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資料2

著作権分科会(平成17年9月8日)において出された意見の概要
(権利制限・私的録音録画補償金関係)

<権利制限の見直しについて>

1.特許審査手続・薬事関係の権利制限
 特許・薬事関係について権利制限するとして、仮に著作権者の利益を害する恐れがあるのであれば、どうすればそのような恐れが払拭できるのか併せて検討してほしい。

 特許・薬事の制限については、特許については、特許を取得したいという企業がコストを負担するのが筋であり、製薬会社(営利企業)による副作用情報の提供についても、国民の生命・安全を守るのは当然なのだから会社自らが措置するのが筋であって、(権利制限等という形で)著作権者に負担を転嫁するのは筋違いである。

 教育利用目的の出版物が教育場面で利用される場合、その出版物の通常の利用を妨げる要素が高いと考えられるが、理工学専門書が特許審査手続で、医学専門書が薬事関係手続で利用されるということになれば通常の利用を妨げる要素が大きいであろうという点も含めて検討してほしい。

 (「審議の経過」11ページについて)「著作物の通常の利用を妨げず、かつ、著作者の正当な利益を不当に害しないこと」とは具体的に何か手段を考えているのか。

2.教育関係
 「教育」は、小・中学校から大学まで、さらには予備校やカルチャースクールまで幅広い。困難であるかもしれないが、「教育」については線引きも検討してほしい。

 教育分野でも実用品は有償なのに、著作権になるとなぜ無償でよくなるのか。全体的な権利のバランス、私有財産制の下で制限することのバランスを十分踏まえてほしい。

3.その他
 継続検討とされている事項も、バランスを考慮しつつ、速やかに結論を出す必要がある。

<私的録音録画補償金制度の見直しについて>

1.追加指定に反対する立場
 消費者側からすると、インターネットから有料でダウンロードするという場合には、機器を買ったときに補償金を支払うことは二重課金であるという印象を免れない。いずれにしても、消費者に誤解を与えるものだ。

 政令による機器・媒体に対する個別指定方式は機動性に欠ける。「サービス」に対する課金とする方が、世の中の動きに対応できる。

 消費者はお金を払いたくないから反対しているのではない。制度が消費者に知られておらず、また、必ずしも私的複製に使用されていない場合も一律に広く薄く課金されているという問題を制度は内包している。そのような点についての議論なくして、対象範囲を広げるというのは、誰にとっても良い結果は出ない。

 違法コピーの技術は進んでいる。DRMで1対1に個別課金する技術や著作権を守る技術については応援すべき。

 一口にデジタルといってもいろいろな態様がある。実際にどういった使われ方をしているのか(録音等だけなのか)の実態を踏まえ、現実に即したものにする必要がある。幅を持たせたうえで制度を考えないと、今のようにいろいろな問題がまた出てくる。

2.追加指定に賛成する立場
 DRMに期待するという意見があるが、未だイメージにとどまり、現実的なものではない。

 今やデジタルで同じものを大量に複製できる時代であり、家庭内での利用が制度制定当初から大きく変容している。私的録音録画補償金制度はユーザーにとってもメリットがある。DRMで1対1に個別課金する方式により、「家庭内」の領域がこれで解決するのであればよいが、このような方式は消費者にとって大変不便であり、消費者の意見も交えながら議論しなければならない(消費者の納得が不可欠)。

 私的録音録画補償金制度は、権利者・メーカー・消費者により10年以上にわたって議論してきたという経緯がある。アナログ時代から、私的複製はベルヌ条約9条2項の範囲を超えるのではないかという議論があったが、デジタル化が決定的な要素となって、補償金を制定する国際的な動向も踏まえ、一定のコンセンサスを得て制度化が提言された。制度を崩すと、再度、30条1項(私的複製)そのものに疑義が生じ、混沌となる恐れがある。MD等がハードディスク内蔵型録音機器等に転換していくのは目に見えており、制度制定当時に想定していた範囲以上の影響がある。

 二重課金という誤解に基づく主張は、「著作権」というものに対する思想が欠けていると思う。

 権利者側で調査中の実態調査も参考にして議論してほしい。

 汎用機器・媒体についても、「汎用」というだけで一律に補償金の対象外と結論付けるのはおかしい。実施に私的録音をしている実態があり、そのような利用実態を踏まえて検討してほしい。

 制度に対する消費者の認識不足との指摘については、制度導入当時から議論に加わっていた各団体も告知責任がある。但し、制度自体が疲労しているから議論するべきというのは賛成。

 制度の本質論を理由に、緊急に対応すべき措置を先延ばししてはならない。

3.その他
 追加指定については、結論は先送りしないでほしい。

 どのような結論が出るにしても、継続的に議論するという姿勢は残してほしい。

 公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与する、という著作権法の目的・趣旨を常に念頭においた議論をしてほしい。

 審議会の委員だけという閉じられた場ではなく、関係者を含めた議論・ヒアリングを積極的に行い、様々な意見が出ていることが分かるような仕掛け、様々な立場が反映されるような努力を文化庁にお願いしたい。

 デジタル化の中で著作権法の存立が危うくなっている。デジタル化の中で、著作権法全体がどう生かされていくか議論してほしい。


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