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平成18年12月15日大臣会見概要

平成18年12月15日
9時29分〜9時58分
参議院議員食堂

大臣)
 今日の閣議では、まず、予算編成の日程について官房長官からご発言がありました。文部科学省の予算についてもこの枠の中でやりますのでご報告をしておきます。19日に経済見通しについての閣議、20日に財務省原案と補正予算の原案(補正予算は概算閣議決定)の閣議があります。19年度予算の財務省原案については、その後の予算折衝がありますから、24日の日曜日に政府の概算閣議決定があります。そのような日程で行われるということです。それから、閣議の前に、キャリア教育等推進会議がありました。高市特命担当大臣の呼びかけで、柳澤厚生労働大臣と甘利経済産業大臣と私とが呼び込まれ、「課長クラスのワーキンググループ、作業部会を作って、勤労観、職業観と職業に関する知識・技能を育成する目的で、案を作ってみたいのでご協力をよろしく」とのことでしたから、大変結構なことなので、ご賛同を申し上げました。
 それから、教育改革タウンミーティングに関する処分についてご報告をいたします。私については、昨日会見で申し上げましたように、私の在任中のことではありませんが、組織が不祥事というか失敗を犯した場合には、代表権を持っている者が何らかの責任を取らなければ、下の者はついてきませんし、下の者を処分することも基本的にはできないと私は思っておりますので、私が給与を2ヶ月返納したいということを自主的に申し出ました。タウンミーティングについては、発言候補者に発言を依頼したり、質問案を作成したりという、民意が適正に反映されていないのではないかという誤解を国民に与えるような、不適切な運営がありました。従って、国民に対して不透明な印象を与えた、あるいは教育行政、文部科学行政に対する信頼を損ねたということで、本日付で職員の処分を行う予定です。まだ私から本人には申し渡しておりませんが、すでに本人には処分の内示をして、弁明の機会を与えておりますので、この発表の後、本人に伝達をしたいと思います。
 当時窓口となっていたのは白間竜一郎君と高橋道和君の両名です。白間君については、大臣官房企画官及び大臣官房総務課広報室長であった当時、自ら判断をし、上司に報告をしながらこのことを行ったということで訓告になっております。高橋君は、大臣官房総括教育改革官であった当時、内閣府からの依頼を受けて、それを実行したという事実がありますので、文書で厳重注意といたしました。監督者責任については、当時の教育改革官室の実質的な責任者であった、当時の生涯学習政策局長の銭谷眞美、および事務局長的立場であった布村幸彦両君を、訓告といたしております。部下から相談を受けこのような運びで行うことを了承したり、確認をしなかったりした事実がございます。その後、生涯学習政策局長になった田中壮一郎君以下の人たちは、率直に言うと、知らなかったということです。銭谷、布村時代に、ルーティンとして行われていた行為であったので、部下の人たちが、あえて上司に報告をしなかったということです。ですから聞いていなかったということですが、上司というのものは常に部下をきちんと把握していなければなりませんから、聞いていなかったから責任を阻却されるわけではないので、田中、板東、尾山の三君については文書で厳重注意をいたします。また、全体の調整に当たっている玉井現大臣官房長は、この人も全く知らなかったわけですが、形式的には広報室長の上司であり、省内調整に当たるべき任の者ですから、しっかりと緊張感を持って省内を把握するように、私から口頭で厳重注意をしたいと思います。このような処分内容になっております。
 これは、私には私なりの考えがありますが、同じようにタウンミーティングの不適切な運用があった他省庁とも足並みを揃えて、任命権者である私が最終的に判断をしたということです。

記者)
 この後、本会議で教育基本法が可決された場合に、関連法案で、その後最優先として着手する予定のあるものがもし具体的決まっているようであればお話しください。

大臣)
 本会議の前に、可決したという前提で答えると、国会無視だとかという問題になるので、可決した後にお話をすることにしてはどうでしょう。内閣不信任案が今日9時に提出されており、参議院で問責決議案が出るかどうかという非常に微妙な時期ですから。法案というのは、参議院本会議で議了されて初めて成立するわけですから、可決を前提に私が何か話したといってトラブルが起こると困りますから、次の機会に私の考えていることをお話しますので、今はその件については発言を控えさせてください。

記者)
 タウンミーティングについては、非常に限られた時間の中で事実関係を調査され、本人からの弁明の聴取もされたということで、全体の調査結果が一昨日出ましたが、今日は非常に早いタイミングで処分を決定された。今日出された理由は何でしょうか。やはり国会会期中であることを意識されたのでしょうか。

大臣)
 国会会期中にもご報告しなければいけないことはもちろんですが、タウンミーティングを統一的に調べるという縛りを内閣官房がかけており、各省はそれに応じて内閣官房に報告をしていました。それを受けて昨日、塩崎官房長官から概要をご報告し、同時に、内閣を構成している与党の政治家について、各々の身の処し方を明らかにしました。内閣は今日一斉に各省に同じような処分をするように指示をしていると思います。また、指示をしなければいけないと私は思います。そういうことは、官房長官によく話してありますので、内閣として同じタイミングでやったということで、ご理解をいただいたら良いと思います。

