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著作権分科会 私的録音録画小委員会(第2回)議事録・配付資料

1. 日時
平成19年4月16日(月曜日)13時30分〜15時30分

2. 場所
三田共用会議所 3階 会議室

3. 出席者
(委員)
野村分科会長、石井、井田、大渕、華頂、亀井、河村、小泉、河野、小六、椎名、津田、筒井、土肥、苗村、中山、野原、生野、松田、森田
(文化庁)
高塩次長、吉田審議官、甲野著作権課長、川瀬著作物流通推進室長ほか

4. 議事次第
(1) 開会
(2) 委員及び文化庁出席者紹介
(3) 議事
ファイル交換実態調査報告等
制度の枠組みについて
その他
(4) 閉会

5. 資料
資料1   著作権法で認められている私的複製と作成後の利用の範囲(PDF:79KB)
資料2 30条の範囲の見直しと補償措置の必要性の関係について(PDF:57KB)
資料3 ベルヌ条約の3ステップテストと30条の権利制限の関係について(PDF:83KB)
資料4 違法サイト等に対する権利者団体等の主な活動
資料5 私的録音録画可能型配信の類型と30条の対象外とすべき範囲について(PDF:58KB)
資料6 私的複製として認められる範囲の国際比較(PDF:214KB)
資料7 私的録音録画により権利者が被る不利益と著作権保護技術の関係について

参考資料1 ファイル交換実態調査(概要)(PDF:236KB)
参考資料2 違法な携帯電話向け音楽配信に関するユーザーの利用実態調査(PDF:166KB)
参考資料3 有料音楽配信売上実績
参考資料4 私的録音録画問題に関する検討の進め方

6. 議事内容
(中山主査) それでは、時間でございますので、ただいまから文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会の第2回を開催いたします。
 本日は、御多忙中のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の会議の公開についてですけれども、予定されている議事内容を参照いたしますと、特段非公開にするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の方々には入場をしていただいているところでございますけれども、これでよろしゅうございましょうか。

〔「異議なし」の声あり〕

(中山主査) ありがとうございます。それでは、本日の議事は公開ということにいたしまして、傍聴者の方々にはそのまま傍聴をしていただきたいと思います。
 議事に入ります前に、委員の欠席時のオブザーバー出席についてお諮りをしたいと思います。この小委員会は、今後具体的な課題についての議論を進めていくわけでございますけれども、補償金制度に利害関係を有する委員から、どうしても出席できないときには本人の指名するオブザーバー出席を認めてほしいという要請がございました。この扱いにつきまして、事務局から具体的な提案についての説明をお願いしたいと思います。

(川瀬室長) それでは、御説明をいたします。
 本小委員会も、前期から事実上2年目を迎えることになりまして、今後、制度の詳細にも踏み込んで議論を進める必要が生じてきております。このようなことから、利害関係を有する複数の委員から、仕事や健康上の理由で委員会に出席できないときは別の人を出席させ発言できるようにしてもらえないかという要望がございました。著作権分科会の小委員会は、従来から特定の事項に関する説明者を除きまして、本人以外の出席を認めてまいりませんでした。しかし、本小委員会においては、形式的には全員学識経験者という建前をとっておりますけれども、利害関係の委員につきましては、事実上、関係の団体の御推薦で委員に就任していただいているというのが現状でございます。今後様々な重要な課題が議論される予定になっていますけれども、議論の進行や取りまとめの円滑化を行うためには、利害関係者が出席され議論したほうがいいのではないかというように考えられます。
 3月12日の今期の著作権分科会では、小委員会の運営は小委員会が定めるという御決定がなされているところでございまして、そこで提案ですが、事務局としましては、本小委員会においては他の小委員会と同様、原則本人以外の出席を認めないとしつつも、利害関係の委員、具体的には関係の団体の推薦によって出席されております、具体的にお名前を言いますと、石井委員、井田委員、大寺委員、華頂委員、亀井委員、河村委員、河野委員、小六委員、椎名委員、生野委員の10名の委員については、本人がやむを得ない事情で出席できず、その理由について主査が適当と認めたときは、本人が指名する者のオブザーバー出席を認め、発言を許すことにしたいと考えていますけれども、いかがでございましょうか。
 なお、オブザーバー出席という用語を使っておりますのは、オブザーバーで出席した者は定足数としてはカウントしないと、それから議決権も持たないということを明確にするためにこういう用語を使わせていただきました。以上でございます。

(中山主査) 私といたしましても、今後、検討結果の円滑な、あるいは円満な取りまとめをしていくという点では、オブザーバーとして御意見を伺うということではいかがと思いますが、どういたしましょうか。よろしゅうございましょうか。

〔「異議なし」の声あり〕

(中山主査) ありがとうございます。それでは、オブザーバー出席を認め、かつ発言を認めるということにしていただきたいと思います。なお、今、川瀬室長から話がありましたとおり、定足数には入れない、議決権はないというオブザーバーという資格でございます。
 本日は、既に大寺委員の申し出によりまして、日本民間放送連盟・池田朋之知的所有権対策委員会PR専門部コンテンツ制度部会長主査が出席されております。
 それでは、議事に入ります。まず、配付資料の説明をお願いいたします。

(川瀬室長) それでは、お手元の議事次第の下の配付資料欄を御参照いただけますでしょうか。本日御用意しました資料は、資料1から資料7でございます。資料1が著作権法で認められている私的複製と作成後の利用の範囲、資料2が30条の範囲の見直しと補償措置の必要性の関係について、資料3がベルヌ条約の3ステップテストと30条の権利制限の関係について、資料4が違法サイト等に対する権利者団体等の主な活動、資料5が私的録音録画可能型配信の類型と30条の対象外とすべき範囲について、資料6が私的複製として認められている範囲の国際比較、資料7が私的録音録画により権利者が被る不利益と著作権保護技術の関係についてでございます。なお、参考資料として1から3、これは本日議題としていますファイル交換等の実態調査の説明に使われる資料、それから最後の資料、参考資料4が前回の会議でお認めいただきました私的録音録画問題に関する検討の進め方でございます。以上でございます。

(中山主査) 過不足ないでしょうか、大丈夫でしょうか。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。まず、第30条の範囲の見直しとの関連におきまして、昨年関係団体でファイル交換ソフト利用実態調査や違法な携帯電話向けの音楽配信に関するユーザー利用実態調査が行われておりますので、その内容につきまして日本レコード協会の畑陽一郎法務部副部長から御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

