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平成19年1月5日大臣会見概要

平成19年1月5日
10時56分〜11時17分
文部科学省記者会見室

大臣)
 明けましておめでとうございます。昨年中は色々お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いします。今日の初閣議は、佐田大臣がお辞めになり、後任に渡辺喜美氏を国務大臣に任命し、佐田大臣の職務を引き継ぐことを、持ち回り閣議で決めておりますが、そのことのご披露がありました。あと交通事故防止について、昨年(平成18年)は平成17年から519人、交通事故死者が減ったというご報告が国土交通大臣と国家公安委員長からありました。思い出すと、これは私が国家公安委員長をしていたときに、飲酒運転の罰則を引き上げまして、当時酒を勧めた人、それを知りながら一緒に車に乗っていた人についても罰則を適用するということをやったときには、轟々たる非難を受けました。特にゴルフ場経営者団体などからは、後のパーティーができないというので、大変な非難を受けました。しかし今から思うと、死亡者が減って、そのときに厳しすぎると言って、轟々たる非難を受けましたが、それでもまだ甘いといって、今度また改正しようとしているわけでしょう。政治家の宿命というのはそういうものだと思って、今日は聞いていました。これは余談です。

記者)
 年頭に当たっての抱負をお聞きしたいのですが。昨日総理が、今年を美しい国づくり元年としたいと位置づけておりましたが、大臣は今年をどのような一年と位置づけ、具体的にどのような教育改革などに取り組んでいきたいとお考えでしょうか。

大臣)
 今の飲酒運転のことでもそうですが、政治家がやったことというのは、随分時間が経ってから、良かったとか悪かったという評価が出てくるわけです。特に教育の分野というのは、結果が出るのは、どんなに短くても50年かかるのではないでしょうか。ですから戦後60年の教育体制の中で、うまくいったこと、そして時代に合わなくなってきたことを総括をして、今回60年ぶりに教育基本法が改正され、大きな枠組みを決めたわけですから、今後、各法律を改正し、予算で肉付けをし、何よりも教育に携わる人、そして国民全ての意識を変えていかなければいけないと思います。美しい国と言っても、国を形成しているのは人間です。会社も役所も地域社会も家族もみんなそうですが、何か失敗があるとすぐに制度だとか法律を変えることが多いけれども、それはそれで大切なことですけれども、やはりその制度や仕組みを動かす人間が立派でなければ、結局はうまくいかないのです。文部科学省の職員も60年ぶりの大改革、教育基本法を改正したわけですから、歴史の節目に立ち会ったということを誇りに思って、これから今までのエネルギーの何倍ものエネルギーを注入しないと、とても学校現場が変わっていくところへ結びついていきません。そして、学校現場が変わり、いい人を作れば、家庭もいい両親ができ、いい子どもができてくるわけです。私どもが生きている間に評価されることはないだろうけれども、そういう気持ちで一生懸命やるっていうことですね。
 安倍内閣は、報道各社の論調を見てると、色々批判もあるようですけれども、仕事の面で失敗をしたということは、私はないと思うんです。まず、中曽根元総理以来だと思いますが、中国と韓国を首相として初めて訪問したというのは、画期的なことです。やや厳しい状態であった日中・日韓の国交について、新しい息吹を吹き込んだというのか、再生の窓口を開いたということから始まって、教育基本法を60年ぶりに改正をして、防衛庁の省昇格を果たして、自然増収に助けられたという面はありますが、債務残高を減らしていく第一段階としてのプライマリーバランスをあそこまで改善をして、その中で教育の政策的経費、あるいは科学技術振興費、社会保障費等についてはメリハリのついた予算の増額をしたわけですから。私は仕事としては評価をしてやってほしいと思います。特定財源の問題も、方向としては間違ってなかったのですが、これはややパフォーマンスに若干もたつきの感は与えたと思います。しかし全体としては、そう大きな政策的な失敗はなく、ここまで来ていると思います。小泉前総理は特異な化け物ですから、この人の後に総理になる人は、誰がやっても、評価される支持率という面では、評価をされるかどうかということは非常に辛い立場であると思います。しかし、かつての内閣で、組閣当初50パーセントの支持率を持っていた内閣は、そんなに多くなく、今でも50パーセント近い支持率をもっているということですから、報道各社の論調でいじめずに、少し深呼吸をして、大きな流れを見ていただきたいという気がします。大きな流れに棹差さないように、教育再生の分野でも、安倍総理は最優先の政策課題だと言っているわけですから、文部科学省の職員も、そういう仕事を担当しているという誇りを持って、やってもらいたいと思います。

記者)
 通常国会ですけれども、教育基本法の改正を受けて、様々な法案の改正作業に取り掛かると思うのですが、大臣としては、今のところ、教員免許更新制度を盛り込んだ法案以外にも、どういった法案に取り組んでいきたいですか。

