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平成20年9月12日大臣会見概要

平成20年9月12日(金曜日)
11時〜11時30分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 本日の閣議及び閣僚懇談会は特に報告することはありません。その後に、宇宙開発戦略本部の会合が野田科学技術政策担当大臣の司会で行われました。
 私の方からお知らせがあります。来週19日金曜日午後2時から、文部科学省において「平成20年度臨時都道府県・指定都市教育委員会教育委員長会議」を開催します。去る7月17日に大分県で同様の会議がありましたが、これは教育委員長連合会が主催でした。今回は、御存じのとおり大分県の事件もありましたし、全国調査も実施しましたが、やはりこれだけ色々な問題を教育界に投げかけたということを重視して、文部科学省として招集をかけることにしました。教員採用等の在り方について、改善が進んでいますし、我が省の調査では不正は他にないという報告が来ていますので、地方教育行政において、教育委員会がどのように事務局の取り組みをチェックしていくべきか、あるいは、どのようにしてリーダーシップを発揮していくべきかという観点から、グループに分かれて頂きまして、例えば教員の採用、承認等の人事行政の改善、あるいは教育委員の役割・在り方というテーマで議論をして頂こうと考えています。私も冒頭少し発言させて頂く予定です。

記者)

 その教育委員長会議はどういうような趣旨で開催するのかを、もう少し具体的に教えて頂けますか。

大臣)

 例えば、この度の大分県の事件を契機にして、それぞれの教育委員長がどういう問題の捉え方をしているかをフリートーキングして頂き、それをめぐって様々な意見交換をしていくということです。文部科学省がああしろこうしろと指示はしてはならないことですが、もちろん教育委員長の方からお問いかけがあれば、初等中等教育局長及び担当官も出ていますから、お話し合いはすると思います。こういう自由討議の場をもって国民に、この異常事態に対する全国の教育委員会の考えをわかって頂く、あるいは改善方法、方向を示して頂くということは、大事なことだと思っていますので、我が省において招集することにしました。

記者)

 昨日の中央教育審議会で、「大学教育の在り方について」を諮問されましたが、この時期の理由とねらいを教えて頂けますか。

大臣)

 申し上げるまでもありませんが、教育振興基本計画の中に「高等教育の転換と革新」を検討することが明記されています。加えて、例えばiPSにしても、オリンピックにしても活躍される部分も多いわけで、学生あるいは社会のニーズの多様化というものもあります。何よりも人口減少の時代に入りましたから、大学はその中でどういうふうに日本の国の行く末にリーダーシップを取っていくか、また、これだけボーダレスになってきまして、「留学生30万人計画」等色々な施策を進めていますが、国境を越えた大学というものを視野に入れなければ、日本の未来はありませんし、そうした時代の流れを見据えて、中長期的な大学教育の在り方についての総合的な報告を頂きたい、つまりこれは、日本の大学の未来に向けての、まさに大きな転換と革新の方向性を示して頂こうということです。昨日諮問させて頂きましたが、精力的な審議の下、文部科学行政への貴重なサジェスチョンを頂きたいと、大いに期待しているところです。

記者)

 工業用の事故米が食用に転用されていた問題で、病院の給食に入っていたということですが、学校給食についての情報はありますでしょうか。

大臣)

 この三笠フーズについて、事故米が高齢者福祉施設や医療施設に配食している給食業者に流通していたとのことで、念のため報道された社、日清医療食品に確認したところ、そもそも学校給食を取り扱っていないとのことです。また、農林水産省、厚生労働省においては、現時点では今回の報道に係る情報は確認されていないということで、今後文部科学省としては、関係省庁等から、情報を頻繁に取っていくつもりです。日清医療食品というから、日清食品と関係があるのかと思ったのですが、無いようですね。余談ですけど、日清食品というのは安藤百福さんの会社で、自然体験のハウスを千曲川のほとりに自分たちで作ってくれたわけで、自然体験活動推進議連の会長としては、本当にありがたいことでした。見事なものができあがっています。それとこれとは全然関係ないです。こっちは相当ひどいもので、信じがたい。国民の不信をこれだけ煽るというのは、本当に困ったものです。競争社会重視の弊害と言っていいのではないでしょうか。これだけ続くとやはり、国民全体で少し議論をしなければいけないと思う程、ショックを受けました。

記者)

 昨日、平成20年新司法試験の合格発表がありましたが、今後の法科大学院の在り方についてお願いいたします。

大臣)

