第3章 科学技術システム改革

第4節■国際活動の戦略的推進

5 国際協力プロジェクトの取組

(1)ITER(イーター)

 ITER(イーター)(イーター:国際熱核融合実験炉)計画は、恒久的なエネルギー源の一つとして期待される核融合エネルギーの科学的・技術的な実現可能性を実証するため、国際協力によりトカマク型の実験炉の建設・運転を行うものである。現在、日本、EU、米国、ロシア、中国、韓国、インドの7極が参加している。また、我が国では、ITER(イーター)と並行して日欧協力による研究開発プロジェクト(核融合の将来への幅広いアプローチ)を実施することとしている。2006年11月にITER(イーター)機構設立協定への署名が行われ、2007年2月に幅広いアプローチの実施協定への署名が行われた。

(2)ISS

 国際宇宙ステーション(ISS)計画は、日本・米国・欧州(11か国)・カナダ・ロシアの5極が共同で低軌道上に宇宙ステーションを建設する国際協力プロジェクトで、我が国は、日本実験棟「きぼう」(JEM)の開発や、宇宙ステーション補給機(HTV)の開発などを行っている。
 「きぼう」(JEM)は、平成19年度から平成20年度にかけて、スペースシャトルで3回に分けて打ち上げられる見込みであり、その1便目には土井宇宙飛行士が、2便目には星出宇宙飛行士が搭乗することが決定している。また、3便目の直前からは若田宇宙飛行士が、日本人として初めてISSに長期滞在することが決定している。

(3)IODP

 IODPは日米主導の下、深海底から海底下7,000メートルまでの掘削能力を有する我が国の提供する地球深部探査船「ちきゅう」や米国の提供する科学掘削船などを国際運用に供することにより、地球深部を探査する計画である。2003年(平成15年)4月に、文部科学省と米国国立科学財団(NSF)の間で覚書が締結され、同年10月より開始された。本計画により、地球深部に及ぶ地層の研究が促進され、地球環境変動、地球内部構造などの解明に貢献するほか、未知の生命圏や新資源の探求が期待されている。
 2005年(平成17年)7月に完成した「ちきゅう」は、2007年(平成19年)9月から予定される、熊野灘における東南海地震の発生メカニズム解明を目的としたIODPでの最初の掘削・研究航海の実施に先立ち、下北半島沖ほかにおいて試験運用を実施した。

(4)LHC

 LHC計画は、欧州合同原子核研究機関(CERN)において周長27キロメートルにも及ぶ巨大な円形加速器を建設し、陽子を2方向から光に近い速度まで加速し、それらの陽子同士を衝突させる際に生じる膨大なエネルギー領域において、未知の粒子を発見し、物質の内部構造を探索解明する陽子・陽子衝突型加速器計画であり、CERN加盟国と日本、米国等による国際協力の下で、2007年(平成19年)の実験開始を目指して建設が進められている。
 我が国においては、学術的な意義に加え先進技術分野の発展が期待できることから、加速器建設のための資金拠出を行うなどLHC計画の推進に貢献している。

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