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平成20年8月5日大臣会見概要

平成20年8月5日(火曜日)
11時16分〜11時43分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 今日の閣議ですが、一般案件に宇宙基本法の施行期日を定める政令がありました。その後、今週末の北京オリンピックの開会式参加について総理より御発言がありまして、私も同案件の海外出張の了解を頂きました。私は北京オリンピックを支援する議員の会の事務局長をやっていまして、出張の日程は、7日に出発して9日夜に帰ってきます。また、副大臣の交代人事がありました。我が文部科学省の副大臣は、松野博一元自民党文教部会長と山内俊夫参議院議員が就任いたします。役割分担は松野副大臣には教育とスポーツ、山内副大臣には科学技術と文化との割り振りをさせて頂きまして、了解を頂いています。今日午後1時半から認証式のようです。閣僚懇談会ですが、総理から自民党役員会での発言等について御報告がありました。その後、地方分権改革推進本部の会合がありました。

記者)

 間もなく「平成20年度学校基本調査の速報」が公表されると思いますが、昨年度の調査では、いじめが原因で不登校になった小・中学生が約4,700人に上ることが明らかになりました。今後、不登校の子どもたちの減少に向けての取り組みと方策について、大臣のお考えをお願いいたします。

大臣)

 いじめによる不登校というものが、まだ依然として、決して全体的に良い方向に、顕著に出ているとは思えません。何とかして解消に向けなければならないと思いますが、近々データが出るはずですので、それを良く見て、また適確な対応を進めなければならないと思っています。既に皆さんも御存じの通り、平成20年度において、スクールカウンセラーの小学校への配置、スクールソーシャルワーカーの活用による教育相談体制、あるいは、いじめや不登校等の未然防止、早期発見、早期対応等、児童生徒の支援を行うための効果的な取組みについて研究調査をします「問題を抱える子ども等の自立支援事業」を継続して実施してまいります。また、学校だけではなかなか解決できませんから、外部の専門家のチームの設置・派遣の在り方について調査研究を行う「いじめ対策緊急支援総合事業」をやったことも皆さん御存じの通りです。それから、昨日も申し上げましたが、長期宿泊体験活動、あるいは社会奉仕活動、これは政府の特命機関でも様々な報告を頂いてますが、その充実に向けた取り組みを進めてきています。何とか、いじめや不登校の問題を良い方向に持っていかなければならないと、新人大臣として改めて思っているところです。

記者)

 大臣は「日本の美風」の蘇生と新生というものを掲げていらっしゃいますが、教育行政において具体的に何か方策がありましたらお願いいたします。また大臣が考えていらっしゃる、この「日本の美風」というのはどういうものなのでしょうか。お考えを聞かせてください。

大臣)

 復古調で捉えて頂きたくないのですが、やはり日本には日本の良さ、いかにも日本的な良さというものがあったはずです。つまり、市場原理主義一辺倒ではなしに、脇にいる仲間に温かい思いやりをするということです。金がすべてという思想は、できる限り排除するということです。親子関係の深さとか、家庭の温かみとか、そうしたものをイメージとして「日本の美風」と言ってきたわけです。道徳と言うと、少しまた、解釈を間違われると困るものですから、日本古来の伝統文化、風習等に基づく日本の良いところ、こういうふうに理解して頂きたいのです。欠けてる部分がずいぶんあります。例えば、生徒が大きな鞄を持って電車に乗るときには、昔は自分の前に抱えて人にぶつからないように乗ったものですが、今はもう全然そんなことは雰囲気的に無くなってしまっています。あるいは、学校の先生に対する畏敬の念というのが、あだ名もずいぶん付けたりはしましたが、やはり、親と同じように、敬意を表するということもあったはずです。いわゆるモンスターペアレンツも含めて、ずいぶん乱暴な雰囲気になってしまっていますから、やはりそうした日本の温かみというものを蘇らせる、守る、これが蘇生です。蘇らせると同時に、私は日本人というのは非常に知性的な、知的水準の高い国民と思っていますから、これを活かして国際社会をリードしていくような新しい価値観というものを生み出していく、それが新生です。こういうふうに御理解頂きたいと思います。教育基本法にも伝統と文化を尊重するということも書いてありますから、それを基盤にして、これからどういうふうに、このテーマを具体化していくかです。また、昨日申し上げた環境というものを、例えば教科として初中教育でセットできないものか。多岐にわたるテーマですから、中央教育審議会でも多少議論をして頂いたことがあると承知していますが、入り口の議論を政治のレベルで始めたらどうかと思っています。一部で皆さんに報道して頂きましたら、今朝早速電話が一、二本ありまして、あれは良いよと、子どもたちの気持ちを温かいものに育てていくには、ぜひ考えて欲しいと思っていましたよ、というお言葉を頂きました。また、斉藤環境大臣からも、今日の閣議の始まる前に、あの環境教育の話、新聞でも拝見しましたし、大いに二人でまず話し合ってみませんか、というお呼びかけがありましたので、少し落ち着いたら二人で話を始めましょうかというふうに申し上げました。

