ここからサイトの主なメニューです
著作権分科会 国際小委員会(第5回)議事録

日時 平成17年12月5日(月曜日)
14時〜16時
場所 経済産業省別館1028号室

議事次第

1   開会
2   議事
   
(1) WIPO一般総会及びWIPO著作権等常設委員会の報告について
(2) 文化審議会著作権分科会国際小委員会報告書案について
(3) その他
3   閉会

配付資料一覧

資料1   第41回WIPO一般総会概要(放送条約関連)
資料2   第13回SCCR結果概要(放送条約関連)
資料3   文化審議会著作権分科会国際小委員会報告書(案)(PDF:899KB)
資料4   「文化審議会著作権分科会国際小委員会中間報告書」意見募集結果概要
参考資料1   著作権分科会国際小委員会(第4回)議事録
(※著作権分科会国際小委員会(第4回)議事録へリンク)
参考資料2   「文化審議会著作権分科会国際小委員会中間報告書」意見募集結果(意見全文)


【道垣内主査】
 では、ただいまから文化審議会著作権分科会国際小委員会の第5回の会合を開催いたします。
議事の内容の公開を一層進めるという今期の著作権分科会の方針に基づき、本日も公開で議論すべく既に傍聴者の方にはご入場いただいているところでございますが、本日の議事も公開ということで特にご異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【道垣内主査】
 それでは、本日の議事は公開ということで、傍聴の方にもそのままいていただくということにしたいと思います。
 では、議事に入りたいと思います。
 まず、事務局から配布資料の確認をお願いいたします。

【事務局】
 それでは、議事次第の「配布資料一覧」というところにあります資料をご確認させていただきます。
 まず、資料1と資料2がそれぞれ1枚紙でございます。
 それから、資料3が報告書(案)と、(案)のついたものでございます。
 それから、資料4が意見募集結果概要。
 それから、参考資料1として前回の議事録。
 それから、参考資料2が意見募集結果の全文です。
 以上でございますが、ございますでしょうか。

【道垣内主査】
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
 なお、この座席表にはお名前がありますが、奥邨委員がご体調が悪いということでご欠席で、久保田委員の方は、名簿にお名前がございませんけれども、いらしていただいております。
 では、本日の議題でございますが、まず、9月に開催されましたWIPO一般総会及び11月に開催されましたWIPO著作権等常設委員会の結果につきまして、事務局よりご報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【事務局】
 それでは、説明させていただきます。
 まず、資料1の「第41回WIPO一般総会概要」の方でございます。
 WIPO一般総会では、予算等、1年間のWIPOの事業計画全般について議論いたしますので、著作権だけではなく特許関連など多数の議題がございますが、この小委員会との関係で放送条約関連の部分をご説明させていただきます。
 まず、日程でございますが、9月26日から10月5日ということで、主に1週目に総会で議論をいたしました。場所はジュネーブのWIPO本部でございます。
 日本から代表として出席いたしましたのは、こちらにおります辰野審議官と、文化庁からは私、それからジュネーブの代表部から寺門書記官、こちらは文部科学省から出向していただいておりますアタッシェでございます。それから、特許庁の方も、特許関連ということで、長官以下、幹部が一通り出席されておりました。
 それで、放送条約についての議論ということでございますが、今年の春のSCCRでも、去年の一般公開からの議論を受けて、事務局から2006年の第2四半期、6月までに外交会議の開催を求めるという提案があらかじめなされておりまして、さらに、去年の一般総会の決議で地域会合で検討するということになっておりましたが、全ての地域会合において外交会議の開催を支持するということになっておりまして、その地域会合のそれぞれの代表がそういった結果を受けて、事務局提案を支持するということを報告いたしました。
 それに続きまして、我が国を初め大多数、もう数えきれないほどの国が支持するということを表明いたしたわけでございますが、それに対して、この括弧の中に書いてある国ほか、10カ国前後だったと思いますが、を代表して、ブラジルが反対しまして、主な理由としては、まず、新しい条約テキストというのが今年の5月に出てきたわけでございますが、それについてはその後、一度もまだ議論をしていないということ。それから、地域会合の招集・決定手続というのが、事務局が主導で行って、参加ということ、あるいは意見の取りまとめということに十分な手続を踏んでいないというようなことを指摘いたしまして、外交会議の開催は時期尚早であると、非常に強硬に反対を行いましたものですから、数の上では圧倒的に外交会議の開催を支持されたのですけれども、議長としてはコンセンサスというわけにはいきませんで、非公式会合を開いて、さらに決定の案文を調整するということになりました。
 それで、非公式会合ということで、主に主要国、推進する側としては各地域会合の代表国、あるいは日本など、主に推進している国と、それから反対している国というのは主にブラジル、アルゼンチン、チリというラテンアメリカの一部の国、それからインドというあたりとの間で、どういう案文なら合意できるかというすり合わせを行いまして、最終的には、下の方にございます(最終テキスト仮訳)と書いておりますように、一番のポイントは、2006年第2四半期というのは無理で、第2パラの方ですが、「これらの会合は放送機関の保護に関する条約のベーシックプロポーザルを合意し、完成させ、2006年の一般総会で2006年12月又は2007年の適切な日程での外交会議の開催を求めるためのものである」となりました。
 1つには、半年から1年半、外交会議の開催時期が延びたということと、それから、もともとの提案では一般総会でもう決まるということだったのですけれども、来年の一般総会でもう一度、外交会議を開催するかどうかという議論を行わなければならないということになったというところが、今回の決議のポイントでございます。
 以上が、資料1の一般総会でございます。
 それから、資料2のSCCR、こちらの方は1週間から2週間ほど前の、11月21〜23日に池原課長と私で行ってまいりまして、ほか、こちらの委員の方でも、放送局の方等、あるいはほかにもNGOとしてご出席いただいたので、その委員の方々はご存じのことだとは思います。
 議論の内容でございますが、まず、開催の2日ほど前にブラジルが新しい提案ということを出してまいりまして、放送機関の公共的役割、あるいはアクセス権、文化多様性条約という、そういった関係からの権利保護との調整規定、それから、技術的保護手段の規制、こちらは基本的にWCTでもWPPTでも、デジタル対応の三つの大きな柱だと思うのですが、こちらの削除を要求してきた。
 それから、チリも、ブラジル提案にさらに補完するということで、内国民待遇ですとか、あるいは競争的観点から権利制限を行えるとか、そういう提案、こちらの方はちょっとSCCRのときには、スペイン語の提案しかなくて、実際に配布されたのはもうほぼ会議が終わったタイミングなのでございますが、こういうふうに提案してきた。
 それをまず冒頭に議論したわけですが、各国いろいろな反対、反対というか問題点を指摘したということで、正式な意見を提出するタイミングがなかった、間に合いませんでしたが、我が国なども、文化多様性条約などを取りまとめたときの経緯というのを池原課長が十分踏まえておりますので、このあたりを中心に、それはおかしいという指摘を行いました。
 それに引き続いて、もともとの条約テキストについての議論も行いました。基本的に、それぞれ1ラウンドずつしか意見を言う機会がなくて、意見を交わすというか、どこかの国の意見に対して反論という形式はとれなかったので、基本的には各国の主張をそのまま繰り返すという形にはなりました。まず対象範囲ということでは、ウェブキャスティングが、本小委員会の報告でも大きな論点かと思いますが、それについては、ほとんどの国が、議長が出してきた「非強制的保護のワーキングペーパー」という形の保護であっても、ウェブキャスティングを保護対象とすべきではないという意見でございまして、それに対して、中身に反対という国とは別に、我が国やその他、放送条約を早期採択すべきという立場の国も、それを議論の俎上に乗せると放送条約が採択できなくなるだろうという観点から、そこは慎重であるべきだというか、まだ時期尚早であるという意見を表明したということでございます。
 それに対して米国やEUはそれぞれ、ウェブキャスティングの保護の必要、あるいはサイマルキャスティングは保護が必要という話を繰り返したということでございます。
 それから、放送前信号ですとか、技術的保護手段、参加資格などについては、それぞれ従来からの議論の継続で行われたということでございます。
 それから、第2ラウンドとして、(条約で付与される権利)ということで、コンピュータネットワークを介した再送信を「再送信」に含めるかどうか。こちらの方は、確かにコンピュータネットワークを介した再送信ということを「再送信」に入れるというのは、今度の条約テキストは外れることですので、ウェブキャスティングの議論とは、直接はリンクしていないのですけれども、引き続き、新しく入れるのには反対だという議論などが出てまいりました。
 それから、米国提案の禁止権の話ですとか、あるいは権利制限、これは放送条約の前のテーマとして権利制限についても議論があったのですけれども、それをその一環のような形で、権利制限についても、途上国を中心に、拡大が必要だというような意見などが交わされたところでございます。
 実際、それ以外の話、中身の話についてはそれぞれ基本的に議論したというか、意見を表明したということで、実質的な中身について詰まっていくというほどには進まなかったのでございますが、今後の手続として、メキシコ、これはラテンアメリカの中では、ブラジルとかアルゼンチンが非常に消極的というか、遅らそうという考えなのに対して、メキシコは非常に推進したいという立場の国でございまして、それが、要するに2回SCCRを開いても、時間が不十分だということを、恐らくブラジルやインドなどが言ってくるということを見越して、あと1回では議論の時間が不十分であるから、もう一度、6月より前に、4月とかにもう1回会議を開催するべきではないかという提案を行いまして、これに対して、チリはどちらかというとブラジル側の国なのですが、そちらの方は、6月のSCCRを延ばせば、旅費ですね、そのあたりが省けるのではないかというようなことを言っておりまして、調整するということになりました。
 それから、ブラジル提案、チリ提案というのは会議開催の非常に直前に提出されたので、まだ議論されなかった、実質的にはほとんど議論ができなかったのですけれども、それについて、今回の議論を踏まえてちゃんと条約テキストに入れてほしいということをブラジル、チリが言ってまいりまして、これも、アメリカなどは、議論もされていないものを条約テキストに盛り込むのかというようなことは言ったのですが、そもそもの一般総会の決定で、ベーシック・プロポーザルにまとめるということについては、ブラジルも、そのためには一通り各国の提案を並べておくべきだということを言っており、それ自身は正論だったので、そういったものを作成するということになりました。委員の皆様でも何人かご出席いただいたので、このあたりについてご発言をいただければと思います。
 以上でございます。

