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平成14年7月12日大臣会見の概要

平成14年7月12日
9時50分〜10時10分
文部科学省記者会見室

◎国会提出案件
衆議院議員金田誠一(民主)提出「武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案」に関する再質問に対する答弁書について
(防衛庁)

衆議院議員大島令子(社民)提出愛知県瀬戸市幡中町デジタルTV放送地上波送信のタワー建設に関する質問に対する答弁書について
(総務省)

衆議院議員長妻昭(民主)提出シックハウスに対する救済措置に関する質問に対する答弁書について
(国土交通省)

◎公布(法律)
☆道路運送車両法の一部を改正する法律(決定)

◎人事

◎報告
☆沖縄振興計画について
(内閣府本府)

◎配付
☆月例経済報告
(内閣府本府)


大臣)
 今日の閣議は一般的な案件でございまして、特に我が省に関する事で御説明をするような内容は含んでおりません。
 閣僚懇談会におきまして政と官の問題についての議論が出ました。これにつきましてはまだ議論中という事でございますし、次回の閣僚懇で詰めて行くという事でございますので、その詳細については申し上げるわけにはまいりません。今日の閣議関連については以上でございます。
 私の方から今日は、私どもとして大変重要と考えております政策の御説明をしたいと思います。お手元に資料が渡っていると思いますけれども、「英語が使える日本人の育成のための戦略構想」を作りました。御存知のように今日、経済・社会・文化・政治あらゆる分野で国際的な協調、あるいは国際的な理解というものが非常に望まれている。またIT社会とかネットワーク社会という事で国際的な交流が益々盛んになっています。そういう中で国際的な言語の一つのツールとして、英語の重要性というのが大変大きくなってきているわけでございます。そのような事から英語によるコミュニケーション能力を本当に付けさせていく事が21世紀を生きる子どもたちにとって今後活躍をしていくのに非常に大事な力になると思いますし、ひいては日本の発展のためにもつながると思うわけでございます。ところが現状では日本人の多くが英語力が十分ではございませんし、学校教育でも中学校、高等学校、また多くの場合大学という長い年をかけて英語を学んでもなかなか使いこなして外国人と対等に議論できるような力まで持っている人はそれほど多くないわけであります。そのような実状を踏まえまして今回、「英語が使える日本人の育成のための戦略構想」という事で、本格的に取り組むことにいたしました。これは今まで問題提起はされていながら、本格的な取組がなかったわけでございますけれども、今回この戦略を立てまして、中学・高校・大学にわたり、あるいは小学校においての英語教育も視野に入れながら、本格的にこの問題についての解決を図っていこうというところでございます。この経緯に書いてありますように、これまで文部科学省としましても、懇談会を持ちまして、さまざまな方の意見を聞いてまいりました。特に今年の1月から5月にかけまして、更に英語関係の専門家からも意見を聞くことを重ねてまいりまして、やっと取りまとめたのが今、皆さんのお手元に届いている戦略構想でございます。同時にこれは先般6月25日に閣議決定されました第二の骨太の方針の中にも人間力戦略の中の一つの特色ある提案として、英語が使える日本人という事で取り上げたところでございます。今回の特色は日本人の英語力を高めて将来に備えることについて総合的な角度から戦略論を立てたことが一つと、日本語も大事にして日本語できちんと表現できる、あるいは日本語の読解力も含めて日本国民である以上日本語も大事にしていく、その前提の上での手段として、英語を使いこなせる能力を新たに備えていく必要があるのではないかということで考えたという2点が特色でございます。その前提の上で、皆さんのお手元にもございますように、英語力、国語力増進プランとして5つの項目が書いてございます。
 一つがその英語が使える日本人の育成を目指すことで、教育の目標を明確にしたことです。中学校、高等学校を卒業したら英語で会話できるようになってもらいたいと、中学校卒業段階ではあいさつ、応対という平易な会話などができる程度を目指したい、それから高校卒業段階では日常の会話に関する、通常の会話などが出来る程度にはなってもらいたいということであります。そして大学を卒業したら仕事や研究等におきまして、英語を使いこなせるというようなことを目指したいというわけでございます。大学につきましてはそれぞれの大学、あるいは学部におきまして、目標を明確にした上で教育をしていただければいいと思いますが、具体的目標は各大学に任せますが、大学を出た人は仕事の上でも英語が使えるようになってもらいたい、そういうことを目標に掲げております。
