館団体と権利者団体が協力して,「簡便な許諾契約システム」「事前の意思表示システム」等を構築するとともに,そうしたシステムの効果を評価することが適当である。

6) 図書館等に設置されたインターネット端末から利用者が著作物を例外的に許諾を得ずにプリントアウトできるようにすること

  現行の著作権法第30条第1項第1号では,公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(専ら文書又は図画の複製に供するものを除く)を用いた複製は,私的使用の目的であっても,許諾が必要とされているが,図書館等に設置されたコンピュータ及びプリンタを用いてインターネット上にあり誰でもアクセスできる著作物をプリントアウトすることについては,許諾を得ずにできるようにしてほしいとの要望がある。
  この事項は,図書館だけでなく,公共施設等に,「公衆の使用に供することを目的として設置」されているインターネット端末を用いたプリントアウト全体に及ぶ問題であるが,「著作者の事前の意思表示システム」等により対応することが適当である。


引き続き関係者間の協議が行われる事項

  次の事項については,当事者間の協議に参加した関係者間で,引き続き協議を進める意向があることから,法制問題小委員会としては,この協議の結果を待って必要な検討を行うこととする。

7) 公衆の用に供するコピー機を利用した私的使用のための複製を権利制限の対象から除外すること

8) 図書館等が例外的に許諾を得ずにファクシミリ等の公衆送信により複製物を提供できるようにすること
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注: 当事者間の協議においてこの事項について当事者間の協議を行う中で,平成13年度に著作権分科会により整理された当事者間の協議の課題とされた事項には含まれていないが,「利用者からの求めに応じて,図書館が利用者の代理人として他の図書館に図書館資料の複製を依頼した場合に,当該図書館間でファクシミリ等による公衆送信を行うことを権利制限の対象に加える法改正を支持すること」について,当事者間の意見が一致し,このことについて法制問題小委員会に報告が行われたが,法制問題小委員会においては,このような法改正を行うとの結論には至らなかった。

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9)

商業目的の「調査研究」を目的として利用者が複製を求めた場合について権利制限の対象から除外すること

  10) 図書館等において利用者の求めに応じ行う複製について補償金を課すこと

  11) 図書館等においても視覚障害者のために例外的に許諾を得ずに録音図書を作成できるようにすること(法改正の必要性については,5)における簡便な許諾契約システム」「事前の意思表示システム」等の効果を評価した上で検討)
(3) 「拡大教科書」作成に係る権利制限規定の見直し

  現行の著作権法第33条では,教科書(検定教科書又は文部科学省著作教科書)を作成する場合については,一定の額の補償金を支払えば,例外的に著作権者の許諾を得ずに既存の著作物を掲載できることとされている。
  現在,盲学校や小・中学校の特殊学級等において,一部の弱視の児童生徒(矯正視力が0.04から0.3未満程度の者)により,教科書の文字等を拡大した,いわゆる「拡大教科書」が活用されている。このような「拡大教科書」の大部分は,通常ボランティア等が一冊一冊手作りで作成するものであり,多くの場合著作者は無償での利用を許諾してくれるため,すべての権利者の許諾を得て「拡大教科書」を作成するよう努力が行われているが,小規模なボランティアグループ等が一冊の「拡大教科書」を作成するために全ての著作者の許諾を短期間(教科書が発行されてから授業が開始されるまでの間)に得ることは,極めて困難である。
  このため,いわゆる「拡大教科書」を作成する場合にも,一定の額の補償金を支払えば,例外的に著作者の許諾を得ずに,既存の著作物を掲載できることとするとともに,ボランティア等により非営利・無料で譲渡される場合には,補償金の支払いを免除することとすることが適当である。
(1) 各省庁の著作権法改正要望

  文化庁からの要請に応じ,これまでに各省庁から提出された著作権法改正要望は,次のとおりであり,全ての事項について,現在,関係する小委員会で検討が進められていることが確認された。


