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平成20年4月4日大臣会見概要

平成20年4月4日(金曜日)
9時26分〜10時16分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 今日は閣議に先立ちまして、成長戦略の会合がありまして、その後の閣議にて決定されました。内容については経済財政政策担当大臣からブリーフィングが行われると思いますので省略します。閣議では定例の案件の後、国民生活担当大臣から「交通事故死ゼロを目指す日」及び平成20年春の交通安全運動の実施について、国家公安委員長からも同じ趣旨の発言、経済財政政策担当大臣から先ほど申し上げました「成長力強化への早期実施策」について、各々発言ありました。閣議後の閣僚懇談会では、国民生活担当大臣から国民生活審議会の意見について発言があり、それを受けて内閣総理大臣から「生活安心プロジェクト」を更に進めるようにという発言がありました。その他は特に発言はなかったわけですが、公務員制度改革担当大臣から例の公務員制度の取りまとめに当たって大変世話になったと。ついては、今後国民の視線に立った公務員改革をやりたいのでよろしくお願いするという趣旨の発言がありました。

記者)

 先日の中央教育審議会(以下「中教審」)で、教育振興基本計画の答申案が概ね了承された件ですが、所管大臣として答申案の内容についての評価と、今後の答申や閣議決定のスケジュールをどう組んでいらっしゃるか、お伺いします。

大臣)

 ご案内のように、今月2日に中教審の教育振興基本計画特別部会としての議論が終了しています。中身については皆さんにも配付したところですが、長いご議論の末に、総会で審議される特別部会としての案をとりまとめて頂いております。従来からも申し上げていましたように、これは閣議決定の案件ですから、そういったことも踏まえて、並行して関係府省間の調整も行ってきました。その様子をお伝えもしていますが、そういったもの全てを踏まえて、特別部会の議論をあのような形でまとめたと承知しています。また、当日出された議論についても報告を頂いているところでして、長期に亘る熱心なご議論にまず感謝を申し上げたいと思います。この議論が総会を経て答申として私どもに届けられるわけですが、4月中には答申を頂けると考えていますし、答申が出て参りましたら、早急にこれを計画としまして、閣議で決定をさせて頂きたい。スケジュールとしてはそのように考えています。地方にも教育振興基本計画を作ってもらうことですから、いつまでも時間をかけていられないので、そういう予定で進めたいと思っています。同時に、昨日自民党の部会がありまして、ここでもスタートしました。閣議決定ですから、自民党、公明党、両党の議論も頂かなければいけないと考えていまして、これは我々内閣と党との関係という中で、並行して進めていかなければいけない作業だと思っています。そういった議論を盛り込んだ形の上で、最終的には先ほど申し上げましたように4月中には答申を頂いて、その後、出来るだけ早急に閣議決定をしたいと考えています。

記者)

 今触れられました中教審の審議と並行して関係省庁間の調整を進めてこられた点について、当日の議論では一部の委員から激しく批判の声があがりまして、中教審の独自性というのは一体何なんだと、非常に手厳しい意見が出たのですが、大臣はその審議会の在り方、今回の文科省の進め方について、どうお考えでしょうか。

大臣)

 これは閣議決定案件ですから、特別部会としてもただ言いっ放しということにはならないわけですから、そういうこともお聞きしながら、我々は進めてきたわけですし、我々の調整の状況はお伝えしていますが、中教審は中教審として、これまでの議論の経緯も含めてご判断頂いたと思っています。中教審に対して、情報を提供するという意味で、状況報告をさせて頂いたとご理解頂きたいと思っています。私は常々、中教審に失礼な内容になってはいけないということは申し上げていましたから、そういう意味で、中教審からも、現在の状況について、我々は情報を提供してきたと考えています。そういったことも踏まえて、今までのご議論の方向を歪めた形にはなってないと思っていますから、最終的にそういうご判断をされたということであろうと思います。

記者)

