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平成15年1月7日大臣会見の概要

平成15年1月7日
10時26分〜10時45分
文部科学省記者会見室

◎人事

大臣)
 今日は今年の初閣議でした。
 冒頭に総理からお話がございまして、4つのポイントを挙げられました。1つ目は、今年は経済再生に向けての正念場であり、補正予算を早期に成立させ、その後、平成15年度予算も早期に成立させ、万全の体制で取り組んでいきたいということであります。2つ目は外交についてですが、国益を前提とした上でしっかり対応したいということで、北朝鮮については拉致や核開発の問題についてきちんと対応する必要があるというお話でした。総理は9日から12日までロシアに出かけられますが、プーチン大統領と幅広い問題について議論をし、強力な枠組を作っていこうということでした。3つ目は、4月に統一地方選がありますが、これに関連して、従来、公務員がその地位を利用して政治的な運動をするという事態が見受けられるけれども、これは絶対に許せないということで、公務員の政治的中立性をきちんと守るようにと、非常に強い調子でのお話がございました。4つ目に、日本には潜在力があるので、その潜在力を十分に発揮していくため、内閣一丸となって対処していこうと仰られました。
 その他、交通事故防止対策の推進について内閣官房長官の御発言があり、それを受けて国家公安委員長の御発言がありました。

記者)
 新年を迎えまして、国立大学の法人化の法案、教育基本法の改正等いろいろと課題があると思いますが、今年の抱負をお聞かせいただければと思います。

大臣)
 今年は1月20日から通常国会が始まるようですが、そこで予定されている重要法案もたくさんございまして、大変重要な国会になろうかと思います。そうした大きな課題をいかに円滑に解決していくのかが、私の取り組むべき最大の課題であろうかと思っております。また、それらを通じて、教育改革等をしっかりと進めていかなくてはならないと考えています。
 我が省の重要法案の中では、先ず、国立大学の法人化のための法律案が大きいわけですが、これは単に国立大学を法人化するというだけではなく、日本の大学改革をしっかりと前進させたいという目標を持って取り組みたいと思っております。大学は「知の拠点」でございまして、これをもっと活性化させて国際的にも通用する大学にするという信念のもとに、しっかり取り組む必要がございます。初等中等教育につきましては、昨年4月から新学習指導要領に基づく教育課程が始まっておりますので、確かな学力と豊かな心を育成するというねらいをしっかりと定着させるための努力を続けたいということです。
 科学技術関係では、産学官連携の実質化を図っていくことに努力したいと考えております。補正予算や来年度予算で科学技術関係の予算が大幅に認められたわけですが、それは、国民がいかに日本の科学技術の発展に期待しているかの表れですので、それを実質化するためのいろいろな努力をしなければならないと思っているところです。文化・スポーツについても、可能な限りその振興に努めるつもりです。
 今年の前半ないし夏までの間は、国会対応が大きな仕事になると思います。また教育基本法の見直しについても、今、中央教育審議会で議論が進んでおりますが、それを受けて対応する必要がございます。そういったことも含め、なかなか厳しい状況になることも予想されますが、私としては、対応すべき事柄に十分対応すると同時に、それだけに埋没することなく、教育改革等の理念をしっかりと見据えた上で、必要な政策に果断に取り組んでいきたいと考えているところでございます。いずれにしても、我が省は国民にとって基盤となる分野を担当しております。単に今日、明日どうなるか、あるいは経済活性化という視点だけではなく、10年後、50年後、更には100年後をしっかり見据えて、それに見合う内実を持った政策を遂行していかなくてはいけないと思っております。

記者)
 海外で2人目のクローン人間が誕生したとの情報がありますが、国内におけるヒトに関するクローン技術等を規制する法律を担当する大臣としてどのような御感想を持たれたかということと、今回は海外の宗教団体でしたが、国内の医療機関・研究者などに対して何か新たな通知等をされるのかを伺いたいのですが。

大臣)
 通知は特に考えておりません。我が国では、クローン人間の生成を法律で禁止しているところです。それは、クローン人間の生成は人間の尊厳を侵害する、あるいは社会秩序を混乱させる、そして生まれた子どもへの影響といった観点から、決して認められるものでないという立場に立つからであります。国連におけるクローン人間禁止条約の策定の検討にも積極的に取り組んでおり、その条約が早期に締結されることを期待しているところでございます。報道があったことは承知していますが、クローン人間であるという科学的根拠が示されていないなど事実関係が不明でありまして、このこと自体についてのコメントは差し控えたいと思います。これについては冷静に対応していくことが非常に大事だと思っております。