(畑・日本レコード協会) 日本レコード協会法務部の畑と申します。よろしくお願いいたします。
 では、参考資料の1から3に基づきまして、昨年、権利者団体等で調査をいたしましたファイル交換ソフトの利用実態、及び、違法な携帯電話向け音楽配信に関する利用実態についてご説明させていただきます。
 まず、参考資料1「2006年ファイル交換ソフト利用実態調査結果の概要」ですが、この調査につきましては、2002年からコンピュータソフトウエア著作権協会(ACCS)様が中心となって実施しております。当協会(レコード協会)は、年度によって共同調査もしくは調査協力という形で2002年から関与させていただいております。
 では、内容のほうに入らせていただきますが、1ページ目は調査方法でございます。このファイル交換の調査は、インターネット上のWEBアンケートで行っておりまして、2006年6月13日から18日にかけて、有効回答者数約1万9,000人で行いました。
 まず、ファイル交換ソフトの利用実態ですが、3ページ目をご覧いただけますでしょうか。ファイル交換ソフトの利用率とその変化ですが、「時系列」のグラフの「2006年全体」というところをご覧いただけますでしょうか。現在利用者が3.5パーセント、過去利用者が8.6パーセントということで、合わせて12パーセントのインターネットユーザーがファイル交換ソフトの利用経験があるという結果が出ております。ここで、現在利用者とは、2006年6月の調査時点から、過去1年間以内に利用したことがある人と定義しております。一方、過去利用者とは、同じく調査時点から1年以上前に利用していた人としており、これらを合わせて12パーセントが利用経験があるという結果です。これは、2002年から調査を始めた中で最も高い利用経験率になっております。
 次の4ページ目でございますが、この利用率をもとにファイル交換ソフトの利用者数を推定した数字です。「インターネット白書2006」を基にしまして、約5,000万人を我が国のインターネット利用者数とし、それに先ほどの利用率を掛けました。その結果、現在利用者が約176万人、過去利用者が約433万人、合わせて608万人がファイル交換ソフトを利用していた、あるいは利用しているという結果になっております。
 次の5ページ目でございますが、今度は主に利用されているファイル交換ソフトです。ファイル交換ソフトも幾つかの種類が出てきております。この表からおわかりのとおり、WinMXというソフト、それからWinny、これは情報漏洩やウイルス等の問題で社会問題化しておりますが、この2つが主に利用されているということがわかります。色の濃いグラフは現在利用者が主に利用しているソフトということで、現在利用者につきましては33パーセントの人がWinny、次いでWinMXということで、Winnyの利用者が圧倒的に多いという実態がございます。
 今度は8ページ目でございますが、先ほどファイル交換ソフトの利用者数を説明しましたが、今度はそれらの人々が平均でどれくらいのファイルをダウンロードしているのかという数字です。これも2006年のところを見ていただきたいのですが、現在利用者の平均ダウンロードファイル数が194ファイルという数字が出ております。現在利用者は過去1年間にファイル交換ソフトを利用していた人ですので、これに先ほどの現在利用者数175.5万人を掛け合わせますと、推定ですが、1年間で約3億4,000万ファイルがファイル交換ソフトによってダウンロードされているという実態が浮き上がってきます。
 次の9ページ目でございますが、その3億4,000万ファイルの内訳がどうか、平均192ファイルの内訳がどうかという調査です。ジャンル別のダウンロード数は、ページ下のグラフのとおり、一番多いのは音楽関連ファイルということで、やはりファイルサイズが小さいポピュラーなコンテンツということで、音楽関連のファイルが一番ダウンロードされているという実態がございます。それに次いで映像関連、画像写真関連、ソフトウエアとなっております。
 この音楽関連ファイルにつきましては、次の10ページ目に詳細と時系列のグラフがございますが、2006年の現在利用者の平均ダウンロードファイル数が87ファイルという数字が出ております。これに先ほどの現在利用者数と掛け合わせますと、音楽ファイルのファイル交換ソフトによる年間ダウンロード数が約1億5,000万ファイルという数になります。
 この約1億5,000万ファイルという数がどういう規模になるかということですが、参考資料3をご覧いただけますでしょうか。「2005年/2006年有料音楽配信売上実績」という表です。、私ども日本レコード協会の会員社がインターネットあるいはモバイルで有料音楽配信を行っておりますが、その売上実績をまとめた表でございます。今回のファイル交換ソフト利用実態調査に対応する1年間ということで、2005年1〜12月のインターネットダウンロードの数字をご覧いただきたいのですが、数量が通年で約950万回となっています。「回」というのは、必ずしも単位が1ファイルではないということで、この統計では「回」と表現しておりますが、約1,000万ぐらいが有料音楽配信の実績ということになっております。それに比べると15倍の音楽ファイルがファイル交換ソフトでダウンロードされているという調査結果になっております。
 続きまして、22ページをご覧いただけますでしょうか。過去利用者ということでファイル交換ソフトの利用をやめた方もかなりの数いらっしゃいます。どうしてやめたのかという理由を聞いたのがこの22ページでございます。一番多いのは46.2パーセントで「セキュリティー、ウイルスなどが心配」という人たちです。Winnyにつきましてはいろいろな社会問題がクローズアップされておりますので、それを理由にやめた方が一番多いということですが、一方、二番目に26.4パーセントが「著作権侵害などの問題がある」、あるいは「利用者が摘発されたという報道があった」という人が8.6パーセント、「開発者が摘発されたという報道があった」という人が7.4パーセント、その他「アーティストの不利益になる」、「自分が摘発の対象になると思った」という方々も一定割合いらっしゃいます。そういった面では、権利者団体のエンフォースメントや啓発活動等の取り組みが功を奏していると言える部分もあるのではないかと考えております。
 続きまして、参考資料2でお配りしております「違法な携帯電話向け音楽配信に関する調査」の報告をさせていただきます。まず、背景状況を少し述べさせていただきます。ご存知のとおりモバイル向け音楽配信につきましては、2002年12月からレコード会社が市販CDの音源を用いた45秒程度の「着うた」サービスを、2004年11月から「着うたフル」でフル音源の配信を開始しております。
 このようなサービスが可能になった背景としては、端末の高性能化あるいは多機能化ということ、もう一つはパケット定額制の導入によりこのようなサービスを行う環境が整ったということですが、一方、それにつれて違法な音楽配信というのも同じ環境のもと増加しております。市販CDの音源を無許諾・無料で携帯ユーザー向けに配信するという実態が今非常に蔓延しておりまして、公式サイト以外の勝手サイトで、着うたあるいは着うたフルという名称を使って音楽ファイルを送信する。特に昨年の夏以降は、携帯電話向けの掲示板サイトでのファイル投稿で、違法な音楽のやりとりが行われる実態が顕著になっております。その理由としては、誰でも気軽に投稿できる、またダウンロードできる。そういったことを背景に、この掲示板を使った違法な着うた、着うたフルのやりとりが今大きな問題になってきております。
 そのような状況を受けまして、私どもレコード協会では、昨年11月に違法な携帯電話向け音楽配信の実態調査を実施いたしました。3ページ目をご覧いただきたいのですが、調査期間は2006年11月3日から8日、携帯サイトにおいてモバイルアンケートを実施しました。サンプル数が1,036、年齢は12歳から39歳を対象としております。
 調査結果でございますが、4ページ目でまずは有料配信について聞いております。今回の調査対象者の中では54パーセントが有料サイトの利用者、月2〜5曲ダウンロードする者が多いという結果になっております。
 そのような人たちがどのくらい違法サイトを利用しているかということですが、6ページ目をご覧いただけますでしょうか。利用率、認知状況をまとめております。全体では、利用率として35.5パーセント、認知率として74パーセントという結果になっております。特に、年代別では、年齢が若くなればなるほど利用率、認知率が高くなっており、12歳〜15歳のレンジでは利用率が64.5パーセント、認知率に至っては90パーセントが違法サイトを認知しているという非常に高い数値が出ております。
 また、このようなサービスを使ってアップロードする頻度を8ページにまとめてあります。このような携帯サイトへの楽曲アップロード経験は全体で17.7パーセント、これもやはり若い層、12歳から19歳というティーンエイジャーが非常に高い数字を示しています。
 12ページをご覧いただけますでしょうか。そのようなユーザーが平均でどのくらいのファイル数をダウンロードしているかというまとめですが、まずは45秒程度の着うた形式については、平均で月2.75曲という結果になっております。これも12歳〜15歳が非常に高く、月平均6.36曲となっています。冒頭の有料配信において「2〜5曲」の人が多いという結果に比べて、やはり非常に多いということがおわかりいただけるかと思います。
 その次、13ページ、こちらは違法な着うたフルの形式の平均ダウンロード曲数ですが、全体で1.42曲、12歳から15歳につきましては2.45曲という結果が出ております。これらのデータから違法サイトからの年間のダウンロード数を推計いたしました。着うた形式、着うたフルの形式、両方合わせて年間で約2億8,700万ファイルという推定をこの調査では行っております。推定の方法としては、資料のとおり、着うた、着うたフル、それぞれ月間のファイル数を出して、1年間の数字に展開しております。
 次に16ページ、このような違法サイトを利用する意識を聞いております。違法サイト利用者の著作権に関する知識、それから罪悪感の有無を聞いておりますが、約76パーセントの方が著作権に関する知識は持っています。これは、ネットで配信するためにはアーティスト等の許諾が必要であるということを認識しつつも、約8割強の方が違法サイトの利用についてあまり罪悪感を持っていない、後ろめたさを感じていないという結果が出ております。
 最後に19ページですが、今後もこのような違法サイトを利用したいかという問いに対して、全体で57パーセントが何らかの形で利用していきたいという回答をしています。
 先ほど14ページで年間約2億8,700万ファイルのダウンロードがあると推定いたしましたが、これも先ほどの参考資料3を見ていただきたいのですが、モバイル向けの有料配信につきましては、2005年通年で約2億5,800万回となっており、これを上回る2億8,700万ファイルが違法サイトからダウンロードされたと推定しております。
 以上、違法なファイル交換、違法な携帯電話向け音楽配信に関する調査結果をご説明いたしました。

(中山主査) ありがとうございました。ただいまの御報告につきまして質問ございましたらお願いいたします。

(野原委員) 貴重な調査結果を御説明いただいて、どうもありがとうございます。調査結果について二、三質問があります。1点目は、ファイル交換ソフトの利用実態調査結果で、8ページ目に、ダウンロードされたファイル数があり、2006年では、ファイル交換ソフト利用者一人あたり平均194ファイルで200近いという結果になっていますが、201ファイル以上使っているのはファイル交換ソフト利用者の18.8パーセントに過ぎないので、平均194というのは随分高い値が代表値だなという印象です。200ファイル以下の利用が81.2パーセント、実際にソフトを使っている人の8割以上は1年間に200ファイル以下ですし、半分近い方が50ファイル以下で、ファイル数は多くはないと思いますが、平均だけをおっしゃられると多い印象がしましたので、どうしてそういう結果になったのかなというのが1点です。
 そして、ファイル交換ソフトの利用者は3.5パーセントと御説明いただきましたので、201ファイル以上ダウンロードした人は、全体で見ると0.6パーセントぐらいですね。調査結果として非常にたくさんダウンロートされていると言われると、ちょっと印象が違うなというのが感想ですね。なので、質問としましては、平均194というふうになったのはどういうふうに計算をされたのかを教えていただきたいと思います。

(畑・日本レコード協会) 8ページには、設問として示したファイル数のレンジ、及び利用者の割合を示しておりますが、各レンジのセンター値をとって加重平均すると、この194ファイルという数字になったということでございます。

(野原委員) わかりました。もう1点。先ほどの発表でもう1点気になったのは、調査結果を全体数に換算されて、現在利用者は175万人とか、過去利用者が432万人とカウントされているんですが、このときのインターネットユーザー全体を約5,000万人というのを母数に使っておられます。調査方法はWEBアンケートですので、回答者はウェブユーザー、しかも比較的アクティブなユーザーですが、5,000万人のインターネットユーザーにはWEBを使わないメールだけのユーザーも含まれます。WEBアクティブユーザーに対して行った調査結果の比率を、インターネットユーザー全体を母数にかけ算して計算してしまうと、数字が大きめに出ているのかなと思います。弊社でもこうした調査を多数やるのですけれども、そういう場合はWEBを日常的に使っているユーザー3,000万人ぐらいを母数にします。ちょっとこれは割り増しの人数かなというふうに感じました。以上です。

(中山主査) 何か答えはございますか。

(畑・日本レコード協会) 調査結果として出す数字については、いろいろな推定の方法があるかと思います。ご指摘のとおり、調査対象者の属性によっては何らかの補正を行う場合もあるかと思いますが、今回の調査につきましては、全体の数がもともと推計値であり、それにまた補正を行うと推計に推計を重ねるような結果となりますので、補正は行いませんでした。あくまでも、今回の調査結果に基き、公表された数字を用いて推定値を出すとこの数字になる、ということでご了解いただければと思います。

(中山主査) ほかに質問ございませんでしょうか。どうぞ、津田委員。

(津田委員) まず1点御確認させていただきたいのですけれども、この調査というのはどういう位置づけになっているのですか。この調査を踏まえた上で、例えば本日の議論を行うという形になっているのか、ちょっとまずそこを確認した上で幾つか疑問があるので。

