ここからサイトの主なメニューです

平成20年7月29日大臣会見概要

平成20年7月29日(火曜日)
11時5分〜11時30分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 今日の閣議ですが、増田総務大臣から「英国、ドイツ連邦共和国及びスイス連邦訪問」について、加えて「労働力調査結果及び家計調査結果」について、舛添厚生労働大臣から「有効求人倍率6月分」について、岸田科学技術政策担当大臣から「平成21年度に日本学術会議が共同主催する国際会議」について、高村外務大臣から「ASEAN(アセアン)関連外相会議出席及びベトナム訪問」について、それぞれ報告がありました。閣議後の閣僚懇談会においては、まず、内閣総理大臣から「留学生30万人計画の骨子の策定」について御発言がありまして、それを受けまして私のほうから概要を説明させて頂きました。続いて、この件で高村外務大臣、鳩山法務大臣、舛添厚生労働大臣、冬柴国土交通大臣からそれぞれ発言を頂きました。その後、舛添厚生労働大臣から「五つの安心プラン」について、岸田国民生活担当大臣から「健康現役社会の実現に向けた取り組み」について発言がありました。最後に内閣総理大臣から「五つの安心プラン及び健康現役社会の実現に向けた取り組み」について発言がありました。その後、若干のやりとりがありまして、この五つの安心プランについて、いくら良い物を作っても、国民にわかりにくいようであれば困るので、できるだけ、わかりやすい説明をしていくということでした。
 続いて、こちらからまず申し上げることがあります。先ほどお話した留学生30万人計画の骨子についてですが、本日の閣僚懇談会において留学生30万人計画の骨子の策定について、御報告申し上げました。この骨子は、福田総理が本年1月の施政方針演説で新たな政策として、「日本への『留学生30万人計画』の策定と実施」を打ち出されたことを踏まえ、文部科学省をはじめ、関係省庁が連携して検討を進めて策定したものです。骨子では、「日本を世界により開かれた国とし、アジア、世界との間のヒト、モノ、カネ、情報の流れを拡大する『グローバル戦略』を展開する一環として、2020年を目途に留学生受入れ30万人を目指す」こととし、「このため、我が国への留学についての関心を呼び起こす動機づけから、入試・入学・入国の入り口から大学等や社会での受入れ、」これは体制の問題ですが、「就職など卒業・修了後の進路に至るまで、体系的な方策を実施し、関係省庁・機関等が総合的、有機的に連携して計画を推進する」ということにさせて頂いています。少し具体的に申し上げますが、一つ目に、我が国の大学や独立行政法人等の海外拠点が連携して、日本留学に係る各種情報提供や相談サービスを実施するワンストップサービスの展開、二つ目に、母国で入学許可の取得を可能とする体制の整備、三つ目に、大学等の在籍管理の徹底を前提とした入国審査等の見直し、四つ目に、英語のみによって学位取得が可能となるような大学等のグローバル化と受け入れ体制の整備について、国際化拠点大学として重点化することの支援、五つ目に、宿舎確保の取り組みや、奨学金など、受け入れの環境づくり、六つめに、産学官が連携した就職支援や、在留期間の見直しなど、社会全体の受け入れの推進など、様々な方策を体系的に進めることとしています。我が省としても、関係省庁と連携しつつ、留学生30万人計画の実現に向けて、全力で取り組んでいきたいと考えているところです。
 もう一点、私のほうから御報告があります。教員採用選考試験の実施状況等に係る点検状況についてですが、我が省では、教員採用選考試験を実施している64の都道府県、政令指定都市教育委員会に対し、教員採用の在り方について点検を求めていたところです。7月25日現在の状況を報告頂いていまして、現在最終的な整理中です。本日の夕方には、皆さんに対して公表させて頂くように、今作業を進めているところです。この結果を、現在実施中の平成21年度の教員採用選考試験、まだ二次試験等、残っているわけですから、可能な限り改善を図って頂けるよう、取りまとめた点検結果を早急に各県、市に提供することにより、更なる改善検討を促すとともに、約1ヶ月後を目途に再度調査し、報告を求めるということを予定しています。さらに、これは報告の結果も見なければなりませんが、その後におきましても継続的にフォローアップを行い、それらの結果が平成22年度教員採用選考試験に適切に活用されるよう、必要な指導を行っていきたいと考えているところです。

