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平成20年8月22日大臣会見概要

平成20年8月22日(金曜日)
10時48分〜11時18分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 本日の閣議の案件は予定通りすべて終わりまして、特に報告することはありません。閣議終了後、薬物乱用対策推進本部の第15回会合がありまして、伊吹財務大臣、国家公安委員長等から発言がありました。私からは、「これまで「薬物乱用防止新五か年戦略」に沿って、現行の学習指導要領において、薬物乱用防止に関する指導内容の充実を図ってきている。関係省庁と連携を取りながら、すべての中学校、高校において、毎年、薬物乱用防止教室の開催に努めるよう指導しています。この他、すべての小学校五年生、中学校一年生、高校一年生に対して、薬物乱用の危険性等を解説したパンフレットを配付する等しています。これらにより、薬物は絶対に使うべきものではないと考える児童生徒が増加する、そして青少年の覚醒剤事犯の検挙者が減少傾向となっています。しかし一方で、中学生、高校生の覚醒剤事犯検挙者は、なお依然消えておらず、大麻やMDMA等、合成麻薬が青少年にも広がりを見せていることもありまして、憂慮すべき状況だと認識は持っています。「第三次薬物乱用防止五か年戦略」が今日決まりますので、本省におきましては、この戦略の下に関係省庁とよく連絡、連携、協力をしながら、教育、薬物乱用防止のための教育に一層充実して参りたい」、と申し上げました。閣僚五、六人から発言があった後に、保岡法務大臣から、鹿児島の例なのですが、学校薬剤師とか元税関職員のOB等に、学校での薬物についての授業に参加してもらい、子どもたちに教えてもらうチャンスを作ると非常に有効なため、文部科学省においても、そういう外部の人材を薬物乱用防止のために活用してほしいというお話がありまして、承りましたとお話ししました。
 もう一点御報告がありまして、財団法人日本相撲協会の力士が大麻を所持していた事件に関し、当該力士の解雇と親方の理事の辞任について、昨日、相撲協会が私のところに報告に参りました。私からは、国技とも言うべき相撲において、前代未聞の事件が起きたわけで、誠に遺憾であり、言葉にもならないほど残念だということをまず理事長に申し上げました。そして、再発防止も含めて、相撲道の立て直しにしっかりと取り組んでほしいということを申し上げました。

記者)

 北京オリンピックについて、昨日もソフトボールにおいて日本が金メダルを獲得しましたが、オリンピック日本選手団のこれまでの成績結果の受け止めと、今後のスポーツ振興についてのお考えをお聞かせください。

大臣)

 私も見ていました。初回のピンチを見事に切り抜けた際、これは勝つなと直感的に感じましたが、見事な勝利だったと思います。また一つ国民にも大きな感動を与えてくれて、有り難いことだと思います。この他の種目も含めて、何一つアンフェアなことのない日本選手団のプレイぶり、闘いぶりに、本当に敬意を表したいと思います。また、今回の北京オリンピックにおいて、放送、新聞、その他を通して、スポーツの良さというものをどれほど多くの国民が感じ取っているかと思うと、本当に選手の方々、あるいは監督、コーチももちろん、関係者の皆様に感謝の気持ちを申し上げたいと思います。4年後にロンドンオリンピックがあるわけですが、その4年後には何としても東京に、日本に招致したいと思っていますので、今回の北京オリンピックも勉強材料にさせて頂き、しっかりと文部科学省としてスポーツ振興に取り組んで行きたいと思っているところです。

記者)

 まもなく、概算要求がありますが、全般的にどのような方針、重点項目を掲げて臨みたいとお考えか。また、新学習指導要領への移行措置も始まりますが、それを含めて教職員の増員、予算措置についてのお考えをお聞かせください。

大臣)

 御存じの通り、今、省内で概算要求の最終的な取りまとめの段階に入っています。教育振興基本計画が、教育基本法の2年前の決定を受けて初めてスタートしたわけでして、やはりこの振興基本計画の1年目ですから、事務方には思い切ってしっかりとした概算要求をまとめてほしいということは、かねてから指示してきたわけです。最終的な調整段階ですので、具体的には申し上げるのは差し控えますが、平成23、24年から、その前倒しもあるわけですが、新学習指導要領の円滑な実施のためには、授業時数が少し増えますから、それに対応した必要な教職員確保、そして先行実施される算数・数学、理科は補助教材がすぐに必要になりますから、この費用。それから、小学校の外国語活動に関する教材、あるいは教員の研修機会の充実。そうした条件整備が、もう目の前に必要ですから、必要な措置を概算要求の中に盛り込んでいきたいと思っています。とりわけ必要な教職員数の確保は大事なポイントだと思っています。その他、「スポーツ立国」、「文化芸術立国」の実現に向け、あるいは科学技術基本計画で定めています投資目標の達成は間違いなく進めていかなければなりませんので、そうした今申し上げた項目を中心に、メリハリのある概算要求を取りまとめたいと思っています。無駄を廃するということは当然のことでして、そうした意味での改革は、たゆまぬ改革と私は申して来ていますが、着実に国民の評価を頂けるような改革を進めねばなりませんし、一方で行革推進法、あるいは骨太の方針2008の枠は政府として内閣として決めていることですから、この枠は認識しつつ、その中でマキシマムの概算要求にしたい、こう思っています。

