ここからサイトの主なメニューです
平成16年7月30日大臣会見の概要

平成16年7月30日
10時〜10時19分
文部科学省記者会見室

一般案件

ゴラン高原国際平和協力業務実施計画の変更について(決定)
(内閣府本府・防衛庁・外務省)

武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書の批准について(決定)
(外務省)

平成17年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について(了解)
(財務省)


国会提出案件

ゴラン高原国際平和協力業務の実施の状況を国会に報告することについて(決定)
(内閣府本府・防衛庁・外務省)

東ティモール国際平和協力業務の実施の結果を国会に報告することについて(決定)
(同上)

衆議院議員高橋千鶴子(共)外1名提出保育所待機児童解消、学童保育の充実に関する質問に対する答弁書について
(厚生労働省)


公布(条約)

武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書(決定)


政令

ゴラン高原国際平和協力隊の設置等に関する政令の一部を改正する政令 (決定)
(内閣府本府・防衛庁・外務・財務省)

人事


配付

平成16年度公益法人に関する年次報告
(総務省)

労働力調査報告
(同上)

消費者物価指数
(同上)

家計調査報告
(同上)

大臣)
 本日の閣議では、文部科学省関係の案件等はございませんでしたが、「平成17年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」閣議了解されております。この基本的な方針について、財務大臣、経済財政政策担当大臣から御説明があったわけですが、平成17年度の予算の規模を実質的に平成16年度水準以下に抑制するなど、従来の歳出改革路線を堅持・強化することとされております。これは、平成14年度予算からの方針が貫かれているということだと思います。シーリングの仕組みも昨年と同様に、一般歳出全体を「公共投資関係費」、「義務的経費」、「裁量的経費」に区分し、各々の要求・要望額の上限を設定するというもので、今年度の新たな試みとしては、義務的経費について、制度改革等による削減努力分は新規政策のために財源転用が認められるなどの措置が盛り込まれたということです。国庫補助負担金につきましては、平成17年度と平成18年度に3兆円程度の改革を行うとともに、地域再生の推進や三位一体の改革にも資する方向で補助金改革を推進するということが求められておりますので、昨年度以上に厳しい予算編成になると思っております。また、予算の重点配分についても「基本方針2002」の時の方針が踏襲されており、特に文部科学省に関係するところは、「活力ある社会・経済の実現に向けた重点4分野」の中の一番目に「人間力の向上・発揮−教育・文化、科学技術、IT」があげられております。これを踏まえて文部科学省としてさらに施策の重点化・効率化を図る方向で予算編成にあたりたいと思っております。いずれにいたしましても厳しい財政状況は変わらないわけでありますから、既定経費の抜本的な見直しを図り、教育・文化立国、科学技術創造立国の実現のため、文部科学省予算の充実に向けて本格的な努力をしていこうと思っております。重点4分野の中で、一番に「人間力の向上・発揮」ということがあげられておりますので、この実現に向けた予算要求にあたりたいと思っております。特に、裁量的経費が対前年度当初予算の額に100分の98を乗じた額を上限に要求することとされましたが、科学技術振興費に相当する分は対象外となっております。つまり、科学技術振興費に相当するものについては、マイナスはないという方向で打ち出されているということで、科学技術基本計画に則って科学技術予算の増額を図るということが認められていると理解しております。

記者)
 今、大臣の方から、三位一体改革の実現というお話がありましたが、先の指定都市市長会において、補助金削減案の中に、義務教育費国庫負担金の廃止を盛り込みましたけれども、これは全国知事会の議論にも影響を与えるかと思われます。また、小泉首相が、補助金削減額は3兆円にこだわらないというような発言があったようで、これらのことは文部科学省にとって非常に厳しい状況になってきたと思うのですが、現在の義務教育費国庫負担金をとりまく現状についてどのようにお考えになっておりますか。