【道垣内主査】
 ありがとうございました。
 WIPOの2つの会合につきまして、ご出席された方から補足のコメント、あるいはそうでない方からのご質問とかご意見がございましたら、どうぞご発言ください。
 いかがでしょうか。どうぞ、石井委員。

【石井委員】
 今出ましたSCCRに、私はABU(アジア太平洋放送連合)のメンバーとして参加してきたのですけれども、若干それについての感想を申し上げさせていただきたいと思います。
 私の印象ですけれども、一言で言えば、今回は条約そのものには必ずしも積極的でないインド、ブラジルなどを含めて、今までのように議事進行に異論を唱えたり、議論自体を引き延ばす、そういうことではなくて、多くの国から、条約内容そのものについていろいろな意見が相次いだというところが非常に印象深く思いました。
 その結果、WIPOのプレス・レリースにも出ていますけれども、条約内容について各国の理解が進んで、議長の論点整理に沿った形で、今までになくレベルが高いといいますか、そういう議論ができたのではないか、そういうふうに思っております。
 その議論の中で、放送条約の目的がコンテンツの保護ではなくて、放送信号の保護であるということ、そして、海賊行為というのはこれは抑止していかなければならないことだ、そういうことについては、ほぼ全体の共通認識となったのではないかなというふうに思います。
 ただ、一方、そのことと、公共の利益、あるいは、一般的な言い方をすれば国民の知る権利とでも言いましょうか、そういうようなこととのバランスが大切だということが議論になっているということも感じました。
 このバランスというのは放送事業者にとっても大事なことでありまして、ABUのスピーチの中で、ネットで多くの不正違法行為が行われる時代にあって、放送局の権利が適切に保護されるということが、これがひいては放送局が国民に必要な情報や知識を提供するために必要だということを訴えていきました。
 また、会合では、日本政府からの力強いサポートをいただきました。どうもありがとうございました。
 そしてまた、このような発言が行われたのは、この国際小委の場での議論があったためだと私は思います。皆様方にも、改めてお礼を申し上げたいと思います。
 それから、今回は韓国も、今まではどちらかというと沈黙を守っていたのですけれども、条約採択を強くサポートする発言があったということも印象に残りました。
 ただ、残念なことは、その他のアジアの国からの積極的な意見が少なかったということで、これは、ほかの途上国、中南米ですとかアフリカ諸国が、立場はともあれ積極的に発言したのに比べて、やや寂しさが残りました。
 いずれにせよ、6月の次回のSCCRが、外交会議の開催に向けて重要な意味を持ってくることになると思います。引き続き、著作権利者、実演権利者の権利を適切に守って、あるいは国民の皆様に豊かな番組を提供するためにも、放送条約に対する皆様方のご理解とご支援をお願いしたいというふうに思います。

【道垣内主査】
 どうもありがとうございました。
 そのほかの方から、何か。どうぞ、上原委員。

【上原委員】
 それでは、私の方も参加しておりましたので、若干感想程度を述べ、見てきた内容を述べさせていただきたいと思います。
 今回は期間が3日間と短く、なおかつ初日にインフォメーション・ミーティングが予定されておりまして、これは通常は午前中だけなんですが、午後にまで予定されていて、それがさらに延びたために、4時から開かれるはずのSCCRが5時を過ぎるぐらいになってしまったということで、1日目はほとんど議長選びプラスアルファで終わってしまったということでございまして、実質的には、最終的に次の会議へのまとめもしなければいけないということを考えると、正味、議論の時間が1日半程度しかとれないということで、なかなかせわしない感じにならざるを得ないという部分があったというのが、客観的な状況としてございました。
 その中で、先ほど石井委員の方からお話がありましたが、今回は、少なくとも表面的にはブラジル、インドも、議事進行を妨げることによって前に進むのを止めようという表立った発言というか、そういうものはなかったと言えます。
 ただ、ブラジル自身は自分のところの提案を出したこともあって、議事のさまざまなところで長い演説を行いまして、結果としては、非常に短い討論の中で長いブラジルのスピーチに時間をとられていたという事実があったかと思います。
 そうしたところから言いますと、ここには書いてございませんが、ブラジル提案自体が提出されたのは11月17日、木曜日でございます。17日、木曜日に出て、金曜日1日あいて、翌月曜日から会議でございますので、各国、討論が十分にできない状況でありながら、ブラジルからの新たな提案ですので、尊重が非常になされたために、私の方の印象といたしましては、議論そのものはやはりある程度収束する方向に前回まででもっていったのが、前回最後のコンクルージョンで混乱して拘束力を持った結論が出なかった、それを受けた今回の会議でしたが、見てくれの動きというのはうまく行っているのですが、議事等の妨害はなかったのですが、内容的にはやはり、新たな提案を出して、そこの主張を繰り返すことによって、トータルには、まとまりつつある、あるいは進みつつあるものをもう一度ばらけさせていくという動きがあったように思います。
 その結果、基本的には、11回ぐらいまでで大体落ち着いていた議論が、パブリック・インタレストというような議論なり、文化の多様性という議論が入ることによって、改めて混乱した議論が若干行われた部分があるように思いまして、その辺を整理して、もう一度放送条約の流れをきちんとしたものにするために、長い、もう少し時間を持った討論が必要であるということで、メキシコなりの提案が行われたというふうに考えております。
 メキシコの提案は、どちらにしても、短い討論もう1回では、次回総会前に、今年の総会で出ているような形でベーシック・プロポーザルをある程度まとめていくということは無理だろうから、それを可能にするように、できるだけ長い討論時間を確保しようということが主眼であったというふうにとらえておりまして、事務局としては一応そうした方向での作業をしたいということでございます。改めて少なくともSCCRでの正式議事に挙がったのは1998年のことでございますので、それ以来もう7年、8年の議論が行われておりまして、ここ数年でほぼまとまってきたものが、一転して、議論が混乱しかかっているという部分がございます。
 各国の代表者も入れかわってきたところで、新たなメンバーが入ってくるものですから、話が混乱するという部分もありまして、その辺も含めて整理をするということをまとまった議論の中でしていって、次の総会までにまとめるということをやっていく次第であります。
 とりあえず、以上でございます。

