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資料2−5

平成17年4月28日

私的録音録画補償金の見直しについて

社団法人日本記録メディア工業会

 録画用機器の普及、発達と多様化、および録画媒体の大容量化の現状を踏まえ、私的録画補償金制度が直面している課題に関し、以下のとおり見直すべきであると考えます。

1、当工業会の基本的な考え方

  1)   矛盾が広がっている現行の私的録音録画補償金制度は、制度のあり方そのものから抜本的に見直すべきと考えます。
  2)   抜本的な見直しなくして、現行制度の枠組みのまま、運用面を変えて制度の拡大につながるような部分的な修正を行うことには反対です。
  3)   将来的には、本制度を廃止し、時代に即した新たなシステムの構築を目指すべきと考えます。

2、現行制度の矛盾点

  1)   消費者除きの制度運用法
      法律では消費者が支払うことになっている補償金について、消費者は補償金規程の改定や補償金の額についての実質的な関係者協議には参加する機会が無く、積極的に消費者の意見を取り入れる実務機能を持たずに運用が図られている矛盾。
     
1   補償金制度の認知度の低さ

     
補償金制度の認知度の低さのグラフ

     
2   消費者、流通業者に制度の理解を得るための権利者側の努力不足

  2)   補償金徴収方法
     
1   私的録音・録画を行っていない消費者から、あらかじめ徴収しようとする徴収方法自体に矛盾があります。
2   録音録画に使用しなかった場合の返還請求制度も、私的録音及び私的録画以外の用に供したことを証明する立証責任を消費者に課しており、返還手続きに要する消費者の時間・費用等を考慮すると、現実的には機能していないと言わざるを得ません。
3   IT技術の進展した時代を迎え、録音録画時点での徴収も現実に行われていることから考えると、矛盾はますます広がっていると言えます。

  3)   製造業者の協力義務の限界
      メーカー出荷時の価格に補償金相当額を上乗せしているからメーカーの手元に補償金があるはずだと言う理屈は現実的でないと思います。
     
1   補償金徴収の実態(例・・・MD)
消費者、小売店・流通業者の補償金制度に対する認知度が上がらない状況下で、制度を維持させるため、協力義務の名の下にメーカーに今以上の責任を負わせることに限界を感じます。

   
補償金の流れ(録音)A表


補償金徴収の実態(MD一枚当たり)B表


2   販売価格低下により文字通り、補償金をコストとして吸収できなくなっております。
3   IT技術の進展した時代を迎え、録音録画時点での徴収も現実に行われていることから考えると、矛盾はますます広がっていると言えます。

  4)   権利者への補償金の分配の透明性と公平性

  5)   重畳的な負担
     
1   音楽のインタラクティブ配信における使用料規程も定められている状況下にあって、一般の消費者は、一方で補償金を支払いつつ、録音・録画時点でも課金をなされるという矛盾が生じています。
2   消費者の複製回数は、暗号化などの権利保護技術によって権利者にコントロールされている状況にあります。補償金制度は、デジタル化に伴う権利者の経済的不利益の補償が目的とされていますが、消費者の複製がコントロール下にあるにも関わらず、補償金が課されること自体、消費者に対して重畳的な負担を強いていると言えます。

  6)   補償金を支払わない(徴収できない)一部の輸入業者の存在


3、今後の権利保護と補償金の考え方

  1)   メーカーとしては、利用者が録音されると同時に課金されるシステムに関する技術的問題を解決できるよう最大限の努力を払いたいと思います。
これまでも、メーカー各社は、機器と記録媒体の両面から著作権保護システムの開発に取り組んでまいりました。今後もその取り組みを強化したいと考えています。
  2)   現行制度の導入時点とは技術的進歩による環境整備の度合いは大きく変化しており、その観点から将来に向けた新たな権利者保護制度の実現は可能だと考えています。
  3)   消費者、権利者、製造業者、サービス提供者による関係者協議を通してロードマップを描いて、現在開発されている、また今後開発が見込める技術を活用した新しい権利者保護・徴収システムを構築することが大切だと考えます。
      以上


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