ここからサイトの主なメニューです
平成17年10月21日大臣会見概要

平成17年10月21日
9時38分〜9時59分
文部科学省記者会見室

◎一般案件

パラオ国及びマーシャル国駐箚特命全権大使滑川雅士に交付すべき信任状及び前任特命全権大使飯野建郎の解任状につき認証を仰ぐことについて(決定)
(外務省)
恩赦について(決定)
(内閣官房)


◎国会提出案件

参議院議員藤末健三(民主)提出集団的自衛権についての政府見解等に関する質問に対する答弁書について(決定)
(内閣官房)
参議院議員藤末健三(民主)提出集団的自衛権行使の法律による容認に関する質問に対する答弁書について(決定)
(同上)
衆議院議員赤嶺政賢(共)提出長崎県佐世保市の米海軍佐世保弾薬補給所の返還に関する質問に対する答弁書について(決定)
(防衛庁)
衆議院議員鈴木宗男(無)提出在モスクワ日本国大使館における裏金問題に関する質問に対する答弁書について(決定)
(外務省)
衆議院議員鈴木宗男(無)提出外務省文書の秘密指定区分に関する質問に対する答弁書について(決定)
(同上)
衆議院議員鈴木宗男(無)提出外務省作成冊子「われらの北方領土ー2004年版ー」における重要事項の削除に関する質問に対する答弁書について(決定)
(同上)
衆議院議員鈴木宗男(無)提出在外公館が行っている便宜供与に関する質問に対する答弁書について(決定)
(同上)
衆議院議員照屋寛徳(社民)提出在日米国大使館敷地等の賃貸料に関する再質問に対する答弁書について(決定)
(財務・外務省)


◎政令

地方自治法第252条の19第1項の指定都市の指定に関する政令の一部を改正する政令(決定)
(総務省)
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(決定)
(同上)
司法試験受験手数料令(決定)
(法務・財務省)
下水道法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(決定)
(国土交通省)
下水道法施行令の一部を改正する政令(決定)
(国土交通・財務省)


◎人事



◎報告

一般職の職員の留学費用の償還に関する法律の制定についての人事院の意見の申出について
(内閣官房)
国家公務員災害補償法の改正に関する人事院の意見の申出について
(同上)

大臣)
 本日の閣議では、文部科学省関係の案件として九州大学と東京工業大学の学長人事について御了解をいただきました。閣僚懇談会においては、海外出張する閣僚の臨時代理の話や、それから国家公務員で海外留学した後、すぐに辞める職員の留学費用の償還に関する話が出ました。

記者)
 昨日、財政制度審議会で小中学校の先生の給与が、一般の公務員よりも約11パーセント高いという話があり、見直しを求める指摘をしたということですけれども、大臣の見解と今後の対応を聞かせてください。

大臣)
 教員の方が一般行政職員に対して給与が11パーセント高いというような話ですけれども、平均年齢や学歴区分が、教員のほうが高いのです。教育職は、大学卒が88パーセント、短大卒が12パーセント、それに対して、一般行政職の場合には、大学卒が55パーセント、短大卒が9パーセント、高校卒が35パーセントです。それから一般行政職員は、超過勤務手当が支給されていますが、それに対して教員は支給されていませんので、超過勤務手当見合いの教職調整額が給与の約4パーセント相当分として含まれております。こういったことを、きちんと加味して比較する必要があるわけで、これらを考慮しますと教員の優位性は5パーセント程度になります。なお、そもそも年収額全体で比較しますと、一般行政職員には超過勤務手当が支給されておりますので、教員の優位性は更に下がりまして4パーセント程度になります。消防職員の優位性は21パーセント、警察官の優位性は16パーセントで、消防職員も警察官も非常に大事な仕事ではありますけれども、学校の先生も優秀な人材を確保するためには、当然これ位の優位性は最低必要ではないかと思います。昭和49年の田中内閣当時に、いわゆる人材確保法(学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法)という法律ができて、教育は人なりということで、教員に優秀な人材を確保することになったわけです。人材確保法の精神というのは、これからも維持すべきだと思います。そういう意味で財政制度審議会は、国の本質に関わっている問題ですから、もう少し懐深く考えていただきたい。貧すれば鈍するではおかしい。また、報道機関においても、そういうところをきちんと報道していただかないと、義務教育費国庫負担金が話題になっている時ですから、それを狙い打ちにするような意図もあるのかと思ってしまいます。これからの教育改革にあたり、優秀な若者たちに、ぜひ教職を目指してもらいたい。次の世代を育てるという意味で非常に崇高な職業だと思いますので、それに見合う給与はきちんと担保・保証するというのが国の責任であると思います。国民の皆様方にも、どうかご理解いただきたいと思っております。

