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資料5

親告罪についての第3回までの意見の整理

(「△」は非親告罪化に積極的意見、「▽」は消極的意見、「○」はその他を表し、「●」は、前回出された意見。また、「※」は事務局で補足をしたもの。)

(1) 著作権侵害罪等の性質等に関する意見

論点  著作権侵害罪等の性質、保護法益をどのように考えるか。
 例えば、著作権侵害罪等を親告罪としていることについて、立法趣旨によれば、著作権等を「私権」であることを理由としているが、現時点で、その点をどう考えるか。また、近時のコンテンツビジネスの拡大の状況、法定刑を引き上げる改正等が行われた背景等をどのように捉えるべきか。

(現在における「私権」としての性格について)
消極的意見  日常的な活動の中で著作権侵害が生じることも少なくなく、こういった侵害について告訴もなく警察が関与することや、盗作疑惑などの日常的なニュースでも警察が動かざるを得ないことは適切なのか。
事務局で補足をしたもの 実態として、引き続き、権利者が処罰するまでもないと許容しているような場合があるのではないか。)

前回出された意見  特許権に比べると著作権の方がいろいろ複雑である。組織犯罪的な侵害行為から、学者の論文の盗作疑惑等まで種々雑多であり、難しい点はある。

前回出された意見  1億人総クリエーターの時代になってきており、プレイヤーの違いをどう見るべきか。特許権侵害は、業としての場合だけであり、プロ同士の話だが、著作権の場合は、権利の発生、帰属範囲についても特許権のように明らかではない。

(「私権」として捉えきれない部分について)
非親告罪化に積極的意見  国民の著作権に対する規範意識の観点から、権利者が告訴の努力をしない限り侵害が放置されるという現状は適切ではない。
 (事務局で補足をしたもの 個々の権利者の許容にかかわらず、社会規範として著作権は侵害すべきではないと言えるようになっている部分があるのではないか。)

前回出された意見  親告罪となる理由のうち、「被害が軽微で被害者の意思を無視してまで訴追する必要がない場合」について、著作権がこれに当たるかと言うと、法定刑との関係で考えなければならない部分もあるのではないか。

前回出された意見  昨年の刑罰の強化の議論の中では、強化するもの、そうでないものを区別して議論をした。そのような区別も参考になるのではないか。

(著作者人格権侵害罪について)
前回出された意見  著作権と著作者人格権とでは、保護対象が財産か人格かで異なっており、分けて考える必要がある。著作者人格権は、親告罪となる理由のうち、「訴追して事実を明るみに出すことにより、かえって被害者の不利益になるおそれがある場合」に関係する可能性がある。

(2) 親告罪を維持するかどうかに関する意見

論点  上記の著作権侵害罪等の性質や保護法益を踏まえた上で、引き続き親告罪を維持すべきか。
 なお、親告罪とされる罰には、一般に、次の2類型があるとされる。
A) 訴追して事実を明るみに出すことにより、かえって被害者の不利益になるおそれがある場合
B) 被害が軽微で、被害者の意思を無視してまで訴追する必要性がない場合

(著作権侵害罪等の性質との関係について)
前回出された意見  親告罪となる理由のうち、「被害が軽微で被害者の意思を無視してまで訴追する必要がない場合」について、著作権がこれに当たるかと言うと、法定刑との関係で考えなければならない部分もあるのではないか。【再掲】

前回出された意見  著作権と著作者人格権とでは、保護対象が財産か人格かで異なっており、分けて考える必要がある。著作者人格権は、親告罪となる理由のうち、「訴追して事実を明るみに出すことにより、かえって被害者の不利益になるおそれがある場合」に関係する可能性がある。【再掲】

非親告罪化に積極的意見  国民の著作権に対する規範意識の観点から、権利者が告訴の努力をしない限り侵害が放置されるという現状は適切ではない。【再掲】

消極的意見  日常的な活動の中で著作権侵害が生じることも少なくなく、こういった侵害について告訴もなく警察が関与することや、盗作疑惑などの日常的なニュースでも警察が動かざるを得ないことは適切なのか。【再掲】

前回出された意見  路上で海賊版を売るような行為については非親告罪ということで意見の分かれることはないと思うが、一方で、著作権法は表現の自由に関わる面があるので、特許法が導入されたから著作権法でも当然ということにはならないのも確か。非親告罪化する部分を、類型によって区切ることが可能か(立法技術の上で区切りが可能かも含めて)慎重に検討すべき。


