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資料3


損害賠償制度の見直しに係る論点の整理



   
1.    「法定賠償制度」について

後藤委員の提案

<問題点>
   無断インターネット送信(送信可能化権侵害、自動公衆送信権侵害)については、「ダウンロード回数」の把握が困難なため、現行規定では、十分な損害賠償を請求できない。
<解決策1:送信可能化権侵害>
   送信可能化権の侵害行為を立証した場合に、「送信可能化」によって損害があったことを推定し、侵害を受けた1著作物につき10万円を最低額として損害賠償請求できることとする。ただし、「送信」していないこと、損害が10万円に満たないことを被告が立証した場合には、その事情に応じて減額することとする。

解決策2:自動公衆送信権侵害>
   自動公衆送信権の侵害行為を立証した場合に、「送信」回数が把握できなくても、侵害を受けた1著作物につき10万円を最低額として損害賠償請求できることとする。ただし、損害が10万円に満たないことを被告が立証した場合には、その事情に応じて減額することとする。

【出された意見】

基本的考え方

「最低限の損害賠償額」として法定するか(被告の反証を認めない)、「損害額の推定」ととらえるか(被告の反証を認める)。

対象とする侵害行為

送信の前段階である「送信可能化権侵害」についても、法定賠償を認めるべきか(「送信可能化権侵害」における「損害」をどうとらえるか。)、「自動公衆送信権侵害」に限定すべきか。

適切な法定損害額

法定額(例えば1著作物につき10万円)の根拠はなにか。

(例)侵害を止めるための費用、ライセンス料

同一の著作物について、同一の侵害者が侵害を繰り返している場合の損害額をどうするか。
映画の著作物や編集著作物・データベースの著作物など、多数の権利者が存在する著作物の侵害については、1つの侵害行為が複数の権利侵害となるため、1侵害行為に対する損害賠償額が高額となるが適当か。
1著作物の著作権侵害であっても、著作物の種類によって、業種や市場の違いによる「損害額」の違いがあるが、「法定賠償額」にどう反映させるか。損害の相場というものがあるか。


2.    「3倍賠償制度」について

1細川委員の提案

<問題点>
   権利者側における侵害行為対策費用は膨大であり、損害賠償額として通常の使用料相当額だけの請求では、その損失を補填することができない。
<解決策
   権利者は、故意又は重過失による侵害行為者に対し、通常の使用料の3倍の額を損害額として、請求することができることとする。


2久保田委員の提案

<問題点>
  デジタル化・ネットワーク化により、著作権侵害の量は飛躍的に増加しており、現行の刑事罰規定だけで十分な抑止効果が働いていない。
<解決策
   裁判所は、故意又は重過失による侵害行為者に対し、損害の額の2倍以内の額の賠償を認定することができることとする。


【出された意見】

民事法、刑事法による区分との整理

我が国法上は、損害に対する救済は民事法、違法行為の抑止は刑事法の問題として区分されており、最高裁判決においても示されているとおり、違法行為の抑止を目的とする懲罰的損害賠償制度は、我が国の法律体系に相容れないのではないか。
抑止効果については、警察当局の罰則規定の運用強化による解決に期待すべきではないか。
抑止効果は刑事罰に委ねるべきであり、まず罰則規定の見直しについて議論すべきではないか。⇔  現在の罰則規定でなぜ機能していないかを調査してから罰則規定の見直しについて議論すべきであり、罰則規定の見直しでは問題解決には不十分ではないか。

侵害行為対策費用の補填

侵害行為対策費用は、恒常的な費用であって損害賠償で補填すべきものではないのではないか。

外国判決の執行に対する影響

懲罰的損害賠償制度を認める外国判決の承認・執行における影響を考慮すべきではないか。

損害よりも多額の金額を権利者に支払う根拠

抑止効果として3倍の額の賠償額を支払わせる場合、抑止のために科した分の賠償額をなぜ権利者に支払わせるのかその理由が不明確ではないか。


3.    「侵害の数量の推定規定」について

山本委員の提案

<問題点>
   権利者は、侵害者に対する販売数量の報告徴取権や帳簿閲覧請求権はないため、侵害者による販売数量の把握及び立証は極めて困難である。
<解決策
   著作権者等が、損害賠償請求をする場合において、侵害者が販売し又は公衆の使用に供した数量は、著作権者、出版権者又は著作隣接権者が立証した数量の2倍と推定することとする。


【出された意見】

推定規定の導入に積極的に反対する意見はないのではないか。
複製権侵害の事案とは異なり、演奏権侵害のように侵害数量について100%権利者が立証できるという事案への対応には不十分ではないか。


4.    その他

「不当利得」に対する対応を検討すべきではないか。

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