 全国体力・運動能力、運動習慣等調査(以下「全国体力調査」)について、これは全国学力・学習状況調査(以下「全国学力調査」)と同様に悉皆で調査を行うという点に対して、有識者なども含めてかなり疑問の声が上がっているのですが、この点、大臣は如何お考えでしょうか。

大臣)

 これを実施するに当たっては、有識者の声もお聞きしたと私は理解をしていますが、そういう意見があることも最近耳に届いています。従来の体力テストは7割くらい行われていたと聞いていまして、むしろそういった結果をより活かして、子どもたちの体力向上に繋げていくという趣旨があったと考えているところです。昭和60年代くらいの体力テストの結果を見ますと、今の子どもの体力は、かなり落ちているわけでして、そういう状況を受けて、これは「知徳体」とよく言われますが、学力と体力と、それから徳、人間性といったものが教育にとって非常に大事なことですから、そのことを考えて、一度この機会にしっかりとデータを掴んでおく必要がある。また、それを具体的に教育現場で実践・改善をしていくための方策を講じていくために、これは「スポーツ振興基本計画」の中で位置付けられて行われたものと考えています。一部疑問視と言われているのは、私が就任以来、教職員の職場の改善といいますか、子どもと向き合う時間を拡充したいという、これは一つの大きな教育政策上の問題でしたから、学校の負担軽減について取り組んできたわけでして、先般、皆さん方にお示しをしたような改善策を今考えています。そういったことにある意味逆行するのではないかというご批判があることも承知しています。そういうことができるだけないような方法で実施をする。集計とか分析とか、それを現場に反映する作業とかがあるわけですから、このことによって負担が増えてしまったということが、これはゼロとは言えませんが、できるだけ起こらないように、十分注意して実施していかなければいけないと思っています。いずれにしましても、今までのサンプル調査と、独自の努力で行われていたものをここで一度しっかりと把握して、指導の現状と体力の関係といいますか、例えば体育指導教師、またそういった専門家を配置している学校現場においては、同じ学年で同じ時期であっても体力が良いのか悪いのか、また、今までのサンプル調査は各県で3校くらいでサンプル数としても非常に少ないわけですが、各校が実施している調査もあるわけですから、そういったものを集約して、一度しっかり把握して今後の方策に活かしていくと。こういう狙いで実施するということをご理解頂きたいと思います。

記者)

 今の関係ですが、大臣は一度しっかり掴んでという表現をなさいましたが、担当部局は、これから毎年実施していきたいと言っておられました。その関係はどのようにお考えですか。

大臣)

 このことについては、もう少し状況が出てこないと判断は難しいのではないかと考えています。担当部局と話をした時にも、できればそうしたいということでしたから、それはやれればその方が良いに決まっているわけでして、ただし、実施することと、その出てきた結果、またそれをどう活かしていくかといった効果というものを、今から決めつけることはないだろうと。春に行われる学校もあることですから、そういったことを総合的に判断した上で次のことを考えたとしても、何も来年実施できないということにならないと、私は思います。事務的には概算要求でこれを入れるか入れないかみたいな話が出てくると思いますが、それにしてもまだ時間があるわけですから、現時点から決めつける必要はないのではないかと。状況を見て判断ができる時間的余裕はまだあるというのが、現在の私の判断です。

記者)

 何故必要かという趣旨はよく理解できたのですが、ただ学校現場にとっては事務作業が増えるかどうかということだけが大事であって、それを減らすという方針で、文科省が施策を打ち出したのにもかかわらず、こういうことがあると、言っていることとやっていることが違うのではないかという印象は、メッセージとして必ず伝わると思うのですが、それでもなおかつやるというところに、やはりどうしても腑に落ちない部分があるのですが。

大臣)

