第3章 科学技術システム改革

第4節■国際活動の戦略的推進

6 国際活動強化のための環境整備と研究者交流の促進

(1)国際的な研究活動の推進

 我が国に優秀な人材や最新の情報を結集させ、人類が直面する課題に対応すべく科学技術活動の国際化を推進することが必要である。
 このため、我が国は「アジア科学技術協力戦略推進プログラム」(科学技術振興調整費)「戦略的国際科学協力推進事業」(科学技術振興機構)や、「先端研究拠点事業」(日本学術振興会)などを通じ、主体的に国際共同研究や国際会議などの活動を推進している。
 また、平成17年度からは、「大学国際戦略本部強化事業」を実施しており、採択大学等において、「国際戦略本部」といった全学横断的な組織体制を整備することを通じ、国際活動の戦略的推進の基盤を整備している。

(2)研究者交流の促進

 科学技術・学術研究の発展のためには、国内外の多くの優れた研究者を我が国に惹(ひ)き付けるとともに、我が国の研究者を国際的水準で切磋琢磨(せっさたくま)させる必要があることから、様々な研究者交流事業が実施されている。
 日本学術振興会では、外国人特別研究員事業により、優れた若手の外国人研究者に対し、我が国の大学等において研究に従事する機会を提供している。また、海外特別研究員事業により、我が国の若手研究者を海外に派遣し、海外の優れた研究機関での研究機会の提供、及び海外研究者との交流機会の拡大支援に努めている。さらに、諸外国の学術振興機関との二国間交流により、共同研究、セミナー、研究者交流を実施している。
 また、出入国管理制度を見直し、高度な専門的知識を必要とする研究分野の効率的な推進等に資する事業活動を行う機関の施設において、研究等の活動に関わる外国人の在留期間を3年から5年に改正したほか、APEC(エイペック)ビジネス・トラベル・カード(ABTC)(注)の研究者への交付についてAPEC(エイペック)関連会合で提案するなど、外国人研究者の受入れの促進・活躍の拡大を図っている。
 これらの施策の結果、私立大学、国立大学等、試験研究機関等における外国との研究者交流は、受入れ、派遣人数ともおおむね増加傾向を示している(第3-3-26図)。特に、平成17年度においては平成16年度に比べ、派遣者総数・受入者総数共に1割程度増加している。地域別に見ると、アジア、ヨーロッパ、北米地域で研究者交流が活発である(第3-3-27図)

  • (注)ABTC:APEC(エイペック)(アジア・太平洋経済協力)で運用されている制度であり、本制度の参加国・地域への短期商用目的での入国の際に、査証が免除される又は査証手続きが免除されるカード。ビジネス関係者にのみに発行されている。

第3-3-26図 大学・試験研究機関等における研究者交流の推移

第3-3-27図 地域別研究者交流数(派遣・受入)

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