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平成18年7月19日大臣会見概要(海外出張報告)

平成18年7月19日
18時40分〜18時53分
文部科学省記者会見室

大臣)
 私の、戦略的外交の一環としてのウガンダ、エジプト出張につきまして、ご報告申し上げたいと存じます。小泉総理から戦略的外交としてウガンダへ出張するように命じられまして、7月11日から本日19日までの間、ウガンダ及びエジプトへ出張し、現地要人との会談を行ってまいりました。また世界遺産等の視察も併せて行ってまいりました。
 ウガンダのムセベニ大統領との会談におきましては、現地の大使の言を借りれば、今までこれほど充実した会談をムセベニ大統領が行ったことはまれではないか、とのことでした。1時間15分という長時間にわたりまして会談を行いました。当初予定30分程度でございました。その会談におきましては、小泉総理からの親書を手交いたしまして、お手元に配付しております資料にありますように、親書の内容、二国間関係、北朝鮮と国交のあるウガンダでございますので北朝鮮問題、そして北東アフリカの代表的な国でありますウガンダとして、アフリカ全体としての国連問題という観点から、国連安保理の改革につきまして意見交換を行い、協議してまいりました。
 まず二国間関係でございますが、ムセベニ大統領はTICAD(Tokyo International Conference on African Development:アフリカ開発会議)に、第1回から出席されています。2008年のTICAD 4への出席を要請しましたところ、ぜひとも自分が行きたいとおっしゃっておられました。また、日本による経済協力に対して感謝の意を述べられるとともに、今後の水力、火力発電といったエネルギー問題や、特に人材育成、教育ならびに職業訓練分野について、強い要望が出されました。職業訓練については、本年3月までJICA(ジャイカ)が参加して行っておりましたプロジェクトがございましたが、ぜひともそのフォローアップをお願いしたいという要請がありました。単なる職業訓練所から発展させ、ひとつのインスティテュートのような形をつくって、独自の人材育成のコアにしていきたい、各地の人材育成センターのセンター的機能を、日本からの援助によってつくられる研修所において見直していきたい。こうした前向きで発展的な取組をしている、またこれからも続けるという決意表明がございました。
 北朝鮮問題につきましては、日朝平壌(ピョンヤン)宣言に基づく、拉致、核、ミサイルといった問題について北朝鮮が違反している事実と、今回のミサイル発射という違反行為に対して、国連の全会一致の決議が当日朝成立したということがございましたので、その説明をいたしました。全会一致だったということからも、北朝鮮に対して、大統領のお力を借りて、私どもの意向である平和的な協議への復帰を促してほしい、ということを申し上げました。かなりの議論をさせていただきましたが、最終的に大統領から、機会を見て今おっしゃたような意向を伝えていこう、との言葉をいただきました。それはすなわち六者会談への平和的な復帰をはじめとした対応であり、平壌(ピョンヤン)宣言の遵守でございます。
 国連安保理改革につきましては、アフリカとしての考え方をお聞きするとともに、私どもの考え方を説明し、“ve-to”、拒否権の在り方についての若干の意見交換も行いまして、日本の立場を理解し、また支持する、という発言をいただいてまいりました。
 ウガンダでは大統領とお会いしたほか、ビタマジレ教育スポーツ大臣と会談をいたしました。特に職業訓練分野における今後の展開について計画をお伺いし、教育の改革について、日本が行っていることを自分たちは参考にして、これから努力したいと考えている、とのことでした。また北東アフリカの中核的な教育センターとしてのウガンダの立場を生かして、アフリカ全体の教育水準の向上に努めたいというお話がございました。
 エジプトでは、アル・ガマル教育大臣、アブル・ナガー国際協力大臣、ヒラール高等教育大臣と会談をさせていただきました。同国と我が国の教育改革や科学技術協力についての意見交換を行ってまいりました。
 また「日本・アラブ対話フォーラム」のエジプト側の座長であります、セラゲッディーン・アレキサンドリア図書館長と会談を行いました。セラゲッディーン館長はムバラク大統領と非常に信頼関係の厚い方であります。エジプトの文化財保護に関するこれまでの日本の協力に感謝を述べられるとともに、エジプトが取り組んでいる「大エジプト博物館“The Grand Egyptian Museum”」の建設について、各国から募金を募り建設していくが、日本にもぜひとも協力を願いたい、というお話がございました。
 エジプトのアレキサンドリア図書館は、ICTの非常に進んだ図書館でございまして、70万蔵書で、最終的には800万蔵書、世界最大の図書館蔵書をめざす、ということになっております。そのICTの利用プログラムは非常に先進的で、我が国にも大変参考になるものであったと思っております。
 このように両国訪問は、実り多いものだったことをご報告申し上げ、何かご質問があればお答え申し上げたいと存じます。

記者)
 ウガンダのムセベニ大統領との会談における、北朝鮮問題についての大統領と大臣の間のさらに詳細なやりとり、具体的な発言内容について、説明していただければと思います。平和裏のうちに協議への復帰を促してくれないか、ということを大臣がおっしゃって、それに対して大統領が熟慮されて、何かお答えになったということでしょうか。

大臣)
 外交上の問題ですからあまり細かいところまでは申し上げませんが、ムセベニ大統領は、米国による世界的な外交支配というものに対して、若干の意見を述べられました。それに対して私どもは、北朝鮮と私どもの国の問題における北朝鮮のミサイル発射は、平壌(ピョンヤン)宣言の合意を破るものであって、私どもはあくまでも平和的な対話による解決を北朝鮮に求めているわけでありまして、六カ国協議もその枠内である、とご説明申し上げました。ぜひとも北朝鮮には、自らの発展を確かにする六カ国協議への参加を促してほしい、と申し上げました。
 私どもとしては、圧力や制裁というものは本来望む方向性ではなく、北朝鮮が平壌(ピョンヤン)宣言に違反する行為を行わなければ、そういうことをする必要はないと考えており、従ってただちに六カ国協議に復帰されることが、北朝鮮の発展についても、また地域の安定についても必要なことであるということを重ねて大統領にご説明申し上げました。その主張をご理解いただく中で、機会があったら私からも話すようにしよう、という最終的なお言葉をいただいたところでございます。
 追加でご報告申し上げますが、カイロの訪問で、第1日目にカイロチャイルドホスピタルを視察いたしました。これは通称「ジャパン・ホスピタル」と呼ばれておりまして、むしろ「ジャパン・ホスピタル」として、カイロ中、エジプト中に名前が伝わっている病院でございます。このカイロ小児科病院は、エジプトのみならず周辺アフリカ諸国からも頼られ、大変先進的な小児科医療を行っております。
 当日もイタリアから医師団が来て、アフリカの子どもの心臓の特殊な病気の手術をやっておられました。常駐医師ではできない手術で、入院されていましたが、それに対してイタリアが協力するということで医師団を派遣して、その子のためだけに病院に来て手術を行っていました。それをビデオその他で撮影し、データストックをして医師の研修に役立てるということでした。日本の援助によって、充実した設備、カメラ等が整備されておりまして、研修された医師もそれぞれ地域において先進的な医療を普及しているとのことです。すばらしい取組として、誰もが「ジャパン・ホスピタル」と呼んでいることに、我々は大変感銘を受けました。

(了)

(大臣官房総務課広報室)

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