【道垣内主査】
 ありがとうございました。
 そのほか、何かございますでしょうか。

【橋本委員】
 米国のウェブキャスティング、あるいはEUのサイマルキャスティングの保護の部分ですけれども、私が理解している範囲で言うと、この主張を彼らが繰り返さなかったことはないというふうに考えています。WIPOあるいはSCCRという局面でもいいのですが、条約として一旦収束しかかった流れという中で、この2点については議論としてはどんな感じだったのでしょうか。要するに、米国もEUも一歩も譲らないということなのか、多少譲るという動きになっているのかをお知らせいただければと思います。

【事務局】
 この経緯について申し上げますと、もともと条約のテキストの中にウェブキャスティングが入っていたわけでございますが、それではとてもまとまらないということで、ワーキングペーパー、非強制的保護として、3つのオプションですね、要するに条約の中身にするけれども、そこの部分については批准しないことができる、あるいは寄託とした場合だけ、そこの部分がバインディングされる。あるいは全く別の、条約でない、プロトコール(議定書)の形で、別のものをつくる。
 非強制的な、要するに放送条約の受動的な義務でないという形で保護をするというワーキングペーパーが議長から出されたわけでございまして、その時点で言うと、妥協といいますか、放送条約の中身にしてほしいというアメリカあるいはEUのものよりはトーンダウンした、しかしながら依然として放送条約の一部のような形で残すという案が、議長の方で準備されたわけでございます。
 一方、従来からそういうウェブキャスティングのようなものについては全く反対の国というのは非常に、コアとして途上国にある。
 それで、放送条約全体をもう殺してしまうというか、採択できない状態に陥らせるか、あるいは放送条約は採択して、まず先に動いてしまって、その次の議論にするかという観点から、まず放送条約の外にすべきだという国が、日本以外にスイスですとかニュージーランドですとか、要するにアメリカとEU以外の先進国と、それから放送条約に積極的な各地域グループの立場でございまして、それで、アメリカとはそれなりにバイで日本は話す機会がございますので、アメリカの本音の禁止権とこの点についてはある程度把握しておりますが、日本は日本の立場を守った方がいいのではないかという感触、印象は持ったというところでございます。

【道垣内主査】
 どうぞ。

【上原委員】
 今、千代専門官の方からご説明いただいたとおりなんですけれども、いわゆる議場での感じというところだけで申しますと、議長としては一生懸命まとめるために逆に提案を出したわけですが、それに対して、少なくともアメリカが、この提案では全くどうにもならんぞという言い方を大きな声で言っているという感じには受け取っていないんですけれども、全体として受け取っていないのですが、逆に、ブラジル提案が出たことと、それから途上国側から、要するに全体として先進国側に対抗するという構造ができているために、ともかくウェブみたいなのは外せという声が非常に強く出ていて、その妥協案をどうしようかという討議に余り進まなかったということのために、アメリカやEUとしても、この場限りでの公式発表としては、言葉としてそれを強く、自分たちの言い分を言わざるを得ないという状況であったということだと思いますので、本音でその意見はどうかということとは若干、議場での発言とはイコールでないのではないかというふうにとらえています。
 ただ、今後の動きの中でどう進むのかは、国際的な関係等の問題もありますので、その辺は、とりわけEU25カ国についてはまとまりが全体に得にくいところなので、わかりにくいところかと思います。

【道垣内主査】
 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。
 本小委員会では、これまで4回にわたりましてさまざまな論点で議論を行ってまいりました。そして、その中間報告書を作成しまして、本年の9月8日から10月7日までの約1カ月間、意見募集を行いました。
 本日は、そういったさまざまな議論、それからパブリックコメントで寄せられた各界のご意見を踏まえまして、文化審議会著作権分科会国際小委員会の報告書を取りまとめることにしたいと思います。
 そのため、まず事務局から、パブリックコメントで寄せられた意見につきましてご報告をいただき、その上で、今申しましたことを踏まえて、この最終報告書をどう取りまとめていくかという意見交換の時間をとりたいと思います。
 では、まず、資料3、4につきましてご説明をお願いしたいと思います。