記者)

 本日の閣僚懇談会において留学生30万人計画の骨子が報告されましたが、2020年までに30万人というのは、現状から考えるとかなり高いハードルだと思いますが、財政面を含めて、どのような取り組みを今後される予定でしょうか。

大臣)

 日本の国の財政が今、大変厳しいということはおっしゃるとおりです。しかし、これは、今年1月の施政方針演説で総理が示された方針でもありますし、今まで少し時間がかかりましたが、色々な省庁も関係し調整を図ってきたわけでして、我々としてはそういう厳しい財政の中にあっても、各省庁が皆工夫をして、この問題をしっかりと受け止めて取り組んでいきたい。まず、平成21年の概算要求時において、やれることから要求していくことになろうかと思っています。例えば我が省としては、これから更なる詰めが要るわけですが、先ほども御報告をさせて頂きましたワンストップサービス、これは日本版ブリティッシュ・カウンシルといった意見も出ているところですが、様々な拠点として例えば国際交流基金、大使館、日本学術振興会(JSPS)の海外拠点、場合によっては日本語学校、それから各大学の拠点等の点検をしっかりと行い、そういったところのネットワークをしっかり組むことによって、それぞれの国の需要に応じた、どういう形が一番適当なのかということを、早急に見極めたい。その上で、各国にこのワンストップの拠点として、日本の情報発信センターというものを作るということで、ある意味での日本版のブリティッシュ・カウンシルという形を整えていくことの予算要求も考えていますし、また、これから国内の拠点も整備していかなければなりません。大学の色々な意味でのこれからの施策というものがありますから、拠点となるような大学に重点的に支援をしていくことも、一つの考えであろうかと思います。いずれにしても、そういうことを積み重ねていくことによって、この計画がより具体的に進んでいくように、我々としても努力をしていきたいと思っています。立ち上がりは少し時間がかかると思います。こういった計画というのは、やはり年をおうごとに直線ではなくて曲線的に増やしていく必要があると思いますから、そういった条件整備をまず念頭に置き、我々は必要なことを各省庁と連携を図りながら、やっていくのが必要であると考えています。

記者)

 教員採用選考試験の実施状況等に係る点検状況ですが、1ヶ月後に再調査ということは、現状の透明度が不十分だと御判断されているということでしょうか。

大臣)

 すべてにおいて十分であるとは言えないのではないかと思います。まだ、改善を検討したいと報告頂いているところが多数ありますから、そのことも含めて、再度、1ヶ月後ぐらいに報告を求めたいと思っています。また、検討したいというところは、今回、色々なところでやっておられることも併せてこの調査結果を御報告申し上げますから、そういったものも十分に参考にして頂きながら、新たに取り組んで頂けるものと考えていますので、そのためにも、再度1ヶ月後に報告を求めたいと考えているところです。

記者)

 透明度を色々言われている中で、特にこういうことが透明度に向けて大事だという取り組みについて、大臣がお考えになることを二、三教えて頂けますでしょうか。

大臣)

 これは各都道府県、政令指定都市によって取り組みが色々ありますから、一概には言えないと思いますが、やはり公表の在り方というのは一つあると思います。例えば選考基準、複数チェックといったことについて、不十分な場合には改善を検討して頂くことがあろうかと思いますし、何よりもやはり、透明度が確保されていることが大事ですから、そのことを一義的には教育委員会が、他の都道府県から集まってきているデータを参考にしながらしっかりと検討して頂ければと思います。教育委員会のほうでさらに改善を検討したいという報告が64のうち約56の県市から届いていますから、そういった改善の検討というものの結果を待ちたい。今回の資料は、できるだけ早急にお届けしようと思っていますから、そのときに非常に役に立つのではないかと考えています。

記者)

 例えば採点のマニュアルみたいなものが非常に透明度を上げたとしても、やはり最大の問題はいわゆる口利きを取り入れたりとか、幹部職員が数字をいじってしまったことが最大の問題だと思うのですが、今、大分県でそういった口利きに防止条例みたいなものを検討されているようですが、一番大事なのは、やはりそこではないかなと思うのですが、大臣の御所見はいかがでしょうか。

大臣)

