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1.権利制限の見直しについて

(4) 図書館関係の権利制限について

 
現行制度

 図書館等は,著作権者の許諾なく「図書館資料」(図書館等の図書,記録その他の資料)を用いて著作物を複製することができ,公表された著作物の一部分に限り,図書館等の利用者の求めに応じて著作物の複製物を提供することができる(第31条第1号)。また,図書館等は,「図書館資料の保存のため必要がある場合」には,図書館資料を用いて著作物を複製することができる(同条第2号)。
 一方,第37条第3項は,専ら視覚障害者向けの貸出しの用に供するために,著作権者の許諾なく著作物を録音することができる旨を規定しているが,対象施設としては,視聴覚障害者情報提供施設等に限られ,公共図書館等は含まれていない(著作権法施行令第2条)。また,録音データの公衆送信については権利制限規定がないため,著作権者の許諾を得る必要がある。

問題の所在
 
1  第31条の「図書館資料」に,他の図書館等から借り受けた図書館資料を含めることについて

 国立国会図書館,公共図書館(地方公共団体が設置する図書館及び私立図書館をいう。),大学図書館(短期大学及び高等専門学校が設置する図書館を含む。)等の間では,図書館資料の現物貸借注3が実務上広く行われている。しかし,第31条に基づき図書館等がその複製物を提供できる「図書館資料」に,他の図書館等から借り受けた資料注4が含まれるかどうかが明確でない。このため,遠隔利用者等に対して資料の複製物を迅速に提供できるよう,現物貸借された図書館資料を,貸出先の図書館等で複製することについて認めてもらいたいとの要望がある。
注3  国立大学図書館協議会現物貸借申合せ(国立大学図書館協議会平成元年6月29日採択)一 定義 参照。
注4  国立国会図書館が貸し出す資料については貸出期間が1月以内(国立国会図書館資料利用規則(平成16年国立国会図書館規則第5号)第47条第1項),国立大学図書館が貸し出す資料については20日間(国立大学図書館協議会現物貸借申合せ 七 貸出期間.A)と規定されている。
 なお,現物貸借された資料について,国立国会図書館資料利用規則第50条第2項では,「資料の貸出しを受けた図書館等は,当該資料を,当該図書館等が定めた利用規則等に基づいて,所定の閲覧室において閲覧させるものとし,複写その他の方法で利用させてはならない。」とされている。他の図書館等間の現物貸借においても,現行の著作権法制度の趣旨及び資料の安全管理の観点から,同様の取扱いが一般的に普及している。

2  図書館等の間においてファクシミリ,電子メール等を利用して,著作物の複製物を送付することについて

 大学図書館等間における文献複写に関する業務は,国立情報学研究所(旧学術情報センター)(NII)が平成4年より提供するNACSIS-ILL注5により,著作権管理団体との契約又は合意に基づき,ガイドラインに基づいて規律されており,郵送のほか,通信回線を利用した送信により複製物の無償提供が行われている。NACSIS-ILLの参加図書館数(平成16年現在で945図書館),複写件数は年々増加し,図書館実務において主要なものとなっていると考えられる。
 現行制度では,著作物の複製物をファクシミリ送信,インターネット送信等の通信回線を利用する送信を通じて提供できることについて規定はない。このため,大学図書館等の間で実務上広く行われている,図書館等の間における通信回線を利用した文献複写(当該図書館等で所蔵していない図書館資料の複製物を,他の図書館等から取り寄せることをいう。)注6について,広く著作権者の許諾なく行えるようにし,遠隔利用者等に対して文献の複製物の迅速な提供という便宜を図ることが適当であるとの要望がある。
注5   NACSIS-CAT(オンラインによる共同分担目録,総合目録形成・提供サービス)で作成された総合目録データベースを利用して,参加機関間で相互貸借,文献複写の依頼,料金決済などを行うサービス (日本図書館協会図書館ハンドブック編集委員会編『図書館ハンドブック 第6版』(日本図書館協会,2005)301頁)。
注6  国公私立大学図書館間相互貸借に関する協定(平成12年10月12日実施国公私立大学図書館協力委員会決定)第2項及び国公私立大学図書館間文献複写マニュアル参照。