 これは、私が大臣になる前から色々意見を言ってきたというのもありますが、例えば合格者ゼロという大学が三つもある。合格者数そのものは、大体法務省が納得している数のようですが、大学の在り方として、三回続けてゼロは無ないですが、今回は三つの大学がゼロです。受験者数で言うと、信州大学が19人、愛知学院大学が16人、姫路獨協大学が24人、これら全部が合格者ゼロです。もうこれでは学生が応募してこないのではないかと思うような結果が出ています。これは法務省が中心で法曹界全体の在り方を考えて頂かなければなりませんが、やはり、それぞれの大学もこの状況を踏まえ、定員の問題も含め、それぞれ独自に対応策を考えて頂かないといけないと思います。私も身近に受験をした若者がいまして、不合格でしたが、やはり当人の努力はもちろん必要なわけですが、その受験者の人生設計を狂わせるようなことになってはいけないわけでして、やはり法科大学院をスタートさせた以上、質の高い若者がチャレンジしてくるような制度にしていかなければならないと思っています。聞き及ぶところ、関係省庁で話をしようという機運も少しあります。具体化はしていませんが、文部科学省は法科大学院の所管という立場から、これに当然参加していかなければいけないと思っています。

記者)

 自民党の総裁選が告示され、五人の方が出馬されていらっしゃるのですが、どのような総裁選を期待されますでしょうか。

大臣)

 私のこれまでの政治家としての考え方からすれば、やはり本格的な政策論争を真剣に展開して欲しいということに尽きます。上調子になってはいけないと思いますし、この後くる選挙というのは結果として生まれるべきものであって、選挙のための論争などということは本末転倒で、私は許し難いという立場で、これまでもきました。今のところ、それぞれ五人の方々が活発な政策論議をされていますので、私は良い方向にいっていると思います。おちゃらけがありませんから。国民の皆さんはしっかり見ていてくださると思います。自民党にとっては本当に、国の未来すべてがかかった総裁選挙と、私は思います。

記者)

 学力調査の件ですが、大阪府に続いて秋田県と鳥取県でも知事が公表を求めると報道がありますが、知事さんが言及されるということは、教育委員会の独立性の侵害にもつながるのではないかと思うのですが如何でしょうか。

大臣)

 先日の記者会見で申し上げたとおりでして、教育委員会の独立性というものは堅持されるべきものですから、しかも、交付金までどうのこうの言うのは、これはあってはならないことと思います。この調査結果をいかにうまく使って子どもの教育のレベルアップにつなげるかが必要なんだという、それぞれの知事のお気持ちはわかりますが、ただ少し行き過ぎているところがあります。やはり、調査結果を現場の先生、学校、地域が、うまく分析をして、子どもの能力、学力、人間力の向上に、うまく使って頂きたいというのが、我々が悉皆にこだわってきた理由ですので、具体的に言えば、一人一人先生はわかるわけですから、向き合う時間を増やして、子どもたちの教育に活かして頂ければと、祈るような気持ちです。
 私の方から申し上げて良いのかわかりませんが、今自殺の問題が深刻です。自殺予防週間が10日から始まっていまして、野田科学技術政策・食品安全担当大臣から報告もありましたが、子どもの自殺というのは、文部科学省の調査では、平成18年度の公立学校の児童生徒で130人ぐらいと大変な数です。日本全体では平成10年頃から3万人を毎年超えているという話もあります。まさに十年間で30万人自殺しているわけです。やはりこの社会の病的な状況は、とりわけ文部科学省は児童の自殺防止のため、カウンセラーの配置や地域との連携等本当に真剣に努めていかなければならないと思います。たまたま自殺予防週間でしたので、あえて申し上げました。

記者)

 児童生徒の自殺予防の件で、文部科学省においては児童生徒の自殺予防に向けた取組に関する検討会もあり、一昨年度に報告書も出ていますが、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。

大臣)

 現在、自殺予防の対応方策の在り方については、専門家や学校現場の関係者による調査研究も実施されて、来年度予算にも、自殺予防教育プログラムの検討等に必要な経費を、概算要求ですでに盛り込んでいます。やはり、真摯に文部科学省としても取り組んでいかなければならないと思っています。子どもは宝物です。過保護にしてはいけないと思いますが。だから、「人に優しく自分に強く」、自分に克己心を持って強く生きて欲しいという願いを持っていることは、いつも申し上げているとおりです。

