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資料6

平成18年3月30日
文化庁著作権課

著作権分科会(平成18年3月1日)において出された意見の概要

  IPマルチキャスト放送の著作権法上の取扱いについて、現在、レコード協会はネット流通に必要な権利許諾の一元化、簡素化のための集中管理の準備をしており、放送番組のネット流通促進を支援し、同時再送信について円滑な導入に協力する。
 民間の取り組みで解決可能であるにもかかわらず、隣接権者の権利縮小のような法改正をするのであれば、文化の発展に反するのではないか。

 私的録音録画補償金の見直しの議論の中でも取り上げられていたが、現行制度自体が、クリエーター、メーカー、ユーザー絶妙のバランスを取った制度であると思っている。それを見直すということなので、精神としては先人の知恵の出し方を参考にしつつ、デジタル化ネットワーク化の中で、文化振興という視野をしっかりもって、議論していただきたい。
 IPマルチキャストの同時再送信については、実演家、CPRAでもワーキンググループで検討を続けており、いろいろご協力できると思う。
 実演家の権利保護期間の問題について、実演家の存命中に期限が切れるという非常にバランスの悪い状況であり、法制問題小委員会でも取り上げて検討いただきたいと思う。

 現在の規制緩和の動向を見ていると、ユーザーの利益に過度に比重がおかれているような気がしてならない。知財立国を標榜するならクリエーターの利益をも重く見ていただかないと文化の再生産につながらない。高い文化、世界に比する文化を創るためには、IPマルチキャスト放送にしても、私的録音録画補償金制度にしても、クリエーターの顔もよく見ながら議論していただきたい。

  著作権の保護期間については、欧米諸国の多くが(著作者の死後)70年とされており、我が国でも速やかに実現すべきと考える。
 一方、隣接権の保護期間延長は、現時点での検討は時期尚早とされているのは理解しているが、アメリカは発行後95年であり、50年以上の国は多くなってきているので、隣接権にかかる延長も速やかに検討を開始していただきたい。

 通信と放送の融合ということで、デジタル化される中で著作権がどうあるべきかという問題意識をきちんともっていただきたい。デジタル化される中で、コンテンツがあらゆるデジタル機器で流れるように希望しているが、コンテンツを持っているクリエーターの権利を考慮して、小委員会でしっかりと議論していただきたい。

 実務・現場の流れは、大きく環境が変わっている。法制問題小委員会の議論は、現場とコンセンサスを取った上で審議していただきたい。

 フランスその他諸外国については、著作権期間が著作者の死後70年である。しかし日本は著作者死後50年であり、フランスその他の諸外国で著作権が生きている作家の本が、50年で日本ではフリーになってしまう。この状況は、世界的に見ると非常に恥ずかしい状況ではないか。政府や文化庁は日本で作られた著作物がアジアではかなりフリーで使われているということを問題視しているが、実際に日本だけ保護期間50年とやっていると、世界から取り残されてしまうという気がするので、早急に検討していただきたい。
  ただし、文芸著作物の場合、死後50年以上たって需要がある文豪のような人はほとんどおらず、インターネットの世界では、青空文庫に代表される、保護期間が切れた作品をネットに載せる試みが行われており、読者からすれば大変便利である。また、出版界から忘れ去られた作品を復刻するということも行われており、存続期間が切れているとフリーで行うことができる。善意でそうしている人にとって、保護期間延長は大変な抵抗があると思うので、この問題を何とか解決していかないと、善意を無にすることになると思う。
 また、一番問題なのは、許諾を得たいという場合に、著作権継承者の居場所がわからないというケースが非常に多いが、個人情報保護法との関係で、著作権者の住所録などを外部に出すことができなくなっている現在、著作者の許諾を求めることが困難になっている。この点、現行法では裁定制度が設けられているが、登録するためには高額な登録料が必要で、現在の制度はかなり使いづらいと考えられる。裁定制度をもう少し簡略化し、善意で文芸作品を活用したい人がもっと使いやすい制度を構築しない限り、存続期間延長は難しいのではないか。

 法制問題小委員会には以前は関係団体からも参加させていただいたが、公正・中立の観点から関係者を除いた構成になっているのだろうと理解している。ただ、現状がいろいろ多様化している中で、映画の場合の製作委員会方式で著作者が複数の場合の許諾をどうするかという課題があるが、現状が複雑多様でわかりにくくなっているので、委員でないとしても、意見を言えるような特別な措置も検討いただければと思っている。

※以上は事務局においてとりまとめたものである。


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