3  図書館等において,調査研究の目的でインターネット上の情報をプリントアウトすることについて

 図書館等は,著作権者の許諾なく図書館資料を用いて著作物を複製することができるが,それと同様に,図書館等が利用者の求めに応じ,図書館等が設置するインターネット端末からインターネット上の情報をプリントアウトして提供することについても,著作権者の許諾なくできるようにすることが適当であるとの要望がある。

4  「再生手段」の入手が困難である図書館資料を保存のため例外的に許諾を得ずに複製することについて

 近年,記録のための技術・媒体の急速な変化に伴う旧式化により,SPレコード,5インチフロッピーディスク,ベータビデオのように,媒体の内容を再生するために必要な機器が市場で入手困難となり,事実上閲覧が不可能となってしまうような状態が生じていることから,新しいメディアに媒体を移し替えて保存するための複製をできるようにすることが適当であるとの要望がある。

5  図書館等における,官公庁作成広報資料及び報告書等の全部分の複写による提供について

 官公庁広報資料等(国若しくは地方公共団体の機関,独立行政法人又は地方独立行政法人が,一般に周知させることを目的として作成し,その著作の名義の下に公表する広報資料,調査統計資料,報告書その他これらに類する著作物をいう[第32条第2項参照]。)については,一般への周知を目的としていることから,図書館等において報告書等の全部分の複製物を提供できるようにすることが適当であるとの要望がある。

6  著作権法第37条第3項について,複製の方法を録音に限定しないこと,利用者を視覚障害者に限定しないこと,対象施設を視聴覚障害者情報提供施設等に限定しないこと,
 視覚障害者を含む読書に障害をもつ人の利用に供するため公表された著作物の公衆送信等を認めることについて

 一部の公共図書館,点字図書館では,視覚障害者等に対して,著作権者の許諾を得た録音データのインターネット配信を実施している。現行制度は貸出しの用に供するための複製の方法は録音に限定されており,録音以外の複製やこのような録音データ等の公衆送信については著作権者の許諾が必要である。
 また,現行制度では,視聴覚障害者情報提供施設等に当たらない国立国会図書館,公共図書館,大学図書館等においては,視覚障害者向けの録音資料の作成につき,著作権者の許諾が必要である。
 さらに,現行制度では,上肢障害でページをめくれない人,高齢で活字図書が読めない人,ディスレクシア(難読・不読症),知的障害者等,読書の手段として録音資料を利用している視覚障害者以外の障害者に対して貸し出すために録音資料を作成するには,著作権者の許諾が必要である。
 このような,図書館が障害者に対して行う資料の提供について著作権者の許諾なく行えるようにし,多様な障害者の情報環境の改善を図ることが必要であるとの要望がある。

審議の状況
1  著作権法第31条の「図書館資料」に,他の図書館から借り受けた図書館資料を含めることについて

 図書館等の間で図書館資料の現物貸借が行われている場合,現行法の下においても,(1)図書館資料を貸出先から貸出元の図書館に戻し,(2)複製を希望する図書館利用者から改めて複製の申請をさせ,(3)図書館資料を所蔵する貸出元の図書館において複製し,(4)申請者に郵送するという手順を踏むことで,利用者がコピーを入手することは可能である。しかし,公共図書館においては郵送による複製物の送付を行わない施設が過半数あり,現物貸借により文献を閲覧した利用者は実際にはそのコピーを入手できない場合が少なくない。
郵送複写の現状のグラフ
出典:社団法人日本図書館協会『図書館における著作権対応の現状
「日本の図書館2004」付帯調査報告書』57頁