記者)
 H−2Aの5号機の打上が3月になるとの報道がありますが、現在は日本での打上期間は2月までであり、3月というのは従来の事実上の打上期間になっておらず異例のことだと思うのですけれども、そこに至った経過はどういうことでしょうか。また、ロケットの打上期間が限定されていることが衛星ビジネスへの一つの支障になっていると思うのですが、今後、1年中打ち上げられるというようになっていくのでしょうか。

大臣)
 前段についてでありますが、現在、ロケット及び衛星は製作上の最終段階に入っておりまして、試験や調整を行っているところです。したがって、一部報道があったようですけれども、まだ打上の予定日は決定されていないというのが事実でございます。情報収集衛星は、外交や防衛などの安全保障、あるいは大規模災害への対応等、危機管理に必要な情報の収集を主な目的とする、日本にとって極めて重要な衛星であり、目下、その最終段階を控えてしっかりと試験や調整を行っているところです。後段の問題については、私個人としても非常に大きな課題だと考えております。日本の地理状況から見て、いつでも自由にというような状況にはないわけですが、そういったことも今後の大きな検討課題かと思っているところです。

記者)
 今年はやはり教育基本法の見直しの問題が最大の焦点になると思うのですけれども、それについてもう少し伺いたいのですが。

大臣)
 これについては目下、中央教育審議会で御議論いただいておりまして、先般の中間報告を受けて、公聴会も開かれ、有識者からも御意見を伺っているところです。今月末で現在の委員の方の任期が切れるわけですけれども、引き続き十分な議論を審議会でしていただいた後に答申が出されるものと思っております。ですから、今の段階で私が何らかの方向性を示すようなことはするべきでないと思っておりますし、審議会において、慎重かつ厳正に日本の未来に向けてしっかりと議論がなされるということを信頼しておりますので、その答申を待って対応していきたいと思っています。

記者)
 構造改革特区における教育分野への株式会社の参入について、現時点での大臣の考え方はいかがでしょうか。

大臣)
 これは、バランスが非常に大事な話ではないかなと思っています。教育というのは、それ自体、公共性を持ったものでありまして、安定性や継続性が確保されなくてはなりませんし、また、そこで学ぶ者が十分に優れた教育を受けられるということが大事だと思っております。特区については、どちらかと言えば経済活性化という観点からの御議論が先行しがちであるように見えますが、私どもとしては、教育の活性化ということが非常に大事だと思っておりまして、その両方のバランスをどこでとっていくのかということだと思います。したがいまして、教育の持っている公共性、安定性、継続性をしっかり確保できるのであれば、できるだけ柔軟に対応する必要もあろうかと思っているところです。今後、地方公共団体から特区についての第2次提案が出てくることになっておりますので、その提案を踏まえ、特区における株式会社の参入につきましては、その意味や必要性、あるいは仮に参入を認めるとした場合の留意点、条件についても検討していきたいと思っています。

記者)
 特区の関係ですが、教育と経済の両方のバランスが大事ということですけれども、株式会社参入の検討は、大学教育から義務教育である初等教育まで全てということでしょうか。

大臣)
 その辺も含めてこれから検討していきたいということです。この問題については、経済の観点からのみ論じるのではなく、やはり教育の立場を十分に勘案して考えなくてはいけないと思っています。昨年の義務教育費国庫負担制度の関係につきましても、経済の論理、あるいは財政の論理、財源の論理だけで考えられては困るということであのような対応をいたしたわけです。今回の場合には、その提案の中身がどういうものであるのかをよく考えて、教育の基本に関わるようなことであれば、中央教育審議会で御検討をいただくということも考えながら、柔軟に、しかし本質についてはしっかりと考えつつ対応していきたいということです。今の段階ではそのような抽象的なことしか申し上げられません。総理も、特区については、前向きに対応するようにという姿勢でございますし、十分に考慮しながら対応していきたいと思います。

(了)


(大臣官房総務課広報室)

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