(実務上の問題、効果について)
非親告罪化に積極的意見  実態の調査等に時間を要する場合など、告訴期間(6ヶ月)の経過により告訴できないという事態を避ける必要がある。

非親告罪化に積極的意見  第三者の告発によって法の執行機関が捜査権限を得ることで、権利侵害に対する抑止力が高まる。

前回出された意見  非常に悪質な海賊版等を念頭に置くと、非親告罪にすることで規制の実効が上がるなら親告罪にしておく必要はなく、非親告罪の方が適当であると思う。ただ、実務上、本当に非親告罪にすれば実効性が上がるのか。

前回出された意見  著作権の事件は難しく、捜査機関は相当苦労している。告訴人側と被告訴人側の間のやり取りが必要となることが多く、告訴人と被告訴人という関係を外して、捜査機関は問題ないのか。捜査機関が、告訴がなくても問題ないのであれば、非親告罪化しても構わないと思う。

消極的意見  検挙件数が増加した場合に、事件ごとに海賊版かどうかを確認する権利者の負担増について懸念がある。

前回出された意見  捜査機関が、どのように認識しているかどうかが重要である。親告罪であっても非親告罪にしても同じなのか、非親告罪と親告罪とでは捜査実務がかなり違うということなのか。

前回出された意見  特許法が非親告罪化された後に、捜査実務がどのように変化したのかを見れば参考になるのではないか。

消極的意見  無方式主義から権利の帰属関係が特許権等ほど明らかでなく、日常的、恒常的に利用されるため、第三者による告発の濫発が予想されうる。

前回出された意見  1億人総クリエーターの時代になってきており、プレイヤーの違いをどう見るべきか。特許権侵害は、業としての場合だけであり、プロ同士の話だが、著作権の場合は、権利の発生、帰属範囲についても特許のように明らかではない。こういう状況で非親告罪にしても良いかという論点がある。【再掲】

(3) 仮に、非親告罪化する場合の範囲に関する意見

論点  著作権等の侵害には様々な行為があるが、類型ごとに分けて考えた場合、親告罪を維持するかどうかについて、異なる評価を与えるべき範囲があるか。例えば、
罰則の軽重によって区別することはどうか。
行為形態によって区別することはどうか。
人格権については、別途の考慮をすべきかどうか。

前回出された意見  知的財産戦略本部の議論では、海賊版、あるいはテロリストに金が流れる場合とか、そういうのを主として念頭に置いているようである。

前回出された意見  非親告罪化の可能性としては常習犯があり、常習侵害罪のようなものをつくって非親告罪化するということも、アイディアとしては考えられる。

前回出された意見  路上で海賊版を売るような行為については非親告罪ということで意見の分かれることはないと思うが、一方で、著作権法は表現の自由に関わる面があるので、特許法が導入されたから著作権法でも当然ということにはならないのも確か。非親告罪化する部分を、類型によって区切ることが可能か(立法技術の上で区切りが可能かも含めて)慎重に検討すべき。【再掲】

前回出された意見  非常に悪質な海賊版等を念頭に置くと、非親告罪にすることで規制の実効が上がるなら親告罪にしておく必要はなく、非親告罪の方が適当であると思う。ただ、実務上、本当に非親告罪にすれば実効性が上がるのか。【再掲】

その他  著作者人格権については、個別の事情が存することに配慮する必要がある。

前回出された意見  著作権と著作者人格権とでは、保護対象が財産か人格かで異なっており、分けて考える必要がある。著作者人格権は、親告罪となる理由のうち、「訴追して事実を明るみに出すことにより、かえって被害者の不利益になるおそれがある場合」に関係する可能性がある。【再掲】

前回出された意見  昨年の刑罰の強化の議論の中では、強化するもの、そうでないものを区別して議論をした。そのような区別も参考になるのではないか。【再掲】

(4) その他

前回出された意見  ドイツでは親告罪だが、第109条ただし書きによって特別の公共の利益を理由として職権による告訴もできるとの規定がある。このような規定はいろいろ対応が可能な規定だが、日本の刑事法にはないと思う。日本ではこういう規定はなじまないといった理由など、なんらかの理由があるのか。

前回出された意見  ドイツでは、起訴便宜主義ではなく起訴法定主義だと思うが、その当たりが関係しているのか。ドイツ、オーストリアというドイツ系の国だけが親告罪で、アメリカ、フランス等では親告罪になっていないことの背景には何があるのか。著作権と著作者人格権とでは、保護対象が財産か人格かが異なるが、ドイツは一元論なのでそこを区別していないのかもしれない。


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