ここからサイトの主なメニューです

資料2−2

第3回過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(平成20年5月16日)において出された意見の概要【暫定速報版】

3.権利者不明の場合の利用円滑化方策について

(裁定制度か、それ以外の制度か)

  •  著作隣接権の裁定制度の創設について、条約上に創設してもよいという根拠があるかどうかが問題ではなく、創設してはいけないという根拠があるかどうかが問題である。条約に縛られすぎて、国益を損なうことになってはいけない。
  •  著作隣接権について、権利者不明の場合の制度を裁定制度タイプかそれとも権利制限権タイプで検討するかは、権利者への影響の度合いによって検討すべき。事前に何らかの手続きのある裁定制度が条約に抵触する可能性があり、それよりも権利者にとっては厳しいものである権利制限タイプが、条約に觝触しないのはおかしいのではないか。

(A案:権利制限型か、B案:第三者機関型か)

  •  A案のほうがシンプルな制度であり、利用者が使いやすいのではないか。権利者としても権利管理団体やデータベースに登録がある者の著作物は勝手に使われることはないのであるから、反対する者は少ないのではないか。
  •  A案の場合、事前支払いの必要がないとすれば、例えば、権利者が利用に気づいて請求した時には会社が潰れて支払いを受けられないような事態が懸念される。(教科書で権利制限によって作品が利用された後に会社が潰れて補償金が支払われなかった例がある。)そこで、例えば保険のようなものを検討して、ガイドラインで予め決めておくことを考えてはどうか。
  •  A案の場合、著作物が利用された形跡がどこにも記録として残らないことが問題である。民間での取り決めより、利用のハードルが低くならないように考えないといけない。また、「相当な努力」の内容を利用者が勝手に決めるのではなく、権利者、権利者団体も交えて、その基準を明らかにしていく必要がある。
  •  A案をとると、利用が水面下に潜ってしまうので、例えばCRICのホームページに利用態様や利用者の氏名・住所、供託金がいくら払われたのか等を開示する必要があるのではないか。
  •  A案では、相当な努力をしたかどうか、利用者がある程度リスクを取った上で著作物を利用することになるが、日本の企業マインドに照らした場合、このような自己リスクで解決する形で、利用が促進されるかどうか疑問である。また、どれだけ捜索の努力をしたのか事後的に証明できるかどうかは、利用者の経済力に依るところも大きく、使えることについて格差が生じる。また、ガイドラインだけでは、利用の条件として緩やかになりすぎる懸念もある。
     そこで、強制許諾機関のようなものが一番いいと思うが、それが現実的でないのなら、A案とB案を折衷したようなものであるが、ある程度オフィシャルな第三者機関を設け、不明の権利者に代わって使用料を預かった上で許諾を出し、加えて、その第三者機関には不明者を捜索する義務を課す、というような制度を考えてはどうか。
  •  第三者機関の構想は、多くの場合、運営資金の面でうまくいかない。今回は、市場価値があまりないような権利者不明のコンテンツ扱うことになると思われるが、誰が運営を支えるのか等、財政面で実現可能性がないのではないか。
  •  B案の第三者機関については、日本経団連での議論でも出されたアイデアである。白地から新しい機関を、というのではなく、許諾権を預かっていない権利者団体が権利者に代わって金銭を預かることは難しいし、逆に利用者の側でプールしておくだけでは問題がある。そこで、利用者、権利者から等距離にある機関が必要ということで、提案されたものである。

(権利者捜索の「相当な努力」についてのガイドライン)

  •  A案の場合でも、不明者の捜索に「相当な努力」が必要となるが、新聞広告への掲載や、CRICのホームページに2万円を支払って掲載することでは、金銭的にもハードルが高すぎると思うが、それは利用者が勝手に解釈しても良いものではない。どの程度の捜索で足りるのか、文化庁や第三者機関がガイドラインを作成してはどうか。また、ガイドラインの中で、必ずCRICに掲示しておく、保険のような仕組みで利用料をプールしておくといった仕組みが工夫できるのではないか。
  •  A案の場合、著作物が利用された形跡がどこにも記録として残らないことが問題である。民間での取り決めより、利用のハードルが低くならないように考えないといけない。また、「相当な努力」の内容を利用者が勝手に決めるのではなく、権利者、権利者団体も交えて、その基準を明らかにしていく必要がある。【再掲】
  •  A案は、事前審査を事後審査にするという制度であることを考えると、文化庁がガイドラインを作成したとしても、最終的には相当な努力をしたのかどうか等を裁判所で判断することになるので、文化庁がガイドライン作成するのはおかしいのではないか。
  •  A案の場合、ガイドラインは必要だろう。また、利用者が利用を何らかの機関に申告して集中管理することができれば、権利者は自分の作品がどこで需要があるのか知ることができ、潜在的な取引が生まれる可能性があるのではないか。
  •  制度を変えたとしても、現行制度と捜索の努力の内容が同じであれば、現行とあまり変わらないのではないか。
  •  従来の出版などのコンテンツの利用形態ではなく、インターネット時代の新しいビジネスではスピードが大切であり、厳格な手続きが必要という意見もあるが、むしろ手続きの迅速性が必要である。長い公示期間は不要とすべき。
  •  捜索する時間をかけるのは問題。ここに聞けばいいというようなものを考えることが有効と思われるが、そこで第三者機関のような存在が必要なのではないか。