記者)

 総合的な経済対策、補正予算について、色々議論が出ているわけですが、文部科学省としてはどのような問題に重点を置いていきたいとお考えですか。

大臣)

 内閣の中で、与謝野経済財政政策担当大臣を中心に「安心実現のための総合対策」の取りまとめが進んでいますことは御存じのとおりでして、8月中に取りまとめたいというふうに作業が進められていると伺っています。原油価格高騰等に伴う物価高騰への対応、そうした短期的なものの視点と同時に、サスティナブルな社会や低炭素社会の実現のための人材育成、研究開発といった長期的な観点を踏まえ、どう対応していくか。我が省としては、以前から言っていますが、やはり学校施設等の耐震化の促進も重要だと考えています。公立小中学校の耐震化率もまだ62.3パーセント程度です。地方自治体の財政が非常に厳しいものですから、いかに国が予算をもっても、実際には工事が進まないということがあってもいけませんので、よく地方自治体の実態を見極めながら、さはさりながら、私は新聞記者の頃に新潟地震を体験して、本当に大変なことになると思っていますし、また学校施設は避難所にもなるわけですから、できる限りの対策のため、耐震化の予算を可能な範囲でつけて頂くべく、要求したいと思っています。その他、iPS細胞の研究加速、大学病院の充実等の医療対策の充実、あるいは、経済成長を強化するための国家基幹技術、地震防災等の研究開発の推進、あるいは高度な教育研究基盤の整備、そして新たにテーマになっています留学生30万人計画、これは総理が非常に熱心に指示して頂いていますので、これらをできる限り、構成に盛り込んで頂くように主張しますし、今後の政府内の調整に臨みたいと思います。

記者)

 昨日の相撲力士大麻所持事件の関係で、繰り返しになりますが、もう一度お考えをお聞きしたいのと、親方に対する処分がなかったことも含め改めてお願いします。

大臣)

 全般的には昨日の記者会見で申し上げたとおりですが、北の湖理事長の記者会見での御発言等を見ると、しっかりとやってくださるだろうと期待しています。また、親方の処分については、協会が御判断されるものであり、いかに所管大臣とはいえ、そこまでのコミットメントはオーバーであろうと思います。昨日も申し上げましたが、やはり指導にあたる親方や相撲協会の幹部は、単に相撲の実力、技術、力、肉体を育てるというのではなしに、もっと人間的な感性、知性、自制心等をまず植え付けることが必要だろうと思います。つまり、ただ単に競技としての強い力士を育てる前に指導すべきことがあるということで、相撲協会の方々も、既にこのことには気づいていらっしゃると思います。お約束を頂いている役員への民間人の登用を早く進めて頂いて、そうした方々の意見も取り入れながら進めれば、この数年間の崩れかけた相撲道を変えていくことができると思いますし、また変えて欲しいと改めて思っています。

記者)

 総理が教育再生担当の首相補佐官に、山谷さんに代わって、前の大臣の渡海さんを起用する方針を固めたそうですが、これについての大臣の受け止めをお願いします。

大臣)

 総理の御判断で決められた人事ですし、私からすれば、前の大臣で、当選も同期生ですからよく気心も知れている。渡海さんからも私に電話がありまして、よろしく頼みます一緒にやりましょう、というふうにお話したところです。山谷さんは約2年間やられ、本当に色々トライアルをして頂いて、建議もして頂きまして、有り難く拝聴していましたが、また、つい直近まで大臣だった方が補佐官になるということは、やはり総理も教育というものはいかに大事かということを認識してくださっていると直感しています。

記者)

 宇宙開発についてですが、来週、宇宙開発戦略本部が発足するということで、これまでの宇宙開発を担ってきた文部科学省から、言わば司令塔が移るという形になるかと思います。そのことについての御所見と、今後の、文部科学省としての宇宙開発へのコミットの形がどう変わるかをお願いします。

大臣)

 御存じのように宇宙基本法が議員立法でできました。それに伴って宇宙開発戦略本部ができるわけです。私は、宇宙基本法の趣旨を踏まえ、非常に大きな広がりを持った宇宙開発に日本も乗り出すという意味で、大変な前進だと思います。あとは戦略本部における議論の中で文部科学省、あるいは宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))が持つべき役割がだんだん明確になってきますから、戦略本部の議論を待って進みたいと思っています。これは大きな国の力になると、議員立法された方々も当然そのことをねらったわけで、行政側も、我が省を始め、しっかりその気持ちに応えていかなければいけないと思っています。

