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平成20年7月15日大臣会見概要

平成20年7月15日(火曜日)
10時48分〜11時11分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 本日の閣議ですが、通常の報告案件の後、甘利経済産業大臣から「平成20年版通商白書」について発言がありました。閣議後、国家公務員制度改革推進本部の発足につきまして、会合がありまして、本日第1回目の会合が開催されました。この本部は、国家公務員制度改革基本法に基づき、国家公務員制度改革を総合的、かつ集中的に推進するため、内閣に設置されるものでありまして、本部長の内閣総理大臣をはじめ、すべての国務大臣が構成員となっています。同本部では、国家公務員制度改革基本法において定められた、改革の具体化に向けた検討が行われるものと理解しています。今後、同本部が、国の行政を行う国家公務員制度の今後の在り方を決める重要な場であるとの認識に立ち、国民から信頼され、また優秀な人材が多く集まるような公務員制度になるように、内閣の一員として私もしっかりと協力をして参りたいと考えています。なお、御案内ですが、事務局長以下の人事も今日紹介されたところです。

記者)

 昨日、中学校学習指導要領の解説が公表されました。この中に竹島という言葉が初めて明記されました。この記述に至った経緯を含めて、大臣の御所感をお願いします。

大臣)

 この解説に至った経緯ということですが、従来からこの領土の問題については、様々な状況変化と議論があったと承知しています。状況の変化といいますのは、平成17年に島根県で「竹島条例」が制定され、当時の中山文部科学大臣の国会答弁もありました。また、この通常国会でも、何度かこの件について質問があったところです。この問題に関する国民の関心も非常に高くなっていまして、学習指導要領にも記入すべきという意見もありました。一方、教育基本法が一昨年末制定され、それ以降の一連の法制定の動き、また中央教育審議会(以下、「中教審」という。)における議論の中でも、領土についてしっかりと教育するようにといった議論もありまして、今回解説への竹島についての記述、領土についての記述という問題を所管官庁として色々と検討してきたわけです。我が省が中心になり、これは領土の問題ですから、外務省ともよく協議をし、そして官邸の意見も聞きながら、最終的に調整を進めて参りました。そういった一連の作業の中で、一昨日の深夜ですが、最終的に調整がなされ、我々はそのことを参考にして、最終的に昨日発表させて頂いたということです。従来から申し上げていますが、学校教育において、我が国の領土・領域に関する教育を充実することは、中教審の議論も申し上げましたが、非常に大切なことであると考えています。今回の中学校社会科の学習指導要領解説により、従来から記述していました北方領土と同様に、竹島の問題に関する事実関係をしっかり教え、我が国の領土・領域についての理解が深まるように、この記述を加えたというものです。

記者)

 すでに韓国側から、例えば大使を一時的に帰国させるですとか、抗議声明を昨日も具体的なものが出ていました。これは外交問題ですが、このことについて大臣としての所感をお聞かせください。

大臣)

 これは外務大臣とか官邸がお答えになるのがいいのかもしれませんが、お互いの主張、お互いの立場というものは、それぞれの国家というのはあるのだと思います。その中で、これは町村官房長官の言葉をお借りしますと、ぎくしゃくすることがないように配慮をしながら、外交関係というものを続けていくと。言葉が適当かどうかわかりませんが、ある意味、大人の関係というものを、これからも築いていかなければいけないのではないかと思っています。

記者)

 今回の記述で、「我が国の固有の領土」という記述が、直接的には竹島については出されていないのですが、それについて大臣の御所感をお願いします。

大臣)

 先ほど経緯を御説明させて頂きましたが、官邸、外務省を含めて、これは町村官房長官、高村外務大臣、そして私の3人の中で様々な調整をさせて頂いた過程の中で、このような形になったと御理解頂きたいと思います。

記者)

 先日の閣議後記者会見で大臣は、最後は総理が総合的に判断することではないかというふうにおっしゃっています。昨日来、町村官房長官を含め、総理の判断ではなく、政府全体としての判断なんだということをしきりに強調されていますが、その点についてはどのようにお考えですか。

大臣)

 ここに先日の閣議後記者会見の議事録があるのですが、総理も交えた総合的な判断に最後はなるのではないでしょうか、という言い方をさせて頂いています。そういう意味で、少し言葉が足りなかったのかもしれません。マスコミの皆さんのこの記事を見ていますと、総理が判断するみたいになっていますから、確認のためこれをあえて取り寄せたのです。先ほども言いましたように、町村官房長官、高村外務大臣、それから私で、金曜日でしたから、その後はほとんどが電話のやりとりで、土曜日と日曜日も調整させて頂いたところです。最後こう書くというのは、これはやはり所管大臣である私が決断しなければいけないであろうと思いますので、そういった結果を総合的に踏まえて、私が決断をさせて頂いて、そして町村官房長官から総理に御報告を頂いていると御理解頂きたいと思います。

記者)

 竹島について初めて解説に記述したということで、今後どういうふうに現場において具体的に教えていけば良いと思われますか。

大臣)

 現場での指導については、昨日の中学校新教育課程説明会で、事務方から具体的な説明も申し上げていると思いますが、我が国の主張、政府の見解ははっきりしているわけですから、そのことに基づいて適切に現場で判断して頂いて、指導が行われると期待しています。

記者)

 我が国の教育問題について、外国が反発して、それについて我が国が配慮したという形になったことについて大臣はどうお考えでしょうか。

大臣)

