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資料7

発表意見:全体と課題別に記載

著作権分科会(2007年4月27日)意見発表資料
委員会名:   文化審議会著作権分科会/過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会
発表者名: 戸叶 司武郎(ヤマハ株式会社 法務・知的財産部)
所属団体名: AMEI(社団法人 音楽電子事業協会)
NMRCネットワーク音楽著作権連絡協議会

1. NMRC会員に保護期間に関するアンケートを実施
 NMRCは音楽コンテンツのネット配信に関わる使用者の連絡協議会であり、傘下8団体の会員企業には業務用通信カラオケ企業、携帯キャリア、携帯端末メーカー、ISP、楽譜販売出版社など様々な企業約1,200社が加盟している。今回の意見聴取のためアンケートを実施したが、着メロ・着うた・音楽配信企業などいわゆるコンテンツプロバイダ(以下「CP」と記載)と楽譜出版社その他(無記名含む)からの回答があった。本意見書ではCPの考えを中心に述べていく。

2. CPの基本的方針
 CPは業として著作物を利用する企業であり、権利者とはwin-winの関係が前提である。ヒット曲がなければ音楽配信CPの事業は成り立たない。ヒット曲のほとんどは新曲であり作家の活発な創作活動が事業の発展に繋がるため、作家を支援する姿勢は明確である。ユーザーが購入してくれる曲ならば喜んで適正なロイヤリティを支払うし、PDであれば支払いが発生しないので利益率が若干高くなるだけである。
 逆に支払いたくない金は、権利者にロイヤリティを届けるためのコストである。既にCPにとっては大きな問題になっているが、権利者(作詞作曲家と音楽出版社)と管理事業者を特定し使用料を支払う為の作業費用、いわゆる人間系管理コストと無許諾使用リスクが増大している。利用円滑化について現実的な解決策を切望している。

3. 検討課題に対する意見
1) 過去の著作物の利用の円滑化方策について
  裁定制度は全く機能していないと感じている。裁定を申し入れる基準が高すぎて通常のビジネス活動には役に立たない。
CPは品揃えビジネスである。着メロ・着うたなら数万曲、通信カラオケなら10万曲前後の品揃えをしている。着メロは数万曲の楽曲すべてについて個別にダウンロード実績を管理し、JASRAC(ジャスラック)に実績報告している。これらの楽曲の権利者が移動してロイヤリティを支払う道筋が消えてしまった場合の対応ルールが無く、CPは手作業で個別対応処理している。
業界用語で「サブマリン作家問題」への行政的対応(解決手段)がない
*口頭にて実態詳細とCPの対応状況を説明致します
CPはリスク軽減対応と実務作業の円滑化を望んでいる。

2) アーカイブへの著作物等の収集・保存と利用の円滑化方策について
  公共施設でコンテンツのアーカイブをすることが、CPの事業活動を阻害することの無いように調整がなされることを希望する。
収集するコンテンツの内容を制限することも必要と思うが、利用方法(ネットにおける表示のしかた、回線スピード、利用回数、部分提供、複製コントロール、等を制限する全国一律のルール)について慎重に検討するべきである。

3) 保護期間のあり方について
  NMRCにてアンケートを実施した結果は賛成43パーセント、反対57パーセントと意見が分かれた
CPの立場からそれぞれの意見を整理すると以下のようになる

<賛成意見>
  著作権ビジネスが発達している諸外国に合わせざるをえないという理由が中心
特にネット配信では国境が無意味であり、50年のままだと日本のCPに対して海外の権利者が包括契約を拒否する恐れがある。
通常の著作物とは性格が異なるが、企業が著作物を差別化の要素として用いている場合があり、その視点からは保護期間は長い方がよい。例えばヤマハ英語教室では英語の歌を中心とした指導カリキュラムであり、教材に掲載しているオリジナルの英語歌詞はJASRAC(ジャスラック)に信託していない。他社英語教室がヤマハの歌詞を使わないように自社管理することで教室そのものを差別化している。

<条件付き賛成意見>
  戦時加算の解消やレコード会社録音権管理楽曲の権利範囲定義明確化など、現行のイレギュラーな部分をすべて解消しなければ保護期間を延長するべきではない。
裁定制度の見直し、特に権利者の所在が不明で許諾交渉ができない著作物の使用についてのガイドラインが無ければ保護期間の延長はトラブルを増大させる。
裁定内容のデータベース化、Web上での裁定申込制度がないのはおかしい
権利者と使用者間の交渉のルールなどもより明確なものがなければ混乱する
CPにはベンチャーや異業種参入が多く、著作物の利用促進は活発である。しかし法律とルールが誰にでもわかりやすくシンプルでなければCPは誤まった利用を提供し、結果としてユーザーの違法使用が増えることは間違いない。
人格権は財産的著作権継承者には一切引き継がれないことを明確にするべきである

<その他意見>
  著作物の円滑な利用を促進するためには、保護期間50年超70年までの間は許諾権を制限し、報酬請求権にしてはどうか?
管理事業者に委託する場合は報酬請求権とし、自己管理する場合のみ許諾権を留保することがいいのではないか?

<反対意見>
  権利者が分散し、結果的に無許諾使用が増えて市場が混乱する。財産相続の際に権利が分割されて権利者が増えることは避けられない。権利を管理する自覚のない権利者にロイヤリティを払う気はないし、探し出して交渉するコストは本来のロイヤリティの何十倍もすることが多く、著作物の利用を阻害する最大の要因となる。
延長が創作のインセンティブに繋がると思えない

4. 意思表示システムについて
    Web上でのDB公開が円滑かつ正確であることが必用
表示システムを信じて使用した結果、万一違法使用となってしまった場合の救済策とその策を悪意を持って用いる者があらわれたときの防衛策が見えない。
以上


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