 もちろん条例で歯止めをかけるというのも、ひとつの方法だと思います。これは、条例というのはあくまで地方自治体が作られるものですから、それはそれぞれの取り組みを是としたいと思いますが、構造的にそういうことができない仕組みをまず作るということが、非常に大事なことではないでしょうか。例えばできるだけ匿名にしたり、受験番号の扱いも、採点をするときにどういう仕組みを作っていくかということで、構造的にそういうものができないというものを作っていくことがまず考えられる努力ではないかなと考えています。これはダブルチェックという考え方もひとつですね。話が飛んで申し訳ないですが、例の耐震偽装のときも、結果的に今やっていることはダブルチェックなのです。要するに、1回しかやらない、特定の人しかやらないということで不正が起こる、そういう温床があるわけですから、そういうことが起こらないような、制度上の担保というものを、まずしっかり作って頂くことが、教育委員会において取り組まれる大事なことではないでしょうか。法律とか条令とかいうのは、むしろ起こらないように抑止力として作ることになるわけですから、それ以前に、まずは構造的に起こらないようにする。これは私は可能だと思います。

記者)

 先日も閣議後会見でお伺いした日本弁護士連合会(以下、「日弁連」という。)が「法曹人口問題に関する緊急提言」をまとめた関係で、町村官房長官が日弁連の見識を疑うと言ったことに対して、今度、日弁連の会長が、町村官房長官の見識を疑うと言ったりとか、あと中央教育審議会(以下、「中教審」という。)の法科大学院特別委員会の座長が声明を出したことについて、鳩山法務大臣がこれは結論ありきではないか、中教審のあり方としていかがなものかという趣旨のことをおっしゃったり、まだ波紋が続いていますが、この日弁連会長や鳩山法務大臣の発言について、大臣はどのようにお考えですか。

大臣)

 お互い、自分自身の発言の意味が伝わっていないと日弁連の会長はおっしゃったというふうに報道で承知しているわけですが、町村官房長官の記者会見を見ていますと、これは私がコメントをする立場にはありませんが、少し長い歴史があって、今までのことの経緯の中から日弁連会長がそういうことを言われることは少し不見識というふうに言っておられるのだと理解をしています。単に不見識ということだけを取り上げて、それがおかしいとか言うのも、少しいかがかなというふうに思います。ですからそういった意味では、若干すれ違っているので、よくお互いにお話になったら良いのではないかなという印象です。中教審のことについて、おっしゃっている意味はわかるつもりですがね、やはり評価は評価として、時折々にしていかなければいけないのだろうと思います。法科大学院というのは、まだ確かに実績は、スタートしたばかりですから、それだけをもって全体を、今うまくいっているか、うまくいってないかということを、この段階で判断するのはいかがなものかという趣旨の発言だと思っていますが、しかし、さりながら、現状様々な問題が指摘をされている中で、全体として、法科大学院がスタートして今までの間に、どういう役割を果たしているか、またそれについてどういう評価ができるかということを中教審で議論して、座長が発言されたということですから、ここにも、少しすれ違いがあるのかなというのが、正直な私の印象です。いずれにしても、私は従来から申し上げていますように、まず数ありきという議論ではなくて、法科大学院には司法制度改革審議会等の長い議論があるわけですから、その議論の中で、新たに設置された法科大学院というものが、目指した役割をしっかりと果たしているかどうかについて、中教審でもしっかりと審議して頂かなければいけないし、またして頂いていると思っていますし、改善すべき点はあるということも、しっかりとおっしゃっているわけですから、このプロセスを重視した教育の在り方について、さらなる議論を重ねて結論を頂いたものについて、我々はしっかりと今後ともその目的が達成されるように、教育を所管する我が省としては、頑張っていかなければいけないというのが、大事なのだろうと思います。結論を言いますと、私はこのことを数の問題として議論されることに、非常に違和感がありまして、当然、まずどういう質を求めるのか、また、どういう質が求められているのかということを、やはり議論をして頂きたい。そのときに、今の在り方で良いのかどうかが問題になってくるのだろうと思っていまして、今後とも、その質の向上ということに努力をしていきたいと思っています。

(了)

  • 本概要は、発言内容を変更しない範囲で読み易く修正しています。

(大臣官房総務課広報室)