旧仲介業務法の時代であっても、社団法人日本音楽著作権協会が包括許諾を与えられるのは同協会が管理している作品だけであり、同協会の管理作品以外の作品を利用する場合には別途著作権者から許諾を得る必要があるという点では、現在と変わりはない。
しかしながら、このような分野の包括的利用許諾契約については、管理事業法の施行前から実施されており、使用料規程の制定の際の関係利用者団体との協議に当たっては、新規参入の管理事業者の存在を考慮せずに、協議が行われてきたことも事実である。
したがって、この問題は法制度の問題ではないと考えられるが、指定管理事業者においては、利用者における管理作品の利用実績の推移等を把握した上で、例えば、管理作品の利用比率の低下に合わせて、使用料額の再考を行うなどの配慮が必要であろう。また、利用者側においては、このような客観的データの収集に努め、必要であれば、管理事業法上の協議・裁定制度を活用するなどして、問題の解決に努める必要があると考える。
なお、この問題について、管理事業者間で使用料額の調整を行うことを求める意見もあるが、そのような調整は、独占禁止法の問題があると考えられるので、適当ではないと考える。
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