記者)
 義務教育費国庫負担金の話が出ましたが、昨日、三位一体改革の関係で、4大臣との会合を皮切りにされましたけれども、今後どう対応するのかお聞かせください。

大臣)
 昨日は、中央教育審議会の答申案の基本的な考え方を説明し、今後、義務教育の構造改革を進めていく上で、義務教育費国庫負担制度は維持していくことが必要であるということを申し上げました。また、地方の声に真摯に耳を傾けるということですけれども、市町村議会の64パーセント、市区町村長の83パーセントが、国庫負担制度の堅持を求める意見を出しており、こうした地方の声というものを、しっかり踏まえて結論を出す必要があると申し上げました。特に税源移譲した場合に、いったい各自治体でどれ位の税収が見込めるのか、それから三位一体改革の中の最後に地方交付税改革という課題があるのですが、地方交付税がどれ位削減されるのかが問題です。そういった数字も示していただき、それをもとにして議論しないと、地方側、特に市区町村長の不安というのは払拭できないのではないかということも申し上げました。いずれにしても、この問題は、腕づくでどうこうという話ではなくて、きめ細かな議論をして、国民の理解を得ながら進めていくべき問題ではないかということも申し上げました。

記者)
 一昨日の文部科学委員会での平野委員の質問に対する答弁の中で、「教育勅語を読んでみると本当に良いことが書いてある。教育基本法が制定された時は教育勅語もあって、二つの法律が車の両輪となって日本の教育をやっていこうということだった。」という話をされたと思います。調べてみたのですけれども、基本法が公布される前の昭和21年に文部省が通牒で「勅語及び詔書等の取扱いについて」というのを出してまして、「教育勅語を以て我が国教育の唯一の淵源となす従来の考え方を去る」べきであるというようなことが書かれているのですが、車の両輪となってやっていこうということになっていたというのは、どういう根拠に基づいて答弁なされたのか、その点をお聞かせください。

大臣)
 この前の答弁が言葉足らずだったのかもしれません。教育基本法と教育勅語の関係についての観点から、教育基本法にはまだ理念として足りない部分があるのではないかと日頃から考えており、そういった足りない部分をカバーしながらやってこられればよかったのにという自分の感想も交えて答弁しました。

記者)
 ご感想でおっしゃったということですが、あらためて勅語で評価できる部分、あるいは評価できない部分というものに関して、お考えを伺えればと思うのですが。

大臣)
 公共の精神や道徳的な内容に関して、教育勅語には良いことが書いてあります。常に公共の精神を持つこと、親への孝行、兄弟姉妹が仲良くといったようなことは、現代にも通じるものです。そういった道徳的な内容が、教育基本法の中にしっかり書かれていないということが、現代のいろいろな事件事故等につながっているのではないかという感想を持っております。決して教育勅語を神格化し、戦前と同じような取り扱いをしようとするつもりは、全くございません。

記者)
 海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」という船の中に、元事務次官の書をかけているということで、世界にはばたく船に、そのようなことをされるのは、後世に自分の名を残すような行為というふうに受け止められているのですが、大臣はどのように受け止めていらっしゃいますか。また、外すべきだとお考えですか。

大臣)
 地球深部探査船「ちきゅう」の交流スペース内に茶室が設けられ、そこに前理事長の書の銘板が飾られているという報道がございましたけれども、この「ちきゅう」が運航を開始するとまさに世界を回り、しかも乗員の約4割が外国人になる予定で、数ヶ月にわたります長期の航海となることから、そこで日本人と外国人の乗員との間の円滑な交流というものが、プロジェクトの遂行にあたって非常に重要となると思いますし、またそういう機会を通じて、日本の文化を紹介するという意味では、大変意義のあることだと思っております。それから書の銘板の問題ですけれども、これは、書にたしなみのある前理事長が、茶室の名前を記すために書いたもので、ただそれだけのことで決して自分の名前を残そうという意図だったものとは聞いておりません。銘板については、誤解を受けることのないように、法人において適切に判断していただければいいのではないかと考えております。