記者)

 すみません、少し細かい話になって申し訳ないのですが、最初におっしゃって頂いた、いじめ、不登校の問題について、その不登校は、いじめの問題もあるのですが、必ずしもいじめの割合は高いわけではなくて、他の要因も実は大きいと思うのですが、大臣の今のお考えとしては、そのいじめによる不登校の問題を、より重視するということなのでしょうか。

大臣)

 いえ、不登校全体です。今、不登校の高校生が通っているフリースクールには通学定期割引が適用されず、それを何とかして欲しいという話がありまして、フリースクール環境整備推進議員連盟の会長にさせられ、何とか実現したいと思い、良いところまで話は来ているのですが、そのときに、フリースクールの東京シューレの方々から話を聞いて、また、第六感的に申し上げれば、データはまだ知りませんが、不登校全体は、決して減っているなんてことはありません。ですから、具体的にまだ報告が無いのですが、不登校の問題というのはやはり難しいのです。通学定期割引の問題も、高校に行くのをやめてフリースクールに行っても割引がきく、ということになると、かえって不登校を薦めるようなことになってもいけませんし、だからそこは非常に難しいのです。今調整をしていまして、民主党の方とも相談してチームを作っているのですが、高校に籍を持っていながら不登校になっている生徒には、やはり通学定期割引をさせられないかと、最後の詰めに入っています。

記者)

 それは、各種学校の認可を受けていないところにも、ということですか。

大臣)

 そうです。やはり色々なフリースクールがあるようでして、文部科学省で掌握できていない部分もあるものですから、限られた部分であるようです。お答えになったかどうかわかりませんが、不登校全体は、第六感で言えば、決して良い条件になっているとは思えません。やはり、社会的な問題、子どもたちが取り囲んでいることは事実、これが一番大きいでしょう。ただ、昨日申し上げましたが、「人に優しく自分に強く」ということを考えると、この間、横浜のある学校の校長先生に、今、子どもに欠けているものは何でしょうかとお聞きしたら、子ども自身ですねと言うから、薄くなってきているものがありますか、何が乏しいですかと聞きましたら、耐性と言われました。やはり学校現場の方はそういう側面も子どもに感じていますから、様々な要素が不登校を生んでいると思います。しかし、子どもを救ってあげなければいけません。これは絶対的な目的となります。

記者)

 先程、長期宿泊体験活動の話がありましたが、昨日本日と自民党の無駄遣い撲滅プロジェクトチームのヒアリングが行われていて、例えば、交流の自然教育、道徳教育実践研究事業も不要、心のノートも今のままなら不要という結論が出ていますが、これの受け止めをお願いできますでしょうか。

大臣)

 例えば自然体験活動も不要という結論ですか。

記者)

 全部ではないですが。

大臣)

 私、自然体験活動推進議員連盟の会長なのです。超党派で作っていまして、色々な子どもを連れて富良野塾に行ったりしていますが、ですから、少し驚いているのです。無駄遣い撲滅プロジェクトチーム自体は自民党の政務調査会のワーキングチームですから、今、勉強しているということだと思います。河野太郎さんがキャップですから、一度良く話をしてみます。まだ、議論の入り口でしょう。例えば自然体験活動というものを、もっと良く知って頂いて、私は個人的には、河野太郎さんを良く知っていますから。政務調査会にこれから上がってくるわけですから、まだまだ議論の入り口と思っています。

記者)

