参考資料3

主要な諸外国の私的録音録画補償金制度に関する規定

1.ドイツ

1私的複製の取り扱い

 自然人が、私的使用のために、支持物には係わらず著作物を少量複製することは、その複製が直接的であるか又は間接的であるかを問わず営利を目的としない場合であって、その複製のために明らかに違法に製作された原本が用いられないものと認められるときは、許される。(第53条(1))

2補償金制度と支払義務者

 著作物の種類に照らし、その著作物が、前条第1項又は第2項に基づき、放送を録画物若しくはレコードに収録することにより、又は一の録画物若しくはレコードから他の録画物若しくはレコードに再製することにより複製されることが見込まれる場合には、その著作物の著作者は、次の各号に掲げる物であって、明らかにそのような複製を行うよう特定されたものの製造者に対して、その物の譲渡によって生じた当該複製が行われる可能性について、相当なる報酬の支払いを求める請求権を有する。

  1. 機器
  2. 録画用又は録音用記録媒体

 この機器又は録画用若しくは録音用記録媒体を、この法律の適用領域に業として輸入若しくは再輸入する者、又はそれらを販売する者は、製造者とともに連帯債務者として責任を負う。(第54条(1))

3補償金額の決定方法

 第54条第1項並びに第54a条第1項及び第2項に基づく相当なる報酬として、別段の合意がなされないかぎり、別表に定められた基準額が、適用される。(第54条(1))
 第54a条第2項に基づき操作者が一括して義務を負うべき報酬の額は、諸般の事情に照らし、とりわけその設置の場所及び通常の使用に照らし推定される機器の使用の態様及び範囲を基準として、算定するものとする。(第54条(2))

4著作権保護技術にかかる規制

 この法律に基づき保護を受ける著作物その他この法律に基づき保護を受ける保護対象の保護ために有効な技術的手段は、それを回避する行為が当該著作物若しくは保護対象へのアクセス又はそれらの使用を可能にすることを目的として行われることを、その行為者が知り、又は諸般の事情に照らし知るべきものと認められるときは、権利保有者の同意を得ることなく回避してはならない。(第95a条(1))

 権利保有者が、技術的手段をこの法律の定めるところに従い用いるものと認められる場合において、次の各号に定めるいずれかの規定による受益者が、著作物又は保護対象に合法的にアクセスするものと認められるときは、権利保有者は、その者に対して、当該規定を必要と認められる限度において行使し得るために不可欠な手段を、処分に供する義務を負う。
6.第53条(私的及びその他の自己の使用のための複製) (第95b条(1))

 著作物及びその他保護対象で技術的手段を用いて保護されるものには、その技術的手段の特性に関する説明を、明瞭に視認できるように明示するものとする。(第95d条(1))

2.フランス

1私的複製の取り扱い

 著作物が公表された場合には、著作者は、次の各号に掲げることを禁止することができない。

 本条に列挙された例外は、著作物の通常の利用を妨げず、かつ、その著作者の正当な利益を不当に害するものであってはならない。(第122-5条4項)

2補償金制度と支払義務者

 レコード又はビデオグラムに固定された著作物の著作者及び実演家並びにこれらのレコード又はビデオグラムの製作者は、第122-5条第2号及び第211-3条第2号に定める条件において行われるそれの著作物の複製に対して報酬請求権を有する。(第311-1条)

 第311-3条に規定する報酬は、レコード又はビデオグラムに固定された著作物の私的使用のための複製に使用することができる記録媒体の製造者又は輸入者によって、それらの媒体のフランスにおける頒布の時に支払われる。(第311-4条)

3補償金額の決定方法

 報酬の額は、記録媒体の型及びその記録時間によって決定される。(第311-4条2項)

 記録媒体の型、報酬の料率及びその支払い条件は、国の代表を委員長とし、その他報酬請求権の受益者を代表する団体が指名する半数の者、前条第1項に定める記録媒体の製造者又は輸入者を代表する団体が指名する4分の1の者及び消費者を代表する団体が指名する4分の1の者で構成される委員会によって決定される。(第311-5条)