(利用者の利用記録の開示)

  •  A案をとると、利用が水面下に潜ってしまうので、例えばCRICのホームページに利用態様や利用者の氏名・住所、供託金がいくら払われたのか等を開示する必要があるのではないか。【再掲】
  •  ガイドラインの中で、必ずCRICに掲示しておく、保険のような仕組みで利用料をプールしておくといった仕組みが工夫できるのではないか。【再掲】
  •  利用の開示については、インターネット上に専用のホームページを作り、そこに掲載するなど、コストをかけずに権利者に知らせる方法はあるのではないか。
  •  捜索の負担を利用者にすべて負わせるのではなく、例えば有価証券を紛失した場合の除権の際に公示催告させるように、利用を公的機関で公示させることはどうか。実効性は大きくなくても、この制度には何らかの公正らしさが必要ではないか。また、利用した事後の捜索も大事ではないか。
  •  公的機関による公示催告については、誰が自分の作品を利用しているか権利者がいちいち官報をチェックするとは思えず、現実性が低いのではないか。
  •  従来の出版などのコンテンツの利用形態ではなく、インターネット時代の新しいビジネスではスピードが大切であり、厳格な手続きが必要という意見もあるが、むしろ手続きの迅速性が必要である。長い公示期間は不要とすべき。【再掲】
  •  利用料を事前に支払うかどうかはともかく、記録を残すくらいであれば、大した問題ではないのではないか。

(利用料の事前支払い)

  •  A案の場合、事前支払いの必要がないとすれば、例えば、権利者が利用に気づいて請求した時には会社が潰れて支払いを受けられないような事態が懸念される。(教科書で権利制限によって作品が利用された後に会社が潰れて補償金が支払われなかった例がある。)そこで、例えば保険のようなものを検討して、ガイドラインで予め決めておくことを考えてはどうか。【再掲】
  •  利用者にとっても、ビジネス上のコストを明確にするためには、事後精算ではなく、著作物を利用した段階で金銭を支払うほうが良いのではないか。
  •  使用料相当額の補償金の額はどのように決まるのか、決まらなかったときはどのように調整するのか。
  •  強制許諾機関のようなものが一番いいと思うが、それが現実的でないのなら、A案とB案を折衷したようなものであるが、ある程度オフィシャルな第三者機関を設け、不明の権利者に代わって使用料を預かった上で許諾を出し、加えて、その第三者機関には不明者を捜索する義務を課す、というような制度を考えてはどうか。【再掲】
  •  ガイドラインの中で、必ずCRICに掲示しておく、保険のような仕組みで利用料をプールしておくといった仕組みが工夫できるのではないか。【再掲】

4.次代の文化の土台となるアーカイブの円滑化について

  •  地方図書館でのデジタル化された資料の利用方法については、有料のシステムを組み合わせることでいろいろな可能性があるのではないか。例えば、基本的には地方図書館には本を買ってもらいたいが、国会図書館からデータを送信するとなれば、その分、本を買わなくなってしまう。そこで、閲覧した回数に乗じて図書館が料金を支払い、出版社や権利者に払うというシステムも考えられる。そうすれば、本を買った方がいいと判断する地方図書館も出てくるだろう。
  •  現状でも、図書館間の相互貸借は法律の努力義務に従ってなされているわけで、デジタル化されたとしても、現状程度のサービスはできるようにしなければならない。例えば、ストリーミングで同時に見られる人数を限るなどの方法なら、できるのではないか。国会図書館の本の保存の観点からも、現物の貸出しはなるべく避けたいはず。
  •  今回の報告で土台はできてきたので、今後は、どのような種類の本がどれだけ相互貸借されているのか等のデータに基づきながら、どのようなシステムが必要なのか、関係者間で詰めた議論を進めるべき。
  •  保存のためにデジタル化するということについては、異論がないと思われる。利用については、商業性が残っている本と、絶版のように商業性が残っていない本で区別して考えるべき。商業性が残っていない本については、利用を進めることに反対する理由はないのではないか。
  • 以上は事務局において発言の要旨をまとめた速報版であり、内容については後日修正の可能性がある。