 昨日、中国の新疆ウイグル自治区でテロと思われる事件がありましたが、今週末より、中国において北京オリンピックが開催されるということで、これについてのお考えをお願いします。御不安がないのか、どうでしょうか。

大臣)

 北京オリンピックについては、初期の目的を閉会式まで無事に果たしてもらいたいと思います。あとは中国国内の問題ですからコメントしませんが、やはりオリンピックというものを振り返ってみると、日本の場合、昭和39年の東京オリンピックを契機に、新幹線の開通も含めて日本の国はガラリと変わりました。言ってみれば、中国にとって北京オリンピックの成功というものが、中国が現在抱えている問題、あるいは将来の国の在り方に大きなはずみになることは、世界平和にとって大事なことだと思っていますから、初期の目的を無事達成されるように祈りたいと思います。

記者)

 スポーツを所管する大臣として、オリンピックに向けてエールと言いますか、一言お願いします。

大臣)

 私は本当に、スポーツによって一人前にしてもらった人間なものですから、妙なナショナリズムな意味ではなしに、今回のオリンピックをほとんどの方はテレビの画面で見るのでしょうが、やはりスポーツって良いなあという感動を与えられて、その感動が、例えば子どもたちにとって、自分への励みになっていく、それを期待したいと思います。例えば、山下泰裕さんが1984年ロサンゼルスオリンピック柔道で金メダルを取ったときですが、決勝戦の相手、エジプトのモハメド・ラシュワン選手が山下さんの怪我している右足を攻めずに試合を進めたそのフェアプレイ、その後、21年ぶりに再会して、感動でした。それから、個人的なことを申しますが、私の一番初めの政治団体後援会長が西田修平さんなのです。皆さんはほとんどわからないでしょうが、「友情のメダル」というのが、国語の教科書に載っていまして、西田さんと大江季雄さんの日本選手二人が、1936年のベルリンオリンピック棒高跳びで決勝まで残り最後まで争って、結局2位3位になるのですが、もう2位も3位もないと言って、銅メダルと銀メダルを二つに切り、これを交互に接着し二人で分けたということです。それを日本人初の金メダリスト、三段跳びの織田幹雄さんが、朝日新聞の記者でもいらっしゃったから書いた。それが私の子どもの頃の小学校の教科書に載っていた。その西田さんが、たまたまお住まいが横浜で、早稲田大学の先輩でもありましたので、後援会長になって頂いたのです。やはりあのようなドラマチックな話は、いまだにこの話ができるくらいに、強烈にスポーツの良さというものを思い出させます。ぜひそういうシーンを、オリンピックの各場面で今度も見たいと思います。いやなこと、目を背けたくなることが多い世の中で、子どもが感動するシーンをオリンピックで期待したいと思います。

記者)

 毎年皆さんに伺がっているのですが、15日終戦の日の靖国神社への参拝の有無についてお願いいたします。

大臣)

 私は、これまでも15日に行ったことはありません。ただ、戦死された方々を悼む気持ちは誰にも負けずに持っています。私は、父の弟が海軍で死にました。その死亡通知を父が受け取って、お昼ご飯を食べながら、郵便が届いた、その時の父の姿を覚えていますが、ばさっと食卓にタオルを捨てて、号泣しまして、何を父がしたかというと、自分の家の裏山から泰山木の小さな木を二、三本スコップで抜いて、それをリヤカーに乗せて、靖国神社に植えに行くと言って出て行く姿を覚えています。本当に弟をかわいがっていた父でしたから。もう靖国神社のどこに埋まっているかはわからないのですが、相当大木になっているでしょう、60年経っているわけですから。それから、皆さん御存じかどうか、岩波新書に「戦没農民兵士の手紙」という渋民村から出兵していった戦没農民兵士の手紙をまとめた本があるのです。手紙は現地の満州や東南アジアから送ってきているため全部検閲が入っているのです。ですから、反戦とかいうことはあまり出てこないのですが、行間ににじみ出るものは、それは「きけ、わだつみの声」よりも、検閲がされている分だけ、深いものがあるのです。ただ15日に参拝するつもりは私はありません。それは、各大臣の御判断で、とやかく私から申し上げることではないと思います。

(了)

  • 本概要は、発言内容を変更しない範囲で読み易く修正しています。

(大臣官房総務課広報室)