4著作権保護技術にかかる規制

 技術的手段は、著作者の権利の尊重において、互換性の効果的な実効を妨げる効果を持つものであってはならない(第331-5条、第331-6条、第331-7条)
 技術的手段は、著作権者等によって合意された著作物等の自由な使用に反するものであってはならない(第331-5条)
 技術的手段を導入する権利の保持者は、消費者と同意した団体及び利害関係当事者と協議して、私的複製等の例外の効果的な実効を奪うことがないよう有効な措置を採用する。
 なお、上記の措置は、使用者が私的複製等の例外の効果的な受益を受けられるようにすると同時に、それらの例外が、通常の利用を害する効果を持つことがなく、権利者の正当な利益を不当に侵害する効果をもたらすものでないことも考慮することができる。
 また、技術的手段規制局は、著作物等の性質、使用方法、保護技術等を考慮して、私的複製のための例外の範囲で認められる複製の最低数を定める(第331-8条、第331-9条、第331-16条、第331-17条)
 テレビ放送サービスの制作者及び配給者は、個人的な複製に関する例外の恩恵を結果的に公衆から奪い取る可能性のある技術措置を使用することはできない(第331-11条)。
 技術的保護手段の導入等によって、私的複製のための例外の享受にもたらされ得る制限は、使用者の知り得るようにしなければならない。また、使用者の情報手段は政令によって定められる。(第331-12条、第331-16条)

3.イギリス

1私的複製の取り扱い

 研究又は私的学習を目的とする文芸、演劇、音楽又は美術の著作物の公正利用は、著作物の、又は発行された版の場合には印刷配列の、いずれの著作権をも侵害しない(第29条)。

 放送又は有線番組をより都合のよい時に見又は聞くことを可能とすることのみを目的として放送又は有線番組の録音・録画物を私的及び家庭内の使用のために作成することは、その放送若しくは有線番組又はそれに挿入されているいずれの著作物のいずれの著作権をも侵害しない(第70条)

2著作権保護技術にかかる規制

 特になし。

4.アメリカ

1私的複製の取り扱い

 包括的な権利制限規定を置き、使用目的、著作物の性質、使用の量・程度、潜在的な市場又は価値への影響等の要素を勘案し、「公正な使用(Fair use)」を認める(第107条)。

 本編において、デジタル録音装置、デジタル録音媒体、アナログ録音装置もしくはアナログ録音媒体の製造、輸入もしくは頒布に基づく著作権の侵害、またはデジタル音楽録音物もしくはアナログ音楽録音物を作成するためのかかる装置もしくは媒体の消費者による非商業的利用に基づく著作権の侵害を主張する訴訟は、これを提起することができない。(第1008条)

2補償金制度と支払義務者

 何人も、本条に定める表示を記録し、その後計算書及び第1004条に定める装置または媒体に対する使用料を納付しなければ、デジタル録音装置またはデジタル録音媒体を輸入して頒布し、または製造して頒布してはならない。(第1003条(a))

3補償金額

 合衆国に輸入されかつ頒布され、または製造されかつ合衆国内で頒布された各デジタル録音装置につき、第1003条に基づき支払うべき使用料の額は、移転価格の2パーセントとする。当該装置を最初に製造頒布し、または輸入頒布した者のみが、当該装置につき使用料を支払う義務を負う。(第1004条(a)デジタル録音装置(1))

 合衆国に輸入されかつ頒布され、または製造されかつ合衆国内で頒布された各デジタル録音媒体につき、第1003条に基づき支払うべき使用料の額は、移転価格の3パーセントとする。当該媒体を最初に製造頒布し、または輸入頒布した者のみが、当該媒体につき使用料を払う義務を負う。(第1004条(b)デジタル録音媒体)

4著作権保護技術にかかる規制

 原則として技術的手段の回避は禁止される。ただし、技術的手段の回避の禁止により不利益を受けまたは受ける可能性がある、特定の著作物の使用者であるか否かを、連邦議会図書館長が規則制定手続において決定し、決定された使用者については、技術的手段の回避の禁止が適用されない。
 なお、規則制定手続にあたって、連邦議会図書館長は、著作権のある著作物に使用される技術的手段の回避に対する禁止が、批判、解説、ニュース報道、学習指導、学術または研究に及ぼす影響、技術的手段の回避が著作権のある著作物の市場または価値に及ぼす効果等を審査しなければならない(第1201条(a))。

 家庭での複製を妨害しまたは制限するために、自動制御コピー・コントロール技術またはカラーストライプ・コピー・コントロール技術を使用してはならない(1201条(k))。