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平成15年4月15日大臣会見の概要

平成15年4月15日
9時4分〜9時16分
文部科学省記者会見室

◎一般案件
イラク国内の被災民及びイラク周辺国のイラク難民に対する食糧援助に関する日本国政府と世界食糧計画との間の書簡の交換について(決定)
(外務省)
セネガル共和国大統領アブドゥライ・ワッド閣下及び同令夫人の公式実務訪問賓客待遇について   (了解)
(同上)
ベリーズ国及びメキシコ国駐箚特命全権大使西村六善に交付すべき信任状及び前任特命全権大使堀村隆彦の解任状につき認証を仰ぐことについて   (決定)
(同上)

◎国会提出案件
衆議院議員長妻昭(民主)提出「国家資格」及び「民間技能審査事業認定制度による資格」に関する質問に対する答弁書について
(内閣官房・総務省)
衆議院議員長妻昭(民主)提出国内テロ対応に関する指示命令系統等に関する質問に対する答弁書について
(内閣官房)
衆議院議員長妻昭(民主)提出公益法人の収益事業に関する質問に対する答弁書について
(総務省)
参議院議員中村敦夫(無)提出ETCに関する再質問に対する答弁書について
(国土交通省)

◎政令
自衛隊法施行令の一部を改正する政令について   (決定)
(防衛庁)

◎人事

◎配付
月例経済報告
(内閣府本府)
平成15年4月13日執行統一地方選挙結果の概要(速報)
(総務省)

大臣)
 本日の閣議では、片山総務大臣から、「『リゾート地域の開発・整備に関する政策評価』及び『障害者の就業等に関する政策評価』の結果」について御発言がありました。障害者の就業等に関する政策評価に関しては、養護学校と公共職業安定所が相互に連携協力して総合的な指導・支援を行うことが、当該障害者の就業の促進や職業生活への適応・定着にとって効果的であるとの指摘も含まれておりまして、これは我が省にも関係することだと思います。
 また、川口外務大臣から、ドイツ、フランス及び英国訪問と「対イラク国連緊急統一アピール等を受けた緊急無償資金協力」について御発言がありました。亀井農林水産大臣から、「対イラク国連緊急統一アピール等を受けた世界食糧計画(WFP)に対する食糧援助」についての御発言、塩川財務大臣から、「七か国財務大臣・中央銀行総裁会議等」についての御報告がありました。
 閣僚懇談会では、森山法務大臣から、「行刑改革会議の開催」について御発言がありました。私から、「ヒトゲノムの解読の完了」について発言をいたしました。中身は昨日発表されました宣言と同じものですが、私としては、人類の長年にわたる夢であったヒトゲノムの精密な解読によって、今後一層、生命の仕組を解明するための有力な手段として活用され、個々人に応じた治療法の解明などへという方向で進んでいくと期待しています。細田科学技術政策担当大臣からも、同旨の御発言がありました。この分野については、これまでも日本がかなりリードしてきたということもありまして、両大臣とも、今後もこの分野の研究の進展に努力していきたいと述べたところです。

記者)
 ヒトゲノムの解読が今後の我が国にもたらす意義、そして今後、欧米にひけをとらずにどのようにこの分野の研究を進めていくのかということについてお伺いします。

大臣)
 ヒトゲノムの解読の完了は、ヒトに関する重要な情報、いわば人体の設計図が明確になったということだと思います。これをもとに何を行っていくかということがこれからの知恵の働かせどころであり、例えば、新しい医薬品や治療法の開発を促すことになりますでしょうし、私としましては、日本がこの分野をリードしてきたということもありまして、この分野でさらに優れた研究が進められ、それが結果的に日本の経済にも資していくようになるといいと思っています。BT(バイオテクノロジー)戦略会議でも、総理のリーダーシップのもとにその方向性を明確にしておりますし、ライフサイエンス分野は科学技術基本計画における重点4分野の一つですから、政府も相当力を入れております。様々な研究機関で研究者がアイデアを出してどんどん進めていくという状況になっておりまして、その勢いで積極的に進めてもらいたいと思っております。