記者)
 処分についてですが、大臣は当初から、処分をする場合、とかげの尻尾切りにはしないと仰っていました。そのあたりはかなり考えての処分ということでしょうか。

大臣)
 そう取っていただけるとありがたいです。国会答弁の中で名前を公にされた人がいて、国会の場というのは、そういうことになると、とかくその人に責任があるようなことを議論しがちですが、私はそれは良くないと思いますし、とかげの尻尾切りにしてはいけないというのは、まず私が私自身の姿勢を示さなければいけないということを申し上げていたわけです。私の気持ちとしては。当時の大臣については、昨日のテレビ等を見ていると、色々お話があるのですが、局長は局を所管していますから、局内のことについて知らなかったということでは済みません。しかし、大臣は、局長が知らないものを知る術がありません。率直に言うと、官房長を口頭厳重注意とするのは、官房長というのは大臣の官房を預かっていますから、局長が知らないから大臣に何も伝わっていないという体制は感心したことではないという意味を込めています。小坂さんや河村さんや中山さんが、タウンミーティングの時の担当大臣でしたが、あの方々は責任を取ろうにも取れません。ですから、当時の担当ではなかったですが、組織の代表として、私自身が責任の一端を担うという形を取りました。

記者)
 白間さんや高橋さんの指示を受けて実際に動いた課員の方もいるのではないかと思われるのですが、そのことは何かしらのご判断があったのでしょうか。

大臣)
 例えば、皆さん方が取材をされる場合も、デスクや部長から適切な指示が出されて、適切に取材をしたものが、結局部長やデスクが間違った判断で指示をしていたというときには、現場の記者に責任は問えないと私は思います。

記者)
 そういった意味で、課長以上に限定しているということですか。

大臣)
 部下は言われたことをやったわけで、明らかに法律に違反する非違行為をした場合は、別途刑法で訴追されるわけですが、そこのところはよく考えてやらないと、みんな一生懸命働かなくなってしまいます。

記者)
 白間さんが自らの判断で上司に報告しながら行ったと仰いましたが、基本的には、文部科学省側は、まずは白間さんがそういう形でやっていたと判断しているのですか。

大臣)
 窓口でしたから。内閣のタウンミーティング室から、色々なことを受けて、まあ一応こういうことで行きますということを報告してやっていたということでしょう。そのうちに、それはルーティンでやることになったから、局長が田中君になった時は、ルーティンのまま動かしていたということです。

記者)
 銭谷さんはその報告を聞きながら、そこで止まっていたということですか。

大臣)
 まあそうです。

記者)
 国会で銭谷さんが答弁を求められたとき、大臣は、おそらく彼は知らなかったのではないかという趣旨のことを、仰ったのですが、それはその後、変わったわけですか。

大臣)
 「知らなかった」というのは、具体的に、どういう指示をして、どうするということは、彼は知らなかったのです。彼は、「タウンミーティングについて、人が足りないからどうしようかと言ってきていますが、こちらの判断でやってよろしいですか」と聞かれて、「ああいいよ、それはそれで行こうか」という程度のことは言っていたと思います。そういうことですから、詳細は知りません。

記者)
 でしたら、事前に用意した想定質問がされるということは知っていたということですか。

大臣)
 いやいや、そんな細かな内容までは報告していません。内閣府に頼まれているので、頼まれたとおりの対応で、当方はタウンミーティングを円滑に動かすように対応してよろしいですか、と。そのときに、どういうことを頼まれて、どういうことをしているんだということを、聞けば良かったかもしれません。これは後講釈になりますが。

記者)
 そうしますと、先ほど、田中さん以下が知らなかったと仰ったのですが、発言候補者の確保や質問案の作成について知っていたのは、白間さんと高橋さんだけだったわけですか。

大臣)
 田中局長のときはそうです。

記者)
 銭谷さんと布村さんも、みなは知らなかったということでは。

大臣)
 いやいや、そういうことをやるということは、報告はされていたわけです。質問案の細かな内容まではともかくとして。

記者)
 質問案を作るというぐらいのことは言っていたということですか。

大臣)
 そうです。ただ、質問案を作るとかということは、銭谷局長は全く知りませんでした。

記者)
 白間さんについては、一ヶ月程度しか広報室長をやっていなかったと思います。その前から、こういうことが行われていたので、ある程度慣行化していて、ごくルーティンになっていて、白間さんも今までどおりされたということでは。

担当者)
 後ほど詳しくご説明したいと思いますが、松山市でタウンミーティングが行われた当時、白間さんは主任教育改革官でした。

記者)
 確認ですが、要するに銭谷さんと布村さんが知っていたのは、発言候補者の確保と依頼、および質問案作成と送付ということですね。

大臣)
 質問案の内容等については彼らも知りません。知らないということが、組織としてはむしろ困るのですが。局長や課長が、局員や課員をどこまで掌握するかは、管理職としては非常に難しいことです。あまり細かくやりすぎると萎縮してしまって動けません。と言って、野放図にやっていると、下で何をしているか全く分からないまま仕事が流れていることもありますから。詳細な事実関係は、事務局から後で皆さんにお話しさせます。

