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「著作権法に係る検討事項(仮題)」の整理に向けた意見について

委員名 大渕 哲也

 優先して対応すべき著作権法上の検討課題と考えられる点は以下のとおりである。(なお、以下の各項目の中では、その緊急性と検討にかかる時間の双方の観点を総合考慮して、早期に検討を遂げるべきものと、じっくり時間をかけて検討すべきものとがあるが、この点についての区別は特に要求されていないので、区別はしていない。)

1  間接侵害規定(狭義)の導入の要否について
 特許法等と異なり、間接侵害規定(狭義)が著作権法においては存しないために、種々の解釈論的負荷が課されているようにも見受けられる。そこで、このような間接侵害規定(狭義)を著作権法においても導入すべきかどうかについて検討を加える必要があると考えられる。

2  権利制限規定の在り方について
 例えば、法30条(私的使用のための複製)による権利制限については、より限定的なものとすべきかといった権利制限規定を制限すべきかどうかという方向での検討が必要であると同時に、現行の権利制限規定では、本来権利制限されるべきものがカヴァーし切れていないのでこのようなものもカヴァーできるように権利制限規定を拡大すべきかどうかという方向での検討も必要である(後者のような権利制限が十分でないと、それ自体が問題である上に、実際上いわゆるモラル・ハザードの問題も惹起するおそれがある点でも問題となろう)。
 従前は、著作権制限規定の点についてはややもするとパッチワーク的対処になりがちであったようにも見受けられるが、この機会に、著作権の支分権の在り方の点も視野に入れつつ、大局的ないし総合的に検討を加える必要があるように思われる。

3  著作者人格権の範囲の適正化について
 例えば、同一性保持権については、私的範囲における改変についても、これを及ぼすべきかどうかといった点や法20条2項4号の在り方といった点等が問題となり得るので、これらの点につき検討を加える必要があるように思われる。

4  著作権法と契約法の関係について
 著作権法と契約法の関係については、契約による著作権法の権利制限規定のいわゆるオーヴァーライダビリティーの点をはじめとして種々の点が大きな問題となり得る。現行著作権法は、著作権法と契約法の関係についての規定があまりないが、著作権法と契約法の関係について、この機会に、十分な検討を行っておくべきではないかと思われる(上記の論点の困難性のために、これに関する規定の導入は最終的には見送られることとなるかもしれないが、同論点の重要性に鑑み、審議会の場で一度十分な議論をしておく必要があろう)。

5  行政手続に関する著作権の制限規定の導入について
 上記2の点の具体的な1つの論点であるが、行政手続に関する著作権の制限規定の導入については、例えば特許法や薬事法の関係で必要性が高いように思われるので、この点につき検討を加える必要があると考えられる。

6  政令への委任による機動性の向上の可能性について
 技術的な規定については、政令に委任することにより、技術状況や社会情勢等の変化に機敏に対処することができるという観点から、この点につき検討を加える必要があると思われる。



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