関係省庁からの著作権法改正要望

  
省  庁 要  望  の  内  容 13年度 14年度 対応状況
総  務  省 ・放送事業者・有線放送事業者への「送信可能化権」の付与 法改正済
・固定された番組に係る放送事業者・有線放送事業者の権利の拡大 審議会で検討中
文部科学省 ・教育目的の利用に係る権利制限の見直し
・図書館での利用に係る権利制限の見直し
審議会で検討済・検討中
・「拡大教科書の作成」に係る権利制限の見直し 審議会で検討済
経済産業省 ・映画の著作物の保護期間の延長 審議会で検討済
・ライセンス契約の第三者対抗力の付与 審議会で検討中
・法定賠償制度の導入 審議会で検討中


(2) 関係者間で協議中の事項

  現在,法制に関して関係者間で協議が進められている事項及び進捗状況は次のとおりであり,今後とも,これらの協議等の結論を受けて,法制問題小委員会において適切に検討を進めていくことが確認された。




関係者間で合意形成が進められつつある事項等


<関係者間の合意が形成された課題>

○放送事業者・有線放送事業者の「送信可能化権」の付与【法改正済】
    「(社)日本民間放送連盟」「NHK」と「(社)日本経済団体連合会」等

○「視聴覚的実演」に係る「人格権」の創設【法改正済】
    「(社)日本芸能実演家団体協議会」と「(社)日本映画製作者連盟」
    「(社)日本映像ソフト協会」等

○児童生徒等による複製,授業・試験問題の公衆送信
    「教育関係団体」等と「著作者団体」等

○「拡大教科書」作成に係る権利制限の見直し
    「文部科学省初等中等教育局」と「著作者団体」等

○無料上映会の制限
      「著作者団体」等と「図書館関係団体」等

○図書館資料保存のための方式変換
    「図書館関係団体」等と「著作者団体」等

○図書館資料貸出に係る補償金(方向性)
    「著作者団体」等と「図書館関係団体」等


<著作権分科会の提言に基づき関係者が協議中の課題>

○「レコード放送権」の許諾権化(「録音前提の放送」への対応)
    「(社)日本レコード協会」と「(社)日本民間放送連盟」「NHK」

○構内LAN等での教材の共同利用等
    「教育関係団体」等と「著作者団体」等

○図書館利用者へのFAX送信,図書館資料複製に係る補償金等
    「図書館関係団体」等と「著作者団体」等

○図書館資料貸出に係る補償金(具体的な制度の在り方)
    「著作者団体」等と「図書館関係団体」等


<映像分野の著作権等に係る諸問題に関する懇談会(映像懇)での合意に基づき行われている検討>

○「映画監督の権利」に関する法制・契約システムの整備
    「(社)日本映画監督協会」と「(社)日本映画製作者連盟」「(社)日本映像ソフト協会」等

○「俳優等の視聴覚的実演に係る財産権」の拡大の前提となる契約システムの構築
    「(社)日本芸能実演家団体協議会」と「(社)日本映画製作者連盟」「(社)日本映像ソフト協会」等


<その他>

○「輸入権」の創設(海外で合法的に作られたレコードの輸入への対応)
    「(社)日本レコード協会」と「(社)日本経済団体連合会」「著作者団体」

○「版面権」の創設(「出版社の権利」の創設)
    「(社)日本書籍出版協会」と「(社)日本経済団体連合会」

○「消尽しない譲渡権」の創設等(「中古品の流通」をコントロールする権利の創設)
    「(社)コンピュータソフトウェア著作権協会」「(社)日本書籍出版協会」「(社)日本映画製作者連盟」「(社)日本映像ソフト協会」と「(社)日本経済団体連合会」

○保護期間が満了した「写真」の保護の復活
    「写真家団体」等と「(社)日本書籍出版協会」「NHK」「(社)日本民間放送連盟」「(社)日本新聞協会」等

○「書籍・雑誌等の貸与」に係る暫定措置の廃止
    「(社)日本雑誌協会」「(社)日本書籍出版協会」と「全国貸本組合連合会」「レンタルコミック大手」等

「公衆の用に供するコピー機」に係る暫定措置の廃止(コンビニのコピー機等について使用料を徴収する契約システムの開発)
    「(社)日本書籍出版協会」と「関係団体・業界」