記者)
 事実関係を一点だけ確認させてください。国会で話題になりましたが、最初の岐阜の時に、そもそもなぜ質問案をわざわざ作って「やらせ」ようと思ったのか、ご説明いただけないですか。

大臣)
 私はその当時そこにいたわけではないし、その当時のことを調べてもそれは分からないでしょう。常識論的に言えば、タウンミーティングというのは、知らない人たちが集まってやるわけだから、最初誰かが発言の口火を切ってくれないと会が進まないとか、口火を切ってもらえるのなら、自分たちの考えている方向の口火を切ってもらいたいという考えを持つというのは、今回の場合は適切なことではありませんが、会議の運営のし方としてはよくあることです。それを、そこで止めておけばこんなに大問題にならなかったと思いますが、全ての質問者に質問を割り付けたり、ということが起こってくると、これはまさに「やらせ」ということになります。

記者)
 先週末にニセの学位について一部報道があったのですが、ニセの学位がお金によって取引されている問題が4、5年前からアメリカで社会問題化されていまして、アメリカの大学のドクターディグリー(学位)が、百数十万円で取引されているそうですが、その大学がどうやら架空の大学らしいのですが、その大学の卒業生にけっこう日本人がいるらしいのです。そういった問題について、実は日本にも、潜んでいるのではないかということについては。

大臣)
 国会で問題になったLEC大学とかいう大学もありますが、大学を設置する場合は書面審査をして法律に従ってやっているのですから、状況が設置基準に合うかどうかは、常に緊張感を持ってみないといけないと思います。アメリカはどういう仕組みでやっているのか分かりませんが、日本の場合は最終的に卒業の認定を大学各々がやるので、その認定の甘い厳しいはあるでしょうが、架空の大学というのは日本では無いのではないかと思います。

記者)
 閣議の後に、総理と会われていたと思いますが、総理とはどのようなお話をされましたか。

大臣)
 本会議があるということ。それから、内閣不信任案が提出されているということ。ですから、会期延長をどうするのか。野党の皆さんも良識を持って行動をされるでしょうから、万一の場合に備えるという意味での会期延長だと思いますが。そういう中で、不信任案を出してしまえば、各閣僚の不信任案は出せませんが、参議院の場合は問責決議というプロセスが有り得るわけですから、少し緊張感を持って、お互いにやろうということを確認しました。

記者)
 総理は何か仰いましたか。

大臣)
 「そのとおりです」と。「浮ついたことのないように、お互いに報告・連絡・相談・確認をきちんとやりましょう」ということを仰いました。

記者)
 タウンミーティングの関係ですが、「不適切な運営」「不透明な印象」ということで、国会の中でも色々答弁されていますが、教育基本法が成立見込みという中で、その審議、一連の手続きの中で、正当性が担保されているのかについて改めてお伺いしたいのですが。

大臣)
 何度も私が答弁をしているように、タウンミーティングというのは、非常に大切な民意の把握の手段ではありますが、基本的に民意というのは憲法上、全国民が参加をした選挙によって担保されるわけです。ですからこそ、各政党は公約を掲げて、あるいはマニフェストを掲げて選挙をするわけです。選挙に負けた方は負けたからマニフェストを実現できる立場ではなかったで済みますが、勝った方はそうはいきません。参議院選挙、衆議院選挙で、教育基本法の改正とその概要を掲げて我々は選挙で勝ったわけです。郵政選挙というキャンペーンを張った等という批判はありますが、選挙公約の中にきちんと書いてあります。しかし、それですべて民意を把握したといって何でもやると、選挙をした時点と、その後の状況の変化というものがありますので、報道機関による世論調査、あるいは社説、論説、それからこのタウンミーティング、あるいは有権者の人たちから来た手紙などをみな参考にしながら国会で判断をしていくということですから、私は決して良いことではなかったと思いますが、これだけで民意が全て間違ったということでは無いと思います。

記者)
 処分の内容ですが、全て国家公務員法上の処分ではないと思いますが、これはそこまでの事案ではないというご判断でしょうか。

大臣)
 従来、国家公務員法上の処分をしているものは、法律にかなり抵触しているものが非常に多いですから。内閣府はどうしているのか私はよく知りませんが、あそこはタウンミーティングの扱いだけではなく、公金の支出が絡んでいるので、文部科学省の処分よりは重いのではないかと思います。従来の公務員法、従来の処分とのバランスも考えて処分を決めないといけませんから、国会で法律を通すときに大問題になったからというだけで、色々な基準を曲げてしまうと、おかしな社会になってしまいますからね。

(了)

(大臣官房総務課広報室)


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