【事務局】
 それでは、まず意見募集の概要についてご紹介させていただきます。
 参考資料2にいただいたご意見の全文がございますが、全部ご紹介すると時間が非常にかかってしまいますので、概要だけではわからないという部分についてご参照いただければと思います。
 そして、意見募集の結果を受けて、本小委員会で再度報告書を見直していただければと思いますが、まず、必ずしも国際小委員会の対象でない、国内の著作権制度、あるいは著作権政策に関する意見というのがかなり多数寄せられております。
 こういったものにつきましても、小委員会の報告書に対するご意見として議論いただくということだけではなく、著作権課の方にもうお渡ししておりまして、そちらの方でも政策の一環として検討というか、考慮していただくということになりますし、あるいは、国際小委員会の報告書に対するご意見につきましても、本小委員会の中の議論の経過に出てきたような意見もございますが、そのあたりは既に議論をした上、こういった意見になっているということだと思います。
 あるいは、この小委員会のテーマになっていないことについて、入れるべきだというご意見も多数ございますが、国際的な問題を全て取り上げるというわけにもまいらないと思いますので、そこはプライオリティとしてどうかということかと思います。以上の観点で再度、意見募集結果概要についてご説明させていただきます。
 まず、2.の放送条約への対応の方向性につきまして、一番上の意見でございます。「この節で」というのは「放送条約の保護の趣旨」の節で、「放送条約の保護の趣旨」として述べている内容と、22.(3)の3で、これは禁止権のところで、「本条約の目的が放送コンテンツの保護ではなく、海賊版対策である以上(中略)という考え方がある」として述べている内容との関係が分かりにくい。ここは記述に対しての意見でございます。
 この22.(3)のところの記述の経緯でございますが、ここはたしか増山委員から、この禁止権の趣旨についてはもう少し詳しくという経緯で入ったところでございまして、それについて、上原委員など、これまでの放送条約の議論の経緯をよくご存じな方のご意見などを踏まえて、禁止権のところを詳しく書いたということでございまして、放送条約が海賊版対策のことしかやらないというところは余り、「放送条約の保護の趣旨」とは、として強調する部分ではない。
 というのは、要するに海賊版対策、日本の著作権については、著作隣接権として、放送事業者を保護しているということとの関係で言うと、海賊版対策以上のところをやらないということは、日本として強調する部分ではないということから、そこの「保護の趣旨」というところで余り強調していないところかと思いますので、そのあたりを踏まえて、このご意見を見ていただければいいかと思います。
 次に、(2)の条約の保護の対象についてということで、ウェブキャスティングの取扱いでございます。
 このあたり、橋本委員などもご関心のあるところかとは思いますが、まず1つ目の、ウェブキャスティングは「実態も事業形態も明確でないことから、本条約の対象とすることは時期尚早」としているが、根拠が不明だし、現時点においては妥当しないということになる。
 これですが、ウェブキャスティングといいますか、インターネット放送についての日本の国内の著作権法でどのような保護をするかという議論は別途ある問題かと思うのですが、ここでは一応放送条約の対応のあり方ということで、先ほど来、話にございましたように、日本としては条約採択を優先するという観点から、このような記述になったのではないかというふうに理解しております。そういった点を踏まえて、ご議論をいただければと思います。
 それから、2つ目の意見、これは「ウェブキャスティングについての作業文書」の内容についてですが、「暗号化」をウェブキャスティングの定義上の条件としているが、合理的理由がないということでございます。これは、報告書に対する意見ということなのかどうかということで、作業文書の内容に対してのご意見になっているわけですね。
 それで、この「暗号化」を条件とするかどうかという議論はあるかとは思うのですけれども、ただ、この報告書の全体の流れとしては、作業文書の中身としてどういったものがいいかどうかというのは、そこまでは現時点では議論の対象にはしていないかと理解しております。  それから、3つ目のところでございます。これは条約テキスト案のケーブルキャスティングの定義でございますが、コンピュータネットワークによるものを除外しているということに対して、そもそもセットトップボックスはコンピュータであるし、デジタルケーブルテレビ網は全てコンピュータなので、ケーブルキャスティングからコンピュータネットワークを除外することは混乱を招くということを書いてございます。
 これは厳密に言うといろいろな議論があるかとは思いますが、ただ、日本の国内法との関係で言うと、恐らくそれほど違和感のない定義かとも思いますので、そういったことをどの程度厳密に議論する必要があるかということをご議論いただければと思います。
 次に、(3)の支分権の内容について、利用可能化権の付与のところでございます。ここも、ウェブキャスティングと似たような議論なのでございますが、1つ目が、固定されていない放送をインターネットで送信すること(サイマルストリーミング)は、自動公衆送信・利用可能化ではなく、放送・有線放送であるということでございます。
 それで、これについても、一通りここの小委員会ではご議論いただいた結果、報告書の記述になっているかと思いますので、新しいことは余りないようには思いますが、改めて意見が出てきたということだと思います。
 それから、次のところが、「アップロード」という記述がもともと報告書にあったわけでございますが、アップロードとはインターネットからアクセス可能なファイルサーバ等に放送の複製物を固定することを言うので、「技術的に固定されていない放送をそのままインターネットにアップロードする」という表現は間違い、とございますので、これは事務局の方で判断いたしまして、報告書の方に反映させていただいております。後ほどご説明申し上げます。
 それから、(4)でございますが、これはケーブルテレビの関係でございますが、有線放送の暗号解除を行う装置の流通によるケーブルテレビ業界の被害は多大である。暗号解除の取扱いについては、まず業界事情をヒアリングした上で検討し、著作権法上でアクセスコントロールを規制する法改正をしてほしい。
 これは、まさしく国内制度、国内政策の問題かとは思います。
 それから、法制問題小委員会のワーキングチームの方でも、アクセスコントロールについては議論、検討しているところでございますので、そちらの方でこういった対応はなされているかなという、実際にアクセスコントロールを規制するかどうかという問題はちょっと別途の考慮が必要だとは思いますが、議論の場所としては法制問題小委員会で行われているのかなと思います。
 それから、その次でございますが、我が国のデジタル放送におけるコピーコントロール信号システム及びB−CASを用いた暗号化システムの運用は、著作権法の支分権でない「単なる視聴行為」をもコントロールしている。したがって、機器の魅力や実装コストの負担分散、ユーザーの利便性等を高める方法に見直すべきと、これは逆に、コピーコントロール、B−CASが行き過ぎているという、こちらも国内政策に対する要望かと思います。
 以上が放送条約でございます。
 続きまして、2ページ目、フォークロアのところについてご紹介させていただきます。
 フォークロアの保護への対応のあり方の1、ここのフォークロアの保護の検討の状況、フォークロアの定義でございますが、ここも議論の末、現在の表現になっているかとは思いますが、「フォークロア」の呼称を「伝承的文化財」と改め、フォークロア及び伝承的知識を包括する呼称として、報告書の対象とされたい。
 これは、「フォークロア」という表現がとりあえずわかりやすいということでこういうふうに報告書になっているかと思いますが、こういうご意見が来ております。
 それから、3.のフォークロアの保護への対応の方向性、1つ目が、これは議論されていない問題かとは思いますが、アスキーアートをフォークロアと同様に扱ってほしいということで、これは重要性ということで、国際的にどの程度重要性があるかということかとは思いますが、とりあえず、今回の報告書では余り議論されていない問題かと思います。
 それから、2つ目が、途上国の自立と経済的発展の観点から、フォークロアを法的拘束力を持った制度とし、フォークロアの保護をODAの重点事項とするべきということですが、まず、「フォークロアを法的拘束力を持った制度とし」というのは、ちょっと今回の検討の報告書の内容とは異なる方向性かと思いますが、どうかということかと思います。
 それから、フォークロアの保護をODAの重点事項とするべきというのは、これは政策へのご意見だと思いますが、今回の検討の対象にはここは挙がっていないので、どのようにすべきかご議論いただければと思っています。
 次に、海賊版対策で、「アジア諸国等との連携の強化及び海賊版対策のあり方」でございます。
 1つ目が、日本のアニメコンテンツは諸外国でも人気があるので「アジア」という枠組みにとらわれるべきではない。これは、報告書でも文言として「等」と入れていますので、必ずしもアジアと限定しているということではないと思いますが、重点としてアジアでくくるということについてどうかということで、ご議論いただければと思います。
 2番目の「アジア諸国等における著作権制度及び著作権思想の普及への支援」、これは政策要望のようなものだと思いますが、アジア諸国等において、我が国産業のライセンシーとなる事業者に対する研修を強化すべきという要望が来ております。
 それから、(3)「我が国の権利者による積極的な権利行使の支援について」、これもいずれも政策に対する要望のようなものかと思いますが、1つ目が、小規模なキャラクター商品業界においては、費用対効果上、権利行使のための初期調査費用の捻出が困難。模倣品に関し著作権で対処するときは公的な金銭支援ができないか。
 それから、2つ目が、一権利者が単独で法的措置をとることは困難であるため、共通の立場にある日本の権利者が政府の支援のもとに共同して法的措置を組織的に講じ、その体験に基づき、同様の立場にある他の権利者に情報提供していくことが有益という、この2つのご意見が来ております。
 それから、最後、「デジタル化に伴う著作権の課題への対応のあり方」ということでございまして、ファイル交換の1つ目でございますが、これもかなり国内の制度の問題だと思いますが、不知の事業者等に不当に責任を押しつける懸念もあるので、間接侵害の構成要件は慎重かつ限定的である必要がある。プロバイダ責任制限法も判例が蓄積しつつあることから、同法を検討の視座に加えるべき。
 間接侵害については法制問題小委員会の方でも検討されていることかと思いますが、国内に関する問題かなというふうには思います。
 それから、2つ目、ファイル交換によって実際に発生した損害額の立証は難しいため、我が国も法定賠償制度の導入が必要。こちらも、法制問題小委員会の検討の一環として行われている問題かと理解しております。
 3つ目、音楽ファイルよりも画像などの方が侵害の数は多いと思われるが、特定業界からの申告のみに基づいて、ある技術のみを規制しようとするのは公正さを欠く。
 恐らくこれは、ファイル交換ソフトで交換されているのは主に音楽で、普通のウェブで画像が交換されていることを言っているのかなと思いますが、こういうご意見でございます。
 それから、次のページ、最後のページでございますが、4つ目、これはファイル交換のダウンロードのところで、また国内制度の問題だと思いますけれども、発信側利用者の行為が著作権侵害であることを知りながら、その発信を受けてダウンロードする行為は、私的複製であっても違法とすべき。いわゆるコピライト・ヘイブンから発信される場合には、ダウンロード側を違法とするしか対策がないという意見でございます。
 それから、5つ目、これも国内の問題かと思いますが、ファイル交換ソフトで交換されている映像ファイルには、映画館で盗み撮りしたファイルが多数含まれているため、劇場盗み撮り行為を違法とすべきということでございます。
 それから、最後、DRMについての意見でございます。これも、いずれも国内制度の問題だと思いますが、1つ目が、DRMは組織的な大量複製を抑制するものに限定し、家族が個々に音楽を聴く程度のことは制限しないようにしていただきたい。
 2つ目が、DRM技術に伴う権利制限とのバランスを考え、権利者と産業関係者と消費者からなる第三者機関をつくり、さらに議論を深めるべき。
 それから、3つ目が、自分で買ったCDを自分で録音して楽しんだり、友達等に送ったりすることを規制しないでいただきたい。全ての記憶媒体を持つ電子機器を私的録音補償金制度の対象としてしまえば、DRMは不要となる、という意見が来ております。
 以上でございます。
 続きまして、ちょっと今のと、それから最初にご説明させていただきました2回のWIPOの会合の結果を踏まえた、あるいはほかの近年の海外動向を踏まえた修正をちょっと事務局の判断で入れさせていただいておりますので、そこについてご紹介させていただきます。
 まず、報告書の2ページの下の方の赤字でございますが、事実関係の点で、放送条約の検討経緯を書いてあるところでございますが、9月と11月の一般総会とそれからSCCRについての経緯を加えさせていただいております。
 それから、次に5ページでございますが、(3)の1の利用可能化権のところ、これは先ほどのご意見で、アップロードは記憶されたファイルをサーバに置く行為だということと、リアルタイムで送るというのは言葉としてどうかというご意見がございましたので、ちょっとわかりやすくというか正確を期すために、アップロードを「送信する」というふうにちょっと変えさせていただきました。
 それから、14ページの一番頭のところと15ページの一番下のところですが、こちらの方は11月18日ごろに行われていたAPECの会合で、海賊版対策については大きな成果が得られたということで、APECで模倣品・海賊版対策イニシアティブに基づいてモデルガイドラインが合意されたということを14ページの一番上のところに書いてあります。それから、15ページの一番下のところでは、それを日米の協力の1つの柱として進めてまいりたいということを書いております。
 報告書の事務局での修正は以上でございます。
 それで、今後のこの報告書についての手続でございますが、本日、第8回でございますが、さらに本報告書については、1月12日の著作権分科会で道垣内主査の方からご報告をお願いすることになっているということでございます。
 以上です。