(中山主査) その点については事務局から。

(川瀬室長) 前回の小委員会で30条からの見直しするにあたって課題が少ないだろうという整理がされたものに今違法サイトの複製がございますから、その関連の調査ということで御紹介をさせていただきました。審議にあたっては、これを踏まえた上でというふうには考えておりませんけれども、審議の参考にというような位置づけでございます。

(津田委員) 僕が今この資料を見たところでちょっと思うところを言わせていただくと、まず有料配信、今違法なファイルというのが有料音楽配信の約10倍のファイルが流れているというところで、わりとこういった調査でよくありがちなのが、10倍違法なファイルが流れている、これが売上げを減らしているという議論になりがちで、例えばその違法なファイルをダウンロードしている人の多くというのは、ある意味、無料でダウンロードできるからダウンロードしているわけであって、やはりそれが全部違法な状態になったらその人たちが10倍流通しているものを買うようになるかといったら、単純に僕は買わなくなるだけだと思うのですよね。
 やはり消費者の可処分所得というのはどうしても限界がありますし、そういったものを違法なファイルをダウンロードすることを違法になりますよというような形で、ある種おどしのようなことをしたら、多分単純に彼らは買わなくなるだけであって、そういった違法な状態に積極的にすることが売上げを伸ばす、という議論に陥りがちなのはちょっとそこには釘をさしておきたいなというのが思っていて。違法着うたの調査のほうの16ページで、違法サイト利用者は著作権に対する知識は持っているが罪悪感に結びついていないという、この結果がやはり僕はある意味で象徴的なのかなと思っていまして、罪悪感がないからこそ無料でダウンロードするというところがあって、そういう彼らが罪悪感を持つようになって、それが購入に結びつくかというと、僕は必ずしもそうではないなと。
 例えば、特に違法着うたの場合、一番ヘビーな利用者というのが十代の中学生とか小学生の高学年みたいなデータもありましたけれども、自分が小学生とか中学生で音楽に興味を持ったときのことを考えると、CDとか、ちょうどレコードとCDの僕は切り替えの時期だったのですけれども、そのときにレコードを買えたかというと買えないんですよね。やはりCDとか3,000円とか2,800円とかしましたから、そのときに僕がもらっていたお小遣いというのは大体3,000円とか5,000円とかですから、1カ月に1枚買ったらもう何もほかに本も買えなくなるみたいな世界になってしまいますから、そうするとやはり友達からコピーさせてもらったりとか、あとはレンタルに行って、それでもレンタルだってテープ代とか考えれば1枚500円ぐらいはかかるわけですから、そういう意味ではなけなしのお小遣いをはたいてやっていたという部分があるので、それが今はもう全然全く状況が変わってインターネットになって、着うたで友達とやりとりできる。そこのカジュアルさというのでは全く違いはあるのですけれども、ただ、現状は中学生が使えるお小遣いって、大体話を聞いてみるとやはり1カ月5,000円とかぐらいですから、その上で携帯を持って携帯の料金の中でやりくりをしているという状況があるわけですから、そういう人たちに罪悪感というか、いたずらに違法なものというので植えつけることで、それでみんな着うたを、有料の高いものだと1曲420円とか今しますから、そういうものをバカスカ買ってくれるかというと、そんなことはないだろうなというふうに僕は思います。
 あと、今、有料音楽配信がちょっと伸び悩んでいる、合法なのが伸び悩んでいるというのは、もちろんこういった違法なものの存在も影響としてはあるでしょうけれども、もう一つはやはり有料音楽配信が抱えている根本的な問題としてやはりカタログが全然CDと比べて少ない。普通のCD屋で売られているようなCDが音楽配信のサイトに行ったら全部そろっているかといったら、そろっていないというところがあって。そういった、聞きたい曲を、携帯とかで聞きたいのに着うたのサイトへ行ってもないから、でも違法な着うたのサイトに行ったらあったからそっちを聞きたいという、そういうケースもあるわけですから。またそういうのに加えて、その主張としてファイル交換ソフトみたいなものを使っているという人も少なからずいることはいるので、この辺というのは、この資料自体が30条の範囲の今回の議論と非常に絡みが大きい部分になるので、いたずらに違法ファイルのダウンロードは犯罪ですということをアナウンスすることによって、逆に音楽に興味を持っている若い若年層が音楽を聞くの自体が何か怖いからやめようみたいな、音楽に興味を持てなくなってしまう可能性が僕はあるんじゃないかと危惧をしていて、それは逆に業界にとっては長い目で見るとよくないことなのではないのかなと思いまして、だからこういう結果は慎重に検討しなければいけないのではないのかなと思います。すみません、長くなりました。

(中山主査) ありがとうございました。損害については、レコード協会の資料だけではなくて、例えばアメリカなどが途上国で海賊版が出回っている、それにより幾ら損害を受けたかというと、海賊版が皆買ってくれたら幾らという、こういう計算をしているわけで、それはそれで計算はそうなっているということを前提に、今の津田委員のことも加味して考えてもらえればと思います。
 ほかに。生野委員。

(生野委員) 今、中山先生がおっしゃったとおり、違法に流通しているものがなくなった場合、全部合法配信の売上にオンされるのかというと、そうではなく、有料だったら買わないということもあり得ます。ただ、先ほどの数字の説明のとおり、PC向けの配信については、合法配信に対して違法な流通が約15倍ぐらい、携帯向けのものについては2005年の合法配信のデータを上回る量が違法な形で流通している。常識論として、これが市場で正規なものと衝突していないわけがない。そもそも海賊版、海賊行為というのは社会悪であるということ、これは誰でも認識していただけるところだと思うのです。健全な音楽配信ビジネスを一層成長・普及させて、ユーザーの音楽へのアクセスに供していく、ユーザーが喜ぶような流通を展開していくためには、この対策がぜひ必要だということをご理解いただきたいと思います。

(中山主査) ありがとうございます。ほかに御質問等ございましたら。

(苗村委員) 先ほど津田委員からの御指摘があったのでちょっと気になった表現で、レコード協会としての御回答がいただけると大変ありがたいのですが。今日の参考資料2の16ページで、違法サイトの利用意識ということで調べられていますが、違法サイトである違法な複製物を公衆送信しているサイトである、ということを知っている利用者がそこからダウンロードして自分で楽しむということは、現在の著作権法上、違法ではないという前提でこれを質問されていると理解してよろしいですか。つまり、現在の法律上は合法的なことをしている人が罪悪感を感じないのはある意味では正しいことで、それが何かこの文章はいかにも違法であるにもかかわらず違法であることを知らないというように読めてしまうので、ちょっとそこだけ確認したいのです。

(畑・日本レコード協会) 違法サイトからダウンロードする行為は現状違法ではないわけですが、この質問については、提供されているコンテンツが違法なものという意識のもと、その利用を後ろめたいと感じるかどうかということを聞いております。

(野原委員) 今の話に関連なのですが、16ページの9-12のクエスチョンは、あなたは無料ダウンロードサイトを利用する際に後ろめたさを感じますかというふうに書いてありますので、無料ダウンロードサイトが違法ということではないと思うのですけれども、それは私の解釈違いでしょうか。

(畑・日本レコード協会) その点につきましては、参考資料2の5ページをご覧いただけますでしょうか。本調査におきましては、ユーザーへは無料サイトという質問の仕方をしておりますが、これは、違法サイトという質問をした場合回答にバイアスがかかる可能性を考慮いたしまして無料サイトという聞き方をしております。
 ただし、設問の流れの中で、無料サイトとは許諾を得ないサイトであるということがわかるような構成にしております。また、無料サイトでも中には合法的に無料で提供しているものもあり、例えば、レコード会社がプロモーション目的で一定期間無料で提供している、あるいはプレゼント提供しているというものにつきましては、今回の設問の無料サイトという範疇には含まないということも設問の中で明確化しております。従いまして、無料サイトイコール違法サイトと全ての回答者が認識しているとは限りませんが、そのような意識で回答していただけるような設問の組立てにしております。

(中山主査) よろしいでしょうか。ほかに何か。
 それでは、時間も大分過ぎましたので、引き続きまして前回御検討いただきました参考資料4の検討の進め方に沿って順次検討を行っていきたいと思います。
 まず、第30条の範囲の見直しにつきまして、事務局より資料の説明をお願いいたします。