大臣)
 これは総理と今日、本当は少し話そうと思ったのですけれど、外遊前で時間が十分取れないので、帰ってきたら時間を取って、どういう法案を中心にやっていくのか、それからプレゼンテーションの問題は政治という立場から考えておかなければならないと思います。何よりも一番大切なことは、政治というものは国民の主権のあらわれとして、国会があり、国会で我々内閣が指名されているわけですから、いうなれば内閣が考えていることが、教育の末端に行き渡るという状況を担保しなければ、どんなことをやっても、結果的には私はうまくいかないと思うのです。ですから、教育委員会の改革等についても、色々なことが言われていますが、どういう方向でやっていくのか、総理とじっくり話をしてみないといけないと思っています。

記者)
 先ほど冒頭で、飲酒事故とか事故死者の件で厳罰化して成果を挙げたというお話がありましたが、教育の現場で、ゼロトレランスということが言われてますが、教育における厳罰化について、大臣はどうお考えでしょうか。

大臣)
 飲酒運転によって人を殺傷するということは、一種の犯罪行為です。しかし、教育現場で成年に達していない子どもたちを預かっているということは、同列には論じられないのではないでしょうか。色々なバランス感覚をもってやっていくということでしょう。保守主義で一番大切なことというのは、謙虚さと現実感覚なんです。この二つをしっかりもってないと、理想に走ってしまったり、現実を忘れて突然法改正をしてもうまくいきません。だから基本的には、教師を中心とした、教育をする側の能力によって、対応していくということだと思います。そういう教師を作るためには、そういう人が教師になる教育を課すことから考えていかないといけないわけでしょう。戦後教育を受けた人に教育をしてもらった人が、また教師になって教育をして、また先生になって今教育をしているという段階ですから。50〜60年かかると言ったのはそういう意味なのです。

記者)
 大晦日の紅白歌合戦で、裸に見えるスーツを着た演出があって、かなり過剰な演出だということで非難が出て、いろいろ抗議の電話が殺到したとのことですが、教育再生会議でも、企業に望むことということで、俗悪番組やインターネットの有害情報についてのメディア、スポンサーの企業の自覚について言及されている中、ああいうことが起きたことについて、大臣はどうお考えでしょうか。

大臣)
 国民からNHKの視聴料を払わないかどうかについては、強制権があるとかないとかといって、色々訴訟になっていますが、国民の税金に類するものをもって運営されているわけだから、お互いに自制心をもってやるということでしょう。今あなたがおっしゃったこと、あるいは教育再生会議が言っていることは、だからといって先ほどのゼロトレランスの話といっしょで、法規制をかけると、今度は表現の自由を、結果的に法が侵すわけです。だから、良い人間、品性を持っている人間が動かしていけば、そういうことは起こらないわけです。これはNHKもよく考えたらいいでしょうね。

記者)
 通常国会の関係なんですが、かなり与野党対決型の国会になると思われますが、大臣としては教員免許法に続いて、先ほどのご発言は例えば地方教育行政法の改正もお考えなのでしょうか。

大臣)
 それも、よく相談してみるということです。与党だけで話していても仕方がありません。民主党とも当然話をするし、必要があれば他の野党の皆さんとも話をしてみたいと思います。教育というのは、特に義務教育は、党派のエゴというかイズムというものをできるだけ抑えてやっていくのが、私は良いと思っています。教育基本法のときにも、随分色々な党の人たちとお話はいたしました。

記者)
 教育を動かす人間が良くなければ、する側の能力みたいなことをおっしゃってましたけれども、もう一度教えて頂けますか。

大臣)
 要するに、たとえば取材でも記事でも、行きすぎがあるからといって規制をかけたら、良い記事は書けなくなるわけでしょ。行き過ぎがあるかどうかということについては、教育の場でもそうですけれども、各々のその仕事に携わる能力と自制心と品性というものがあれば、そういうことはしなくていいよということを言っているわけです。

記者)
 福岡市教育委員会が去年実施した市立小中学校の教員採用試験で、出題された面接試験のテーマとほぼ同じ内容の予想問題が受験者の間に出回っていたことが、今朝、報道されていますが、この問題について大臣のお考えと今後の対応を教えてください。

大臣)
 私はまだその報道内容は読んでませんけど、それは文部科学省で実態を調べてみたいと思います。しかし、文部科学省は教育委員会に対して、今のところ介入する権限がありません。本当に酷似した出題があったのか、あるいは問題を事前にリークしたのか、まず当事者が事実関係をはっきり確認しないといけないと思います。事実関係はどうですかということを聞く権限はありますから、それは聞いてみたいと思います。

記者)
 この問題に関して大臣はどのようにお考えですか。

大臣)
 問題が出題されたかどうかは、私は確認していませんから、調べさせてよく聞いてみます。自分で事実関係を確認しない限りは、答えられません。特に人の名誉だとか、あるいは組織の名誉だとかにかかわることについては、自分でまずしっかりと事実関係を確認したいと思います。いずれにしろ、先程からお話していることは、そういう報道をされないように慎重にやってくれる人材が欲しいということです。

以上

(大臣官房総務課広報室)

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