【道垣内主査】
 どうもありがとうございました。
 最終的には、報告書(案)になっているものを、今日の段階で、(案)でなくせればそれが一番いいということですね。事務的な作業が残りました場合には、修正についてはご一任いただきたいということになると思います。さて、パブリックコメントの意見、それからWIPOでの最近の議論等を踏まえての修正が赤字で入っておりますけれども、これに限らずこの報告書につきましてご意見がいただけましたら、どうぞご自由にお願いいたします。できましたら、順番に頭の方からやらせていただきますが、放送条約への対応の部分について、いかがでしょうか。上原委員、どうぞ。

【上原委員】
 本質的にどうこうということではなくて、書き方としてわかりやすいかわかりにくいかということだけちょっと、気になったところを申し上げます。
 2ページのところでございますが、赤で書いていただいたところ、修正部分が何かあるということではなくて、逆に、赤の新しい情報が入りましたために、前のところとの整合性がちょっと日本語としてわかりにくいかなと思いましたのが、第2段落といいますかそこのところで「放送機関の保護のあり方については、1998年以降11回にわたって」云々かんぬんということがございまして、実は本年11月には第13回SCCRが開催されるとこれ12回になるんですね。  そうすると、ここで「12回にわたって」というふうに書いたらいいのかなと思って、意見を事務局にお伝えしようかと思ったのですが、そうなると、「にて検討がなされた。この間、10カ国(EUを含む。)から条約形式の提案があり」というふうに書いてあるのですが、今回ブラジルから若干、トリーティーランゲージ・プロポーザルと言っていいのかどうかわかりませんが、一応トリーティーランゲージになった形のプロポーザルが出ていますので、それを入れるのか入れないのかというふうになると非常にうっとうしくなるものですから、ちょっと簡単に直せないのではないのか、難しい話ではないのだけれども、書きぶりが難しいのかなと思いまして、一応ここで提起させていただくと。
 それで、例えば「98年以降、2004年末まで11回にわたって」とかという分には間違いにはならないということで、その辺でいいのかどうかということでちょっと、要するに事実関係がすんなり入るように書き方をご検討いただければいかがかということでございます。

【道垣内主査】
 どうもありがとうございました。
 今のご提案は技術的なことですので、修文を後で事務局にお願いいたします。
 そのほか、いかがでしょうか。
 それでは、もしあれば、また最後にご意見をいただきたいと思いますが、次のフォークロアの保護のところについて、いかがでしょうか。
 ございませんようでしたら、アジア諸国等との連携の強化及び海賊版対策のあり方の部分はいかがですか。よろしゅうございますか。
 それでは、5番目のデジタル化に伴う著作権の課題への対応のあり方の部分はいかがでしょうか。
 この「あり方」という字は平仮名と漢字と混ざっていますね。4のタイトルの「在り方」とこちらの「あり方」。どちらかに統一してください。

【事務局】
 はい、わかりました。

【道垣内主査】
 いかがですか。特にございませんようでしたら、先ほどの事実関係のところにつきましては事務局で案をつくっていただいて、主査と協議して修正するということでご一任いただいてよろしゅうございますでしょうか。
 どうぞ。

【上原委員】
 すみません、一点、表現ぶりだけなんですが、放送絡みのことですけれども、5ページで、ご意見をいただいてお直しいただいた赤にかかわるところなんですが、「一方、放送形態として技術的に固定されていない放送をそのままインターネットに送信する形態が想定されることから」ということでの記載ですが、この辺のニュアンスがどういう状況なのかよくわからないのですが、「インターネットに送信する」というのは、何となく表現として変なので、「インターネット上で送信する」とか何かの方が流れるのかなと思って、その辺はどういう表現ぶりがいいのかと思ってちょっと教えていただくか、あるいは山地委員あたりからご示唆をいただければと思ったのですけれども、いかがでしょうか。

