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平成20年5月13日大臣会見概要

平成20年5月13日(火曜日)
9時58分〜10時30分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 本日の閣議ですが、一般案件がありまして、道路特定財源の問題を閣議決定しました。内容は、総理からは、一般財源化するに当たり、道路関連公益法人や道路整備関係の特別会計の関連支出の無駄を徹底的に排除するという発言がありました。同時に政府全体としての行政と密接に関係がある公益法人について、集中点検を実施して無駄を是正するという発言がありました。これは我々にも関係ありますが、6月中旬を目途に公益法人改革の集中点検を、各閣僚ともしっかりやるようにという趣旨であります。このことについて、町村内閣官房長官からもこの結果を平成20年度予算の執行に反映させるとともに、平成21年度以降の予算編成にも反映させるのが大事であると発言がありました。あと、額賀財務大臣から、地方自治法の施行10周年の記念貨幣の発行について発言がありました。また、若林農林水産大臣から、森林・林業白書についての発言もありました。本日の閣議が若干時間が掛かりましたのは、閣僚懇談会で増田総務大臣から、早期退職勧告の是正の問題について発言があり、各閣僚から、それぞれの省庁における特殊な事情や、現状がどうなっているかなど、まだいろいろ検討が必要であるといった発言があり、やりとりが少しあったためです。

記者)

 杉並区立和田中学校の夜スペシャルについて、今月下旬から対象者を希望者全員に拡大して、一定水準に達しない生徒については、家庭教師派遣業のトライグループが教えるということになりましたが、1月に大臣は閣議後の会見で、こういった施設利用について無原則に広げることがあってはならないとおっしゃったと思うのですが、このようにふきこぼれ対策という説明とは違って、希望すれば誰でも受けられるという、この状況をどのようにお考えになりますでしょうか。

大臣)

 対象が広がったと言うよりも、当初はやる気のある人に対して、もっと機会を与えたいということが趣旨だったと記憶をしています。そして、私はまずは保護者の理解が得られること、それから、設置者である教育委員会、行政を主管している都の教育委員会との間で、法令、規則等に準じて、しっかりと確認をされること、お互いに話し合いがしっかりなされることが必要と申し上げました。その一つとして、公共の施設である学校の使用について、しっかりと設置者として考えて頂きたいという趣旨で申し上げたと記憶しています。同時に、義務教育段階で、機会均等が損なわれてはいけない、単に仕分けが行われることは、好ましくないと申し上げました。そういった意味で、この度は、希望者の希望に応じて行われたと理解しており、機会が与えられるということが大事なことであると思います。また、これはあくまで地域本部がやることで、最終的に区や都が話し合い、保護者の理解を得ながら、学校としてではなく、地域が主体となって進めると聞いています。

記者)

 道路特定法案ですが、今日再可決の見通しです。その所感と、それから先ほどおっしゃった一般財源化の方針の閣議決定というのも、野党側はこれは矛盾するのではないかということで批判していますが、これについての大臣の受け止めをお願いします。

大臣)

 基本的には異を唱えるものでもありませんし、現実に税収の欠損が生じていますから、一日も早く、今年の予算の執行がスムーズに行われるためにも、また、政府が責任を果たすという意味においても再可決は必要であろうと考えます。そして、確かに10年の法律を通すわけですから、その一つだけを捉えれば、矛盾になりますが、同時に閣議決定もし、与党の協議会でしっかりと決めていますし、また、今後の進め方についても、関係閣僚会議が設置されました。そこで、矛盾したと言われないように、決めて行かなければいけないと思いますし、多くの国民の皆さんに対し、総理、また与党の幹部があらゆる機会にお話をしているわけですから、このことをもって矛盾とはならない。ただ、国会のことですから、我々が今、どうこう言う問題では無いと思いますが、一事不再理という原則がありますから、衆議院で可決した法案を訂正するのでしたら、参議院で修正案を提出して頂きたかったと思います。これは、いずれにしても形の上ではそう見えるかもしれませんが矛盾ではありません。これからしっかりと、約束したことをやっていくということだろうと思っています。