記者)
 本当に、探査船の中に茶室を設けて、日本文化を紹介する必要があるとお思いでしょうか。

大臣)
 狭い船内で長いことずっと航海を共にするわけですから、そういう立場にぜひ自分の身を置いて考えてもらいたいと思います。そういうほっと安らぐような空間というのも必要だろうと思いますし、日本文化の発信ということも大切ですから、そういったことを考えますと、船に日本文化の象徴的なものを設置し、できるだけ日本文化を紹介するといったことは、むしろ前向きに考えていいのではないかと思っています。

記者)
 教職員の給与の優位の件で、校長経験者の年金額が、事務次官経験者の水準を超えているということですが、教職員の給与の優遇措置ということは人材確保ということですけれども、年金についての現況はどうお考えですか。

大臣)
 これも詳しく説明しなければいけないと思います。給与総額や退職金といったものは、これは当然事務次官経験者の方が明らかに高いのです。けれども年金では、逆転現象が起こるという不思議な話ですが、これは年金額が在職中に納めた掛金に応じて算定される仕組みになっているからです。若い頃は先生の方が事務次官経験者より給与が高く、多くの掛金を納めています。その後、事務次官経験者の給与の方が高くなりますけれども、掛金の算定の基礎となる給与の額には上限というのがありまして、これは標準報酬ベースで62万円です。それ以上給与が高くなっても、納める掛金というのは62万円ベースの給与から算定された掛金の額なわけです。先生方は若い時にたくさん掛金を納める。しかし、事務次官経験者は給与が高くなった時には掛金の額の上限があり抑えられるということで、掛金そのものの総額というのは、先生方の方が多いわけです。掛金が多いから年金額が多くなるという面が一つあります。それからもう一つは、校長先生というのは定年まで勤めますけれども、ご承知のように事務次官経験者は、今、批判されておりますが、早く退職して天下りをする。そのように早く辞める分だけ、年金の掛金は納めていない。要するに納めた掛金に応じて年金が支給されるという仕組みだということをご理解いただきたいと思います。

記者)
 それでは、現状のままでよろしいというお考えですが。

大臣)
 納めた掛金に応じて年金をもらうということですから、それはそうでしょう。そういう仕組みでいいと思います。これは厚生年金でも同じではないでしょうか。掛金に応じて、たくさん納めた人がたくさんもらうということですから、この制度というのは基本的には正しいのだろうと思います。

記者)
 北海道や福岡県等で、学校の先生の勤務評定が行われてなかったということが明らかになりましたが、これについて大臣の所見と今後の対応を聞かせてください。

大臣)
 県費負担の教職員につきましては、法律の規定に基づきまして都道府県教育委員会の計画の下に、市町村教育委員会が職員の執務について定期的に勤務成績の評定を行って、その評定の結果に応じた措置を講じなければならないということになっているわけでございます。今回、北海道教育委員会で勤務評定のための計画を策定してないという報道がありましたので、文部科学省としてあらためて調査いたしましたところ、北海道、福岡県、沖縄県の3道県の教育委員会において、勤務評定の計画が策定されてないということが明らかになりました。文部科学省といたしましては、この計画が未策定であるということは明らかな法律違反になると考えておりまして、はなはだ遺憾なことであると考えております。今後、北海道、福岡県、沖縄県の各教育委員会に対して、勤務評定の計画を策定し、その下において各市町村教育委員会において速やかに勤務評定が実施されるように、十分指導してまいりたいと考えております。教育については、できるだけ現場に任せようということで、現場主義の方針をとろうとしてますが、それを受けて地方側もしっかりとした対応をとってもらいたいと強く要望いたします。

記者)
 この件では福岡県が含まれており、福岡県知事といえば麻生知事で、義務教育費についていろいろと発言されておりますが、そのことに関して何か所見は。

大臣)
 教育は地方に任せてほしい、きちんとやるからというご意見が知事会側から出ていますが、きちんとやるのならばやるで、その証拠を示してもらいたいという気持ちもあります。山梨県の件についても、ご承知のとおり教職員組合と教育委員会との癒着はひどいものがあります。法律改正をして、そういった教職員の政治活動については、罰則を適用すべきだという動きがありますけれども、私どもとしては、地方分権という名の下に、できるだけ教育についても現場に近いところに権限を下ろし、現場の責任と工夫によって、それぞれすばらしい教育をしてもらいたいと考えておりますので、地方の方も、ただ金をよこせというだけではなくて、しっかりとしたことをやってもらいたいと考えております。

(了)


(大臣官房総務課広報室)

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