【道垣内主査】
 インターネットが相手方ではないということですね。
 山地委員、どうぞ。

【山地委員】
 細かいやり取りは忘れてしまったのですが、ここで「に」となっているのは、放送機器、ないしは録音・録画機器から見て、ネットワークに流す、そういうニュアンスだったと記憶しております。
 もしそれがそういうニュアンスであったとすれば、ここは「に」であっても必ずしもおかしくはないのではないかと思います。

【道垣内主査】
 どうぞ、橋本委員。

【橋本委員】
 確かに「インターネット」という言葉の普遍性を考えると、「インターネットに送信する機器」ということは読めないと思うので、素直に「インターネットで送信する」とかいった表現の方がよろしいかと思います。あるいは、今、山地委員がご指摘のとおり、「インターネットで送信するに必要な機器に」ということなのかなという気がいたします。
 したがって、私の意見としては、「に」を「で」にお変えになった方がわかりやすいかなという気がします。

【道垣内主査】
 「で」というのは手段をあらわすのでしょうか。

【橋本委員】
 そうです。

【道垣内主査】
 「を介して」という意味でしょうか。

【橋本委員】
 いや、というか、手段そのものだろうと思います。要するに、インターネットで送信するということがありますので、放送のように独立の系があって、インターネットも、そこで流すと同じような用法で使われるべきインフラであるというのが素直な理解だと思います。

【道垣内主査】
 それでは、特にご意見がなければ、「で」ということでよろしゅうございますか。  そのほか。どうぞ、大楽委員。

【大楽委員】
 小さいところなんですけれども、22ページ、前にもこういうふうに書いてあったのかもしれないのですが、まん中あたりに1というのがあって、「著作権関連条約への加盟」と書いてあるのですが、「加入」としていただいた方がしっくり来るような気がします。

【道垣内主査】
 22ページの(3)の1ですね。「加入」というのは、条約締結交渉には入っていなかった国が条約の締約国になる手続きということでしょうか。それに限定してよろしいのでしょうか。もっとも、現在の国際法でどのように定義されている語か正確には知りませんので、国際法的にこの部分の趣旨を正確に表現する表現があればそうしていただければと思います。
 ちょっと先を急いでしまったようで、幾つかご意見をいただいておりますけれども、よろしゅうございますでしょうか。細かい点はご一任いただくということにしたいと思います。
 以上で今日の審議は終わりでございまして、また今期の小委員会としても終わりになるわけでございますが、せっかくでございますし、時間も早うございますので、本委員会で取り上げましたテーマ等に関しまして、委員の方々から、できましたらお一人ずつ、コメント等をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 どういう順番がよいのかわかりませんが、高杉委員から順番にお話しいただけますか。特に意見はないとのご意見でも結構でございます。

【高杉委員】
 特段ございませんけれども、著作権にかかわる国際的な側面について検討する委員会ということではございますけれども、国際的な側面だけ切り離して議論するのはちょっと難しいなというふうに改めて思っておりまして、要するに、国内法との関係がいつも考えることになるものですから、議論としては、ただ、この委員会では国際的な側面を中心にということでございましたので、自分としては、委員会の委員としてうまく貢献できたかどうかというとちょっとじくじたるものがございますけれども、引き続きこの問題について関心を持って務めてまいりたいと思っております。感想でございます。

【道垣内主査】
 時計の反対回りでお願いします。

【大楽委員】
 忸怩たる思いは高杉委員と同じでございますが、法制問題小委員会での国内向けの法制度の議論とはどのように連携を取るべきか、が非常に大きな問題だと思いました。
 それから、個人的にはフォークロアに関心があるのですが、その概念の切り分け方がやはり難しい、と改めて思いましたのは、フォークロアの定義に関して、パブリック・コメントに「フォークロアと伝統的知識を合わせて「伝承的文化財」と称しては」という提案があったと伺った時です。WIPOでも、どう切り分けたらいいかが随分議論になり、それがいまだに余り整理されないままで各種の議論が続けられております。これは、やはり根の深い問題です。そういうところに「アスキーアート」などが出てくるというのは、またさらにおもしろいところだと思いました。以上です。

【道垣内主査】
 ありがとうございました。

【菅原委員】
 デジタルコンテンツのデジタルネットワーク流通という時代になりまして、アジア諸国との連携であるとか、その後のDRMの問題、これはそれぞれの課題というより、つながった中での2つのポイントということが言えると思います。
 その意味で、今回のこれら喫緊の課題とも言えると思いますけれども、そのことについてのまとめができたところです。やはりこれは、引き続き今後も十分な議論が必要ですし、あるいはアジアを初め諸国との連携をどう図っていくかということを議論できればというふうに思っております。

【児玉委員】
 感想なんてちょっとおこがましいので、むしろ私はちょっと質問させていただきたいのは、WIPOの視聴覚的実演条約についての議論が中断してしまったまま、そのままになっているのですけれども、どんな現状なのかというのを教えていただけますか。

【事務局】
 一応、これはWIPO一般総会で議題として、残し続けるかどうかというところが議論のテーマにはなって、一応WIPO事務局は、合意に向けて情報会合、インフォメーション・ミーティングを開いて、時効にならないように、承認時効がかからないようにはやっているのですけれども、本件は、アメリカの国内問題と、それからEU各国というか、ドイツなどの法制との問題がありますので、放送条約の合意とか、そういう何か大きなタイミングがないとなかなか難しいのかなという感想は持っております。

【児玉委員】
 水面下でも動いていない。

【事務局】
 水面下では、NGOはもちろん働きかけておりますが、実際アメリカ側かEU側かどちらが譲歩するのかはわかりませんけれども、譲歩しなければいけないという何か大きな理由がないと難しいのかなという考え方です。

【上原委員】
 まさに私は、放送条約の話をさせていただいて、参加させていただいたわけですが、2年間にわたりまして本小委員会で、ここの議論の半分ぐらいは放送条約に絡むことでご議論いただいてきたと思います。
 我が国としての一定の方向性を、この国際小委員会でも出していただいたところと思っておりますが、この2年間の間に、ブラジル、インドを中心とする途上国の抵抗で、進みつつあった放送条約が大波にあって、右に左にもまれている状況かというふうに理解しております。
 ただ、その間における我が国の姿勢というものは、この報告書にも出ておりますように一貫して一定の方向に収れんしつつあり、なおかつ国際小委員会のご意見も、ずっと昔から徐々に整合をとりつつ同じ方向に来ていて、その方向性というものは、国際社会においても、日本政府に対する信頼性という意味で、かなり強く各国から期待されている部分もあり、そういう意味では、本小委員会の報告を踏まえて、さらに大波の中ではございますが、日本政府におかれても、しっかりした足取りで前に進んでいただきたいと強く願っているところでございます。
 今お話がございましたように、現在ブラジルを筆頭に、一部ユネスコの条約を除けば、マルチでのインターナショナルノルムセッティングというのはほとんどできない状況になっている中で、難しい状況にあるとはいえ放送条約はまだ可能性が見えているというようなことでございますので、とりわけWIPOにおけるインターナショナルノルムセッティングとしてこれができていけば、例えば今お話にあったように、AV条約などについても新たにモメンタムを高める要素になり得るということで、ぜひとも、私どもも当事者として頑張っていきたいと思いますが、我が国際小委員会、あるいは政府におかれましても、今の報告書の方針で頑張っていただければというふうに思っている次第でございます。
 今後もよろしくお願いしたいと思います。

