ここからサイトの主なメニューです
資料2

私的録音録画に関する補償措置の必要性について(案)

 私的録音録画について、次のような理由を総合的に勘案すると、仮に著作権法第30条の範囲に一定の限定を加えたとしても、何らかの補償措置が必要と考えるがどうか

1  私的録音録画の実態に対する評価について(参考資料1参照)

   今回の実態調査及び今までの実態調査の結果等から、以下の事実が推測され、平成4年の補償金制度導入時と比べて、「複製の総体」が減少しているとは考えられず、デジタル録音録画の特性を考えると、むしろ増加傾向であると推定されるがどうか。

(1) 録音

 
録音実態は、アナログ録音からデジタル録音へ着実に転換が進んでいること(品質が劣化しない、1の媒体等で大量の複製が可能等が特徴)(1(1))
利用者一人が行う録音頻度や録音量は、PCや一体型の携帯型録音機器の普及に伴い、増加していること(1(2)(3))
録音源としては、配信からの録音はまだ少なく、パッケージソフトからの録音が多くを占めること(CDは原則として複製自由)(1(4))
録音理由は、正規品の代替、プレイスシフト(様々な環境で視聴するための録音)、自己編集等がほとんどであり、同一コンテンツから多数の複製物を作成する実態は少ない(1(5))

(2) 録画

 
録音の場合に比べて、デジタル機器の普及は遅れているが、今後普及は進むと考えられること(2(1))
今回の実態調査から、デジタル録画機器を購入している者の録画頻度は、1998年のアナログ録画の調査と比べて顕著に多いことが分かり、また、デジタル機器に換えて録画が増えたとする人が多いことから、デジタル機器の普及とともに一人あたりの録画頻度や録画量は高くなると予想される(2(2))
録画理由はタイムシフト(放送時間とは別の時間に視聴するための録画)が多く、同一コンテンツから多数の複製物を作成する実態は少ない(2(3))

2  契約に基づくいわゆる「使用料の二重取り」について

   販売、レンタル、配信、放送等の録音録画の直前の著作物等の利用の対価に私的録音録画の対価が含まれているかどうかについては、その契約の実態から、明示的に録音録画の対価が含まれているとはいえないと考えられるがどうか。
 なお、配信事業の場合については、配信契約の中で配信の対価の中に私的録音録画の対価が含まれないことを明示している契約も見られるが、利用者の録音録画も含めてビジネスモデルとしているところから曖昧さが残るところである。

3  著作権保護技術とその範囲内の私的録音録画について

 
 著作権保護技術の導入については、下記(1)のとおり、いくつかのケースが考えられるが、いずれにしても、当該技術を導入したシステムを承知した上でコンテンツを提供した場合は、権利者は当該保護技術の範囲内の録音録画を許容していると考えられるがどうか。
 この場合、コンテンツホルダーである権利者(レコード製作者、映画製作者等)のように自分の意思によりコンテンツを提供しているときは、「権利者の意思」は明確であるが、それ以外の権利者についても、私的録音録画について権利行使ができない以上、消極的ではあるが許容しているといわざるを得ないと考えられるがどうか。

 次に、著作権保護技術の範囲内の録音録画を関係権利者は許容したとして、補償措置の必要性まで否定したと考えるかどうかであるが、下記(2)の1の場合を除き、下記(2)の2の理由から、当該許容と補償措置が併存できない、又は併存さすべきではないとまではいえないと考えられるがどうか。

 
(1) 著作権保護技術の採用の類型と「権利者の意思」(著作権法第2条第1項20号)の有無
 
○−許容 △−消極的に許容
1 権利者又は権利者団体との協議により採用
   権利者の意思 許容 ただし協議に関与していない権利者等は 消極的に許容

2 コンテンツの提供者(レコード会社、配信業者等)が一方的に採用
   権利者の意思 消極的に許容 ただし、コンテンツの提供者が権利者等である場合はその権利者については 許容

3 機器メーカが一方的に採用
   権利者の意思 消極的に許容

(2) 補償措置の必要性

 
1 権利者が「複製禁止」を選択した場合は、補償措置はあり得ず、補償の必要性は否定したと考えられるがどうか。

2 (1)のいずれの場合においても、次の理由から、一般的にいえば、権利者が補償の必要性までも否定したとはいえないと考えられるがどうか。

 
 私的録音録画により著作物を楽しむ(利用する)という社会現象は、消費者の権利とまではいえないものの、確立された社会慣行であり、映像ソフトの録画等のように特別な理由がある場合を除き、権利者側もそれを禁止するという措置はとっていないところから、補償措置を前提にこのような社会現象を認めるという選択肢はあり得ること

 著作権保護技術は、録音録画禁止の場合を除き、私的録音録画を制限するというより、一般的な利用者にとって必要な私的録音録画を認めつつ、高品質の複製物が私的領域以外に流出するのを抑制するという意味が強いと考えられ、著作権保護技術と補償措置は矛盾しないと考えられること


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