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平成19年6月29日大臣会見概要

平成19年6月29日
9時59分〜10時14分
文部科学省記者会見室

大臣)
 今日の閣議は特段のことはございません。少子化・男女共同参画担当大臣から平成19年度版青少年白書について、「今回の白書では、特に青少年の社会的自立を促し、少子化対策にも資するキャリア教育等を取り上げるとともに、子どもを有害環境から守るための取り組み事例等を紹介しております」というご報告がありました。それから、労働力調査と消費者物価指数及び家計調査の結果について総務大臣から、完全失業者数は258万人で1年前に比べ19万人減少しました。完全失業率は3.8パーセントとなり、消費者物価指数は1年前に比べると0.2パーセント下落となりました、というご発言がありました。雇用状況や物の生産の回復は進んでいますが、ものかける値段で、損益計算書も貸借対照表も皆さんのお給料も、全て判断されるわけで、物価が上がってこないから景況感が実態ほどは良くないということなのでしょうね。それから、これに関連して厚生労働大臣から、5月の有効求人倍率は、季節調整値で1.06倍、職を求める人一人に対して1.06の仕事のオファーがあるということですね。有効求人の数も前月に比べて2パーセント増加しているということですから、物を作るという意味での労働力は、やや不足気味になってきているんですね。それから私から、旭川医科大学の学長の任命について説明し、閣議のご了解を得ました。その後、閣僚懇談会で、「一人一日1キログラムのCO2(二酸化炭素)削減」をうけて、「私のチャレンジ宣言」、「あなたのCO2(二酸化炭素)削減アイデア大募集」への参加を呼びかけています。いずれも「チーム・マイナス6パーセント」のホームページで受け付けております。閣僚も「宣言カード」を是非次回までに用意して頂きたい、というようなことを言っておられました。

記者)
 石見銀山遺跡ですが、厳しい勧告から一転して、世界遺産登録ということですが、改めまして、その受け止めと、何が勝因だったとお思いか、お伺いします。

大臣)
 勝ち負けということでもないでしょうけれども、外交努力をしっかりしたということでしょうね。私が是非主張しておかなくてはいけないよと言っていたのは、そのことが十分理解されて浮かび上がったかどうかは分かりませんが、あの当時の世界の経済というのは、金本位制と銀本位制とがごちゃまぜで動いていたわけで、世界の銀のその年その年の生産高の3分の1以上を日本が輸出をしていたわけですよね。大航海時代の世界交易を支えていた一番大きな世界的意義、そして、人間というのは皆目先のことにとらわれ、特に鉱産物は自然を収奪するだけの採掘方式をとられるのですが、珍しく、自然との調和というか、環境との調和というか、人間の暮らしとの調和を保った景観が残されているということを、良く説明をしてくれたと思いますね。閣僚懇談会でも明るい話題として、事前のランクから二つ飛び上がって世界遺産に登録をされたということと、この間の外務省を中心とした外交努力に対しても感謝を申し上げておきました。事前の予想とか騒ぎというものは当てになりませんから、参議院選挙も頑張ろうと言っていました。

記者)
 昨日、宮沢元総理が死去されましたが、それについて大臣のお気持ちをお伺いできますか。

大臣)
 宮沢さんは私の大蔵省の大先輩で、個人的にも色々お世話になりましたし、お酒も非常に好きな人でした。大変な読書家で、漢籍に通じておられましたから、リベラルアーツの厚みのある歴史とか文学とか、洋の東西を問わず、漢籍の造詣も非常に深かったですし、ある意味では知識人でしたよね。知識人すぎて、政界の知識レベルとのマッチングがうまくいかなかったところもあったのではないですかね。昨日は人の応援に行ったりしていましたので、今日これからお別れに行ってこようと思っています。

記者)
 教育再生会議の担当室長をされ、ある意味、教育再生会議の中心的な人であった義家さんが、今回、参議院選挙出馬ということになりましたが、これについて大臣のお考えは。

大臣)
 誰しも立候補する権利がありますから、そして、自分の色々な思いがあって立候補されたのですから、義家さんが立候補されたことについて、別にコメントする立場にはないと思いますが、自分の思いの果たし方というのは、人それぞれ、色々ありますからね。私でしたら職を全うしたと思いますけどね。

記者)
 独立行政法人日本原子力研究開発機構(原子力機構)が、東海村の施設で昨年6月にウランによると見られる汚染を確認していながら、原子炉等規制法に基づく報告を先日までしてこなかったということが発覚しましたが、このことについてどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 あらゆることについて隠し立てすることは良くないですね。しかし、文部科学省も担当局も常に、関係者に対して悪いことしているのではないか、何か隠し立てしてるのではないかと疑心暗鬼でやってては、人間社会は成り立ちません。基本的に、失敗したときは失敗したとはっきり言って、特に今回は非常に微量で、人体その他の影響はないものだったようですので、隠し立てをしてうまくやるよりも、その非は非として認めて、人に迷惑がかからないようにやるということを、私が大臣をしている限りは皆に守ってもらいたいと思いますね。

記者)
 関連してもう一点お伺いします。茨城県と原子力機構に、そういったことがあったが口外しないでくれと言われた、という主旨の匿名の告発文書が届いているのですが、それも踏まえて、今後、原子力機構にどのように対応していくお考えでしょうか。

大臣)
 匿名の告発文書というのは、非常に卑怯なことです。私のところにも色々な文書が来ますが、匿名のものは私は一切取り上げません。それが人を陥れるために書かれたものか、本当のものなのか分かりませんから。後でこういうことがあると、なるほどそうだなと思うことがありますが、悪い言葉で言えば「ちくり」というのか、本当に自分が確信があって、堂々と非を鳴らすということであれば、やはり名前を明らかにする。その人が不利にならないように、私が大臣でいる限りは必ず守るつもりです。言わないでくれと言ったかどうかは、こういうことが発覚していますから、事実関係は調べさせないといけないと思います。私は基本的には、名前を明かさずに人の非を訴えてくるという手法はあまり好みません。私の人格や好みですから仕方のないことです。ただ上に立つ者は、しっかりと、そういうことを言った人が、真実であれば不利にならないようにしてあげなければいけないですよね。

記者)
 沖縄の集団自決の記述に関して、沖縄の全ての市町村議会で、検定の結果の撤回を求める決議がなされたことについて、改めてもう一度ご所見をお聞かせ頂けますか。

大臣)
 沖縄の方々のお気持ちにそわない検定結果であるということは、私は個人的に良く分かります。私自身も、米軍が上陸してきたら、手に穴を開けられて、繋がれるなんていうことを言われてましたから、終戦のときは何も分からない子どもでしたが、やっぱり悲しいなと思って泣きましたからね。沖縄県議会も、最初、軍命とか強制とかという言葉を、政治的に県議会の意見を統一するため、関与という言葉に直しておられます。検定意見は、全ての集団自決が、軍の命令あるいは強制であったと断定することは、歴史教科書の事実記述としては難しいのではないかという意味だと、私は思います。もし私が何かこのことに介入できるというような道を開いたら、ある特定思想を持っている人や政党が文部科学大臣のポストに就いたり政権を握った場合に、日中、日韓、あるいは第二次世界大戦、つまり「大東亜戦争」についての日本の立場について、その人の歴史観、価値観による教科書を書きうるという道を開くことにもなりますし、逆に唯物史観的な人や政党がポストに就いたり政権を担った場合には、そういうことを大臣が命令できることになります。日本は、そういう教科書を持つ国であってはならないと。私はこのことだけは職を賭してでも守らなければならないと思っています。

(了)

(大臣官房総務課広報室)


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