【石井委員】
 私の方も繰り返しになりますが、まず、放送条約についてご議論をしていただきまして、本当にありがとうございました。
 以下は個人的な感想になりますけれども、その放送条約の中で、ウェブキャスティングですが、条約の保護の対象としてのウェブキャスティング、それから、権利の内容としての利用可能化権といいますか、それについてはまだ引き続き議論をしていかなければならないのではないかというふうに個人的には思っております。
 あと、意見募集の結果概要にも出てきておりますけれども、やはり国際小委だけではなくて、ほかの小委員会との連携といいますか、そういうのも今後ますます大事になってくるのではないかというふうに思っております。
 簡単ですけれども、感想であります。

【道垣内主査】
 では、久保田委員、お願いします。

【久保田委員】
 論点がたくさんあって、個人的には勉強になったのですけれども、我々現場をやっている人間からすると、もう少し戦略的な、特に国際間の問題というのは今後ネットワークが世界じゅうをつながっている以上、戦略的に公益の観点からもどうするのだというメッセージを早く出していきたいなというふうに思います。
 とりわけ海賊版の問題何かも、実態が具体的にわからないとなかなか戦略も立たないということで、一般論として、情報収集能力何かはまだまだ低いのかなと思います。
 私ども、最近イタリアでも権利保護を始めたわけですが、個人的には反省しているのは、ヨーロッパやアメリカの方は知的財産に対する、著作権に対する認識が高くて、コンシューマーベースでは何か海賊版は余りないのではないかというふうに思っていましたら、フランスでもイタリアでも、日本のコンテンツが被害が甚大であるということから言いますと、とりわけアジアだけが非常に頭の痛い問題ではなくて、コンシューマーベースでは、中国も、また日本も、そしてヨーロッパも余り変わらないという前提から作戦を立てないと、なかなか難しいのではないかなと思います。
 加戸先生が、ヨーロッパでは夕方、実演家が音楽を流して、きちんとお金を支払っているよという話をすばらしいなと思って聞いていたものですから、なかなかそういう実態にないということに今気がつきまして、それなりに具体的な対策を早急に打たなければいけないなと思っております。
 以上です。

【山本委員】
 この議論を去年からやってきたテーマが幾つかあります。それぞれ新たな問題、あるいは現在進行形の問題がたくさんあって、まだまだ議論しないといけない問題がたくさんあると思います。
 特に、放送条約ではウェブキャスティングをどうするのか。今の方針では、ウェブキャスティングは条約からは外すというような方向ですけれども、では今後、ウェブキャスティングをどうするのかという問題はやはり残ります。すべての問題が全部現在進行形で続いているという中にあって、フォークロアの問題について、この国際小委員会で初めてきっちり議論されて一応の結論が出たと思っております。
 以上です。

【山地委員】
 国際小委員会の話題の選び方については、他の委員会とちょっと違っていると思います。委員会の性格上、分野が限定、特定されているわけではないので、どういう話題を選ぶかということはなかなか難しいのかなと思います。今年度もフォークロアとDRMについて若干そういうイメージを持っています。国際で取り上げることに反対というのではないのですけれども、国際小委ではどういうメルクマールに基づいて話題を選ぶのかということを、もう少し考えられてもいいかと思います。
 例えばフォークロアについて言うと、2つ感じるのですが、1つは国際的に言うと、CBD(生物多様性条約)とTK(Traditional Knowledge:伝統的知識)とフォークロアと一緒になって議論されているわけですが、この委員会ではフォークロアだけを取り上げているわけです。ほかのに比べれば、フォークロアはどちらかと言えば著作権に近いのかなというニュアンスはないでもないから、それなりにわからなくもありませんけれども、この委員会に全くタッチしていない人から見ると、「ひょっとすると、日本はフォークロアの保護を著作権でやるといいと思っているのかな」というふうに思うかもしれない。
 きちんと報告書を読めば、そうではないということはわかっていただけるかと思うのですが、例えば報告書の中に少しでも書いておくといいのかもしれないと思います。
 同様に、DRMについても、確かに国際的に話題になっている問題ではあるとは思うのですが、DRMを国際小委員会で取り上げる必然性というのが、ピンと来ない所もあります。法制問題小委の方がいいのではないかという感じもしますし、現にこの委員会と関係ない人から、「山地さん、どうして著作権分科会の国際小委でDRMをやるの」という質問を受けて、返答に困ったことがあります。
 この2番と4番も結構息の長い問題で、まだまだ続くのかもしれませんので、その辺のことも少し考えて補足解説するなり何なり、一工夫されてはいかがでしょうか。

【松田委員】
 私が感じましたのは、国際的な議論の場で、やはりデジタルコンテンツのネットワークによるその利用ということが、現実の問題になりつつあるなということだろうと思います。多分、国際的にも国内的にも、私はこれが将来最大の問題になるだろうと思っておりまして、これはみんなが予想しているところですけれども。
 そこで出てきたのは、日本法の30条や、それから個人間の通信の問題、これはいずれも日本の著作権法上は明確に著作権の制限規定、ないしは適用の範囲内になっているわけでありますけれども、実際上のビジネスを見てみますと、この私的な関係で適法が確保されるという状況を利用したサービスの検討ということが行われていて、そこのところがうまくいきますと、人のコンテンツをただで使えるというビジネスが組み立てられるわけでありまして、私はこれをどうするかということになるのだと思っています。
 最終的には、30条問題というのはこの関連で避けて通れない問題が出てきそうだなというふうな感想を持っています。

【増山委員】
 私の感想ですけれども、ウェブキャスティングを条約の対象とするかどうかは、今回の報告書を読みますと、我が国の立場は時期尚早としています。
 しかし、放送条約に関して、仮に外交会議が来年あるいは再来年に開かれた場合に、この問題は実は避けて通れない問題だと思います。この間のSCCRでアメリカ政府代表の発言を聞いていますと、アメリカ政府が提案しているウェブキャスティングとは、いわゆるサイマルキャスティングだけだと、オン・ディマンド送信は含まれていないそうです。一方、ECの提案内容は、放送事業者が行うサイマルキャスティングは保護しますけれども、それ以外のものは認めないというので、それぞれ、実は内容が違っているのです。
 外交会議が開かれたときに、実際これはもう条約の交渉段階ですので、我が国はどういう立場をとるのか、保護対象とするか否かは、ある程度決めておく必要があります。今年度は、この問題については余り深く議論していなかったが、提案ですけれども、来年度以降は、もう少し検討した方がよろしいのではないでしょうか。ウェブキャスティングについては、既に一部の実態があるわけですから、新しい媒体というのか、メディアというのか、著作者や実演家等、みんなとも関係してくるので、検討する必要があるかと思います。少なくとも外交会議が開かれるまでに、我が国の立場を何らかの形で少しでも明確にすることができれば、国際社会に向かって発信することができるのではないかと、個人的にはそう思います。
 以上です。

【前田委員】
 すでに何人かの委員の方がご指摘になられているように、国際小委員会と他の小委員会との役割分担といいますか、あるいは連携の仕方について、少し整理が必要なのではないかという印象を受けました。
 それから、もう1点でございますが、今回の報告書と、最後につけていただいた審議経過を比較しますと、この報告書の中には4番目といたしまして、「アジア諸国等との連携の強化及び海賊版対策のあり方」というのがあるのですが、審議経過の方を見ますと、アジア諸国の著作権に関する連携のあり方については第1回目の中に1つ出てくるのですが、「海賊版対策」という言葉がこの審議経過の中に出てこなくて、それについてはどこで審議をしたのかという疑問が、比較してみると出てくるかもしれない。
 私の希望としましては、海賊版対策についてもまとまった時間をとって、今のそういうこと、問題状況があって、それに対してどういう対策が政策として考えられるのかという議論をする機会も必要になってくるのではないかというふうに思います。