記者)

 関連ですが、学校の社会科でも三権分立ということと、国権の最高機関は国会だと教えております。国会で通った法律よりも閣議が優先されるのは、学校でどう教えれば良いのでしょうか。

大臣)

 ですから、国会で参議院もそういう機能を果たして頂きたかったというのが、今の私の思いであり、そういう発言をしたつもりです。矛盾と言われるならば、国権の最高機関である国会のルールに基づいて、その矛盾を是正して頂きたかったと思います。残念ながら、今の国会状況は、そのようになっていないため、衆議院に返ってきた物を今年の分として採決し、予算の執行に支障が無いよう、国民生活に迷惑をおかけしないように、政府・与党としてもそういう選択をせざるを得なかったと、御理解を頂きたいと思います。

記者)

 矛盾ということではなくて、閣議の後に国会が議決をしたら、当然そちらの方が優先するというのが、社会科で教わったことになると思うのですが。

大臣)

 基本はそうです。国会の意思として、今日の採決は本来立法府で行われるわけですから、我々としては、その立法府の決定、国会が優先しますから、これは3分の2のルールを使う使わないは別にして、要は国会で今日、決められるということです。ただ、政府としては姿勢を示していく必要がありますので、閣議決定したと思っています。したがって、あくまで国会が今日、決めるとお考え頂きたいと思います。

記者)

 教育振興基本計画について、昨日、財務省が文科省への反論の文章をまとめて、従来の主張を繰り返し説明していますが、これを踏まえて大臣の所感と財務省に対する反論があれば。

大臣)

 そういうものが出てきたというのは見ました。今日の新聞も見ました。従来から言われているようなことプラスアルファというふうに聞いています。正直申し上げて、先ほどちらっと現物を初めて見たわけでありますが、もう少し精査をしないとわからないと思います。従来からの色々な主張の違いがありますが、それについては、これから政府内で協議を進めていく中で、日本の教育をこれからどうするのかということを、主張をしていきたいと思います。当然色々な議論は必要であるとは思っていますが、現段階で、個別に検討しているわけではありません。詳しく見ているわけではありませんから申し上げられませんが、教育振興基本計画には、十年先の教育を見据えて、どういうものにするかということを書かせて頂くわけですから、そのことをしっかりと主張していきたいと思います。

記者)

 それに関連してですが、月刊誌に片山善博さんが、中教審の答申は官僚によって骨抜きにされたと書いておられました。それについてはどのようにお考えですか。

大臣)

 片山さんのお考えなのだろうと思います。中教審にはお願いした御議論をして頂いているわけです。従来からお答えしていますが、あらかじめどんな状況かということについて、情報提供することについては、中教審の部会長以下、そういう御意見もあったものですから、向こうの言い分はこうで、今はこんな状況ですということを御報告申し上げました。それに対して最終的に中教審が答申を出されたということでして、中教審の答申の『はじめに』というところだったと思いますが、この答申をベースにして政府案を作ってくださいということであります。しかし、これは政府の決定でありますから、与党の御意見等も聞きながら、最終的な案を作らせて頂いているということです。我々は諮問をして答申を頂いたわけですから、そのことについて、今私がどうだこうだと言うことは適当でないと思います。

記者)

 宇宙基本法案ですが、日本の宇宙開発体制を変える要素が含まれている法律案ですが、現在の日本の宇宙開発の大半を所管される文部科学省の大臣として、その内容についてどのようにお考えになりますか。

大臣)

 宇宙基本法案の内容は、ある意味プログラム法ですから、具体的な内容は、これから決めていくものと思います。決まっているのは、法施行に3ヶ月、その後戦略本部を当面一年間、内閣官房にまず設置して、その一年後には、内閣府に本部の事務処理機能を移すということ等です。宇宙開発利用の実施機関をどうするか、宇宙開発委員会の問題等々については、特段決定がなされているわけではありませんので、現時点ではコメントは差し控えたいと思います。

記者)