(川瀬室長) それでは、お手元の資料1から6を御説明をしたいと思います。
 まず、検討事項としては30条の範囲の見直しですが、それに関連する資料を御用意させていただきました。まず、資料1を御覧いただけますでしょうか。これは現行法で自由利用が認められている、私的複製の範囲とその作成後の利用の範囲を図表にしました。まず左側の複製物の作成時というところを見ていただきますと、我が国の30条は私的使用の目的をもって、使用する者が複製をするというもので、この2つの要件は「かつ」でくくられています。
 私的使用は、注1にもありますように、個人的または家庭内、それに準ずる限られた範囲において使用することが目的でして、その要件を満たし、かつ、ここにありますただし書きの類型でなければ、無許諾での利用を認めているということです。従って、当然の話ですが、その下の段にいきますと、これは許諾のいる利用ということです。例えば、私的使用目的以外の利用ということで、業務用で利用すること、また、使用する者が複製する以外のこと、例えば、他人のために複製をしてあげるというような場合です。
 ただ、注2を見ていただきますと、複製主体については、その実態によって必ずしも実際に複製した人とは限らないということがあります。例として、手足理論と書いていますが、これは、例えば、親の言いつけに従って子供がコピーをする場合の複製主体は、子供ではなく親であるとか、社長の言いつけに従って秘書がコピーする、先輩の言いつけに従って後輩がというような理論もございますし、その他にも利用形態によっては依頼した者が複製主体になる場合もあろうかと思います。
 右側は、作成したものをその後どのように利用するかです。青いところは本人または家族等で使用するということですから、これはまさしく私的使用の範囲ということです。それから、一番下の段ですけれども、私的使用のために作ったものを他人に頒布等をするということですが、1枚めくっていただきますと著作権法の抜粋がございますが、「頒布」というのは複製物を公衆に譲渡し、または貸与することということ。「公衆」といいますのは、特定かつ多数の者を含むということで、不特定または特定かつ多数を含み、特定者に渡す場合には公衆には該当しないことから、「頒布」に該当しないことになります。
 一番下の49条を見ていただくと、これは、目的外使用の規定でして30条1項の目的以外のためにその複製物を頒布し、また、複製物によって当該著作物を公衆に提示した者は21条の複製を行ったとみなします。つまり、その目的以外の目的のために、複製したならば、再評価をするということになっています。従って、1ページ戻っていただきますと、仮に私的使用のために複製したものであっても、中古屋への譲渡やオークションへの出品など不特定者への譲渡や公衆に対する上映会などを催しますと、これは目的外使用ということで本人の行為が違法になるということです。
 次に、真ん中ですが、これは不特定の人への譲渡ではございませんので、私的使用目的で複製したものを特定者にあげるというような場合、30条の範囲は超えているが、特に違法ではないということになります。事実上30条がカバーしているということです。
 それから、資料2ですが、30条の見直しと補償の必要性、両方にかかる資料でして、30条の見直しの議題については左だけを御説明します。
 まず、30条の範囲のところを見ていただきますと、一番外枠が昭和45年に現行法ができたときの30条の範囲でございました。それが59年、平成11年の改正で範囲が縮まったわけです。59年はいわゆる高速ダビング業者の設置した機器を用いて行う私的複製、平成11年はいわゆるコピー・プロテクションを装置した機器を回避して行う複製が外れたわけです。
 今回、前期の小委員会で見直しするにあたって課題が少ないというふうにされた類型でございます。違法複製物、違法サイト等からの複製、今、実態関係のお話がありました。例えばファイル交換ソフトによるダウンロード、それから適法有料配信等からの複製、ダウンロード型の音楽配信サービス等を30条から外してみてはどうかということです。従って、もし仮に外した場合、この下の類型が30条の範囲にとどまります。ただ、友達から借りたCDからの複製については、前期において、一部委員から、このような類型も30条の外に出してはどうかいう御意見がございました。
 それから、資料3ですが、これはベルヌ条約の3ステップテストと30条の権利制限の関係についてです。これも補償の必要性の議論と同じ資料を使いますので、まず30条の見直しのところを御説明させていただきます。ベルヌ条約の3ステップテストといいますのは、2枚目をめくっていただきますと、ベルヌ条約の逐条解説の抜粋がありまして、第9条2項例外というところで、これが条文でございます。その前に1項というものがあり、これは著作者が与えられる複製権について規定しているもので、方法、形式を問わずあらゆる複製について原則として権利が働くと1項が定めているわけです。2項の複製権の例外については、特別の場合について、それから、ただし書きのところは、そのような複製が当該通常の利用を妨げず、かつ、著作者の正当な利益を不当に害しないということを条件として、複製権の例外を定めることが各締約国に留保されているという構造になっています。
 元に戻っていただきまして、その構造を図表にしたものが最初の表でございまして、まずSTEP1であります特別の場合という概念とは、私的使用の複製ということだと思います。それから、通常の利用を妨げないこと、著作者の利益を不当に害しないということで、そのSTEP3の枠内におさまっていれば権利制限が認められる。特に無許諾、無償の権利制限が認められるということです。
 もう一度2ページを見ていただきますと、9.7の解説では、もくろまれている複製が著作物の通常の利用を妨げる場合、複製は全く認められないことになっていますので、そのSTEP2の外枠に出ますと、これは権利制限が認められないということではないかと思います。今まで30条を狭めてきました2つの類型については、一番上の類型はいわゆるこれは高速ダビング屋のところで行う私的複製ですが、まず高速ダビング屋がコピーをするのと同視し得る行為であると、また私的領域の外で行われる行為であるということから、通常の利用を妨げる利用ということで、外に出したと考えられるのではないかと思います。
 それから、技術的保護手段の介して行うものについても、例えばDVDのように市場でコピーをさせないということで流通させているにもかかわらず、あえてそれを回避して行うコピーというようなものが想定されますので、これも通常の利用を妨げる行為ということで、30条から外されたものと整理できるのではないかと思います。従って、違法サイトとかの録音録画については、前期の小委員会で、権利者被害の深刻化、違法行為が蔓延する助長につながる恐れがあるとか、違法サイト取締りの実効性の強化というようなことが指摘されておりますが、関係者から、例えば発売前のCDの音楽がアップロードされたり、または興行前の映画がアップロードされたりして利用されるというような実態をよく聞きます。特にネットの場合については一たんネットにアップロードされますと、だれでもファイル交換ソフトを入手すればダウンロード可能というような状況になりますから、考え方としてはこの3ステップに照らせば著作物の通常の利用を妨げる行為に位置づけられるのではないかというのがこの資料です。
 資料4は、そういう違法サイト等に対する権利者団体との主な取り組みでして、対象としては、投稿サイト(You Tube)の問題がございますが、これも権利者団体23団体が削除要請を行っているところです。パソコン向けの違法音楽、映像配信については、日本音楽著作権協会、日本レコード協会、それから日本国際映画著作権協会、これは洋画関係の映画会社の団体ですが、それから携帯電話向け違法音楽・映像配信については、このとおり音楽関係の6団体、それからJASRAC(ジャスラック)、レコード協会が。それから最後ですけれども、ファイル交換につきましては、これも著作権の関係団体の実態調査、それからコンピューターソフトウエア著作権協会、日本音楽著作権協会、日本レコード協会の警告、法的措置が行われているということです。
 それから、資料5ですが、これは私的録音録画可能型の配信の類型と30条の対象外とすべき範囲についてということで、これは適法配信についての資料で、私的録音録画可能型の配信は、ダウンロード配信があります。音楽の場合に利用者の求めに応じて、ある楽曲をその利用者のパソコンにコピーしてやるというダウンロード型ですが、注2を見ていただきますと、有料配信サービスにおいては、パソコンへの最初のダウンロードの複製主体は配信業者であると考えられておりますので、私的録音録画可能型配信といいますのは、一たんダウンロードしたものを私的使用の目的でコピーすることが可能な類型と御理解いただけたらと思います。
 一番上の資料は、営利・非営利、有償・無償と、有償か無償かというのは、利用者がそのコンテンツの適用の対価を払っているかどうかという意味ですが、契約あり・なし、これは配信業者等との利用者との間の契約があるかないかによって、適法サイト等からの録音録画についは、その1・2・3のような類型に分かれるのではないか。1につきましては、有料配信サービスですので、これは仮に30条からの対象外にするということであれば、今までの議論の中で1については対象外にするということになろうかと思います。それ以外に、2、3という類型の適法配信サービスがあるわけですが、それらをどうするかというのは少し議論をしていただくということで、1を抜くかどうかについても、議論は勿論ありますけれども、それプラス2、3についてどうするのかということです。
 その下が、違法サイトからの録音録画ですが、これも前期の小委員会で整理されましたように、情を知っているかどうかによって、その対象を変えてくるわけですが、それを示した表でございます。
 その下の資料は、各サイト等の類型ごとの実態を簡単にまとめています。これは、その上の123の類型ごとに実態の有無、その他について整理したものです。まず実態の有無ですが、営利・有償の1の類型に入るものについては実態があると。2については、例えば広告主が広告料を払ってダウンロードしたものの私的複製を認めるという類型ですが、これは関係者に聞きましたところ、実態はないのではないかということでばつにしています。それから次の類型、例えば一般のホームページで音楽等を提供した利用者に自由にコピーさせる、もしくは、ある制限の中でコピーされるというようなものですが、これは商業用の音楽・映像の例はほとんどないと聞いております。一部あるとすればシンガーソングライターで、自分が音楽を作って、それを配信して自由にコピーさせるというような類型があるのではないかということで、さんかくとしております。
 それから、右側が利用者の録音録画も含めたビジネスモデルの構築が行われているかどうかということですが、これは1についてはまる2についてはさんかくですが、これば実態がないので、今はないですが、仮に実態があるとすれば1と同様のモデルになるのではないかということです。
 それから、配信事業者と権利者との契約によって私的領域における録音録画の管理、つまり、これは著作権の保護技術によって管理が行われているかどうかということですが、これも同じでございます。
 一番右側が配信事業者と権利者との利用者の契約の有無ということで、これはすべて実態があれば当然契約があるということになるのではないかと思います。
 最後、資料6ですが、これは私的複製が認められている範囲の国際比較をしたもので、大陸法系の国の2国、ドイツ、フランス、それから英米法系の国のアメリカ、イギリスについて少し整理してみました。ドイツについては、補償金制度がございますが、営利を目的とせず、それから明らかに違法に製作された原本が用いられないと、これは2003年の改正で新たに追加されたものでございますが、自然人が私的使用の目的とした少量の複製を行うことを、権利制限として認められております。
 フランスは、これも補償金制度はございますが、私的使用の目的、集団的使用が意図されないという場合に認められます。ただしということで、通常の利用を妨げるものであってはならず、かつ著作者の正当な利益を不当に害するものであってはならないという条文が、2006年、去年の改正で追加をされております。
 アメリカでは、補償金制度があることになっておりますが、一部ありといいますか、限定的にあるということでございます。これは有名なFair useの規定でして、使用の目的、著作物の性質、使用の量・程度、潜在的な市場または価値への影響等を勘案して決めるということで、私的録画に関しましては、ソニー・ベータマックス訴訟によって、これは84年の最高裁の判例でタイムシフティングの録画行為については公正な使用と考えられております。また、録音については92年の家庭内録音法に基づきまして録音機器・録画機器を用いた、これはアナログ、デジタルを問わないのですけれども、消費者が非商業目的で音楽を録音することは著作権侵害として訴訟を提起できないということになっております。
 イギリスについては、補償金制度はございません。ただ、私的使用はほかの国に比べて非常に狭くて、研究・私的学習を目的としたということで、私的使用よりもさらに限定した目的でFair dealingというのを認めているということです。なお、二番目のポツですが、タイムシフティング視聴につきましては別途条文を設けて、その複製を認めています。以上です。