 ここの説明はきちんとしていかなければいけないと思います。こういうことを実施しようということは、当然去年から決めていたわけですが、学校現場の負担を減らしていこうということも、従来からの課題だったかもしれませんが、本格的に検討し始めたのは確か12月の初めくらいだったと思います。そういうことも含めて、基本的にはあの段階で整理して、これは一度は実施しなければいけないという理解をしていますから、そことそこを今おっしゃったようにくっつければ、確かに矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、決してそういうことではなくて、全体の作業量の中で、このことも含めて減らすということも、去年の年末以降検討してきて、今回あのようなレポートを出させて頂いたということです。なお、不断の努力、軽減の努力はしていきたいと思いますし、学校支援地域本部も今のところは全市町村の約1,800カ所になると思いますが、我々は政策的意図があって実施しているわけですが、そういうものの進捗状況も踏まえて、学校現場の負担を減らすことについては、これからも常にそういう意識を持ちながら、やっていきたいと思っています。

記者)

 例えば、先程大臣言われましたように、今までの抽出調査で、子どもの体力や運動能力が長期的に落ちてきているという状況分析が、ある程度できていると思うのです。今までの抽出調査でも課題は色々出てきて、指摘されていて、その考えに立って改善方策を取っていく中で、今回の学習指導要領の改訂では、体力の関係とか、改善策とか、文科省としてはとっていると思うのですが、今それでもやはり解決できていない課題とか、まだまだやらなければいけない部分は多数あると思うのです。今回悉皆で3億何千万円か使うわけですが、先にやらなくてはいけないことがあるのであれば、悉皆よりも先に、抽出で明らかになった内容を改善するのにお金を使う方が良いのではないかということもあると思うのですが、如何でしょうか。

大臣)

 要は体力が落ちているという、ある程度のものは掴めていたと思います。悉皆調査の意味は、究極的に言えば個人個人がどうかということになるかと思うのですが、その小さな集合体としての、例えば学校とか地域とかを、一度はきめ細やかにきっちりと把握をすると。従来の体力テストというのは、確か小学校、中学校、2,800人とかそのくらいですから、全体的な傾向は分かると思いますが、例えば、どういう状況を取っている、熱心にやっているところは良くて、どこが悪くてというようなことを、しっかりと把握するというところにはまだ至っていないと、私は理解します。例えば都道府県比較をやろうとしても、都道府県に3校で、1校あたり男子8人女子8人という状況ですから、それだけでこの県の傾向がというのは、ちょっと少ないなと。例えば体育指導員を置いているという状況と実際の子どもの体力が、どういう関連があるかという分析を実施しうとすれば、従来の体力テストでは不十分だと。同じ年齢の児童が、例えば昭和何十年に比べて男子はこれぐらい身長が平均で伸びて、それから女子はどうだということは、多分できたのでしょう。しかし、それを全体として分析するにはちょっと数も少ない。せっかく7割実施しているのであれば、少し頑張って頂いて、データとして細かく分析できるようなものにしていく。同時に、少し質問紙もあまり増やさないでお願いをして、それとの関係も作っていくと。これが今回の意図だと私は理解しています。色々考えるところはあると思うので、質問紙は全国学力調査と一緒にやったらどうかと。これは学年が違うという問題もあるのですが、今のご質問に対しては、私はそういう理解です。

記者)

 本当に重ね重ね恐縮ですが、印象の問題かもしれないのですが、既に7割が実施しているのはその通りでして、そのデータを吸い上げるということは分かるのですが、やはり印象としまして、改めて悉皆で全部の学校でやって頂くと。しかもそれを都道府県毎に傾向を発表しますというのでは、だいぶ意味合いと申しますか、受ける印象が違うと思うのです。今大臣がおっしゃったような、既に実施している学校からデータをもらうという形を試みずに、いきなり悉皆で全部の学校で実施するというのは何故なのか、改めてお願いできませんでしょうか。

大臣)

