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平成18年11月24日大臣会見概要

平成18年11月24日
9時16分〜9時32分
参議院議員食堂

大臣)
 今日の閣議では、文部科学省関係の案件はございません。閣議の前に、地域活性化に関する政府の取組に関する関係閣僚による会合がございました。こちらも特段のことはありませんが、私から、「教育の復権、あるいは少子化対策の観点からも、家族が定着できる地方自治体をぜひ作ってもらいたい」と申し上げました。厚生労働大臣からも、「雇用その他においても地域的な格差がかなり目立つので、そういうことを考えながら諸事業をやってもらいたい」というお話がありました。私もまったく同感の感触を持ちました。

記者)
 中学校の未履修の関係ですが、大臣はこれまで今月末を目処に調査を開始したいと仰っていましたが、具体的な時期として、今月末というのは変わらないでしょうか。

大臣)
 今のは正確ではないと思います。まず、18年度の高校での未履修の問題について、教育委員会と私立学校を所管している都道府県知事部局に調査をお願いして、出てきた数字を集計して、お示ししましたが、その後、解釈の違いや教育委員会への報告が正確ではなかったという事例があり、正確な調査をもう一度実施し、結果については22日にご報告したとおりです。その後、衆議院の教育基本法の特別委員会等での要請もあって、理事会の了承を得て、17年度以前に遡った未履修の調査を実施しています。この結果については、11月末の締め切りを目処に集計して、衆議院の教育基本法の特別委員会と、必要に応じて参議院の特別委員会にもご報告をしなければいけないと考えています。それが終われば、中学校の未履修の問題に取り掛かりたいということを申し上げております。中学校は義務教育なので、高等学校とはかなりカリキュラムが違いますので、高等学校で起こっているような必修科目の未履修は、そんなに無いのではないかと私は期待しています。国民の皆さんが不安を持ってはいけないし、また実態を理解していただきたいから、出来るだけ早くやりたいと思っております。ただ、教育委員会の現場の立場からすると、まずは高等学校の未履修の調査をやらせています。そしてその後、未履修への対応を通知していますから、進路指導等はもちろんのこと、通知に基づいて未履修への対応をしなければなりません。また、教育委員会にはその状況を確認してもらわないといけません。さらに、今度は17年度以前に遡っての未履修についての調査依頼が行っています。そのうえ、中学校での未履修についての調査依頼がまた行くという状態ですので、現場は大変な状態になっているという報告も聞いておりますので、ご理解いただきたいと思います。

記者)
 自民党税制調査会の幹部を何度かされたことのある伊吹大臣にお聞きしたいのですが、現在、官邸主導ということで、政府税制調査会の力が自民党税制調査会に対して、相対的に強くなっているという意見がありますが、そのことについてどうお考えでしょうか。

大臣)
 文部科学大臣という立場でどう答えたらいいのか分かりませんが、税というのは、最大の政治問題です。昔の封建時代であれば、お殿様が一方的に年貢を取り上げてしまって、自分の判断で使うということですが、現在は国民主権の民主国家ですから、自分たちが納めたものは必ず自分たちに返ってくるというのが筋です。しかし、世論調査によると、歳出カット、つまり、自分たちへ返ってくるものが少なければ、自分たちがたくさん税を納めてもいいとのことです。歳出カットが行われるなら、消費税の増税を認めてもいいというような結果が出てくるということは、まず反省しなければいけないと思います。なぜ、自分たちへ返ってくるものが少なければ、たくさん納めてもいいと言うかというと、その過程に無駄があると国民は思っているわけです。歳出カットを進めてきているというのは、そういう流れだと思います。ただ、歳出カットだけで物事がいくかどうかについては、最後は政治的な判断をしなければならないと思います。政府税制調査会に主導権が移ったという構図は面白いのかもしれませんが、議院内閣制ですから、自民党税制調査会と政府税制調査会が琴線相和して国民のための意思決定をするのが筋であって、どちらが主導権を取るということではないと思います。政府税制調査会長と自民党税制調査会長、総理大臣、財務大臣、総務大臣が同じ政党、同じ内閣に属していますので、よく話し合ってやってもらうということではないですか。

記者)
 一昨日の特別委員会の審議の中で、教育基本法10条の「不当な支配」について、いくつか質問があった中で、東京都教育委員会の「日の丸・君が代」についての通達と東京地裁の違憲判決についてのお話がありました。都の通達について、教育基本法改正案では、不当な支配に当たらないと大臣は仰っていましたが、今後法案が通った場合に、そういった裁判の判断について、大臣はどのようにお考えですか。

大臣)
 法律論ですから、正確に整理をして、立法府の場でも質問をし、応対をしなければいけないと思います。まず、旭川学力テスト事件について、学習指導要領についての最高裁の判決が出ています。最高裁の判決では、「教育行政であろうとも、不当な支配に当たる場合がある」と言っています。不当な支配に当たる場合について、具体的には言ってませんが、例えば議院内閣制のもとで自由民主党、あるいは選挙で選ばれた都道府県知事が、特定のイズムや自分たちの信仰を押し付ける、あるいは他党を陥れる、という教育行政を行った場合は、不当な支配に当たるということを念頭において判決文が書かれていると思います。それがまず第一前提です。そして第二前提として、「しかしながら、憲法の認める国権の最高機関である国会で議決された法律に基づいて行われている教育行政が、不当な支配に当たるということの合理的理由は見出しにくい」と書いているわけです。それですべてが尽きるのではないかと思います。法律が国会を通りますと、その法律の一次的な有権解釈権は内閣にあります。文部科学省告示として出している学習指導要領についても、選挙で選ばれた都道府県知事あるいは都道府県の議会によって、解釈や運用の仕方が違います。その違いについて、一次的な有権解釈権を持つ内閣が、それはこうだとか、ああだとかということを当然言わなくてはいけません。言ったことが憲法に照らして正しいことなのかについては、日本の仕組みでは、司法の判断を仰ぐことになります。旭川の件については、司法の判断を仰いで、最高裁の判断が出たということです。東京都の件については、下級審である東京地裁の判断は出ました。それについて、当然、二審三審の判断をこれから仰いでいくことになります。それだけのことではないでしょうか。ですからやはり、法制的、法理論的にきちんと整理して議論をしないといけないと思います。何も、都道府県知事や政府が行ったことがすべて正しいとは、私は言っていません。ただ、今のような論理構成によって、日本の行政システムは成り立っていますから、例えば法律どおりではないではないかというのは、その人の判断として、そういう発言があってもかまいません。また、私の判断も間違っているという批判があってもかまいません。国会で法律が通った場合の一次的有権解釈権は内閣にあります。しかし、内閣の判断に不服がある場合は、必ず司法の判断を仰ぐことができるというのが国のシステムです。だからこそ、学習指導要領の進め方についても、教育委員会によって濃淡が出るし、その濃淡について不満がある場合には、不満がある側が司法に判断を仰ぐという仕組みになっています。

(了)

(大臣官房総務課広報室)


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