(中山主査) ありがとうございました。それでは、30条の範囲の見直しについての議論に入りたいと思いますけれども、ただいまの室長の説明につきまして御意見や御質問ありましたらお受けしたいと思います。どうぞ、亀井委員。

(亀井委員) 亀井でございます。それぞれ資料が少しずつたくさんあるのですが、どれにすればよろしいのでしょうか。すべて申し上げてよろしいですか。

(中山主査) どうぞ。

(亀井委員) それでは、順に御質問を申し上げてまいります。まず、資料2でございますが、先ほどもレコード協会さんのアンケートにもありましたが、前々からこの審議会でも違法サイトという言葉があまり定義をされずに使われていますので、これは資料の後ろのほうでも違法サイトと適法サイトと分けられておりますが、違法サイトとは法律上で議論すると一体何であるかということを少し前提を置いたほうがいいのではないかと思われます。これは違法複製物のダウンロードのことを言っているのか、だれかがレッテルを貼って違法サイトだと言えばそれでそうなってしまうということは多分ないと思いますので、これは何か議論をする際には少し注意がいるのではないかと思われます。
 それから、同じ資料の許諾不要の中、右の下の箱でございますが、不利益の大小、あるいは限定的によって補償措置必要性あり・なしという区別がなされております。これは次の資料3にあるベルヌ条約との関係、重大な利益の損失という意味で不利益が説明をされているかと思いますが、これは一体どのようなものであるのかということについてきちっとした議論がいると思われますので、特にこの資料2の左側にある幾つかの例について、どういう場合にどういう不利益があるか、何が損害であるかということをきちっと議論する必要があると思われます。
 それから、左側の自分が購入したCDからの複製であるとか放送からの複製といったようなものの中にも、目的によって評価が変わる可能性があるものがひょっとするとあるのではないかと思われますので、こういう行為、ソースの分類だけではなくて、目的、これはタイムシフトであるのか、あるいはプレイシフトであるか、あるいはCDからMDに変えるというメディアを変えるとか、そういうようないろいろな目的があるかと思います。そういう軸もいるのではないかという点で、そういう議論ができないかというのが資料2でございます。
 資料3でございますが、これは確認でございますが、中ほどにある黄色い円の中でSTEP3と重なっている部分というのは補償不要であるという理解でいいのかどうか、そういう図であるかどうかということを1つ確認をさせていただきたい。
 それから、先ほどのと同じですが、重大な利益の損失が生ずる場合というのはいかなる場合であるのかということについて、少し何か資料があれば開示を願いたいということでございます。
 飛びまして資料5でございますが、違法サイトについては先ほど申し上げたとおりなのですが、そこの事情を知ってというのが何の事情かということが議論になろうかと思いますので、ここはもう少し説明をしていただけないかという点と、(注2)でかくかくしかじか考えられているというふうに書いてあるのですが、これはどなたがそう考えているのかという点についてお聞きしたいと。一般的に本当にそうなのかという疑問がございます。
 それから、適法サイトの12の区別というのがなかなか難しいなというところでございますが、最近のニュース報道にありましたEMIというレコード会社がアイチューンズで保護をかけずに、お金は払うわけですけれども、流すというようなモデルで配信を始められると出ておりましたが、そういう動きというのはこの中でどう勘案していったらいいかというふうに見ると、この図だけでいいのかという少し疑問がございます。
 それから、下の四角の中は実態のみでばつというのは、先ほどの御説明では今はないということでよろしいでしょうかという確認でございます。
 もう一つ、これはお願いでございます。資料6でございますが、国際比較の中で各国の事情といいましょうか、例えばフランスですと最近法改正があったかと思いますが、添付されている中にもありますように、私的複製に相当するところを禁止できないという表現を用いている立場があろうかと思いますし、ドイツでも最近法改正の議論が行われていると承知しております。そういった議論も御紹介いただけないかということ。それから、アメリカは技術的保護手段の回避の規制の導入の際に、ある特定のケースではそのコピーを制限してはいけないというような規定も置かれたかと思います。今後の議論の中で技術保護手段のことも出てまいりますので、そういうものもぜひ入れていただけないかというお願いでございます。すみません、長くなりました。ありがとうございます。

(中山主査) では、事務局のほうからお願いいたします。

(川瀬室長) たくさんの質問ですので、もし漏れがあればまた御指摘いただきたいと思います。
 まず、資料2の定義の問題でございますが、違法複製物、違法サイトについてですが、これは額面通りといいますか、まさしくそのとおりでございまして、違法複製物については権利者の許諾を得ないで作成された例えばCDやDVDという意味です。違法サイトについては、権利者から送信可能化の権利の許諾を得ないで送信可能化されたサイトという意味で使っております。
 それから、補償措置の関係で不利益の問題等につきましては、これは、資料2も資料3も検討の進め方に沿って御説明しますと、今回、この場で検討していく議題としては、30条の見直しの議論でして、次の検討事項でいいますと、2の(1)(2)になると、補償の必要性の問題について議論をしていただくのですが、実はそれと30条と合わせたような形にしておりますので、よろしければ、次の議題に移りますときに、事務局のほうから、亀井委員から御指摘のあった点を盛り込んだ形で資料を作成しておりますので、その際に御説明をさせていただきたいと思います。資料3の御質問も同様でございます。
 それから、資料5についてですが、違法サイトの点の事情を知ってというところですが、この場合ですと、違法にアップロードされたということを知ってという意味でございます。ただ、この「情を知って」については、法制上の問題といいますか、権利者側の努力でその違法サイトかどうかの識別が、一般の人にも可能になるような方策をどのようにしていくかという問題点があろうかと思いますが、それはまた別途権利者のほうで検討していただいていますので、時期がくればその中身についてこの審議会でお話しいただけるものと考えております。
 それから、注2につきましては、これは有料配信サイトの場合については、いわゆる利用者の求めに応じて、配信業者が利用者のパソコンに複製するのですが、これは一般的に、例えば、最初に利用者のパソコンにコピーする場合については、利用者が複製主体ということではなくて、相手のパソコンをして、配信業者が複製をさせていると一般的に考えられているということを書いております。
 それから、EMIの取り扱いにつきましては、例えば配信業者に提供するときにコピーフリーで提供してもいいということですので、これは著作権の保護技術をかけようと思えばかけられるが、そういう選択をしないということですので、コピーフリーという著作権保護技術を選択したと私どもは考えております。従って、EMIのその配信方針についてニュースになっていますが、特にそれが影響を与えるというものではないと考えております。
 その下の適法サイトの類型ごとの実態のばつのところですが、これは亀井委員御指摘のとおり、関係者からいろいろと取材をしたのですが、今そういった実態はないということです。しかし、これからそういうものが行われる可能性というのは十分あるのではないかなと思われます。
 資料6ですが、私的使用のために、コピーを禁止することを制限するかについては、別途検討事項として取り上げておりますので、その場で議論をしていただければと思います。その際に、関係資料も提出させていただきたいと思います。また、近年の検討中の各国の議論、直前の法改正における内容等につきましては、必要に応じてその都度、私どものほうでも資料を整えて提供したいと思っております。以上でございます。

(中山主査) 亀井委員、よろしいですか。

(亀井委員) 1つよろしいですか。いただいた御回答の中で、資料5の(注2)の考え方でございますが、違法サイトからダウンロードされるものの複製主体というのはそうすると違法サイトの運営者になるのでしょうか。

(川瀬室長) 違法サイトからについては、行為の類型にもよると思いますけれども、ファイル交換などでやる場合には、通常、利用者が選択したものを利用者の責任でコピーしているわけですから、この場合には複製主体は利用者だと考えられると思います。私が説明しましたのは、有料配信業者と言われるものが、いわゆるダウンロード配信ということで、特に音楽などについては、ビジネスモデルの一環として、その中で配信をしていますが、それについては、一般に最初の配信については、配信業者が複製主体と考えられ、かつ、そういった運用がされているということです。

(中山主査) よろしいですか。それでは苗村委員。

(苗村委員) 今の最後のほう、資料5の(注2)について、ちょっと確認のための質問なのですが、この(注2)について先ほどの御回答では、一般的にこのように考えられているというお話だったわけですが、それは法解釈が確定しているというのではなくて、むしろ実際の契約なりその行為そのものにいろいろな性格があるので、むしろあいまいだということで言っておられるという理解でよろしいですか。といいますのは、例えば資料2では、この絵は簡略化しているのだと思うのですが、適法配信からの複製は現在は30条の範囲内であるが、今回その30条の範囲から外すというふうに提案なり言っておられるように思うので、先ほどの一般的にというのはそういう考え方があるけれども必ずしも確定はしてないという、そういうことでよろしいですか。

(川瀬室長) すみません、一般的という言葉の使い方が不明確だったかもしれませんが、例えば、ホームページからダウンロードしてコピーすること、また、違法サイトからファイル交換ソフトでコピーをすることについて、行為者が私的使用の目的でやっておりますので、一般論として、30条の範囲であると考えられます。従って、一般的と言いましたが、一般論としては、利用者がやはり行為主体であり、私的使用の目的でコピーをしているということだと思います。ただ、例外的に有料配信サービスの場合には、配信からダウンロードし、ダウンロードしたものを利用者の意図に従ってコピーをするというところまで、一体的にビジネスモデルとしていますので、少なくとも実務上は最初のパソコンへの配信については、利用主体は配信業者だということで、運用、権利行使が行われているということです。
 従って、先生が御指摘のように、それは、裁判所で認められて法的にも確立された考えということまではまだ言えないかもしれませんが、そのような有料配信に関しては、少なくともそういう考え方に基づいてビジネスが行われているということです。