 時期とか、より比較がきめ細やかにできるように、やり方等はそれほど大きく変えていないと聞いていますから、できるだけお願いをして、レベルをきっちり揃えると。ただこれは、学力と比べても実施率が、今の段階で随分違うわけですが、こちらからは強制的にお願いするのではなくて、悉皆で呼びかけたという、私は理解ですが。

記者)

 全然聞いていないという教育委員会がものすごく多いんですが、最低限の説明というか、連絡をしていないのは、行政の怠慢ではないかという気がするのですが。

大臣)

 説明は都道府県教育委員会にはきちんとしていますので、もしそういうことがあるとしたら、そこから先にうまく連絡がいっていないのだと思いますが。

記者)

 何か、これだけのものを実施するのであれば、もう少しきちんと根回しをしないと、間に合わないのではないかと思うのですが。

大臣)

 3月でしたから、そういう意味ではちょっと間際だったのですが、全国や市町村の教育委員会とか、都市教育長会議、市町村教育長会議、小学校長連合会というところには、一応説明会を実施しているという報告を受けています。ちょっとぎりぎりになって説明していますから、届いていないところはあるかもしれません。

記者)

 同じことで申し訳ないのですが、大臣はもう少しだけご努力をお願いするということですが、その少しの積み重ねがあの状況を生んで、結局最終的に子どもと向き合う時間が減っているわけですよね。新しい学習指導要領の趣旨は何だったんだということになりますよね。実際、具体的に今度実施する全国体力調査で、例えば質問について、子どもに対して20問、学校に対して10問くらいですか、これもかなり負担になると思いますが、その部分を、もう一度見直すと、例えば身長体重を本当に聞く必要があるのかとか、今からでも変えられるところはあると思うのですが、そういうお考えはありませんでしょうか。

大臣)

 今そういうご提案がありましたので、必要であれば検討させて頂きたいと思います。申し訳ありませんが、私もそこまで細かくチェックしていませんので。ただ、よく分かりませんが、身長体重くらいは要るのではないかと思いますが。質問は必要最小限に絞ったと聞いていますが、そこは即座に今そんな必要はありませんと、これは全部必要ですというふうに、お答えできない状況にありますから。

記者)

 先程も出た質問で、どうして事前に取り得る情報を取らずして、悉皆という調査を決めてしまったのかという部分が、非常にやはり難解でして、例えば民間であれば、まずはどれだけの身体力テストが行われていて、どういうデータが出ているのかを提供してもらって、7割くらい情報を取った上で、それでも必要だとなれば、3億何千万円を使うということは考えられるのですが、担当部局の話によると、その調査はしっかり行われていない。考えられないことなのですが、大臣如何ですか。

大臣)

 冒頭に申し上げましたように、悉皆の意味というのは、これは全国学力調査も同じですが、きちんと分析をした結果、データが整理された結果は当然学校にも提供されるわけです。学校に提供されたデータは、日頃の教育の現場で教師が一人ひとりに対して活かすということはあるのです。この子は少し脚力が弱いということが分かっていれば、体育の時間において過度な課題を与えないとか、そういったことの注意には役に立つと正直思っています。全国学力調査の時にも申し上げましたように、悉皆テストの一つの目的は、やはり個々の子どもにどう反映できるかという、よりきめ細やかな指導が可能であると。その効果をどの程度見るかということは別にして、有り得ると思っています。その期待は現実にあったと私は理解しています。

記者)

 7月末までに実施しなければいけないという形になっていますが、各学校が知ったのは3月で、一学期のカリキュラムを既に組んでいて、例えば体育の日あたりに体力テストを組んでいる。それはカリキュラムを丸ごといじらなければいけないということになりますので、例えば暫定措置として、最初の年は少し時間的に余裕を持たせるとか、そういったことはお考えですか。

大臣)

 それは考えたいと思います。おっしゃるとおりだと思います。それで現場に混乱が起こるということは避けたいと思っています。

記者)

 必ずしも7月末までに求めないと。

大臣)