記者)

 教育委員長会議の件ですが、これはフリートークをして終わってしまうのでしょうか。それとも、どういう取り組みをする等具体的な方策について、もう少し先を期待しているのでしょうか。

大臣)

 先程自由討議と言いましたが、やはり閉ざされた教育委員会であってはならないわけですから、大分県、大阪府の教育委員長も来るでしょうし、意見交換、情報交換をしながら、ああこういう教育委員会もあるのか、こういう教育行政もあるのかということをそれぞれが感じ取って、また政策として受け止めてお帰り頂くというのは、決して無意味だなんてことはないと思います。ただ、詳細の運営についてはまだ聞いていません。

記者)

 教育委員会の独立性に関してですが、学力が2年連続向上しない県もあったわけで、その独立は尊重しているが、果たしてそれを任せていて事態が変わるのかということに対する、行政側のいらだちがあると思うのですが、その点はどうでしょう。

大臣)

 それは感じます。私も実体験として、やはり教育委員会の在り方というものが、あまりにも、これまで、マンネリ化していた部分が多いと感じていました。ある高校の校長をやれば委員長になる等、今は色々工夫しているので、それなりの改善はできていますが、やはりこういう事件を奇貨として、他山の石として、それこそ蘇生の方策を考えてほしいと思います。以前にも申し上げましたが、やはり知事が御心配になるお気持ちはわかります。これを反転攻勢にしてほしいと思います。

記者)

 OECDより各国の総財政支出に占める教育費の割合が公表されまして、日本は28ヵ国中最下位であるということについてと、OECDが、日本は教育以外の分野を選択して投資しているのではないか、将来に向けてビジョンが足りないのではないかと言っていることについて、大臣の受け止めをお願いいたします。

大臣)

 文部行政の責任者とすれば、あまり格好の良い結果だとは思いません。ただ、逆に言えばその割に日本の教育レベルというのは高いではないかとも言えるのです。少し古いかもわかりませんが、お金で買えないものに価値があるのだと、私は今でもそう思っていますから、GDPに占める比率で教育を論議するつもりはありませんが、ただ、教員の人材確保とか科学技術の進歩には、やはりお金はかかることも事実ですから、今こそ米百俵だと思っていますので、効率の良い使い方を前提として、私は残念です。ただ、この程度のことでくじけてはなりませんので、もっと、日本の教育はお金でなしに筋金入りのところがあるのですと、ここまできた日本の発展は教育で来たのだからという気概をぜひ皆で持ちたいと思っています。

記者)

 教育振興基本計画の策定に当たっては、まさにGDPに占める比率で、財務省と協議してきたわけですが、今大臣は比率で論議するつもりはないとおっしゃいました。そうした考え方はやめたのですか。

大臣)

 いえ、私が、大臣になる前に自民党の部会で、どれくらい数値目標を入れろと叫んだかは御存じだと思います。だから、これ以上は言いませんが、やはり、しかるべき財政措置は望ましいのです。米百俵でやられた方もいたのですから。教育振興基本計画に数値目標が入らなかったことは残念です。しかし結果はもう出ているものですから、この中でいかにきちんとやるかが私の役割だと思っています。

記者)

 OECDの公表されたデータの中に、日本は家計の支出の割合が大きいというデータもあるのですが、大臣もおっしゃったように日本の教育はそれでも結果が高いというのは、家庭での教育というものが学校以外の在り方として大きかったのではないかと思うのですが、家庭力が低下しているとすれば、今後それは転換を図らなければならないかと思いますが、大臣のお考えは如何でしょうか。

大臣)

 家庭の教育の話は本当に大きな問題だと思います。私は教育再生会議の皆さんにも、与党の教育基本法のチームの中で、家庭教育というものを本当に真剣に議論されているのでしょうかと言ったことがあります。これは本当に難しいのです。学校現場に行けば、家庭に色々な問題があると、やはり子どもにも影響しているということは、誰もが認めていることです。かといって、権力が家庭に介入をするわけにはいきませんから、例えば、配付された家庭教育ノートを読んで、学校に相談に来られる親はまだ良いのです。問題は、そんなのあることすら知らないというようなことです。そこをどうやって、わかって頂けるかというのは、実は私がもう本当に悩み抜いている問題です。これ以上は申しません。

(了)

  • 本概要は、発言内容を変更しない範囲で読み易く修正しています。

(大臣官房総務課広報室)