(中山主査) よろしいですか。では、大渕委員どうぞ。

(大渕委員) 国際シンポジウムの関係で海外出張しておりまして、昨日の午後、成田に着いたばかりなので、まだ時差ボケのためによくわからないだけかもしれないのですが、確認したい点があります。
 先ほど御説明いただきました資料3の横長の表の1枚目なのですけれども、これの理解としては、ベルヌ条約上権利制限をかけるためにはこの3ステップテストの3つとも満たしている範囲でしかできないということだと思いますが、STEP2、「著作物の通常の利用を妨げず」とありまして、(注1)にあるとおり、著作物の通常の利用を妨げる場合には権利制限は認められないというようになりますと、普通に読むと、このSTEP2の枠の外側だとむしろベルヌ条約上は権利制限をしてはいけないようにも見えて、このような理解からすると、STEP2の枠の外側にある「公衆用自動複製機器を用いるもの」、「技術保護手段を回避して行うもの」、「違法サイト等からの録音録画」というのは、ベルヌ条約上権利制限をかけてはいけないとする趣旨のようにも見えるのですが、そのような理解でよいのでしょうか。

(川瀬室長) この資料は、ベルヌ条約の3ステップテストに照らして、今まで30条の見直しが行われてきましたが、それについては、無論日本国としてのいろいろな理由も別にあるのでしょうが、ベルヌ条約の3ステップテストとの関係で言えば、どういう関係になるのかということを表そうとしたものでして、ベルヌ条約では、通常の利用を妨げる利用については、いずれの場合においても権利制限は認められないという解釈ですので、今まで外してきた2つについては、ベルヌ条約の通常の利用を妨げるという解釈であり、勿論ほかにも理由はありますが、条約との関係で見れば、その事柄から、改正して外したのではないかと考えております。
 今回、昨年の小委員会で整理されました、違法サイト等からの録音録画につきましては、これも条約に照らせば、先ほど私が言いましたような、例えば発売前の音楽や映像がアップロードされ、自由にコピーできるような状況になるという実態もあるわけでして、これはやはり通常の利用を妨げる利用なのではないかと考えられますので、今まで改正した2つ同様、これは通常の利用を妨げる利用という位置づけになるのではないかと考えています。
 また、後で御説明しますが、真ん中のところについては、著作者の利益を不当に害しないという場合も、それは1つの権利制限が認められない要件になっていますが、これについては、ベルヌ条約の逐条解説を読んでいただくとわかりますように、権利者の利益を不当に害しないものについては、例えば補償措置をやることによって、それを権利者の不当に害する状況を害しない状況にも縮小できるという考え方がございます。補償金問題についていえば、著作物の利用を妨げてはいないが、著作者の権利を害しているというような状況については、補償措置によって、この昭和45年当時の3ステップテストにかなうような状況にできるということがあるのではないかという表です。

(大渕委員) お聞きしたかったのは、このSTEP2の枠の外側に出ている、著作物の通常の利用を妨げているという場合には、むしろベルヌ条約上は権利制限をかけてはいけないということであれば、国内立法政策として「違法サイト等からの録音録画」を30条の適用範囲内とするかどうかという話よりは、むしろベルヌ条約上義務づけられてこれは権利制限をかけてはいけないという話になるのかという点をお聞きしたかったのです。この表のとおりだとそのような趣旨に読めるようですので、その点を確認したいのですが。

(吉田審議官) すみません、ちょっと補足します。STEP1で特別の場合とあります。ここは私的使用の目的の複製というところなので、一応特別な場合かなということなのですが、御存じのように、ベルヌ条約の3ステップテストはその他の2つの要件が必要でありまして、通常の利用、利益を不当に害するかどうか。通常の利用・利益を妨げている場合には、30条のような権利制限の範囲外にしなくてはいけない。この図でSTEP2の範囲に入ってないものは、これは30条の適用範囲外と。特別な場合であっても30条の適用範囲外ということで御理解いただけると思います。30条の範囲はそのSTEP2の内側の部分の議論ということで御理解いただければと思います。

(大渕委員) 現行法では「違法サイト等からの録音録画」というのは30条の範囲内だという前提だったのですが、この表によるとこのような現行法はベルヌ条約違反ということになってしまうのかという点をお聞きしたかったのです。現行法の30条の理解では、前提として「違法サイト等からの録音録画」というのは現行法上は30条1項によって適法だけれども、今後、30条1項1号や2号のように30条1項の適用範囲外にするかどうかという議論だったかと思うのですが、この表では、「違法サイト等からの録音録画等」について30条による権利制限をかけている立法というのがそもそもベルヌ条約違反であるかのように読めてしまうので、その点に関して確認したかっただけなのですが。

(吉田審議官) 30条の範囲内として捉えてはどうかと思っていますのはSTEP2の中側です。左側のほうに公衆自動複製機器とか3つのケースがありますが、一番下のものは今議論していただいている最中なのですが、それはSTEP2の通常の利用を妨げないという条件には合致しませんので、権利制限の対象にするのは条約上問題があるということで、30条の範囲から外していくわけですが、大渕先生がおっしゃるのは、このSTEP1の枠がどうもおかしいということですか。

(大渕委員) いや、違います。著作物の通常の利用を妨げているものについてはベルヌ条約上、権利制限をかけてはいけないわけなのですが、そういうものについても、現行法の理解では30条1項の中に入っているという趣旨であるとすると、現行法がベルヌ条約違反ということになるのでしょうが、そういうご趣旨と理解してよいのかの点につき確認したかっただけです。

(川瀬室長) わかりました。この資料は30条というのが、特別な場合というのは、昭和45年に法律を作ったときに、先ほど私が説明しました資料1で私的使用の目的と、それから使用する者が複製をするということで、それ以外は何も限定がついてなかったわけですが、そのときには、立法者は、これがベルヌ条約の3ステップテストの範囲内だと考えたわけです。それをこの表では、とりあえず、45年当時は特別な場合と仮に位置づけて、それから世の中の実態がいろいろと変わってまいりまして、録音録画機器が普及する、ネットが普及する等、いろいろな行為類型が出てまいりました。そこで、それらの行為類型をつぶさに検証して、45年当時は私的利用の範囲だと思われていた行為についても、改めて、その時代時代に応じて、検証することによって、そのSTEP2の外に出すことによって、まさしく大渕委員が御指摘の条約違反を免れるといいますか、そういうふうにしてきたので、それは、時代時代の評価によってということになりますので、多分先生がおっしゃっているような表を書けば、少し違う表になりますが、前提条件として、昭和45年当時の枠組みを特別な場合と位置づけると、こういう資料になるということだと思います。

(中山主査) この資料で私的使用目的の複製のこの3つが同じ色で書いてあって、そうすると何となく現行法がもう既にパリ条約違反ではないかというイメージを与えるという感じの御発言ではないかと思うのですけれども、要はこの一番最後の違法サイトからの云々は、これは条約上どう考えられるかということを今これから検討しようと。場合によってはこれは内側に入るという結論だってあり得るわけですね。これからどっちに入りますかという。ちょっと色を変えてピンクか何かにしておいてもらったほうがわかりやすかったと思うのですけれども。
 もう一つは、STEP2の中に入っていても、これは我が国で特別に除外措置ではないと。つまり本来の権利が及ぶということを決めることも自由なわけで、ですから場合によってはこれはまたがっているということも理屈としてはあり得るわけですね。さっきの発売前のものなどというのは多分それは通常の利用を妨げているのでしょうけれども、場合によっては発売後のものは妨げてないとかいうことだってあり得るわけで、ここに図式でやっちゃうと極めて決めちゃったように見えますけれども、この部分はこれから議論をしていくという感じではないかと思うのですが。ですから、これからいろいろ御議論をちょうだいできればと思います。

(河村委員) 先ほど事務局の方も30条の範囲のことと補償金のことは順次というふうにおっしゃっていたのですが、今日の御説明をずっと聞いていて、30条の範囲という話が出てくるときに、どうしても、何を補償金の範囲とするか、しないかということを言っているとしか聞こえないんですね。補償金がそもそも必要かどうかを議論するとか、あり方を議論すると言われているのに、どうも30条の範囲というときに、そこが暗に何かもう決められているかのように説明されているとちょっと違和感を感じます。
 というのは、30条というのは補償金の範囲を決めるためにある条文ではないと思いますので、私は、30条では私的利用として何が認められるかということについてであれば、真剣に今、考えてみたいと思いますが、それがイコール補償金の範囲のことであるとすれば、全然違う意見を持たざるを得ません。ですから確認したいのですが、とりあえずこれは私的利用とは何かということを定義するということとしてお聞きするということでよろしいのでしょうか。

(川瀬室長) 議論のステップとしては、この場で議論していただきたいのは、30条という範囲が現行法ありまして、それからいろいろな実態の変化も踏まえた上で、昨年小委員会で整理された違法サイト等からの複製や適法配信の複製については、仮に外すとすれば、課題が少ない、それ以外のものについては非常に課題が多いということになっております。
 したがって、補償金制度をどうするかを議論する前に、本当に30条の範囲というのはこれでいいのかどうかということをまず議論していただいて、仮に、現状のITの時代の中で、30条の範囲をもう少し狭める必要があるということになれば、狭めた上で、改めて、その見直した範囲の中で行われている複製行為について評価をし直し、仮にそこで補償の必要性があるとすれば、どういう補償措置の内容を構築していくのかという手順で議論をしていただければと考えております。従って、まず30条の範囲の見直しに関して言えば、補償金制度を導入するかしないかという話は一切関係がないとは言いませんが、それをまず抜きにして、現状の実態からそこをどう考えるのかを議論していただくという手順ではどうかと思っています。