○「マンガ喫茶等での図書の閲覧」に係る「展示権」の拡大
    「(社)日本雑誌協会」「(社)日本書籍出版協会」と「複合カフェ協会」等

○「図書館での図書の閲覧」に係る「展示権」(報酬請求権)の拡大
    「(社)日本漫画家協会」と「(社)日本図書館協会」

○「展示権」の拡大,「追及権」の創設
    「(社)日本美術家連盟」と「全国美術館会議」「全国美術商連合会」



関係者間で合意形成が進められつつある事項

事    項 主    体 協議を行うべき相手方 進    捗    状    況
関係者間の協議 審議会での検討 国会での法改正
準備中 協議中 合意 審議中 方向性決定 法改正決定 法案作成 法改正
(○:実施済み、●:実施中)
<関係者間の合意が形成された課題>
放送事業者・有線放送事業者への「送信可能化権」の付与 (社)日本民間放送連盟、NHK (社)日本経済団体連合会  等
「視聴覚的実演」に係る「人格権」の創設 (社)日本芸能実演家団体協議会 (社)日本映画製作者連盟、(社)日本映像ソフト協会  等
児童生徒等による複製、授業・試験問題の送信 教育関係団体  等 著作者団体  等    
「拡大教科書」作成に係る権利制限の見直し 文部科学省初等中等教育局 著作者団体  等    
無料上映会の制限 著作者団体  等 図書館関係団体  等    
図書館資料保存のための方式変換 図書館関係団体  等 著作者団体  等    
図書館資料貸出に係る補償金(方向性) 著作者団体  等 図書館関係団体  等      

<「著作権分科会」の提言に基づき関係者が協議中の課題>
「レコード放送権」の許諾権化(「録音前提の放送」への対応) (社)日本レコード協会 (社)日本民間放送連盟、NHK            
構内LAN等での教材共同利用等 教育関係団体  等 著作者団体  等            
図書館利用者へのFAX送信、図書館資料複製に係る補償金等 図書館関係団体  等 著作者団体  等            
図書館資料貸出に係る補償金(具体的な制度の在り方) 著作者団体  等 図書館関係団体  等            

<「映像分野の著作権等に係る諸問題に関する懇談会(映像懇)」での合意に基づき行われている検討>
「映画監督の権利」に関する法制・契約システムの整備 (社)日本映画監督協会 (社)日本映画製作者連盟、(社)日本映像ソフト協会  等            
「俳優等の視聴覚的実演に係る財産権」の拡大の前提となる契約システムの構築 (社)日本芸能実演家団体協議会 (社)日本映画製作者連盟、(社)日本映像ソフト協会  等              

<その他>
「輸入権」の創設(海外で合法的に作られたレコードの輸入への対応) (社)日本レコード協会 (社)日本経済団体連合会、著作者団体            
「版面権」の創設 (「出版社の権利」の創設) (社)日本書籍出版協会 (社)日本経済団体連合会            
「消尽しない譲渡権」の創設等 (「中古品の流通」をコントロールする権利の創設) (社)コンピュータソフトウェア著作権協会、(社)日本書籍出版協会、(社)日本映画製作者連盟、(社)日本映像ソフト協会 (社)日本経済団体連合会            
保護期間が満了した「写真」の保護の復活 写真家団体  等 (社)日本書籍出版協会、NHK、(社)日本民間放送連盟、(社)日本新聞協会  等            
「書籍・雑誌等の貸与」に係る暫定措置の廃止 (社)日本雑誌協会、(社)日本書籍出版協会 全国貸本組合連合会、レンタルコミック大手  等            
「公衆の用に供するコピー機」に係る暫定措置の廃止(コンビニのコピー機等について使用料を徴収する契約システムの開発) (社)日本書籍出版協会 関係団体・業界              
「マンガ喫茶等での図書の閲覧」に係る「展示権」の拡大 (社)日本雑誌協会、(社)日本書籍出版協会 複合カフェ協会  等              
「図書館での図書の閲覧」に係る「展示権」(報酬請求権)の拡大 (社)日本漫画家協会 (社)日本図書館協会              
「展示権」の拡大、「追及権」の創設 (社)日本美術家連盟 全国美術館会議、全国美術商連合会              


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