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平成17年10月31日大臣会見概要

平成17年10月31日
15時30分〜15時49分
文部科学省記者会見室

大臣)
 先ほど、臨時閣議がございまして、辞職願いを提出してまいりました。昨年の9月27日に文部科学大臣を拝命いたしまして、約1年と1ヶ月、文部科学大臣を務めさせていただきました。就任早々に三位一体改革の渦中に巻き込まれました。そして10月には、ちょうど国体の開会式の日でしたが、新潟県中越地震が発生いたしまして、その対応等にも追われたわけでございます。そのような日々の中で、私が日頃から考えておりました我が国の教育改革の私案を「甦れ、日本!」と題して発表させていただきました。この改革案というのは、頑張る子どもを応援し、もっとチャレンジ精神に富んだ子どもたちを輩出することが、日本の将来のためにも、また、これからの時代を生きていく子どもたち一人一人の幸せの実現のためにも、どうしても必要なことだという信念に基づいて作成いたしました。そして、中央教育審議会に対しまして、義務教育の在り方全般にわたる審議要請をいたしました。おかげさまで鳥居会長の下で、審議会の先生方が本当にご熱心なご討議をしていただいて、去る26日に答申を出していただいたところでございます。委員の皆様には、心から感謝申し上げます。また、教育改革を進めるに当たりまして、やはり現場を見ることが必要ではないかと、今、学校現場がどうなっているのだろうと思いました。私は現場主義でございますので、スクールミーティングを提案いたしまして、全国約3万3千余りの小中学校の少なくとも1パーセントは視察してみようではないかということではじまり、学校関係者の御協力もいただき、私や副大臣、大臣政務官、そして職員が手分けをして約380校の学校を訪問することができました。おかげさまで、いろいろな現場をつぶさに見させていただきました。学校現場では、先生方や保護者の話を聞き、そして子どもたちと給食を共にしながら様々な話を聞かせていただきました。この学校現場でのことは、今回の中央教育審議会の答申にも反映させていただいているところです。とにかく現場主義と言いますか、教育の実施に当たっては、市区町村や校長先生などの現場の方々に権限を委任して、創意工夫を重ね、自分たちが育てた子どもたちだと誇りを持って世の中に送り出していただきたいと思っておりました。また、子どもたちも小さい頃から、自分は大人になったら何になるんだという人生に対する目標、夢を持って勉強してもらいたいと考えておりました。学校を卒業する時には、志を立てて、社会に巣立って欲しいのです。そしてどういう時代になろうとも、どういう社会になろうとも、どういう困難に直面しても、たくましく生き抜いていける人間力をしっかり備えた子どもたちに育ってほしいと念願しております。また先生方にも、自分たちは次の世代を担う子どもたちを育てているんだという崇高な使命感と自覚を持って日々研鑽していただきたいと思います。恩師という言葉は、今はあまり聞かれなくなりましたけれども、やはり先生というのは信頼され、尊敬される存在でなければいけない。それだけに国家としても社会としても、先生方にきちんとした処遇を与えるべきだと考えております。また、学校だけではなく、家庭や地域が一緒になって子育て、そして教育に取り組んでもらいたいといったことも言い続けてきました。教職員給与を国が二分の一負担し、地方も二分の一負担し、そのことによって総額を保障するという現行の義務教育費国庫負担制度は、非常に優れた制度です。ぜひこの制度は、維持していただきたい。このことは、次の大臣に、ぜひ堅持することをお願い申し上げたいと思っております。
 また、科学技術関係では、高速増殖原型炉「もんじゅ」の改造工事に目処をつけることができました。それから長年の懸案でありましたITER(イーター)(国際熱核融合実験炉)につきましても、サイトはフランスのカダラッシュに決定されましたが、重要な研究施設等は、日本の六ヶ所村に誘致することができました。熱核融合は、究極のエネルギーであり人類の夢でありますけれども、その研究開発に大きな道しるべを付けたと思っております。今後、六極にインドも加わり、国際協力の下に、日本が大きな貢献を果たすことを願っております。また、科学技術基本計画は、来年度から第3期に入り、これまでの研究分野の重点項目に加えて、国家基幹技術にも力を入れるべきだと考えております。そして若手研究者や女性研究者の方々が、生き生きとして研究に打ち込む環境が必要です。日本は、何といっても科学技術創造立国を実現していかなければならない国で、そのためには、やはり人材育成に今後一層力を入れていかなければならないと考えております。資源の乏しい日本は、人材こそが一番大事な資源でありますから、様々な改革の中で、教育改革こそが一番大事な改革ではないかと思います。そういうことで文部科学省は、これからも諸課題に積極的に取り組んでいってもらいたいと考えております。この約1年1ヶ月は、本当にあわただしく全速力で駆け抜けたような気がするわけでありますが、この間、文部科学省の事務次官以下職員は、本当に良く頑張っていただいたと思っています。また、副大臣、大臣政務官のチームワークも非常にうまくいったと思っていまして、大変お世話になったことを感謝申し上げたいと思っております。また、記者の皆様方には、いろいろとご迷惑をおかけしたかもしれませんけれども、快くお付き合いいただきましたことに感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。

