|
各国の状況について
第二部 −私的録音及び著作権法制度・運用全般について−
2 フランス
(1) |
私的録音・録画補償金制度について |
|
() |
補償金の対象製品について |
|
(ア) |
徴収総額及びその推移 |
|
表1 フランスの補償金管理団体SORECOPの徴収額 |
|
(単位:ユーロ) |
|
種類 |
補償金単価 |
単位 |
2002年度 |
2003年度 |
2004年度 |
HD内蔵Jukebox(MP3プレイヤー内蔵HD) |
8 |
5GBまで |
74,000 |
1,100,000 |
2,300,000 |
10 |
5GB超〜10GB |
12 |
10GB超〜15GB |
15 |
15GB超〜20GB |
20 |
20GB超〜40GB |
HD内蔵Jukebox(Hi Fiディバイス内蔵HD) |
8 |
5GBまで |
2,000 |
45,000 |
17,000 |
10 |
5GB超〜10GB |
12 |
10GB超〜15GB |
15 |
15GB超〜20GB |
20 |
20GB超〜40GB |
MP3プレイヤー統合型メモリ |
1.05 |
100MB |
50,000 |
220,000 |
970,000 |
カセットテープ |
0.29 |
60分 |
6,450,000 |
3,497,000 |
2,900,000 |
AUDIO CD-R/RW |
0.42 |
60分 |
6,310,000 |
5,577,000 |
4,500,000 |
MINI DISC |
0.32 |
60分 |
2,950,000 |
3,238,000 |
1,700,000 |
HI MD |
1.10 |
1GB |
|
|
|
DATA CD-R/RW |
0.23 |
650MB |
53,260,000 |
77,270,000 |
76.889.000 |
Micro FD |
0.015 |
1.44MB |
|
|
|
録音補償金合計 |
69,096,000 |
90,947,000 |
89,276,000 |
|
|
2004年度録音補償金合計額を円に換算すると130億3,430万円(1ユーロ146円、2006年6月30日現在)となり、同年度のSARAHの出荷ベースによる収入額20億4,088万円対比638.66パーセントである。
|
(イ) |
対象品目(機器・記録媒体の種類)及びその決定の方法 |
|
フランスの著作権法は、その第3編第1章第1節(第311の1条〜第311の8条)において、補償金に関する規定を設けている。補償金額は、製造業者、輸入業者、権利者団体からなる法定の委員会で決定する。 |
|
() |
補償金の額について |
|
補償金額の決め方は常に同じで、先の委員会が5年間継続している以下の方法による。
決め方には次の3つの要素があり、これらを乗じることで補償金額を求める。 |
|
|
1時間当たりの定率(fixed rate per hour) |
|
○ |
Audio0.34 Euro per hour |
○ |
Audiovisual1.25 Euro per hour |
|
|
私的複製した各種著作物の分量と分布(パーセント)(rate per level of copy of protected work) |
|
収録可能の時間(duration of device) |
|
() |
補償金の徴収手続について |
|
製造業者とフランスに最初に輸入した業者から、毎月の申告に基づきフランス国内で初めて流通段階においた時点で徴収している。
|
() |
私的録音補償金の分配について |
|
法律で定める率に従い、3者に分配している(作詞家、作曲家が50パーセント、そして残り25パーセントづつを実演家、レコード製作者に分配、録画は三等分)。
|
() |
共通目的事業について |
|
共通目的のための支出は、補償金収入の25パーセントとされており、文化的目的に使用している。SORECOP/CFはその収入の100パーセントを下位団体へ分配し、SACEM等下位団体のレベルで25パーセント控除している。法律上共通目的とは、創作援助活動、ライブエンタテインメントの普及及びアーティストの育成と明記されている(法第321の9条(1)項目)。
このような事業は文化省が実施すべきものだが、共通目的事業のお陰で文化省の負担が予算面で軽減されるというメリットがある。 |
|
(2) |
DRMと私的録音補償金の関係 |
|
DRMが適用されると補償金は不要となるのではないかという考えを巡って、様々な意見がある。我々は私的複製は例外規定であると理解している。DRMのほとんどはコピーを禁止しているのではなく、単にコピーの回数が制限されているだけで、私的複製を禁止したり、予防できたりするわけではない。つまり、ダウンロード後の複製料までは含まれていないのであり、権利者は補償金を得ることができる、DRMと補償金は背反の関係にあるのではなく、相互に補完しあうのではないかと考えている。 |
|
|