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第3章 8取組課題候補:地域情報提供・地域文化発信

8. 取組課題候補6:地域情報提供・地域文化発信
(1)  課題実施の意義と背景
 ここでは、利用者を学習者と想定している。しかしながら、本課題における学習者は、学校教育現場が提供する学習機会を利用する者だけでなく、生涯にわたる学習機会、更に、ある地域の情報を利用する他地域の在住者も想定している。また、ここでの学習者の学習機会としては、学習希望者が自ら疑問に感じた地域に関する事柄を調査・研究する能動的な学習活動と、観光や文化芸能活動等を通じて見聞きして自らの知識・ノウハウとして獲得した受動的な学習活動とが考えられる。なお、ここで想定している地域情報は、以下のような多種多様な資料・情報を示している。
地域特性(アイデンティティー)を示す一般情報:主として地域外の住民が当該地域を理解するための基礎情報
地域の自然環境、気候風土に関する情報
地域の産業に関する情報
地域観光情報、等
地域住民、企業・団体が保有する資料・情報:図書・雑誌であっても一般に流通していない資料、灰色文献、及び情報
自費出版の図書・雑誌(ミニコミ誌等含む)
域内企業が保有する社史等の図書、雑誌、広告、チラシ、等
展示会カタログ
故人の追悼録、等
地域の文化・民俗・歴史に関する資料・情報:地域資料・民俗情報に該当する
民謡、舞踊等の地域の無形文化財産に関する資料、映像・画像、等
書簡・草稿等の記録史料類
類縁機関や他の社会教育施設等が保有する史料・作品・情報
博物館、郷土史料館等が所蔵する作品、及び目録情報
文書館が保有する史料・古文書、及び目録情報
個人収集家による作品・資料、及び目録情報
地域の学校が保有する資料・情報
教科学習、総合学習、地域学習、及びその他の教育活動で作成した資料・作品
校内新聞、校内報
科学研究費補助金による「研究成果報告書」注釈29、等
   上記の資料・情報は、いずれも地域固有の資料・情報であり、放置しておくと、老朽化したり消失したりする可能性がある。そこで、公共図書館が中心となり、体系的に整理・保存することは、資料・情報の保存・維持だけでなく、地域外の学習者や後世の学習者への貴重な情報資産となる。加えて、昨今のICTの発展により、ここで記した地域資料・情報の多くは、インターネット上のウェブサイトにデジタル情報の形で格納することができる。しかしながら、このようなウェブ情報であっても、時間経過とともに消失する可能性があるため、やはり体系的に保存する必要がある。
 資料・情報の体系的な保存を行うには、該当するメタデータ注釈30をデータベース化することが必要となる。現時点での問題点・留意点として、以下の2点がある。
主題検索ツールとしての一般的な分類、子ども向け分類、更にはシソーラス等が望まれるが、NDC(日本十進分類法)やBSH(基本件名標目表)注釈31を含めて現実に活用できる既存のものは数少なく、開発及び継続的メンテナンスが必要。
地域ごとに同様の取組内容を個別データベースに蓄積し、更に他の取組内容を比較する場合、事前にフォーマットの標準化を果たしておくことが必要。その場合の現時点におけるその有力候補として、“Dublin Core(ダブリン・コア)注釈32”がある。
   以上を踏まえると、本課題は、多種多様な資料・情報を組織化し選定・提供する公共図書館の特長を生かせるとともに、ネットワークを有効に活用し、地域の学習環境の整備強化に貢献するテーマであると言える。
 取組にあたっては、類縁機関としての公民館、生涯学習センター(生涯学習推進センター)、博物館、文書館、行政関係部署、更には民間の観光や文化機関と相互協力できるように努める必要がある。

注釈29  学者・研究者が文部科学省・日本学術振興会から補助金を受けて行った研究活動の成果報告書として作成したもの。一部は研究機関・大学に、一部は国立国会図書館に保存されている。
注釈30   Metadata:データのデータと呼ばれる、情報資源を体系的に整理する(組織化する)ために、その情報の属性(識別名、形態、内容、所在等)を定型的に記述したもの。
注釈31  BSH(Basic Subject Headings):基本件名標目表。日本図書館協会より刊行されている日本における代表的な標準件名標目表のこと。件名標目とは、著作の主題を表し、件名目録の見出し語となる言葉を指し、特にコンピューター目録では重要な検索キーとなる。
注釈32   Dublin Core:1995年アメリカ合衆国ダブリンにて定められた、メタデータ同士の相互運用性(他領域のメタデータの活用や転用)を確保するための15のメタデータ要素。タイトル、作者、テーマ、等がある。

(2)  詳細課題一覧
 地域情報提供・地域文化発信として、取組可能な詳細課題は以下のとおり。
地域情報提供
地域特性(アイデンティティー)を示す一般情報の提供
地域住民、企業・団体が保有する情報の連携、紹介
地域文化情報提供
地域の文化・民俗・歴史を表現する資料・情報の提供
社会教育施設や公文書館が保有する史料・作品に関する情報の提供
地域文化発信
上記の地域情報、地域文化情報のデジタルアーカイブによる情報発信
地域情報、地域文化情報に該当するウェブサイト情報のアーカイブによる情報発信
   なお、地域情報のデジタルアーカイブやウェブ情報のアーカイブにあたっては、当該資料・情報を創造・考案した個人等からインターネット公開の承諾を得ておくとともに、その権利を、個人の知的財産権として保護されるように枠組を準備しておく必要がある。更に、プライバシー保護や人権への配慮、写真・映像等については肖像権への配慮も必要である。

(3)  公共図書館の役割と効果
 公共図書館が地域情報・地域文化情報を集約し、地域内外に向けた拠点となることは、地域住民にとっても、自らの地域文化を認識することに繋がるとともに、地域への愛着を高め、結果かとして地域コミュニティ全体の安定と発展に貢献するものであると言える。
 更に、地域住民の地域文化に対する深い理解に基づき、地域の魅力を発信・アピールしていくことは、観光・訪問・移住という形で地域に還元されていくと言える。

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