 なかなか難しい現場の実態として、今そう思っています。

記者)

 先程大臣がおっしゃったのは、個別の子どもの状況ということですが、例えば全国学力調査の場合は知識の活用という、特に活用において、国としてはこういう力を目指して欲しいというメッセージもあったと思うのですが、今回の話は、50メートル走とか、握力とか、反復横跳びとか、それを活用、反復横跳びは練習すれば速くなるらしいのですが、そういう趣旨がかなり違うと思うのです。逆に言えば、国からデータをもらわないと体育を教えている子どもの状況が分からないような学校であっては困ると思うのです。何度も繰り返しになって恐縮ですが、何故わざわざ悉皆で国が集めて返さなくてはいけないのかを、もう一度お願いできませんでしょうか。

大臣)

 これは私の推測の域を出ませんが、全国の7割で行われている体力テストのデータをしっかり分析して、先程申し上げましたように、地域における、例えば体育指導員の配置とか、そういった体育に対する施策が行われているところと行われていないところの差は、データが集まれば割と資料としてはっきり出てくると思います。加えて、個人の状況を把握するということも、今ご質問がありましたように考えるか、それとも、色々な指導に役に立つと考えるかというところは、意見の分かれるところだったと、私は推測します。これは聞いているわけではありません。しかし、これをやる機会に、今までやっていなかったところも含めて、一度きちんと実施して欲しいと。実施することが、体育というものに対する現場の意識を、これは実施していない所も含めて、高めることに繋がるのではないかという思いがあったのではないかなと。その当時の議論をつぶさに検証しているわけではありませんので分かりませんが、7割実施しているわけですから、それだったら残りに声をかければ良いじゃないかと言われればそうですが、結局残りに声かけて一緒に集めるということになれば、言い方としては悉皆ということと同じになるわけですから、私はそういう意味で、しっかりとしたデータをもって、今後のことに活かすということに意味があるという判断があったと理解しています。責任を逃れるつもりはありませんが、今回の調査はしっかりと実施させて頂きたい。お金をかけてやる以上は、やはり意味のあるものにしていかなければいけないと思っています。

記者)

 映画の「靖国」の件ですが、大臣は以前、あってはならないこととおっしゃいました。一番悪いのは確かに圧力をかけているとされる存在だと思いますが、一部の議員の要望を映画の製作会社・配給会社に伝えたことが、ああいう事態のきっかけになっていると思うのです。特に映画の場合は、表現の自由とか、そこから伝わってくる芸術性とかがありますので、斡旋という言葉が正しいかどうかは別にして、そういう意向を伝えるような行為は、国若しくは公的な機関として、私はやらない方が良いのではないかと思うのですが、そういうのをやらないような方策とかをお考えではないのでしょうか。

大臣)

 今回の場合は、特殊と言えばこれは語弊があるかもしれません。これは一部議員がということで、今問題になっていますが、国政調査権として依頼をされたようです。国政調査権のルールとしては、国会でご審議を頂いて、例えば文部科学委員会において、国政調査権でこういうものを見たいということがなされる、ということなんだろうと思います。今回は斡旋というより、そういう意向があったのでお伝えをしたということがあって、映画会社が、それならば一部というわけにいきませんからということで、全国会議員にお出ししたということだと承知しています。ただ、今こういうことが起こっていますから、十分注意して扱うようにと言っていますし、当初、文化庁が協力となっていたわけでして、軽々しく協力という文言を使われるというのは如何なものかと。私からこういうことがないように厳重に注意したところです。でも、何館か上映してくれることになって、良かったなと。

記者)

 今の関連ですが、その一部議員と言われている稲田議員が、我々の取材に対して、稲田議員から文化庁に対して、公開の前に見たいとお願いをしたことはないと、複数の社に答えています。それは、要望があったから文化庁が仲介して配給会社にそれを伝えたというのと、要望がないのにそういうことを伝えたというのでは、かなり変わってくると思うんですが。事実認識として、文化庁としてはあったという認識で宜しいのでしょうか。

