・ |
現行の裁定制度と英米で提案された制度とは、後から権利侵害を問われないという法的安定性の面と許諾手続の費用・時間の面で一長一短だが、権利者を探す作業の負担はどちらも負わなくてはならない。裁定制度の問題とは、審議会を経る時間などの文化庁の事前手続によるものか、それとも、権利者を探す実際のインフラが不足しているということによるものなのか。(渋谷委員) |
・ |
著作権使用料の多少にかかわらず、手数料等が高く、時間がかかる等の問題がある。手数料の減額や国の補助、裁定に特化した審議会・委員会の定期開催による迅速化等が必要である。(三田委員、文芸・シナリオ 西岡氏、放送・NHK 梶原氏、書籍 金原氏、教育 酒井氏・佐藤氏、障害者 井上氏、博物館 井上氏) |
・ |
補償金の額を決定するための審議会について、分野ごとに著作物を類型化して金額をランク付けしておけば、時間が短縮されるのではないか。(久保田委員) |
・ |
例えば文芸の分野では文藝家協会に登録しない者の大部分は経済的利益を求めていない者であり、非営利のアーカイブのような利用であれば、文藝家協会のホームページをチェックして名前がなければ、「相当な努力」を払ったことにするなど、利用者に負担のないようなガイドラインを作成すべきではないか。(三田委員) |
・ |
裁定制度の利用に際して、社団法人著作権情報センターのホームページで著作物を探索する場合、写真などの公衆送信について、権利制限が必要ではないか。(放送・民放連 池田氏) |
・ |
新聞、雑誌のように1点の出版物に多くの著作物が含まれている場合は、権利者を調査するのが特に困難であり、事実上裁定制度が利用できない状況である。(国会図書館 田中氏) |
・ |
裁定制度は、著作者調査の「相当な努力」に多大な時間と費用がかかり、利用の経済的価値に見合わない場合には、限界がある。英米で提案された新規制度についても検討が必要である。(三田委員、国会図書館 田中氏) |
・ |
現行の裁定制度は、実際の著作物の利用者しか申請できないのではないか。権利処理をして第三者にから相手方に提供するようなことができないか。(梶原委員) |
・ |
今後は、権利者自身が氏名表示、データベースへの登録などによって自分の所在を明示する必要がある。それをしていない場合には、比較的容易に利用できるようにする一方、後に権利者が現れたときに相当額が払われたり、供託金が国庫帰属でなく共通目的基金となるような新たな裁定制度を考えてはどうか。(瀬尾委員)【再掲】 |
・ |
緩やかな裁定制度を作る際には、条約上の問題と人格権の問題がある。人格権については、特に著作物を改変して利用することには、権利者はナーバスになるため、人格権の取扱いもあわせて考えるべき。(瀬尾委員) |
・ |
戯曲を、改変を前提として利用する高校演劇のような場合には、改変を許容するかどうか個別に作家が判断するしかなく、集中管理は難しい。集中管理や強制許諾で対応を考える方向だと、例えば亡くなった作家の作品を高校演劇などで使えにくくなる等の問題がある。(平田委員)【再掲】 |
・ |
障害者が著作物を享受するためには、図書の媒体変換などの障害者の権利に関する部分は、裁定制度についても別途の取扱いが検討できないか。(常世田委員) |