 公共図書館数は増加傾向にあるものの,年間受け入れ図書冊数や資料費は伸び悩んでいる。図書館等が増え続ける資料数に対応し,地域住民の生涯学習の拠点としての役割を担っていくためには,図書館等の間での図書館資料の相互協力が重要であることに着目する必要がある。このため,現物貸借された図書館資料については,借用を依頼し現に責任を持って当該資料を管理している貸出先の図書館等において,著作権法第31条第1号の条件を満たす場合には,当該資料の複製をすることができるとする方向で権利制限を行うことが適当であるとする意見が多かった。

 なお,本件の複製を認めることとすると,多くの地域において複数の図書館等が共同で1冊しか購入しない事態となり,権利者の利益を害するおそれがあるとの懸念から,権利制限をするのであれば,絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料に限定すべきではないかとの意見もあり,権利制限の対象とする場合の具体的な条件について,検討する必要がある。

【公共図書館数等の経年変化】
年度注2 図書館数 年間受入図書冊数 資料費注3
前年度決算
1974年 989 4,681,000冊 50億5788万
1984年 1,569 11,157,000冊 160億3538万
1989年 1,873 14,568,000冊 239億3605万
1994年 2,207 18,977,000冊 340億3027万
1995年 2,297 18,409,000冊 349億0813万
1996年 2,363 19,320,000冊 363億6370万
1997年 2,450 19,318,000冊 369億6972万
1998年 2,524 19,757,000冊 361億6139万
1999年 2,585 19,347,000冊 356億4338万
2000年 2,639 20,633,000冊 351億9525万
2001年 2,681 19,617,000冊 354億1654万
2002年 2,711 19,867,000冊 352億2070万
2003年 2,759 20,460,000冊 該当なし
2004年 2,825 該当なし 該当なし
注1  私立図書館を含む公共図書館の経年変化。
注2  図書館数については「年」を指す。
注3  資料費は経常的経費。
出典: 社団法人日本図書館協会『日本の図書館 統計と名簿 2004』27頁より

【相互協力状況】
<公共図書館集計>
図書館相互協力(2003年度実績)
  都道府県立 市区立 町村立 広域市町村圏 私立 前年度
貸出冊数 925,913 791,347 114,059 703 240 1,832,262 1,721,355
借受冊数 113,810 1,237,336 289,920 1,480 435 1,642,981 1,421,711
出典: 社団法人日本図書館協会『日本の図書館 統計と名簿 2004』22頁

<大学図書館集計>
相互協力業務(2003年度実績)
  国立 公立 私立 大学計 短大 高専
図書貸借貸出冊数 57,943 7,112 62,313 127,368 1,432 121
図書貸借借受冊数 53,411 8,075 56,126 117,612 2,833 991
出典: 社団法人日本図書館協会『日本の図書館 統計と名簿 2004』263頁

2  図書館等の間においてファクシミリ,メール等を利用して,著作物の複製物を 送付することについて

 本件の要望は,NACSIS-ILLにより大学図書館等において行われている複製物の提供方法と同様に,大学図書館等に限らず,利用者が身近な公共図書館等を窓口として所蔵館からの所蔵資料の複製物を受け取る方法として,ファクシミリや電子メール等を利用した送信を可能にしようとするものである。特に外国からの複製依頼に関して郵送のみによる対応に限定することは,研究活動等の著しい制限になり不合理であり,我が国が文化の発信に消極的であるとの批判を受けかねないことから,利用者の便宜を拡大することが強く望まれるとする意見があった。
 このようなことから,最終的な利用者に,窓口となる図書館から紙媒体による複製物1部を交付した後,中間的に発生した電子的複製物は所蔵館におけるものを含めてすべて廃棄することを条件に,認めてはどうかとする意見が多かった。ただし,大学図書館等に関しては,現状でもNACSIS-ILLにより,適切に運用されていると考えられるが,それ以外も含めて広く権利制限を行うことの適否については,大学図書館等間その他公共図書館等間におけるファクシミリ送信等の利用実績・ニーズを踏まえ,現行制度における権利処理の限界,権利制限の対象となる権利の種類,具体的な権利制限の規定の在り方,図書館における執行上のルールなどについて,具体的な問題点の整理が必要である。したがって,本件については,この点を踏まえた,図書館関係者による趣旨の明確化を待って,引き続き検討することが適当である。

