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地方分権、市町村合併、地方財政の悪化、電子自治体の推進といった地方公共団体を取り巻く最近の動きは、今回の調査研究の背景にあるものであるが、今後もこの方向での進展は地方公共団体を取り巻く環境に一層の変化をもたらすことが予測される。 |
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このような状況の変化を受けて、公立図書館の在り方は、大きな見直しの対象となっている。これまで、公立図書館の整備は、それぞれの地方公共団体においてその住民のための、独立の施策として進められてきた。しかしながら、現実の問題として、市町村合併により一つの市町村に複数の公立図書館が並存する事態が起こり調整の必要性が生じていることや、地方行政の情報基盤の整備を受けて公立図書館についても広域的なサービスの提供の可能性が広がっていること、また、広域的なネットワークの中でそれぞれの公立図書館が機能を分担することによって限られた財源のなかでサービスをより効率的かつ効果的に提供できることが、今後の公立図書館の在り方に大きな影響を及ぼすと考えられる。 |
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実際にも、広域の公立図書館において横断検索を可能とすること等ネットワークを利用した電子的な取組は始められており、また、物理的な流通網を整備することによって広域的な貸出サービスを提供することも珍しくはなくなってきている。更には、レファレンス・サービスや貸出サービスにおける公立図書館間における機能分化を進め、その機能を前提としたそれぞれの公立図書館におけるサービス提供の在り方の見直しを進めている東京都の取組例もある。 |
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このように、公立図書館の設置者である地方公共団体の側において、その在り方の見直しを進める必要性が高まっていることは、技術的要因の進歩と相まって、今後とも、公立図書館の在り方を見直す大きな推進力となると考えられる。 |
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また、電子自治体の提供基盤となる地域公共ネットワークの整備は現在進行中であり、すでに整備の終わった地方公共団体においてもレガシーシステムの切り替えが中心であるので、新たな公共アプリケーションの開発はあまり進んでいない状況にある。しかし、今後は、多大なネットワーク投資に見合う充分な効果が求められることとなり、ネットワークを利用した教育、医療等さまざまな分野において地域公共ネットワークの活用が進められることになると考えられ、その一環として公立図書館のサービスの向上も重要な課題の一つになると考えられる。 |