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メリット |
課題 |
まとめ |
A案 |
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登録手続き不要。 |
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「中間試案」によれば、管財人の解除権の制限対象。 |
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低コスト。 |
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譲受人の地位の不安定化(公示なし)。 |
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現行制度は、先行のライセンス取引の安全を犠牲にして、後行の譲渡取引の安全がはかられる制度である。これは実効ある形で修正されるべきである。 |
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A案においては取引のリスクは後行の譲受人が負うことになるが、以下のような理由から譲受人のリスクは相対的であり、ライセンスの喪失という決定的なリスクを先行のライセンシーに一方的に負わせる現行制度よりも、A案は合理的であると考える。
―著作権は無体財であり、本来的に重複利用が可能なこと。
―譲受人のリスクは、ライセンス対抗における保護の範囲面での工夫および譲渡取引に際しての注意により、軽減可能であること。 |
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A案は、米国等の制度とも整合性がある。(なお、日本の現行法上も、公示を要することなく、財産の譲受人に既存の債務を及ぼしている例は存在する(例、民法254条―共有物についての債権、建物の区分所有等に関する法律の8条および29条―区分所有者に対する債権、特許法上の法定実施権))。 |
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B案 |
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登録を要するため、譲受人への不意打ちは避けられる。 |
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「中間試案」によれば、管財人の解除権の制限対象。 |
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ライセンサーに登録協力義務を課すのは適当でないこと、契約/プロジェクトの秘密性、情報財ライセンス取引の多様性(例、オープンソース)、ライセンス案件は数が非常に多いこと等から、実効性に欠ける。 |
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制度の運用・管理にコストがかかる(行政サイドも)。 |
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B案は実効性に欠けるため、実質的には現行制度と変わりのない状況が継続し、ライセンス取引の安全を確保しがたいと思われる。 |
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B案による場合、対抗力を備えないライセンスが世の中に大量に存在することになると思われるが、このようなライセンスのライセンサーが倒産した場合、対抗制度ができたのにそれを利用しなかったのは当事者の責任として、管財人による解除権の行使リスクが高まる懸念がある。 |
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仮にB案を採用するのであれば、A案との併用とすべきである(米国と同様に)。 |
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C案 |
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登録手続き不要。 |
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譲受人悪意の場合、ライセンシーのライセンスの保護は徹底する。 |
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低コスト。 |
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譲受人が善意無過失の場合、ライセンシーは保護されない。 |
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ライセンシーの保護は、譲受人への契約の承継の形をとる。 |
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「中間試案」によれば、管財人の解除権の制限対象外。 |
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C案は、ライセンシーと譲受人の保護のバランスに重点をおいた案と思われる。 |
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しかしながら、C案ではライセンシーの保護は譲受人側の事情次第(ライセンスの承知等)であり、ライセンシーとしては何らなすすべがないこと、ライセンサー破産の場合に保護されないこと、情報財のライセンス取引は承継になじまないこと(譲渡制限を付している契約や外国法を準拠法とする契約が多い。)等の、基本的困難があると思われる。 |
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D案 |
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登録手続き不要。 |
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契約の書面化も不要。 |
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「中間試案」によれば、管財人の解除権の制限対象。 |
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譲受人の地位の不安定化(公示なし)。 |
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ライセンスの存在に加え、事業化の事実の立証問題。 |
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ライセンスにもとづく事業化の爬行性(事業主体、客体、地域等)に対する柔軟な対応。 |
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情報財の契約は通常書面(含む電子契約)によるため、A案との実質的相違は事業化要件と思われる。 |
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ライセンスの存在に加え事業化要件を課すことは、対抗制度の実効性に大きな支障を来すと考える。 |
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