 もちろん、一義的には教育の問題ですから、日本が自律的にその判断をする問題であります。先ほど申し上げたとおりですが、我々はあくまで自律的に、そして総合的に判断をさせて頂いた。教育という面からしますと、冒頭申し上げましたように、領土・領域について学校現場で正しくこの理解を深めさせるというのが、一番大切なことです。私は今回の記述に関して、終始そのことが一番大事だと思って取り組んできましたから、そのことで、学校教育で正しい指導をすることができるというふうに考えて、最終的に判断させて頂きました。配慮がなかったかと言えば、それは政府全体の中でこういう判断をしたということですから、そのようにお考え頂いたら良いのではないでしょうか。私が配慮したとか、配慮しないとか、そういう問題ではなくて、総合的な判断だというふうにお考え頂きたいと思います。

記者)

 今年2月の学習指導要領案の公表から、3月の告示、今回の解説と、一連でだいぶ落ち着いてきたのですが、先ほどもおっしゃっていた中山文部科学大臣の答弁も踏まえ、先の話ですが、次の指導要領改訂の際には、指導要領に書くべきだとお考えですか。

大臣)

 要は、基本的に大事なことは、指導要領の果たす役割、解説の果たす役割というものがありますので、しっかりと教育の現場で、冒頭申し上げたように、領土・領域について指導が行われていれば、あえて書く書かないという問題は、問題ではないというふうに思います。今回の問題についても、要はどう書くとか、どう書かないとかということではなくて、今まさに申し上げたように、学校現場において領土・領域というものが、しっかりと理解を深めさせるができるということが大事であろうということで、取り組んできましたから、例えば10年先、おそらく私はその任にないわけですが、その時々で判断をされると。書くことが適当だと判断されれば、書かれるということであろうと思われます。書くこと自体が目的ではないと思います。

記者)

 そうしますと、今回解説に書いたことで、多くの教科書が取り上げるようになるのではないかと言われていまして、そうすると学校現場も竹島問題について扱う可能性が高くなると思うのですが、それで一定の目的は果たせるのではないかとお考えですか。

大臣)

 いわゆる正しい指導、理解を深めさせるということに、私は一定の目的は果たせるのではないかと考えましたので、先程来、「固有の領土」となぜ書かないのかということも御質問頂いたわけですが、このような総合的な判断の中で、このような形で記述をさせて頂いたということです。

記者)

 鳥取県の学力テスト情報開示請求の件で、来年度の実施にあたっては当然、配慮しなければならなくなると思うのですが、その辺のお考えをお願いします。

大臣)

 公表については、今日の10時からの鳥取県教育委員会の定例会議で検討ということになると思います。まずはその結果を見なければいけないと思っています。いずれにしても、このような事が起こったということで、情報公開も含めて、公表の在り方をどう考えるかについて、何もしないというわけにはいかないと思います。まずは今回、こういう事が起こったことを受けて、再度、各都道府県教育委員会等に対して、全国学力・学習状況調査の意義といいますか、意味といいますか、そのことをしっかりと再度お願いしなければいけないとも思っています。また、現在のところ、当初の公表の在り方について、細かくは申しませんが、都道府県レベルでは、市町村レベルでは、各学校レベルではという形で示していますが、これを変えるという考え方はありません。しかし、再度こういった問題を踏まえ、何かすることがあるのかについては、検討しなければいけないと思います。

記者)

 来年以降、提供資料のレベルで意思確認を改めてするとか、事前に何か確認するといったことも必要だとお考えですか。

大臣)

 基本的には、こういうことを前提に参加してくれとお願いしていますから、そのことは変わらないと思います。ただ、鳥取県でこういうケースが出たわけで、それから、二、三、他の地域でも起こっているようで、そういった事例も見守りながら、今おっしゃったようなことは、全国悉皆である意味同じようにお願いしているわけですから、しっかりと、全部とまでは言いませんが、確認される必要はあるのかなとは思います。

記者)

 大分県教育委員会のナンバー2の関与が取りざたされるなど、疑惑が広がっているように見えるのですが、それについての御意見を。

大臣)

 従来から申し上げていますように、これはもう大変なことだと思っています。何よりも、これは一個人が何かを起こしたということではありません。平常的に、しかもシステム的に行われるということはあってはならないことですから、これは断固、真相の究明を今行って頂いていますが、なお一層、しっかりとやって頂かなければいけないわけですし、各都道府県教育委員会に対しては今、採用試験において透明性を高めるなり、そしてやはり保護者や地域の皆さんに不信を持たれるようなことがないように、しっかりと信頼性を確保して頂きたいと思います。もし何かあれば、その俎上で発覚すると思いますので、そういったことについても適宜しっかりと報告して頂きたい。やはり教育現場における信頼というものを回復して頂くことが、回復というと何かあるみたいに思われますが、やはり国民の皆さんは今、不安に思っておられるわけですから、そのことに対して各教育現場が自ら取り組んで頂いて、しっかり答えて頂くことが大事であろうと思います。何があるとか、何がないとかいうことではなしに、我々はしっかりやっていますというメッセージをしっかり出して頂かなければいけないと考えています。

記者)

 竹島に関する学習指導要領の解説への記述の件ですが、もし今回の解説に書かれると、教科書ができて供給されるのが4年後ということになるのですが、それまでの間の竹島の指導については、どういうふうに大臣はお考えでしょうか。

大臣)

 基本的には新学習指導要領で行われるわけですから、それ以前については、今回説明会等もやっていますので、そういったことも踏まえて、各学校現場で適切におこなって頂くことが大事だと思います。中学校の教科書は平成24年になりますが、従来からのことにしますと、書かれることが多くなるのかなとは思いますが、去年私は教科書の問題で非常に時間を費やしましたが、日本の教科書は検定制度ですから、今回のことでどういう教科書が出てくるかはそのときになってみないと、今これについて言及することは適当ではないと思っています。それまでの間、学校現場で適切に指導されると期待をしています。

(了)

  • 本概要は、発言内容を変更しない範囲で読み易く修正しています。

(大臣官房総務課広報室)