 なお,図書館等の間の送信のみが権利制限されるとしても,利用者は窓口の図書館まで受け取りに来る必要があり,利用者に直接送られるわけではないことから,利便性が一定程度増すという意味にとどまると考えられる。他方,図書館等の間の送信だけでなく,更に進んで,所蔵館から利用者に直接通信回線を利用した送信をすることについて権利制限を行うべきとの見解もあったが,これについては,そもそも図書館の機能を超えているのではないか,権利者の利益が相当に害されるのではないかという指摘があった。

【参考】NACSIS-ILLシステムについて
ILLシステムでの処理概念図
出典: 国立情報学研究所『ILLシステム操作マニュアル第5版 2.ILLシステムの概要と運用』

NACSIS-ILLによる依頼レコード件数及び参加組織数の推移のグラフ
出典: 国立情報学研究所『NACSIS−ILL利用統計』

【参考】 大学図書館間協力における資料複製に関するガイドライン
(平成17年7月15日 国公私立大学図書館協力委員会)(抄)

7.  受付館は,当該資料の複製ができるとき,以下の(1)又は(2)のいずれかの方法によって複製物を作成して依頼館に送付する。
 
(1)  受付館は当該資料の複製物を作成し,それを依頼館宛に郵便又は宅配便により送付し,依頼館は申込みをした利用者に渡す。
(2)  受付館は当該資料の複製を行い,依頼館宛に通信回線を利用して送信し,依頼館は紙面に再生した複製物を申込みをした利用者に渡す。通信回線を利用する送信とは,ファクシミリ送信,インターネット送信(画像イメージを電子メールに添付して送信することを含む注7)を含み,当該資料の版面の画像イメージを電気信号に変換して電話回線あるいは専用回線などを用いて電送することをいうが,著作権管理団体との契約及び合意の趣旨にかんがみ,利用者には紙面に再生された複製物のみを提供すること,本ガイドライン第8項に従って中間複製物を破棄することの2点を必ず履行するものとする。いかなる場合にも受付館は,利用者に対して電気信号そのものの電子的乃至磁気的な記録としての複製物は提供しない。
 
注7  例えば,Research Libraries Group社(RLG,米国)が開発したArielがあり,このソフトによりLANに接続されたWindows PCを用いて,論文や写真などの様々なドキュメントをスキャンして作成した電子的なイメージデータを,インターネットを介して他のワークステーションに送信することができるとしている。

(中間複製物の破棄)
8.  前項(2)の場合,当該資料の版面の画像イメージの中間複製物を作成する必要がある場合があるが,そのような中間複製物は,その種類にかかわらず破棄する。すなわち,受付館は,送信のために紙面に再生した複製物又は電子的乃至磁気的な記録としての複製物の一方または両方を中間複製物として作成することになるが,そのいずれも破棄することとし,依頼館は,通信回線を利用する送信を受信したとき,利用者に渡す紙面に再生した複製物以外にも電子的乃至磁気的な記録としての複製物を中間複製物として作成する場合があるが,それも破棄するものとする。

(契約及び合意の内容)
10.  著作権管理団体との契約及び合意において規定されている,以下の点について留意しなければならない。
 
(1)  契約及び合意の当事者について
 現在,契約を締結している相手方は,株式会社日本著作出版権管理システムであり,合意書を取り交わしている相手方は,有限責任中間法人学術著作権協会である。

3  図書館等において,調査研究の目的でインターネット上の情報をプリントアウトすることについて

 第31条第1号に基づく著作物の複製が図書館等による行為と解されるのに対して,図書館や公民館等に設置されたインターネット端末を使用して情報をプリントアウトする行為については,その端末の利用者が行為主体であると考えられる。したがって,利用者のこうした行為が,第30条第1項の「私的使用のための複製」に該当する場合や,インターネット上の情報の複製に明示又は黙示の許諾があると考えられる場合など,現行法の枠組みでも自由に行い得るケースが存在するという意見があった。
 現在までのところ,企業活動を目的とする場合を含めて,インターネット上に公開された情報のプリントアウトについて紛争になったことはほとんどない状況であり,本件については,直ちに立法措置に関する具体的な検討に入る必要は認められない。