大臣)

 要望はあったと思います。私の認識として、なかったら動かないと思いますが。

記者)

 映画とか本とか著作とか集会とか演説とか、こういったものは基本的に人権に関わってくる部分だと思うのです。特殊な事例とおっしゃいましたが、やはりこういう事態に、何館か上映して良かったのは確かにそうですが、殆んどが上映中止で、もう一回やりますと言っているところはないわけで、とすると、特殊な事例として片付けてしまって良いのかと。もうこういうことがないように、それなりの手立てを立てなければいけないのではないかと思うのですが。少なくとも文化庁の中で、こういうものに対して内規等一定の基準を作るとか、対応を決めるとか示すことはできると思うのですが、そこまでは今お考えはありませんでしょうか。

大臣)

 特殊な事例と言ったのはそういう意味ではなくて、一般例として考えるならば、いわゆる特定の依頼に対して、国の機関が何らかのことをやるということは、基本的には良くないと私は思っています。私は22年間、基本的にはそういうふうにしてやってきたつもりです。ただ今回は、行政の疑義に対して問題が提起をされたわけでして、そこに対してどう答えるかという問題だったと思うのです。あの映画がいかんとかええとかいうことではなしに、あの映画に対して政治的メッセージがある、それがあるかないかは色々考え方ありますが、それがあるにも拘らず助成金が出されているのではないかという疑義があると。だから見せて欲しいということであったわけですから、そういう場合にどうするかということは考えなければいけない。ただし、先程も一般論で言いましたように、もしそういうことがあるとするならば、それは、私的なグループとか、個人の意見とか、そういうことに対して、その考え方を個別に言うことは自由であると私は思いますが、何らかの動きをすることが本当に良いのかどうか、それはおっしゃるとおりだと思います。今言われたように、今回の試写会につながるような一連の流れを考えたときに、そのまさに人権とおっしゃいましたが、人権というのはたぶん、言論の自由とか、表現の自由といったことだと思いますが、そういったことになるようなこと、これは稲田議員もはっきりとおっしゃっていますが、そういうつもりは一切ないと。要は、助成金が適正に出されているかということに対して疑義を呈したのであって、ということで、ご本人をテレビで見る限り、そこはびっくりしているというか、意外であったということですから。

記者)

 大阪府の橋下知事が府立高校で土曜日に授業をやろうということで提案をしているようなのですが、これについて大臣はどういうご所見でしょうか。

大臣)

 これは大阪府の教育委員会がそう考えているということですか。知事が一応そういう考えを持っているということを表明されたということですか。

記者)

 まだ何か教育委員会として正式にという感じではないようなのですが、知事としてはそういうことを表明されているということなのですが。

大臣)

 それはまず、大阪府の中で検討されると思います。大阪府の教育委員会でそういうことを決めた場合に、これをどういう形でやられるかということになろうかと思います。そういうことは、今でもやっている地域も学校も、たくさんあるわけですし。ただ、制度としてそれを強制するということになったら、これはなかなか簡単にいかない部分もあると思いますが。

記者)

 教育振興基本計画ですが、特別部会に意見が出ていましたが、教育現場は財政措置に基づいた上でどういうふうに具体的にするかに期待感があったと思うのですが、結果的にその部分は色々な要素で難しかったと。ただ、霞ヶ関とか永田町の中がどういう状況であれ、国民から見たらかなり期待はずれで、結果的に具体策がないように見える形になってしまったと思うのですが、この辺はどうでしょうか。致し方ないということなのか、今後まだ少し時間がありますが、もう少し違う方向を目指していくのかとか。

大臣)