大臣)
 昨日、福井県知事がお見えになったので、義務教育費の話もさせていただきました。福井県知事は、全国知事会議等で義務教育費国庫負担金を削減し地方へ税源移譲してもらえば地方で全部やりたいというようなお話をされております。その考え方を否定するものではありませんが、現実に税源移譲した場合に、知事が予定されている額の財源が移譲される計算になりますかということを申し上げました。現在、検討されている税源移譲の仕組みですと、豊かな都道府県、特に人口の多い県は、義務教育費に見合う財源が税源移譲されますが、そうではない県は、必ず義務教育に必要な財源が不足します。不足分は地方交付税で補うとなっておりますが、地方交付税は削減の方向にありますので、それで大丈夫なのですかということです。福井県知事は、義務教育に必要な財源は確保されていなければ困るとおっしゃっている。そういうことならば、義務教育費国庫負担制度により財源を確実に確保し、地方が教育の充実のために自由に活用できる「総額裁量制」がベストではないですかということを申し上げたわけです。そのことは御理解いただけたようですが、全体として地方ができるだけ財源を持つことが地方分権につながるという基本認識があるようです。政令指定都市の場合は、非常に人口が多い自治体ですので、十分な税源移譲を受け、必要な義務教育費以上の税源が移譲される可能性が高く、不足する懸念がないものですから、したがって義務教育費国庫負担金の廃止賛成でまとまりやすいと思います。政令指定都市は、そのほとんどが100万人以上の人口をかかえた大都市ですが、県によっては人口が100万人以下の県もあります。指定都市市長会の補助金改革案のまとめは、国庫補助負担金全部を税源移譲するべきだという基本的認識にたっていますから、そういう意味で義務教育費国庫負担金も廃止すべきであるという議論になっているのだと思います。ですから指定都市市長会が、義務教育費国庫負担金の廃止も含む改革案をまとめたからといって、その流れでいくというものでもないと考えています。財源の豊かな自治体とそうではない自治体の間で教育の機会均等とその水準に格差がないようにする義務教育費国庫負担制度を堅持する方向は間違ってないと思ってます。それから、総理が閣僚懇談会において、補助金削減額について3兆円にこだわらないとおっしゃった趣旨は、私の理解では、3兆円を超えても超えなくてもかまわないが、それなりのきちんと理由があってその額に収まったならいいという話だと思います。全体としてできるだけ地方に裁量を増すような方向で、国庫補助負担金の改革をやるべきだと思います。政令指定都市の改革案を見ても生活保護費や災害復旧費の国庫負担金など地方の自由度につながらないものは廃止すべきとはいっていません。そういった意味では、義務教育費国庫負担金は人件費ですから、義務教育のためにいろいろな裁量のある使い方ができますが、それ以外に使う自由度はあまりないと思っています。うがった見方をすると、最初からこれに狙いをつけ削減し、教育以外の他の経費に使おうとしているのではないかと思いたくなるような発言をされる首長がおられるので、教育論からお考えいただきたいと思っています。

記者)
 概算要求における国立大学の運営費交付金などシーリングに関係した文部科学省としての課題をいくつかかかえてると思うのですが、そういった課題にどのように対応するかお聞かせください。

大臣)
 先般の総合科学技術会議において、運営費交付金を削減をして、競争的資金に振り替えたらどうかという意見がありましたが、国立大学法人の運営費交付金は科学技術の振興の観点からみても、一番大切な基盤的経費であり、国立大学の教育・研究環境が低下すれば、いくら競争的資金を増加させてもすぐれた成果がでるはずはありません。世界的な科学者を育んだり、世界に発信する研究が生まれるのは大学からです。そのような根本的な視点を欠いているような気がしております。特に国立大学は、非公務員型の法人化などの大改革を行い、まさに新しい試みに取り組もうとしてますから、どう考えても、効率化をしつつも必要な経費については増やすことも考えなければいけないと思っております。これが聖域なき見直しという全体の流れの中で、一律に減額の対象にされることがないよう、私どもも財政当局と交渉してまいりたいと考えております。昨年は、国立大学を法人化する条件として、これまでのやり方を継承するという方向を御理解いただきました。17年度要求についてもその方向で、国立大学法人の運営費交付金は減額対象としない方向でいきたいと思っております。運営費交付金の額については、これから予算編成過程を通じて決まっていくわけですが、特に先に申し上げましたように、文部科学省としては裁量的経費全体の要求額の中の国立大学法人の運営費交付金の整理という基本認識がありますので、そういう観点からすれば、昨年と同様であると考えております。

記者)
 原子力委員会で、核燃料サイクルの見直しを議論しておりますけれども、この関連の予算が削られますと「もんじゅ」の建設に大きく影響を受ける可能性もあると思います。また、「もんじゅ」の建設については、裁判もかかえていますが、昨日、福井県知事がこられた時に、何か話し合われたりしたのですか。

大臣)
 昨日、福井県知事は、災害復旧対策の要請でお見えになったのですが、「もんじゅ」のことについても若干お話をしました。科学技術の観点からも、できるだけ早く知事の御判断をいただきたいという話をしました。この核燃料サイクルについては、コストだけの問題ではなく、エネルギーの安定供給の問題もありますから、全体を考えていかなければならないと思っております。「もんじゅ」をはじめとする核燃料サイクルの研究開発は、日本のエネルギー安定供給とういう観点から大事なことですから、安全確保ということを大前提にして地元の御理解をいただいて、着実に推進していかなければならないと考えております。今、原子力委員会において、新しい長期計画を検討いただいておりますが、そのような考え方を踏まえて検討がされていくと思っておりますし、その方向で私どもも協力していこうと思っております。そういう意味で、原子力委員会の方向付けは、十分に注視をしなければなりません。政府の方針としても「もんじゅ」をはじめとする核燃料サイクルの研究開発を推進してもらいたいという思いが強く、その方向でとりまとめがされると期待しております。

(了)


(大臣官房総務課広報室)

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