 なお,このようなインターネット端末からインターネット上の情報をプリントアウトして複製物を提供する施設は,社会教育施設における利用者用コンピュータの設置や情報システムネットワークの整備等に伴い,図書館等のみならず公民館,博物館等にも広がっており,本件は図書館等に限った問題ではない。したがって,図書館等のみならず一般的にどのように提供されているのか,現行法の枠組みで十分であるか否か,どのような手法により対応することが適切か等について,今後必要に応じ検討することが適当である。

【社会教育施設の情報化の状況(平成14年度)】
社会教育施設の情報化の状況(平成14年度)のグラフ
出典: 文部科学省『データからみる日本の教育2005』37頁

4  「再生手段」の入手が困難である図書館資料を保存のため例外的に許諾を得ずに複製することについて

 再生手段の技術革新が進むことによって,図書館等で利用できる資料が減ってしまうことになるため,図書館等の使命にかんがみて,本件要望の趣旨に賛同する意見が多数であった。
 ただし,当該著作物について新形式の複製物が存在する場合は除くべきではないか,また,入手の困難性に関して判断基準を明確にする必要があるのではないかとの指摘があった。また,現行の第31条第2号は,「図書館資料の保存のため必要がある場合」は著作権者の許諾を得ることなく複製が可能であることを規定しており,このような現行法の枠組みで対処が可能ではないかとの意見もあった。
 したがって,まずは,このような現行法の枠組みでどこまで対処が可能であるか限界を見極めるとともに,どのような場合に対処が可能であるかの判断基準について,検討することが適当である。

5  図書館における,官公庁作成広報資料及び報告書等の全部分の複写による提供について

 官公庁作成広報資料については,資料の性格上国民が利用しやすい形で提供すべきではないか,広範に読まれることに意味があり全文の複写はむしろ歓迎すべきことではないか,本来公益目的で作成されたものであり,第32条第2項の対象となる資料については自由に複製を認めて差し支えないのではないか等,本件要望の趣旨に賛同する意見が多数であった。また,米国著作権法第105条の規定注8を踏まえて,図書館に限らず一般的に全部分の複製を認めるべきとの意見もあった。
 ただし,著作権者である国等が「図書館における複製可」などの表記を行えば問題は解決するとの指摘もあった。
 本件については,基本的に何らかの措置を検討すべき事項と考えるが,権利制限を行うべき対象範囲などについて,引き続き検討する必要がある。
注8  「第105条 著作権の対象:合衆国政府の著作物 本編に基づく著作権による保護は,合衆国政府の著作物には及ばない・・・。」(『外国著作権法令集(29)アメリカ編』(社団法人著作権情報センター,2000年)〔山本 隆司・増田 雅子共訳〕21-22頁)

6  第37条第3項について,複製の方法を録音に限定しないこと,利用者を視覚障害者に限定しないこと,対象施設を視覚障害者福祉施設等に限定しないこと,視覚障害者を含む読書に障害をもつ人の利用に供するため公表された著作物の公衆送信等を認めることについて

 障害者による著作物の利用を促進するという趣旨に対しては支持する意見が多数であった。
 ただし一方で,一般に読書に障害を持つ人々の用に供するために図書館が複製や公衆送信を自由に行い得るとすることは問題がある,要望の範囲が広範に過ぎる,趣旨の明確化が必要であるなどの指摘があり,現行法の基本的な枠組みを変更することなく,障害者への一層の配慮をどのように具体化し得るのか,整理が必要である。
 したがって,本件については,障害者にとっての権利制限の必要性を十分踏まえた,より具体的で特定された提案を待って,改めて検討することが適当である。


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