記者)
 1年1ヶ月、本当にお疲れ様でした。今日の臨時閣議ではどんな話があったのですか。

大臣)
 今日は、大野防衛庁長官の出張の報告の後に、小泉総理から、1年余り大変ご苦労様でしたというお言葉がございました。

記者)
 約1年1ヶ月の間、文部科学大臣を務められて、自己採点すると何点位ですか。

大臣)
 自分では、とても点数は付けられないです。

記者)
 次の大臣に、特に引き継ぎたい事柄はありますか。

大臣)
 義務教育費国庫負担制度は、極めて優れた制度だと思っております。やはり日本の教育を左右するのは教師です。先生方が安心して、毎日の教育、そして自己研鑽に励んでもらうためには、やはりしっかりとした処遇をすることが大事だと思います。そういう意味でも義務教育費国庫負担制度を、しっかりと維持するように努力していただきたいと考えております。

記者)
 義務教育改革についてですが、就任されてから様々な改革案を打ち出してこられたと思うのですが、実際に学校現場にスクールミーティング等で行かれてみて、もちろん改善すべき点も多々あったかと思うのですが、逆に評価すべき点、今後も継承していってもらいたいという点もあったのではないかと思います。大臣御自身が、就任されてからご覧になってきて、日本の学校教育に対して、どのような希望を見出しておられるのかお考えがあればお聞かせください。

大臣)
 報道されるのは、いつも学校の先生方の不祥事ばかりですが、本当はほとんどの先生方は一生懸命子どもたちのことを考えて頑張っておられるということがよくわかりました。教師の方々に、本当に感謝を申し上げたいと思っております。その中で、学校週5日制がかえって先生方を忙しくしている面もあるのではないかということも感じました。それから総合的な学習の時間についても、文部科学省は、もう少しきちんとした準備といいますか手立てを整えてから実施すべきだったのではないかと思っております。このことが非常に負担になっていたことは申し訳なかったと考えております。これからは英語教育を、小学校段階において導入していかなければいけないと考えておりますが、初期の段階の英語教育というのは何といってもヒアリングとスピーキングが重要ですから、ネイティブスピーカーに近い英語の先生方をいかに必要数配置するかということが大事だと思っています。そういう意味では学校現場の意見を聞きながら新しい試みを実施していかなければならないと考えております。それと、地方の学校に行きますと、子どもたちが少なくなっていることを痛切に感じます。少子化問題にいかに対応していくかということについては、今、真剣に考えていかないといけないと思っております。また、子どもたちは、国の宝とよく言いますけれども、学校現場に行きますと、小さな学校でも、その地区の方々が、自分の子どもたちが通ってなくても、みんながPTAになって、子どもたちのことを指導・支援している地区もあります。これからも、ぜひ家庭と学校と地域、そして国が一緒になって、これからの子どもたちを育てていくということを、ぜひ推進していただきたいと思いました。

記者)
 三位一体改革は、これから政府内の調整が新内閣で本格化すると思うのですけれども、できれば自分の任期の内にここまでやりたかったといったような心の悔いというものはございますか。

大臣)
 それはあります。タイミングで、そこまでできなかったことは、非常に残念です。三位一体改革は必要ですけれども、三位一体改革の中で義務教育費国庫負担制度を廃止し、地方に税源移譲した場合どうなるのかについてきちんとした数字を示して議論させていただきたかった。税源移譲によって地方の歳入がどの位減るのか、さらに平成19年度からの地方交付税改革で総額がどの位減らされるのか、そういった中で地方は、教育予算をどう維持・確保していくのかといったことを真剣に考える必要があると思います。先週末に千葉県内の市長や教育関係の方が来られまして、本当に心配しておられました。改革の名の下に、いろいろなことが起こる可能性があります。将来に禍根を残さないように、「こんなはずじゃなかった」ということにならないように、国民の皆様の理解を得て、義務教育費国庫負担制度を堅持していただきたいと思っています。最後になりましたが、皆様方には本当に大変お世話になりました。ありがとうございました。

(了)


(大臣官房総務課広報室)

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