(河村委員) わかりました。

(中山主査) この資料3の図でいきますと、今の事務局の資料ですと、違法サイトからの複製はそもそも理屈としてはSTEP2の中に入れて、かつ、この黄色の補償金の対象外にすることもできるし、かつ、補償金の対象内にすることもできるし、それはこれからの議論だろうと思います。

(小泉委員) 違法サイトの録音録画1つとってみても、課題は比較的少ないと思われていたにもかかわらず、なかなか議論が白熱してきてどうなっちゃうのかなと思って聞いていたのですけれども、今日御紹介いただいた資料6の立法形式なのですが、仮に何らか現状の私的複製の規定をいじるという前提に立った場合に、2ついじり方があるということでしょうか。ドイツは明らかに違法に製作された原本が用いられた場合という絞り方をしており、一方フランスは発想が違っていて、著作物の通常の利用うんぬんと、ベルヌ条約をインプットしたような形になっていますね。
 このうちどっちがよりよいのか、我々の目的に合うのかということがおそらく問題になり得ると思うのですけれども、ドイツとフランスが実際にどういう運用をしているかというのはまた調べていただければと思うのですが、印象を申し上げますと、ドイツのやり方でいきますと、違法サイトからの複製については明らかに私的複製から外しますよというメッセージが明らかになるのですが、他方、これですと資料2の下にあるような緑がけになっているところはほとんど今までどおり私的複製ということになる。だから、もしそれでよいということになれば、結論としてこのドイツのようなやり方が、非常にメッセージとしては明らかであるということになると思われます。
 一方、フランスのほうはある種何を言っているかわからなくて、これだけでは裁判規範になるかどうかはちょっと怪しいというか、不明確な点はあるのですけれども、逆に緑がけなんかについても場合によっては裁判所が私的複製から外してくれる可能性はあるわけですし、それから今回の議論とは少し違うかもしれませんが、一種のFair use的な機能を持った運用がなされるという可能性もあるので、あいまいだからだめとは一概に言えないのではないかと、そんな感想を持っております。以上です。

(中山主査) ありがとうございます。大渕委員、どうぞ。

(大渕委員) 今の点に関連してなのですが、条文の規定ぶりについては、各国でいろいろなパターンがあるのですが、我々は、今まで非常にスペシフィックにこの資料2にあるようなものについて議論してきていますので、あまり漠然とした条文では審議会の議論を必ずしもうまく反映しないかもしれないので、そのあたりはやはり各国の運用は参考にしつつも、審議会での議論を最もうまく反映できるような条文を目指すべきだと考えます。

(中山主査) 条文の体裁につきましては、もう少し議論していけばいろいろと詰まってくると思いますけれども。津田委員どうぞ。

(津田委員) 資料2の今この見直しについて課題が少ないとされた類型のところなのですが、これは僕も昨年の議論に参加していて、これは議論、課題が少ないのかなというふうにわりとぼんやり考えていたところをちょっと僕も反省しているところなのですけれども。この違法サイトから複製をした場合に、問題は確かに、それが違法なものからコピーしているのだからそれは違法だよと言われると、わりとすっと納得ができるような感じはしたのですけれども、現実的にどんな、ほかに何かもしかしたら弊害って何かあるのかなと考えていたら自分の仕事に行き着いて、僕自身はライターというかジャーナリストをやっているので、例えばいろいろな調査とかするわけですよね。調査するときに、例えば70年代とか60年代の貴重ないろいろな物件とかコンテンツ、音楽を聞いたり貴重なテレビの資料映像とか探そうというときに、非常に昔のものというのが今は入手困難になっているケースしがあると。
 そういうときに原本というのはほとんどないような状況で、例えばそれをコピーしている知人がいて、そこの人に複製をお願いして自分の資料として使うみたいなケースというのも当然出てくるときに、これが30条の範囲が変わってしまうとそれが完全に違法という状況になるわけですし、僕もこういう委員会に出ているわけですから、情を知っていた場合に限るということは情を知っていることになってしまうので、そういう意味でも非常にいろいろなものがやりにくくなるかなという。やはり昔からのコンテンツというのは、全部インターネットとかにちゃんとカタログ化されていて、いつでも入手、アクセス性が伴っていればいいのですけれども、そうではなくて何らかの事情で流通しなくなってしまった著作物というのは非常に多くありますから、そういうものが違法複製物から違法サイトからの複製という形で制限されてしまうと、実はこの資料6のほうにあるようなイギリスの例みたいな研究・私的学習目的を利用としたみたいな、そういうような情を知っていた場合に限るというのにプラスして、こういう研究・私的目的を利用とした場合は例外にするみたいな規定が入るみたいなものがないと、結構困るケースというのが出てくるのではないのかなというのが1点課題として思いつきました。
 あと、もう一つやはり重要なのは、30条の外に違法複製物をするというときに、録音録画に限るのか限らないのかという問題も結構重要だと思っていて、インターネットの利用の実態というのを考えると、よいか悪いかというのは別として、インターネットのWEBページ上には、いろいろな雑誌とかほかの例えばオフィシャルサイトに掲載されているアイドルとかタレントの写真というのはどんどんブログとかにコピーされてアップされたりするわけですよね。それはやはり許諾はほとんどとっていない、ある意味、違法作成物ですから、そういったタレントの画像を自分の壁紙にしたいからパソコンに保存してということというのは日常的に行われていますし、例えば僕がどこかWEBの媒体に寄稿した記事とかというのも参考資料として使われるためにパソコン上に保存されて、それが印刷されてみたいなというのもあるわけですよね。
 そういうときにやはり、それが全部違法複製物、違法サイトの複製というので、いわゆるキャッシュという一時的蓄積ではなく、明確に自分のパソコンに保存するというときに、そういったものがもうブログとかでカジュアルにある意味そういう著作権侵害というのが行われている利用の実態があるわけですから、そういったものが全部この30条の外に置かれることによって、カジュアルな犯罪者というのが増えてしまう可能性というのは非常に大きくなるのですね。
 そういったことを考えると、もともとこの委員会は音楽と映像の補償金というある意味小さな話をするところだったと思うんですけれども、もうちょっとネットの広範な利用実態にすごく大きな影響を与える可能性があるので、それは十分慎重な議論をしなければいけないのかなということと、当然この30条の外に置くというのは、海賊版ですとか違法な状態等を何とかしたいという、そういった意図があるのかと思うのですけれども、でも、それであれば日本というのには送信可能化権があるわけですし、アップロードした人を摘発するという運用で十分なのではないのかなという気がしていて、やはり画像とかテキストというのは本当にネットではカジュアルにコピーされますから、そういう意味ではそれがやはり犯罪という形になってしまうと、私的複製の外になってしまうということになりますと、エンドユーザーに無用な混乱を与えることになってしまうのではないかなという懸念が1個あります。
 もう一つの適法配信からの複製に関しては問題は少ない。これは二重取りをなくすという意味でこういった規定で今整理がされているのだと思いますけれども、私的複製は契約でやれという話でしょうが、やはり消費者の感覚からしたら、お金を出して買ったものが私的複製の外になってしまうというのは実態としてできるとは言っても、何か感覚として納得がしにくいのではないのかなという懸念が1個あります。僕が言いたいのは、やはりこの今緑枠に入っていない議論というのをもうちょっといろいろ細かく考えていくと、やはり問題というのが多分出てくると思うので、この枠自体が確定したものというわけではなくて、もっとこの部分の議論をするべきだと思いますし、逆に委員の皆様方の御意見というのも伺っていきたいなという気がいたします。以上です。

(中山主査) これから今津田委員がおっしゃった問題以外にも出てくると思います。例えば今おっしゃった刑罰も、刑罰を加えるのか加えないのかというのはこれからの議論だろうと思いますけれども、大いにその点はこれから議論してもらいたいと思います。大渕委員どうぞ。

(大渕委員) 今まさしく主査が御指摘された点に関連するのですが、あまり資料をお願いすると事務局のほうも負担が大変ですし、委員のほうも読む気がしなくなってくるというおそれはあるのですが、資料6について、せっかくこれだけ国際比較を詳細にやっていただいているので、やはり翻訳だと意味やニュアンスが伝わりにくいところがあるでしょうから、このように全部原文も出していただくのは大変に結構だと思います。
 また、先ほどもいろいろ出ておりましたが、やはり私的使用目的の複製の範囲内に入れるか入れないかという点では、侵害の効果がどうなるかというところが大きな問題であり、その中でもとりわけ刑罰の点は重要かと思いますので、各国でこれらに対する刑罰がどのようになっているのか、例えばエンドユーザー的なところまで刑罰の対象になっているのかなどというあたりでかなり違いがあり得るのではないかと思いますので、一番のエッセンスの部分だけでも入れていただければと思います。やはりこのような問題は最終的に侵害になるかならないかでどういう最終的な帰結になるのかというのがユーザーの観点から見ると重要かと思いますので、その点も盛り込んでいただければ、大変ありがたいと思います。

(川瀬室長) そこは整理をしてみたいと思います。ただ、これは前期の小委員会でも私どもの資料を提出して議論をしていただきましたが、資料3を改めて見ていただきますと、左側に外しているものにつきましては、これは私的使用の複製ということではないですが、私的利用の目的を持って複製をした人については、一応罰則は適用しないということで、この上の2つは整理されていますので、前期の小委員会の資料であれば、その著作権法上の法制上の並びから言えば、仮に違法サイト等の録音録画を外したとしても、やはり私的利用目的で録音録画していることには変わりありませんので、罰則の適用はないのではないかという資料も提出させていただきました。ただ、諸外国の実態は重要なことですので、それは調べまして次回提出したいと思います。

(中山主査) 要件につきましても情を知ってと書いてありますけれども、理屈としては善意か、あるいは善意の過失か、あるいは善意重過失かというような議論はこれからあり得ると思いますけれども。