 今回の中でできるだけ数値目標を示したいというのは、私も強く考えていました。記者会見でも、時間がかかっても年度を越えてでも、できるだけ良いものにしたいということで頑張ってきたわけですが、中教審もそんなにいつまでも、だらだらとやっていられないということもありました。これももっともなことです。当初は年度内に答申を頂く予定でやっていましたから。先ほど申し上げましたように、折衝の現状をお伝えして、あのような形になったと。事実関係としては、投資総額の数値目標が入った基本計画というのは、平成14年度以降できた基本法に基づいた基本計画で閣議決定したものはないのです。今現実にあるのは、科学技術基本計画。一番最初は平成8年だと思います。私も提案者でした。ですから、そういう事情の中で、教育は特別だという主張をして、数字を入れろということを言わないわけではないですが、今の段階で、必ず我々も入れ込みますと、閣議決定に持ち込みますと言える状況ではありませんでしたから、方向性は示しながらも、あのような表現になったとご理解頂きたいと思います。ただ、行間に色々ありますので、まるで何もできないように言われるのは、いささか心外でして、これは今特別部会の意見と言われましたが、そういった教育に非常に熱心な先生方のご意見もあるわけですから、そのことも踏まえて、最後まで頑張っていくということであろうと思います。今日は公務員改革の話が随分新聞紙上に出ていましたが、これは閣議決定ですから、我々がこうしたい、こうすべきだと言って、それがそのまま行くということを明言することはできませんが、現状として、そういうような状況の中で、これは弁解ではなく状況をそのまま素直に説明をしていますが、数字があそこには一部しか入っていない。それでも個別具体的なことで書けるものは、できるだけ数字に落としていったということです。

記者)

 関連ですが、特別部会でも意見がありましたのは、まさに閣議によって、役所の方が事前にクローズの場でやるのは見えづらいのではないかと。そこの部分はまさに閣僚同士が分かる形で議論をした方が良いのではないかという意見がありましたが、大臣として直接、例えば財務省とか総務省と会って、協議をするなり話をする予定はありますか。

大臣)

 それは状況にもよりますが、もちろんあります。私はいつでもやる気満々でいます。そのうちそういう場所も出てくるのではないですか。ただ、投資という部分を読むと、あの段階での、ある意味成果目標は示した。例えば、教育のOECD並の水準の投資とか、世界最高水準の教育研究環境を作るとか。そのためにどれくらい投資するかということは、確かに書いてありませんが、そういった目標をしっかりと定めて、それに対してこれから具体的に何をしていくかということを、我々は考えていかなければいけないわけでして、そういった意味では、方向はしっかりと示せたと思っています。

記者)

 その関連ですが、今回は中教審の答申を出すにあたって財政当局と協議とかあったということで、文部科学大臣の諮問機関というより、何か政府全体の諮問機関のようなイメージがあったと思うのですが、その辺はどうなのでしょうか。つまり、義務教育国庫負担金でもめた際には、中教審の答申と政府の決定が違っていたと。中教審は中教審で意思を示して2分の1で堅持ということでしたが、実際は3分の1になったということがあったと思うのですが、今回は政府の将来の流れにあわせていくという形だったのですか。

大臣)

 ですからこれは、特別部会の考え方もお聞きしないと分かりません。先ほど申し上げましたように、状況はお知らせしました。しかし、閣議で決定するということから考えれば、最終的に特別部会もご判断を頂いたと私は思っています。常に私は、中教審は委員の方々がご議論をされているわけですから、それに対して我々があまり注文をつけるのはよくない、その姿勢で臨んできましたから、今ご指摘があったようなことにはなってないと、私は思っています。

記者)

 確認ですが、全国体力調査について、7月までとしている実施期限については、延長も検討されるということを、先程おっしゃったということで良いのでしょうか。

大臣)

 従来は秋が多かったわけで、もうすでに秋に計画をしている学校もあると思いますから、それはやむを得ないと我々は思っています。

(了)

  • 本概要は、発言内容を変更しない範囲で読み易く修正しています。

(大臣官房総務課広報室)