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資料1

海賊版の広告行為に関する論点(補足)

 前回の法制問題小委員会において「広告行為」の範囲について、以下のような意見があったところである。

  1  広告を作成し、作成した広告を出す行為だけでなく、それに関わる行為全体で一つの広告行為ととらえる。

2  広告を作成し、作成した広告を出す行為を広告行為ととらえる。

 また、著作権法において広告行為について「権利侵害」と位置づけられた場合、以下のような法的効果を生じることがありえる。

<民事的救済>
  1 故意又は過失により他人の権利を侵害した者に対して、侵害による損害の賠償を請求することができる(民法第709条)。

2 侵害を受けた者は侵害した者に対して「侵害行為の停止」を求めることができる(著作権法第112条)

<刑事的救済>
  3 著作権侵害罪として罰則を科すことになる。

<プロバイダ責任制限法による特定電気通信役務提供者の免責>
  4 情報の流通によって権利侵害された場合、特定電気通信による情報の送信を防止する措置を講じた場合の特定電気通信役務提供者の作為を理由とする発信者に対する損害賠償責任が制限されることになり(プロバイダ責任制限法第3条第2項)、特定電気通信役務提供者に対して削除要請を行うことも可能になる。

5 特定電気通信役務提供者に対して発信者情報開示を求めることができる(プロバイダ責任制限法第4条)。

以上を踏まえて検討に際し、以下の点に留意する必要がある。

   広告行為の範囲と法的効果については、以下のように整理できる。

広告行為の範囲について1を採用した場合
サイト管理者など広告を掲載している者も権利侵害と構成することができ、被害者はサイト管理者など広告を掲載している者に対して差止請求をすることができる。

広告行為の範囲について2を採用した場合
サイト管理者など広告を掲載している者を権利侵害の主体と捉えることができないとともに、差止請求については、いわゆる「間接侵害」の問題として学説や判例上その可否について争いがある。
また、プロバイダ責任制限法は、特定電気通信による情報の送信を防止する措置を講じた場合の特定電気通信役務提供者の作為を理由とする発信者に対する損害賠償責任が制限されるのみであり、要請に応じて削除することまでは義務ではない。

 広告行為の範囲について2を採用した場合、実効性があるのか。

 広告行為の範囲について、1の考え方を採用した場合、広告行為に関わる者に対して差止めが可能となるが、雑誌、放送、チラシなどインターネット外での広告行為も含めて同様に考えても、実態上において問題は生じないか。また、それに関わる行為を行った者全てに対して、刑事罰を科すことを認めることは酷であり、広告に携わる者に萎縮効果を及ぼすのではないか。

  2の考え方をさらに深める場合、現在、法制問題小委員会司法救済ワーキンググループでいわゆる「間接侵害」について検討しているところであることから、その検討結果によるべきか。


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