(生野委員) 先ほど津田委員のほうから、違法サイトからのダウンロードを30条の外にすることに関して慎重な議論をとの意見があったわけでございます。その理由としては、津田委員のように音楽等に関して調査研究をなされているという、そういったニーズからこれを制限することに問題があるということでしたけれども、やはり調査研究であっても、違法にアップロードされたものが流通していないと調査研究が思うようにいかない、というのは本末転倒の議論ではないかと私は考えます。海賊行為があるということはそのニーズがあるわけで、両面押さえなければ実効性が担保できないと考えます。先ほど申しましたけれども、海賊版、海賊行為というのは社会悪だという前提でお考えいただければご理解いただけることなのではないかなと思います。
 それと、前回の小委員会で川瀬室長から、違法サイトからの複製について、現在の違法サイトの利用状況が変わらなければ、違法複製の状況が蔓延するおそれがあって、特に権利者側のこの問題に対する取り組みが注目されるといったコメントがあったわけでございます。これに関して、レコード協会では、違法サイトからのダウンロードを30条の対象外とした場合、違法複製が蔓延しないような方策をこの1、2カ月検討しておりますが、それを簡単にご報告させていただきたいと思います。
 実際問題として、違法サイトに関しては、これが違法サイトですと何かしら印をつけるのは現実的にはできないことですので、合法配信に関して識別できるような方策を導入することによって違法サイト対策とするという考え方で進めております。まず、合法配信における識別といたしましては、マーク等、等と言いますのはマークのほかに管理番号やメッセージを表示することによってユーザーにしっかり認識していただけるような方法を考えております。実際にそのマークの管理、発行又は認証、それらの基準に関しては今後さらに詰めたいと思うのですが、まずはレコード協会、レコード産業でこのような仕組みをしっかり作り上げて、映画やゲームなど、他のコンテンツ産業でも、レコード協会の取り組みを参考にしていただいて導入を図っていただけるように考えております。
 このマーク等の表示のほかに、技術を使って違法なものが再生されないといったことが一番効果的ではあるのですが、それについてもあわせて検討していく予定でございます。そのような施策、方策にあたっては、ユーザーに何が合法で違法なのかということを周知していく必要がありますので、その見分け方を広報していきたいと考えています。そのような取り組みに関して大枠を5月末ぐらいまでにレコード協会でまとめて、その内容に関してこの委員会でご報告させていただく、そんなふうに考えております。以上です。

(津田委員) ちょっと生野委員のほうから御指摘があったので、ちょっと補足みたいな形で言っておきますと、別に僕自身はネットに蔓延している海賊版を全部放置しろというような、そういう趣旨で30条の話を今お話ししたわけではなくて、その30条を変えることによって現実問題として調査研究みたいなものとか、ある種、昔のアクセスしにくい著作物をどうしても利用する必要性があったときに、それが違法になってしまうということの弊害というのも考えられるという。やはり30条を変えることの影響の大きさというのを指摘したつもりですね。やはり30条を変えて、その罰則の問題等もかかわってきますけれども、どれだけその実効性があるのかという議論というのももちろん当然あるでしょうし、僕自身は先ほど言ったように、現実問題、違法なものを何とかしたいのであれば、30条を変えることよりも、もっといろいろな悪質なものの摘発とかいろいろな現状の著作権法の中の運用でも十分できると思っているので、それでそういったことを申し上げたつもりです。

(中山主査) マークを偽造されてしまった場合は別として、マークがあれば確かにこれは合法サイトですよと非常にわかりやすくていいのですけれども、レコード会社ははきちんとやるでしょうが、だんだん個人のアップロードも増えてくるし、外国のもダウンロードする人が増えてくるし、マークがなければ違法なんだといういうイメージを与えかねないという恐れはどうでしょうかね。

(生野委員) できるところから導入するということで、まずはレコード協会の会員社を中心に進めたいと思っております。マークも当然商標登録を行い、これをなりすましみたいな形で使えば商標権侵害ということもあるわけでございますが、いずれにしてもマークがなければ全て違法だという完璧な導入はなかなか期すことはできないのですが、現在のユーザーの購入絶対量の中でおおむねカバーできるような形のPC向け、あるいは携帯向けの配信においてマークを徹底することによって、相当なカバー率で抑えることができるのかなと考えています。ただ、その他には個人の部分もございますので、完璧に全てこれで埋めるというのはなかなか困難です。

(中山主査) そうですね、完璧に埋めることは難しいのだけれども、マークがなければ全て違法というイメージを与えてしまうと怖いなと、こういう質問だったわけですけれども。

(生野委員) 今はそういうマークがない状況ですので、何とかそのカバー率を広げる必要があります。そのためには広報、その周知の活動が必要でしょうし、それにエンフォースメントにより、何が違法かを確実にユーザーに認識してもらうとか、そのような活動もあわせた抑え方が必要だと思っています。

(中山主査) 商標登録するというのは、これはどういう意味でしょうか。

(生野委員) 具体的なマークのデザインなどはこれから詰めるところなのですが、マークを制定するにあたっては商標として登録することによって勝手に使用されないための手当ては行いたいと思っています。

(中山主査) こういうマークが商標になり得るかどうかということですけれども。

(生野委員) それはまた改めてご報告させていただきたいと思います。

(小六委員) 私もこの違法サイトからの問題に関しては非常に簡単に考えていたのですが、権利者の1人であり、なおかつ、何度も申し上げますが利用者であるということで、津田委員の御意見はよく理解出来ます。本当にインターネットの今の利用状況というのはものすごくどんどん変わっていって、違法行為と言われるものの位置づけが非常に難しくて、我々自身も知らないうちに情を知っていないものとして利用していて、すべてそれを明確に分けられる時代がくるかどうか、これすらもいまだ不明確であると思います。なおかつ、どこかで白黒をつけなければいけない。権利者の立場としては違法サイトの問題は外のほうに絶対置いてほしいなと思いつつも、あんまりきっちりし過ぎると一体どうなっちゃうのかなと。ただし、実効性がないとか罰則がないのであれば、法律で決めたとしてもあまり効果がないのかもしれないと思ったりもする訳です。中に置くことと外に置くことの大きな違いということが今ここでもまだ明確になっていないような気がします。
 しかし、やっぱり違法行為であるということは、僕は外側に置くべき一番大きな事由だと思います。そして、中に置くことの正当性というのがどうもはっきりしないというのが私の今の感覚です。

(苗村委員) 違法サイトからの複製をこの30条の外に置くことが比較的自然に成り立つと思ったのですが、いろいろ御意見があるのでむしろ提案なのですが、この問題そのものをこの小委員会で深く議論することを当面保留したほうがいいのではないかという気がします。といいますのは、ここはやはり補償金制度のあり方を議論するのが本来の目的で、多分この違法サイトからのダウンロード行為を30条の中に入れるか外にするかによって補償金の存在意義が変わるということも多分ないだろうと思いますので、むしろ、それよりも適法サイトからのダウンロードを入れるかどうかは明確にしなければいけない。これは多分どなたも異論がなかったようなので外にすると。そうなると、もしこの後30条の対象の中で補償金の対象とすべきものが何かということを議論するときに、先ほどの違法サイトからのダウンロードを考慮する、というのは多分どなたも主張されてないと思うので、当面保留にしておいて、場合によっては法律の文言にも先ほどちょっとありましたように、フランスのような表現で、むしろほかの条文と趣旨が合いますからやる手もあると思うので、あまりそこは深入りしないほうがいいと思います。

(中山主査) その点、事務局はいかがでしょうか。

(川瀬室長) もともとは前回の第1回目の会議でも私のほうから申し上げましたように、とりあえず保留をするかどうかは別にしまして、1つ1つ結論を出して、AならばB、BならばCということではないと思います。全体的にとりあえず議論をしてみて論点を集約して、さらにまた議論を詰めていって1つの帰着点を目指すということで、とりあえず議論をしていただいて、その次のステップに移って、さらに仮にということで、補償金の制度設計をすれば、どういう制度設計になるのかということも含めて、すべて議論をした上で、全体を見て、議論をしていただければと考えております。

(中山主査) その点につきましては前回ももっと30条のほうに目配りをして議論をしてほしいという、今の苗村委員とは逆の意見もございましたので、一応は議論をしておかなければということで今日は議論を願ったわけですけれども。
 実は、時間がかなり予定時間をオーバーしておりまして、その進め方も含めましてちょっと事務局のほうと相談させてもらえればと思います。当然この議論はまだ続くと思いますけれども、今日のところ何か特に緊急に御発言をしておきたいということがございましたらお伺いしたいと思いますけれども、何かございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。では、次回は補償措置の必要性についての議論に入っていくかと思いますけれども、今日のところはこのくらいでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、最後に、急にサドンデス的な終わり方をしてしまって申しわけないのですけれども、次回はこの継続ということでよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、次回の小委員会の内容も含めまして事務局から連絡事項がございましたお願いいたします。

(川瀬室長) 今日時間があればということで、補償の必要性についても一部入って議論していただければと思って、資料も用意しておりましたが、時間になりましたので、次回は、補償金の必要性についての資料の御議論と、それから30条の範囲については、少し主査と御相談しまして続きの時間を取るかどうかを考えさせていただきたいと思います。
 なお、先ほどからも言いましたように、多分1つ1つ結論を出した上で次に進むということはなかなかこの私的録音録画問題に関して言えば、難しいのではないかと思います。したがいまして、とりあえず一通り議論をしていただいて、事務局のほうで論点を整理しまして、論点の集約に努めて、さらにその論点整理メモを踏まえた上で、また議論をしていただく形にしたいと思います。
 なお、第3回目につきましては、5月10日(木曜日)、10時から12時、アルカディア市ヶ谷での開催を予定しております。以上でございます。

(中山主査) 次回はアルカディア市ヶ谷で、毎回場所が違って、ぜひ間違えないようにお願いをしたいと思います。
 それでは、本日はこれで文化審議会著作権分科会の第2回私的録音録画小委員会を終了とさせていただきます。どうも本日は長時間ありがとうございました。

〔了〕

(文化庁長官官房著作権課著作物流通推進室)


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