 2番目に大事なのはそれを教える教員はどうするか。これは今まで大変ネックであったわけですけれども、英語教員の質という角度から英語教員が備えておくべき英語力の目標値を設定したいと思います。実用英語技能検定準1級、TOEFL(トーフル)550点はとっておいて欲しいなどの目標値を設定します。それを目標として英語教員の質を高めるための研修を実施していきたい、今、中高で英語を教えている教員は6万人いますけれども、これを5カ年計画で能力に応じて集中的に研修をします。もちろん多くの人は自由自在だと思いますが、新たにそういう、先ほど言ったような目標を実現するための教え方なども含めて研修をやってもらいたいと思っています。それから2つ目には外国人教員の活用を図っていくという事でありまして、中学高校の英語の授業に各クラスごと週1回以上は外国人、ネイティブの人が来て教えることができるようにしたいということで今日JETプログラムで約8,400名おりますが、将来的には1万1,500人ぐらいにしたいと考えております。またネイティブの人の正規の教員への採用を促進したいと思います。それから日本人の中でも外国で勤務した経験、商社マンでありますとか、あるいはいろいろな職業を通じて外国で活躍した人で、社会人として日本に住んでいる人たち、そういう人の能力も大いに使っていきたいと考えておりまして、すでにある「学校いきいきプラン」でありますとか、あるいは「特別非常勤講師制度」など、様々な方途を活用いたしまして、そういう人も学校に来てもらい、大いに日本の子どもたちの英語能力を高めるために寄与してもらいたいと思っております。
 3つ目が、その学ぶ側の子供の学習意欲を高めるということで、いろいろな方途があろうかと思いますけれども、高校生などの段階で留学をいたしますと大変力がつくわけでございます。そういったことで年間1万人の高校生は海外留学をさせてみたいと思っております。もっとこれ以上に進めばいいと思いますし、また短期の夏休みでありますとか、春休みとかそういう短い期間でも英語をもっと話す国々へ行って勉強してもらうというのも大変良いかと思いますし、「外国人とのふれあい推進事業」なども創設したいと思います。それから特にインパクトがあろうかと思いますのは、大学入試を改善したいと考えます。大学入試センター試験におきまして、リスニングテストを取り入れることについて随分長い論議をしてまいりました。いろいろな条件の整備が要りますけれども平成十八年度の実施を目標にしたいと考えます。それと同時に各大学において英語に関する入試を行います際に、外部試験の結果などを活用して、TOEFL(トーフル)何点を取れば特に新たに試験をする事もないという、そういった方途も採れるようにもっと工夫をしてもらいたいとも考えております。それから先進的な英語教育を進めるということで「スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール」を今年から始めておりますけれども、これの指定校を3年間で100校まで持っていきたいと思っております。それと大学段階になりますともっと優れた英語教育のカリキュラムを組んで欲しい、あるいは大学、学部でも、そこにおけるコース全体を英語で授業するような学校がもっと出て来ていいのではないかと思います。そのような特色がある大学については重点的に支援をしたいと思います。
 それからいろいろな英語力についての関心を持つ専門家の中では、小学校段階から始めるべきだとの声も大変多いわけでございます。今年から始まりました総合的な学習の時間を用いて地域あるいは学校によりましては、英語、英会話などを始めるというところもあります。そのような意欲を持ってる学校に対しましては、その回数の3分の1程度は外国人のネイティブスピーカーが行って幼い時の耳になじむ形で外国人による教育を進めることができればと思っております。将来、小学校における英会話活動についてどうしていくかにつきましては、次の学習指導要領改訂の議論に向けて、その在り方を検討するための研究はすぐに着手したいと思っております。小学校の英語教育について今直ちに何時間というような事を決めるというのはもちろん十分な時期ではないと思いますので、その事については研究を始めたいと思いますが、そういうことも視野に入れた戦略であるという事で4番目の項目を立てた次第であります。
 それと大事なのは日本人の国語力を増進するという事であります。今日、日本語についてのいろいろな良い本も出たりして国民の関心も高まっておりますので、そういう国民の関心も大いに背景にしながら、今の文化審議会において議論がされておりますこれからの時代に求められる国語力の検討も待ったりいたしまして、これについても本格的にやっていく必要があるのではないかと思います。それから昨年の秋に成立しました読書推進法を背景としまして今、朝の読書活動を各学校で工夫がなされております。大変効果があるようでございます。是非こういう事も含めて良い文章を読み、良い文章を暗唱したりする事もベースにしながら、子供達の国語力を大いに高めていきたいと思っています。一般的な国語教育の授業においてもそれを充実していくことは当然でございますけれども、国語力、能力というのを十分に備えた上でツールとしての英語というものの力も充実してもらいたいとの願いを込めてこの戦略を作ったわけでございます。これを作りましても、実際にすぐに実施できるものと少し時間がかかるもの、それから地域の実状あるいは学校の実状などに応じていろいろ目標とした取組があり得るかと思います。この戦略構想に基づいて今後直ちに実施可能なものについては実施に移して、予算の必要なものについては平成15年度以降の概算要求で要求をしていく、そして平成15年度の政府予算が固まった段階でこの戦略構想を見直した上で行動計画を立てていきたいと思います。もう長年この問題についていろいろな方々からの御意見、お考えなども十分に聞きました上で、私どもとしても今の段階で戦略構想をまとめたという時点でございますので、皆様方もこういう動きがあるという事で御理解をいただき、御協力を賜れば大変ありがたいと思います。