【平嶋委員】
 私としましては、それほどお役に立てなかったという点に、むしろこちらの方として反省の気持ちなんですけれども、全体としてこの委員会は、やはりテーマとしては、放送条約という当面の課題についての対応という部分、それから、先ほどの諸外国との連携の強化とか海賊版対策という当面の課題への対応という側面と、それから、今後の展開を見据えたような非常に大きな話ということで、フォークロアとかDRMといった話ですね、こういうかなり方向性の違う議論が併存して行われたということがありまして、これは特徴でもあり、ある意味では非常に国際小委員会としては特徴的で、前向きにいろいろな議論をするという意味でのものは、テーマは比較的に意味があることではなかったかと思いますが、逆に、ファイル交換とか、それからフォークロアも、より立ち入って議論をし始めると、なかなか時間的には足りないということですので、ある程度、むしろそれであるのならば、焦点を絞って議論を進めていくということも必要かなというふうに考えております。
 それで、ただ、対象物としては、先ほどご意見というところにもありましたけれども、フォークロアでもデジタル的な、先ほどアスキーアートみたいなものとか、非常に対象として現実に今関心の高いものというものもむしろ積極的に取り入れるというのも1つの方向性としては非常に興味深いのではないかと思います。
 それから、あと放送条約等については、これは今後どうするかという方向性の議論なのかもしれませんけれども、どちらかというと、話の内容としては細かなところを中心にというより、割と全体的な議論が抽象的なものになっていたというところがありますから、その部分については、むしろ細かなところをきっちりと議論していく。それから、片方の大枠の話というのは、やはり国際小委ということですから、余り個別の法制にとらわれないという、全く違う使い分けで議論を今後また進めていけば、より有意義ではないかと考えております。

【橋本委員】
 審議の過程で言うべきことはそれなりに言わせていただいたわけですけれども、どちらかというとWIPOにおけるアメリカ合衆国の役割を、この小さいテーブルの間で果たしてきたのかなという印象があります。
 ただ、ウェブキャスティング、サイマルキャスティングという言葉は、実際には余り聞かない言葉なのではないかということで一言解説したいと思います。
 普通は、例えば先ほど増山委員からお話があったような、仕掛けの問題で言うと「IPテレビ、IPTV」とかそういう呼び方をします。これは世界中で明らかにIPマルチキャストという技術を使って、ブロードバンド上で、放送波と同じように1本の波を出して、それが何百万世帯に同時に届くという仕掛けのことを前提にしています。
 重要なことは、何であえて「ウェブキャスティング」、あるいは「サイマルキャスティング」という、クラシックな放送用語を使われているかというと、そこに多分議論のヒントがあって、この議論は技術論ではないということです。技術論で言うと、日本と同様に各国でIPテレビを認定するのは、日本で言ういわゆる総務省といいますか、そういう機関が技術要件をチェックして認定している。これは中国でもそうなんですね。先般ハルピンで、中国の最初のIPテレビの届出が受理されて、この春からIPテレビが始まります。フランスでは既に 100万世帯を超えています。アメリカでは、大手の通信会社がいよいよ本格的に数十億ドルの投資をして参入します。そういう世の中全体の動きの中で、米国は、ウェブキャスティングをWIPOの席上でこういうふうに唱えてきているわけであって、また、EUはサイマルキャスティングという形で、責任を持った放送局から同時にやることはオーケーですよという主張をしているわけです。
 私の主張は、プロトコールの形であれ何であれ、正式な形で議論の場で認定されて、それが内国法でどうやって解釈、批准するかしないかはその国の中の議論であるということでも大いに結構だと思っております。議論を深めることによって、現実に世界に対しても見劣りのしない、新しい世代の放送条約の一員として日本が行動することを強く望むものです。
 また、放送条約は、結果として既存の放送事業者を保護するというところにとどまるとはとても思えないので、新たに起きたその放送を行う責任ある主体に対して、保護と同時に規制を加えるという、通常の内国法の対象として速やかに続けるべきであろうというふうに考えています。

【道垣内主査】
 どうもありがとうございました。
 この法分野について詳しくない人間であるにもかかわらず、この小委員会の主査をさせていただいたので、不十分なところがたくさんあったと思います。その点はお許しいただければと思います。
 それでは、最後に、辰野審議官よりごあいさつをいただけますでしょうか。

【辰野審議官】
 それでは、今期最後の国際小委員会に当たりまして、一言御礼を申し上げます。
 4月4日に第1回目の委員会を開催していただいて、5回にわたりまして国際的な著作権対応として、放送条約の議論の際のあり方、あるいはアジア諸国等との連携の強化及び海賊版対策などについて活発なご議論をいただきまして、本報告をまとめていただくということになりまして、委員の皆様方に心より御礼を申し上げたいと思います。
 本日取りまとめをいただきました報告につきましては、先ほどお話がありましたように来年1月に開催予定の文化審議会著作権分科会において、主査からご報告をお願いするということになっております。文化庁といたしましても、いただいた報告書に沿って国際的な議論に対応していきたいと考えております。
 私も実はこの間、WIPOの総会に初めて出席しまして、国際的な情勢というのを肌で感じてきましたけれども、思った以上にこれは一筋縄ではいかないなということはよくわかりました。昔何かは割と外交官、小異を捨てて大同につくというところの動きというのがあったのですけれども、最近はとにかく小異を強調した、いろいろな、単なる論理の問題だけではなくて、さまざまな取引とか思惑とか、そういうことによっていろいろな駆け引きが出てくるということがあります。
 ですから、条約につきましても、マルチというのが非常に難しくなってきて、最近ではWIPO会議に入っても、先ほどもちょっとありましたけれども棚ざらしになってみたり、そういう状況にある。
 ただ、その中で、我が国の対応というのは比較的まとまってきた、一貫してきたといいましょうか、ほかの国から見ても、日本は筋を通して、言うところはちゃんとはっきりしてくれているという意味での信頼感というものはあったのだろうなというふうに思っております。
 それといいますのも、このような著作権審議会の中におきまして非常に議論を練っておりますので、そのような立脚点を持っていったおかげだというふうに思っていまして、非常に感謝をしている次第でございます。
 ただ、このような状況でございますので、なるべく大同につける部分で、また新たな文章を考えたり、いろいろな難しい課題はあろうかと思います。先ほど来いろいろ議論がございましたけれども、この委員会におけるテーマの設定、ないしは他の委員会との関係ということにつきましても、こういう国際的な情勢ということをきちっと把握した中で、我々としても皆様方のお知恵をいただくというふうにしていきたいと思いますので、非常に難しい状況でありますればこそ、この国際ワーキングのこの分野における存在感を高める、その知恵袋として引き続きさまざまなお知恵をいただき、ご協力いただければありがたいというふうに思っているところでございます。
 最後になりましたけれども、ご多忙の中、国際小委員会にご協力賜りましたことに厚く御礼申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。まことにありがとうございました。

【道垣内主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、これで国際小委員会の第5回会議を終わらせていただきます。
 ご協力、ありがとうございました。

午後4時閉会

 

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