記者)
 ヒトゲノムの医療への利用に関して、個人の遺伝情報が使われることになると思います。プライバシーを保護する観点から、遺伝情報に関する保護の法整備が課題になると思うのですが、現段階で、どのようなお心づもりなのかお伺いします。

大臣)
 解読されたヒトゲノム約30億の塩基配列については、誰のものと特定することはせず、いわば人類共通の配列について解明されたということです。これを用いながらこれからどう活用していくかということは今後の課題だと思いますが、私は個人情報をきちんと守りながらというのは当然だと思います。ヒトゲノムの解読が完了した段階の次は、直ちに医薬品や治療法に結びつけるというより、まずは遺伝子の機能の解明、あるいは生命システムの全体のメカニズムを明らかにしていくという段階だと思っています。それを用いてそれぞれの個人の遺伝情報に合う治療をということになってきますと、個人情報に関係してまいります。生命に関わる研究で個人情報に関係するとなれば、人の尊厳を害することのないようにしていくというのは当然のことだと思いますが、当面は、ヒトゲノムの解読の完了という一里塚をベースにして、良い研究を積極的に進めてもらいたいと思っております。

記者)
 イラクの国立博物館で文化財の収蔵品の略奪が激しいようです。国外への文化財の輸出を防ぐ観点から、日本政府もユネスコ(国際連合教育科学文化機関)などを通じた働きかけをすることになるのではないかと思うのですが、現段階における大臣の御見解をお伺いします。

大臣)
 あのニュースは衝撃的でした。イラクには、メソポタミア文明などの跡を物語るすばらしい遺産があります。その発掘物などを展示していた博物館から貴重な文化財が持ち去れらたというニュースを聞いて、私は強い憤りを覚えました。戦争という状況が人々をそういうことに駆り立てるのかもしれませんが、人間の知の部分で最もしてはいけない略奪が行われてしまったことは、本当に許せないという気がします。何とかしてその被害を最小限にとどめる必要がありますが、日本一国だけでできることではありませんので、ユネスコとも連携を図りながら、人類の知の資産、文明の遺産をしっかりと元のように回復していくことが大きな課題だと思います。方法としましては、ユネスコに働きかける必要があると思いますし、今後、できるだけ早い機会に話し合いたいと思っております。また、そうして略奪された文化財が日本国内に入ってくるということは断固阻止しないといけませんので、全国の博物館、美術館等の関係機関に対し、今週中に通知を発出して、そうした文化財を取得するということのないように明確に注意を促したいと思っています。

記者)
 ユネスコの関係で早期に話し合いたいとおっしゃっていましたけれども、具体的に何か考えておられるのでしょうか。

大臣)
 そのニュースに接してまだ1日、2日しか経っていないのですが、ユネスコでも、こういった文化財の散逸の問題について検討を始めているようですし、我が国からも、専門家を中心として、そういう問題についてのユネスコのいろいろな論議や活動の中に加わっていくということかなと思います。

記者)
 先ほどの通知の件ですが、「文化財不法輸出入等禁止条約」に基づいて行うということでしょうか。

事務方)
 条約に基づいて対応することは当然ですけれども、今回の通知は、それに先立って、まず早急に注意喚起をするということです。

記者)
 政府間の合意とか決定が必要なのではないでしょうか。

事務方)
 条約に基づく措置を講ずるには、基本的には相手国政府からの通知がまず必要ですが、こういう状況ですので、それを待たずに、まずは全国の博物館、美術館等に対して、そういう文化財を取得することがないようにという注意喚起をするということです。

記者)
 相手国政府からの通知を待たずにということですね。

事務方)
 そうです。それを待たずにということです。

大臣)
 相手国政府が明確な意思表示ができるようになるまでには、時間がかかると思われますから。

(了)


(大臣官房総務課広報室)

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