記者)
 昨日の参議院厚生労働委員会で、厚生労働副大臣が帝京大の入試に関して合格を働きかけようとしたと認めるような発言がありました。それについて大臣自身の感想を聞きたいのですが。

大臣)
 ニュースで私も知ったわけでございますけれども、現厚生労働副大臣がどのような関わりを持たれたかにつきましては、詳細を承知いたしておりませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

記者)
 帝京大の問題というのは、合格前の寄附金問題ということに限定されていた問題でしたが、昨日の発言では就職や結婚その他も含めて受験ということはすごく数が多いのだと。そういうような陳情がたくさんあると。それについて御本人は事務所として関わっていたということを認めるような発言もありました。帝京大学に限らず、大学とか高校とかその他もろもろ入試全体に対する不信感を広めてしまったかのような印象を与えたと思います。国会議員でそれも医学部の入試に関して厚生担当副大臣がそれを認めていると、文科省でそれを放置できる問題ではないと思うのですが、これについて何か対処をされるのでしょうか。

大臣)
 今いろいろな広がりを持つのではないかという話がございますけれども、少なくともその事案について詳細を承知していないわけでございますので、私としてはコメントする立場にありません。ただ一般論としまして、我が省は帝京大学に対しまして一連の不正入試疑惑について7月15日までに社会の納得が得られるような調査報告書を提出するよう厳に求めているところであります。その提出時に今回の件も含めて報告、聴取をしてそれらの内容を踏まえて厳正かつ適切に対処していく方針でございます。

記者)
 公的な立場の方が、私立大学のほうにいつの段階であっても、例えば受験番号を伝えるとそういった行為については一般に許容されると思いますか。

大臣)
 それはどういう段階で、どういう形で行われたかを厳密に知った上でコメントしなくてはいけないと思いますけれども、一般論であれば受験に関わること、
入試に関わることにつきまして、外部からいろいろな関わりを持つというのはどうかなとは思います。

記者)
 英語のプランの件でお伺いしたいのですけれども、今まで日本人の多くが英語がすごく苦手で勉強しても勉強しても苦手であるというような中で大きなプランであると思うのですが、大臣としてはこれで日本人が英語をしゃべれるようになる事について、どのくらいの自信をお持ちでいらっしゃいますか。

大臣)
 狙いとしては、すべての子どもたちにこういうチャンスを与えていくと、それぞれの能力、あるいは興味関心がありますから皆が皆、目標に達するということができるかどうかは分からない面もありますけれども、少なくともチャンスとしてはこれまでの学校教育でないような、本格的な英語が使えるためのいろいろな工夫をしようというところでありまして、願わくば多くの子供たちが将来自分が国際的な場に出て活躍できるような基礎能力を備えて欲しいと思ってます。これは確かな学力の中の一環でございます。確かな学力の中にはいろいろな要素があると思いますけれども、理数系の能力も高めて欲しいし、それから基本的にコミュニケーションできる能力としての英語というのも大事ではないかという角度で取り上げたところです。細かい中身につきましては引き続き担当課長の方から詳しい御説明をさせていただきます。

記者)
 詳細は知らないのでコメントを差し控えたいという帝京大の事ですけれども。帝京側に対し、(寄付金問題しか)今までなかったことですから更に事実関係、説明を追加し求めるようにするのでしょうか、また、宮路さんの事務所の方に事実関係を確認するなどのお考えは文科省としてありますか。

大臣)
 先程申しましたように、今度の15日に報告があります際に、その件も含めて聴取するという事です。

記者)
 それは帝京大側としてですね、宮路さんの方はしないのですか。

大臣)
 政治家の判断、政治家の行動でございまして、それは政治家自身が自らの行動について明らかにされることだと思います。(了)

(大臣官房総務課広報室)

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