記者)

 来週全国学力テストの第2回目の結果が公表される予定です。また、自民党の無駄撲滅プロジェクトチーム等でも、このままでは不要ではないか等と言われている中で、昨年実施してから今年までの間にやってきたことの成果、毎年悉皆で続けていくことについて、今のお考えをお願いします。

大臣)

 無駄撲滅チームが中間報告を出されたことは聞いています。学力テストはまだ始まって2回目です。この狙いは、やはり一部で学力に不安が出てきている、他方、子どもの生きる力、あるいは人間性の涵養という意味でも問題が出てきている、学力のみならず、様々な側面から学校教育を見直すためのそういう調査ですから、これを続けていって、その中から我々が改革すべきものをむしろ見いだしていきながら、その基盤として使うべきものと思っています。今年の分はまもなく公表になりますが、学校現場も、あるいは我が省も、その他の役所も、この結果をしっかり分析し活かして頂きたいと思っています。無駄撲滅チームの議論はまだほんの入り口で、政務調査会のレベルでこれからこの作業がさらに精緻に進んでいくと思いますから、それを見守りたいと思っています。ただ、聞く耳を持たないということはしません。無駄を廃さなければならないことは、私が一番主張してきたものの一つでして、国民の信頼を行政が勝ち取るために原則的には支持しています。

記者)

 このままの現状ではという前振り付きでそういう判断をされたと思うのですが、前回のその結果の分析から、改善に向けた実施として、今何ができている、何が足りないとか、どこにその課題を見ていらっしゃいますか。

大臣)

 御存じのように、皆さんのマスメディアがやられる世論調査と同じでして、やはり回数を重ねていき、そうした中でどういう変化が生じているかということだと思います。まだ2回ですが回数を重ねていくうちに問題点が段々出てくる、また、すぐわかることもあるわけです。長期的にも材料が出てくるでしょうし、短期的に直さねばならないことも出てくるでしょう。やがて公表されますので、分析や専門家の方々からの意見も出てくると思いますから、よく耳を傾けていきたいと思います。

記者)

 相撲力士大麻所持事件に関連してです。薬物というのはけしからんことですが、まだ二十歳で、事件発覚のお財布を落としたときは19歳でした。相撲部屋というのは子どもを預かる教育の場であると思うのですが、親も心配だと思いますし、そういう点についてはどう思いますか。

大臣)

 日本人も含めてですが、新弟子は中学卒業後、つまり16歳ぐらいで入門してまいりますので、ただ相撲が強ければ良いという教育をしていては、私は足りないと思います。先程も申し上げましたが、相撲の技術、肉体的パワー、あるいはルールを教える前に、人間としての感性、知性、礼儀、もっと言えば品位等、そういうものをまず身につけさせることが必要で、そこの部分がどうもこの数年の事件・事故その他を見ていると、相撲協会の方々は少し認識が足りないのではないのかなと思っています。昨日も申し上げましたが、相撲教習所の指導も、もう少しそうした意味でやらないと、また様々な事件が起きかねないと思います。まだ人間として未成熟な若者が入ってくるわけですから、まず基礎を作るということではないでしょうか。相撲に限らず立派な戦士というのは、人間的にも非常に優れた人が多いです。我々が本当に尊敬するぐらいの大変な人物もいるわけで、それが体育というもののねらいなわけですから、ただ強ければ良いというものではないと思います。原点を見つめ直してほしいと、北の湖理事長に申し上げたのはそういう意味です。

記者)

 大分県教職員等採用汚職事件に関してですが、同様の不正が起きているという情報提供が文部科学省に寄せられているということらしいのですが、こういった情報提供の取り扱いを文部科学省としてどうやっていくとお考えですか。

大臣)

 私にはまだその報告はありません。その情報の正確性を見ているのかもしれません。大分県の事件はやはり、教育界のみならず、これまでの日本の社会がずっと抱えてきた、解決しなければならない問題の一つを示唆していると思います。どんな情報が来ているのか知りませんが、事実かどうかよく精査させたいと思います。

記者)

 昨日、中央教育審議会で法科大学院について統廃合の話が出ました。そういった方針について、大臣としてお考えをお聞かせください。

大臣)

 これは法務省が中心になっていることですので、保岡法務大臣は昔から親しいものですから、どうやっていくかについては立ち話程度のことはあります。法科大学院への志望者が少し減ったと聞いていますし、なかなか難しい局面ですので、よく法務省等と話し合いをしながら、また、法科大学院で学んでいる学生、要するに法曹人を目指す方々の心境等も斟酌しながら、最善の道を探りたいと思います。

(了)

  • 本概要は、発言内容を変更しない範囲で読み易く修正しています。

(大臣官房総務課広報室)