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おわりに

今なぜ公共図書館が変わらなければならないか

 公共図書館の支配的イメージは、本を借りたり、新聞・雑誌記事を探したりするところ、あるいは勉強場所として自学自習をするところというものである。このイメージは図書館業務が定型化したものというイメージへとつながり、更に昨今の自治体の財政難に起因する行政職員の定数減の圧力や図書館業務の外部委託に安易に結び付く傾向がある。つまり、民でできることは民へ、或いは単純業務の移管による行政のスリム化という流れは社会的要請を受けたものであり、このこと自体は公共図書館の運営やサービスの効率化に寄与するものであり、否定的に捉えるべきではない。しかし、このことが現状ではイメージの薄い、専門性の高いサービスの欠落に結びつきやすい点は問題であり、知的財産立国という社会的要請を損なうものである。

 また、今まで行ってきたレファレンス・サービスをはじめとしたサービスを地道に来館者に行っても、公共図書館利用者のニーズは十分果たせるという反論もあるかもしれない。しかし、公共図書館利用の実態は、利用頻度の高い少数の住民と、利用のまったくない多数の住民に二極化していることは否めず、今のままのサービスの延長線上には利用状況の変化は見込めない。こうした状況はやはり、全般的なサービス削減圧力へと結びつきやすい。

 今必要なのは、これまで公共図書館に無縁だった住民、団体等に公共図書館の機能を利用してもらうことであり、それには公共図書館で何ができるかを具体的に提案していく姿勢が不可欠である。誰もが生きていく上で課題を抱えており、またどの組織も取組課題を抱えており、その課題解決を具体的に提案していく課題解決型図書館、或いは企画提案型図書館となることが現在の公共図書館に求められている。その提案候補として挙げたのが、第3章にて展開した取組課題候補である。このうち、多くの公共図書館で先行実施されつつあるビジネス支援についてはその成果が現れつつある。今提供しているサービスに安住せず、各館で取組課題候補を参考にしながら、独創的な企画を主体的に立て、社会に公共図書館をアピールし、サービスの革新を持続的に行っていく企画力が今の公共図書館に求められる。

 このような公共図書館への現状と課題に鑑み、本報告書が各図書館において日々のサービスの向上を図り、新しい方向性を見出していくうえで、関係者の意識を喚起し議論を深めていくための提言として役立てていただきたいと考えている。


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-- 登録:平成21年以前 --