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「著作権法に係る検討事項(仮題)」の整理に向けた意見について

委員名 齊藤 博
著作物等の利用に対する著作者等の「相当なる」保護
 著作物や実演の利用に対する著作者や実演家の「相当なる」保護は自明のことでありながら、現実には、つねに検討を続けなければならない課題であります。利用を許諾した際の対価の相当性、権利を譲渡した際の対価の相当性は、著作物等の利用形態が多様化し、近未来の利用形態さえ予測が難しい今の時代、立法上、より細やかな配慮が必要かと思います。たとえば、
  契約に関する規定の新設
 当事者の「私的自治」を尊重しつつも、契約に関するより詳細な規定を設ける。
  いわゆるワンチャンス主義
 理論上は、1回の出演契約により相当な対価を得る余地はあるが、別途、立法上対応することが可能か否かを検討する。
  追及権
 美術の著作物の原作品の転売に際して、著作者にもその利益に関与できる途を模索する。
30条2項の政令指定
 デジタル方式の機器及び記録媒体を、個々に、政令で定める仕組みは、汎用性の高い機器及び記録媒体が普及する現在、もはやその昨日を十分には果たしえなくなっているように思われます。デジタル技術の特性を活かした利益調整の途を急ぎ検討する必要があります。
44条、102条1項の見直し
 新たなタイプの「放送まがい」送信を著作権法上の放送とするのであれば、著作権法44条の定める「一時的固定」の制度は廃止したほうがよいように思います。それに応じて、102条1項の規定も改正を要しましょう。
著作権等管理事業法に対応した法改正の要否
 著作権等管理事業法が複数の団体に管理を認めた今、権利者を代表する「指定団体」「指定管理団体」の制度についても、「団体又はそれらの連合体」と定められているので形式上は問題がないでしょうが、実務上課題がないのか否かを調査する必要がありましょう。
 加えて、管理事業者の複数化は、著作物等の利用者の側に、権利者のサーチ、許諾手続き等でコストの負担が生じるでしょうから、複数の団体を緩くリンクさせ、窓口を一元化する、いわゆるOne-stop-shopの仕組みが必要でしょう。
規定の簡素化等
 規定の簡素化、表現の平易化が求められますと同時に、カッコ書きを努めて減らす工夫も必要でしょう。デジタルネットの時代を迎え、一般の消費者が著作権法に関与する機会が増えるでしょうから、とりわけ平易化が求められましょう。消費者が直接関与する著作権法施行令1条1項及び2項の規定などは難解に過ぎましょう。



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