 現在、日本の宇宙戦略と呼べるものは、今年2月に文部科学大臣と総務大臣の連名で出された長期的な計画になると思います。これに対して内閣委員会の審議を見てますと、これでは不十分であるというような問題意識が述べられていますが、日本の今の宇宙政策についてどのようにお考えでしょうか。

大臣)

 不十分だとおっしゃっている方の主張は聞いたことがあります。それは、現在の宇宙開発委員会の所管が文部科学省であり、なおかつ宇宙開発委員会が審議をする対象が、基本的には宇宙航空研究開発機構(以下、「JAXA(ジャクサ)」という。)のあり方についてであるというところに起因しているのではないかと思います。現在の宇宙戦略は、非常に範囲が限られており、それで良いのかという問題意識が、この宇宙基本法案にはあるようです。この考えは、一概に間違っているとは言えないというのが、正直な感想です。省庁再編のときに、宇宙開発委員会は、主にJAXA(ジャクサ)を所管するという整理がなされ、現在は我が省の所管になっていますが、現在の体制がいいのか、もう一度仕切り直し、これから1年かけてきっちり議論して頂くことになります。省益とかいうことではなく、日本にとって本当に望ましい宇宙開発利用の推進体制ができていくことが、宇宙開発にとって望ましいことではないかと思います。

記者)

 内閣委員会の審議を聞きますと、これまで宇宙政策を実際に担ってきたのは文部科学省であるのに、いわば文部科学省はずしのような議論になっていますが、そのことについて何かございましたら。

大臣)

 長年、宇宙政策を旧科学技術庁、文部科学省がやってきたのは間違いのない事実であり、これからも重要な役割を果たしていかなければいけないことは、何ら変わるものではないと思っています。宇宙政策がどうあるべきかは、文部科学省であろうと、文部科学大臣であろうと、逃げるわけにはいかない議論だと思います。ただ、すぐ縦割りとか、省益とか言われますが、そういう話ではないと思います。これまで、省内でも申し上げていますが、もっと誇りを持ってしっかりと主張していけばいいと。本当にいい体制ができるのなら、国として正しいことでありますから、それを受け入れてやっていくということだと思います。政府与党の議論で、縦割りがいけないから、内閣へ移して一緒にすればすべて解決するという話があり、これは一つの新たな試みとしてあっても良いと思います。例えば、総理が今一所懸命やられている消費者庁です。これはある種のコンセンサスを中に作ったわけです。ただ、必ずしも、何でも内閣府で束ねればうまくいくというものではないと思います。各省、実施したいものを持っているわけであり、ある種の戦略を立てて、それぞれが担っていく役割を、十分果たしてきたわけです。これまでの経緯からしても、文部科学省が今まで果たしてきた役割が全部解体してしまうことは、起こりえないと信じてます。どんどん議論をして、日本の宇宙開発利用の一番良い形を作って頂けたらと思います。

記者)

 道路特定財源の一般財源化ですが、今後の教育行政の中でどのような影響があるかについて、お考えをお願いします。

大臣)

 簡単に申し上げますが、一言で言いますと、教育振興基本計画の中でたどり着いた政府の結論は、教育予算をどのように考えていくかは、やはりこの国の政策戦略、形だと思っています。もちろん毎年の予算の中でどうしていくかという問題はありますが、例えば、一般財源化ということになれば、総理も、例えば社会保障とか教育と記者会見でも言われています。当然別に予算ができたから、そこで取り込んでいくという安易な発想は通りませんけれども、この国が将来持続的に発展していくために、唯一の資源である人材というものを大事にする国だというメッセージを、しっかりと教育の分野において送っていく必要があると思っています。何でも悪のりをして増やせば良いとは申し上げませんし、しっかりと中身を作らなければいけないわけであります。そういうことを考えながら一般財源化ということになれば、各省皆やりたいことはあるわけですから、当然そういうものを視野に入れた上で我々の考えをしっかりと申し上げていきたいと思います。

(了)

  • 本概要は、発言内容を変更しない範囲で読み易く修正しています。

(大臣官房総務課広報室)